イタリアを中心に国家を擬人化したキャラクターたちの日常を、史実やお国柄をからめて描くコメディ。かつてローマ帝国は地中海を制し、富や名声すべてを手に入れた偉大な存在だった。しかし、ローマ帝国の子孫・イタリアは、残念なことにかなりのヘタレ。ヘタレであるものの愛すべきイタリアとその同盟国であるドイツ、日本を中心に、擬人化された国たちが、戦争したり国交を深める様を4コマ形式で描く。続編に『ヘタリア World☆Stars』がある。
国民性という言葉があるように、国によって異なるその国の風土や歴史に基づく気質というものがある。本作は、そんなお国柄を見事に擬人化したコメディで、第二次世界大戦を中心に近代史を扱っている。例えば主人公であり、タイトルの元となっているイタリアは、陽気だけど戦闘に対する志気は低め。捕虜になってものんきに歌っているようなヘタレなキャラクターとして描かれる。美人を見ればすぐナンパというエピソードも、多くの人が抱くイタリアのイメージに合致するだろう。そんなイタリアと同盟を結ぶドイツは、反対に超真面目で質実剛健な性格で、イタリアに振り回されてばかり。絶妙に擬人化された各国のキャラクターたちを通して、ゆるく楽しく歴史や世界の国々について学べる作品だ。
47都道府県のご当地神「ゆる神」が首都の座を巡って争奪戦を繰り広げるバトル・ロワイヤル漫画。ある日のトップニュース、日本の次の首都が鳥取県になることが発表された。日本最果ての秘境といわれ、人口の減少から消滅の危機が叫ばれていたはずの鳥取県が、なぜそんな奇跡をなしとげることができたのか? それは、47都道府県に存在するご当地神「ゆる神」により繰り広げられた首都争奪戦の結果だった。地味すぎるゆる神「鳥取さん」が、たどった奇跡的な軌跡が明かされる。
47都道府県を、ご当地神「ゆる神」という形で擬人化していた本作。「ゆる神」は「会いに行ける神」として、人間のように普通に存在する設定。それぞれの都道府県への郷土愛や県民性が、見た目にも性格にも反映されたイケメン揃いだ。例えば、「大阪さん」は常に大小問わずボケをかまさずにいられないキャラだし、「鹿児島さん」は、がっしりした見た目で、男気あふれる薩摩隼人といった感じだ。近隣他県にライバル意識を抱いたり、同じ文化圏としての同胞意識があったりと、自分の地元の「ゆる神」がどう描かれるのを見るのも楽しいだろう。個性も癖も強いゆる神たちの中を、地味で消滅寸前の「鳥取さん」が、いかにして勝ち抜いていったのかも読みどころだ。
カメラにパソコン、テレビに冷蔵庫、生活に欠かせない電化製品を擬人化した家電コメディ。好奇心旺盛で元気いっぱいのカメラくん、お調子者でハイスペック、頼りになるけど、水には弱いPC兄さん、クールなインテリ、昔はもてはやされたというTV兄さんを中心に、生活には欠かせない身の回りの家電たちを擬人化。家電たちの日常を、あるあるネタ等を交えて4コマ形式で描く。炊飯器、掃除機、洗濯機、電子レンジ、エアコンと、お馴染みの家電が次々と登場する。
一家に一台が当たり前ともいえる、お馴染みの家電たちが、まるで家族のように暮らす様子が描かれる。テンション高めの主人公、デジカメのカメラくんは、在庫一掃セールでこの家にやってきた存在。入手経路もリアルでよくある感じだ。みんなのお母さん的存在ともいえるTV兄さんは、昔は一番の人気者だったけど、PC兄さんが現れてからは、注目を集めることは少なくなった模様。そのせいか、PC兄さんとはちょっぴり仲が悪かったりする。夏の必需品・エアコンさんは双子の兄弟。クールだけど優しい室内機さんと、いつも外で一人寂しげな室外機さんとして登場するあたり、芸が細かい。家電あるあるが随所にもりこまれ、多くの読者のツボにはまるはずだ。
日本全国で受け継がれてきた伝統の焼き物の精霊・焼器霊(やきもん)たちが繰り広げる焼き物擬人化コメディ。大学2年生の夏休み、炎堂(えんどう)クレイは、父親に呼び出され、古くからある温泉街・湯喰(とうじき)温泉郷を訪れていた。そこには、父親が館長を務めていた、ほむら焼物館があるのだ。実は父は息子に仕事を丸投げして蒸発。クレイは夏休みの間、館長代理を務めるはめに。静かな博物館かと思いきや、館内には取扱注意の焼き物の精霊・焼器霊たちがいた。
日本各地に伝わる伝統の焼き物。それぞれ特徴や違いがあるとはいえ、門外漢にはよくわからないというのが素直な感想だろう。主人公であるクレイもそこは同じ。父親の無茶ぶりでやってきたほむら焼き物博物館で彼を出迎えたのは「長らく人に愛された焼き物たちの因果が実を結び人の容(かたち)を得た精霊」=焼器霊たち。高級磁器の祖・伊万里は、鑑賞用としてのプライドが高く、心にすぐひびが入るタイプ。素焼きが特徴の備前は、何かというと裸の付き合いをしたがるし、九谷は現代文化の吸収に貪欲で美しさのためには手段を選ばない。親しみやすさと存在感を兼ね備える美濃は、殺人的な天然ぼけキャラ。個性豊かな焼器霊たちが、焼き物蘊蓄をまじえながらハイテンションなコメディを展開していく。
特撮テレビドラマ「ウルトラマン」に登場する怪獣たちをかわいい女の子に擬人化し、その日常を描くコメディ。円谷プロダクションが監修を担当。ちっちゃいけれど、元気いっぱいの天然美少女・ゴモラと、そんな彼女が大好きな長身美少女・ベムスターが、明日から通うのは私立円谷学園。円谷学園では、ゼットン星人やガッツ星人、初代メフィラス星人&二代目メフィラス星人といった、ウルトラマンシリーズの人気怪獣たちが、かわいい美少女キャラとなって愉快な学園生活を送っていた。
本作では、昭和に放映されたウルトラマンシリーズはもちろん、平成のウルトラシリーズの怪獣たちも網羅しており、ファンなら存分に楽しめる作品になっている。テレビシリーズでは、恐ろしかったり、コミカルだったりした怪獣が、その特徴を活かしつつ、かわいい女の子に擬人化されているところは必見。テレビシリーズを知らない読者でも、その可愛さと怪獣の個性を盛りこんだコスチュームデザインは見て損はない。もちろん、その能力や嗜好も活かされている。例えば、ベムスターはテレビシリーズと同じくお腹に口がありガスを好むし、バードンがあらゆる肉が大好きという設定もそのまま。そんな可愛いだけじゃない怪獣娘たちによる、ウルトラマンシリーズへの愛のこもったパロディが展開する。