赤ちゃんが物語の鍵を握る漫画
41 Pt.

『HUGっと! プリキュア』は、空から降ってきた赤ちゃんが物語の鍵を握るストーリーだ。赤ちゃんが活躍する漫画や、赤ちゃんを育てる親の奮闘記など、赤ちゃんが登場する漫画を紹介しよう。

本作に登場する赤ちゃんは「はぐたん」。世話役であるハリハム・ハリーと共に、未来の世界から、中学生・野乃はなの元へやってきた。そして、はなに育てられることになる。はぐたんは、最初は「はぎゅ～っ」としか喋れない。しかし成長するにつれて、プリキュアたちの名前を言えるようになり、やがて簡単な言葉を喋りはじめる。はぐたんの赤ちゃんらしい舌足らずな喋り方は、とても愛らしい。また、子育て経験のないはなを、はぐたんの世話役・ハリーがサポートしている。ハリーは、関西弁を喋るハムスター。不思議な力で人間に変身できる。その姿は、誰もが振り向くイケメンだ。ハリーは、ヘアメークとファッションの店「ビューティーハリー」を経営し、はぐたんの養育費を稼いでいる。はなとハリー、そしてプリキュアたちに囲まれて、未来の世界からやってきた赤ちゃん・はぐたんの毎日はとてもにぎやかだ。

本作に登場する赤ちゃんは「まおちゃん」。頭にコウモリのような羽があり、尖った尻尾を持つ”悪魔の赤ちゃん”である。口から火を噴く能力で、ほのかに意地悪したクラスメイトを、黒焦げにして懲らしめたこともある。まおちゃんは人間の赤ちゃんと同じように小さくて愛らしくは見えるが、悪魔の男の子なのだ。そんな、まおちゃんのママがわりとなったことで、ほのかの生活は一変。一緒に暮らしている叔母は、仕事でほとんど帰ってこない。ほのかはいつも1人で寂しい思いをしていた。ところが、ほのかの気弱な性格をいつも叱っている少年・杉崎真が、まおちゃんのパパがわりとして同居することになったのだ。最初は、たびたび声を荒げる真に怯えていたほのかだったが、一緒にまおちゃんを育てるうち、真に恋心を抱くようになる。悪魔の赤ちゃん・まおちゃんのお陰で、ほのかの生活は彩りを増していく。

本作に登場する赤ちゃんは「ゴスペル」。子煩悩な母親・ローレムが、溺愛して止まない息子である。魔族の赤ちゃんであるゴスペルは、顔や手足など、体つきは人間の赤ちゃんに近い。ただし、頭には角があり、背中には羽が生えていて、太めの尻尾もある。また、人間の赤ちゃんより成長が早い。尻尾を支えに翼で羽ばたきながらバランスを取る魔物ならではのやり方で、生まれて間もない頃には立ち上がったのだ。人間で言うところの、つかまりだちだ。母であるローレムは、そんな愛らしい赤ちゃん・ゴスペルの姿にいつも一喜一憂。ローレムは、しっかり者の妹・メリーや、ゴスペルを出産した病院の娘・千春たちの協力を得ながら、ゴスペルとのにぎやかな日常を過ごしていく。

本作に登場する赤ちゃんは「ごっちゃん」。漫画家・東村アキコの息子である。東村アキコは、本書を描くにあたって、ひとつ決めたことがあると書いている。それは、育児に関するハウツー的な要素には一切触れないということ。離乳食を始める時期ひとつ取っても情報が錯綜し、大論争となる昨今の状況を恐れてのことだったが、これが思わぬ好結果を生む。自分の子どもの観察日記に徹したスタイルは、説教臭さが薄く、シンプルに笑えるという評判を得たのだ。中々乳離れしないごっちゃんに対して、漫画家ならでは方法で挑んだエピソード。あるいは、「漫画家ママ」ならではの苦労話など、共感を呼ぶだけでなく、見事にギャグエッセイとして成立させてる手腕は流石である。

本作に登場する赤ちゃんは作者・吉田戦車の「娘」である。作者の妻は漫画家であるため、ペンネームの伊藤理佐で登場するが、赤ちゃんの名前は登場しない。赤ちゃんのプライバシーを守ろうという親心が伺える。「娘」の誕生の瞬間はツイッターで発表され、祖父母よりも先に両親の作品のファンから祝福されるなど、有名人の子どもならではのエピソードも描かれている。常識外れのギャグ漫画で一世を風靡した吉田戦車だが、娘に対しては至って良い父親。目の付け所とセンスに吉田節を漂わせつつも、しっかりパパであろうとする姿が描かれていて、とても微笑ましい。なお、コミックスには妻側の視点で、それまでの出来事を振り返る「伊藤の言い分」というコラムが収録されている。