駄菓子マニアの社長令嬢が、実家の駄菓子屋を継ぎたくない主人公に駄菓子の魅力や豆知識を説明しつつ、駄菓子屋の跡継ぎになるように画策するドタバタグルメコメディ!? 2016年1月に「feel.」によってアニメ化された。視聴者たちは、Twitterなどで紹介された駄菓子を買った写真を投稿したり、紹介されたお菓子の豆知識などに対し、お菓子会社への問い合わせが殺到するなど、ちょっとした社会現象を起こした。駄菓子として有名な「オリオン」、「やおきん」、「松山製菓」、「おやつカンパニー」等とのコラボレーションイベントや商品化なども果たしている。
実家の駄菓子屋を継ぎたくない主人公「鹿田ココノツ(しかだ・ここのつ)」。彼は家業がら駄菓子のことには詳しかったが、あくまで「自分は漫画家になりたい」と思っている。その父である「鹿田ヨウ(しかだ・よう)」は、なんとか息子に駄菓子屋を継いでほしいと、あれこれ画策するが、その全ては空振りに終わっていた。そんなとき、駄菓子屋「シカダ菓子店」を一人の少女が訪れる。少女の名は「枝垂ほたる(しだれ・ほたる)」。彼女は大手菓子メーカー「枝垂カンパニー」の社長令嬢であり、駄菓子社会では有名な伝説の男・鹿田ヨウをヘッドハンティングするために鹿田菓子店を訪れたのだ。だが、ヨウは、息子のココノツがあとを継ぐまでは店を離れられないという。その瞬間から、ココノツとほたるの、どう考えてもギャグとしか思えない戦いと遊びの日々が繰り返されることとなる。そこにココノツの幼なじみである「遠藤豆(えんどう・とう)」と「遠藤サヤ(えんどう・さや)」の兄妹をも巻き込んで……。
この作品のヒロインの一人、枝垂ほたる。スリムではあるが少女離れした豊満な胸、豊かな尻を持つ彼女は、思春期真っ只中のココノツにとって、ある意味「天敵」と言っていいほどの相手だった。ココノツが毎回「ぎりぎりまで」追いこまれても陥落に至らないのは、ひとえにほたるの、毎回のように脱線し目的を忘れてしまう詰めの甘さにあるといってもいい。ほたるは年齢は不詳だが、その精神年齢は(おそらく)かなり低く、駄菓子を使って遊ぶことに目がなかったり、近所の小学生に「ボス」と呼ばれて悦にいったりしているほどである。彼女は今日も、白のブラウスに黒のスカート、もしくはワンピースに身を包み、何故かおかしなポーズをとって駄菓子を食べ漁るのだ。
遠藤サヤはココノツの友人である遠藤豆の双子の妹。家業は喫茶店であり、留守がちの両親にかわって店を切り盛りしているが、繁盛しているようには見えない。ほたるよりもスリムで、胸もお尻もボーイッシュな娘。ただし、ココノツいわく「サヤちゃんは足がいい」そうである。どうしても中学生くらいにしか見えないが、その耳にはたくさんのピアスが装着されている。幼馴染の三人は子供のころから一緒に遊んだり、勉強したりしている。特にココノツとサヤは、ふたりきりで「お医者さんごっこ」をした恥ずかしくも甘酸っぱい思い出を共有している。少し大きくなって、その時のシチュエーションを思い出したサヤのほうから、ニブチンのココノツに対して「早くしてほしい、しろよ! 」と顔を赤らめながらいった経緯もある。やはり、女の子のほうが大人になるのは早いということか……。
ほたるの「ココノツを駄菓子屋の跡継ぎに」の作戦は、ことごとく失敗に終わる(目的を忘れた行動のせい)。最早目的はどうでもよく、ただ「駄菓子屋に置いてある菓子やおもちゃを使って遊ぶ」ことが中心となっていく。その中で、けんだまやおはじきに関しての「サヤの才能」は開かれていく(ホタルからは師匠、という意味で「サヤ師」と呼ばれたりもしている)。おそらくほたるは、ココノツや遠藤兄妹と遊ぶことが面白くて仕方がないのではないか。そう思うと、この脱線具合もなんだか微笑ましく、いじらしく思えてくるから不思議だ。機会があれば、ほたるの脱線ぶりとその愛らしさ、そしてサヤちゃんの可愛らしさを鑑賞してもらいたいと思う。