天使と悪魔のファンタジー漫画42 Pt.

現実に天使と悪魔がいたとしたら。そして彼らが、なにかを持ちかけてきたら？　うまい話にご用心！そんな漫画をピックアップ！

本作には、人々を就職戦争に駆り立てる、多くの「悪魔」が登場する。主人公・カズヤと契約したアガリを筆頭に、妖艶な雰囲気を持つ、美しい人間の姿をした悪魔たちだ。悪魔の名前は「ソロモン72柱」から取られており、彼らとの契約がもたらす特殊な“能力”の元ネタもそれにあたる。その“能力”を用いて挑む面接や筆記テストなど、就職活動という名の頭脳戦は非常にスリリング。悪魔たちが、人間に命がけの就活をさせる、真の目的も見逃せない。

本作の「天使」は13人おり、それぞれが人間の中から1人の神候補を選んでいる。天使は非常に美しい外見をしているが、その内面は様々。新たな神の側近になるという野望を持つ者もいれば、やる気のない者もいる。そんな彼らには特級、1級、2級と階級が設けられており、特級天使が神候補に渡すのは、“天使の矢”と、空を飛べる“翼”。天使の矢には赤の矢と白の矢があり、赤は射た人間を自分に33日間惚れさせることができ、白の矢は相手を即死させる。この矢を用いて繰り広げられる心理戦は、『DEATH NOTE』を描いた作者コンビの真骨頂。手に汗握る、キャラクター同士の読み合いが展開される。

本作に登場するオーパーツとは、超古代文明が遺した、不可思議な力を持つ遺産のこと。そして、オーパーツの一種であり、世界を破壊する力を持つ「カバラ」が、物語の鍵になる。カバラには、天使によって構成された正カバラと、悪魔によって構成された逆カバラの2種類があり、作中ではそれぞれ人間に宿っている。主人公・ジオに宿るのは、悪魔・サタン。逆カバラの最高ランクであり、その性格は邪悪。幼い頃からジオの体を乗っ取り、彼を常に苦しめてきた。このサタンをはじめ、本作には、新約聖書と旧約聖書に書かれている悪魔や天使が、多数登場する。

悪魔が出ている漫画と聞いて、永井豪の『デビルマン』を思い浮かべる人も多いだろう。その原型となったと言われているのが、本作だ。毎夜見る悪夢に誘われるかのように悪魔王・ダンテと出会い、その餌食となった主人公・涼。だが、彼はダンテへの怒りを爆発させ、逆に悪魔の力を乗っ取ってしまう。そして、かつての平凡な生活に戻るが、人間社会に敵対する存在となってしまったことに苦悩する。太古から続く神と悪魔の戦いを描く壮大な物語だ。

本作には、独自の設定を持つ天使や悪魔が、多数登場する。有機天使アレクシエルの生まれ変わりである主人公・刹那は、策謀に巻き込まれて死んでしまった妹・沙羅を蘇らせるため、死後の魂が集まる世界の星幽界（ヘイディーズ）や地獄、天界への旅に出る。本作の主題は刹那と沙羅の禁じられた恋だが、聖書を軸に作り上げた世界設定は実に壮大。かつて異世界で起こった天使と悪魔との戦争があり、そこで死んだ者たちが現世で生まれ変わり、様々な登場人物の思惑が複雑に絡まりあう、重厚かつ壮大なファンタジーだ。