過去の経験から恋愛に奥手になっていた主人公が、同期のモテ男と恋人のフリをするうちに惹かれあっていくオフィスラブ。内田七海(ななみ)が目覚めると、目の前にはいけ好かない同期のモテ男・佐久間聖がいた。イケメンの佐久間は女性に言い寄られる機会が多い。佐久間に対して塩対応の七海に、酒を奢るから彼女のフリをしてくれとお願いし、酔った勢いで七海は了承してしまった。酔いがさめてから断ろうとする七海だったが、流されるまま身体の関係を持ってしまう。そして、社内にも恋人と公表されてしまうのだった。
酒は飲んでものまれるなという格言があるほど、こと酒に関する失敗談は驚くほど多い。本作は七海の酒の失敗から始まるラブストーリーだ。七海は無類の酒好きで、美味しい酒には目がない。どんなに嫌いな相手からのお願いであっても、酒さえあればほいほいお願いを聞いてしまう。しかし、七海はお酒にあまり強いとは言えない。普段の七海は単純な性格だがはっきりと物を言い、仕事にも手を抜かないキャリアウーマンである。きっちりした姿と酒を飲んだ後の姿を見比べてみると、あまりの無防備さにハラハラさせられるのだが、佐久間にとっては都合が良いのかもしれない。無防備だということは、付け入る隙があるということだからである。ニセの関係ではあるが、身体の関係を持っていることもあり、ビジネスライクといった雰囲気はない。むしろ佐久間の内心はこうなのでは、と推測できるところもありニヤニヤが止まらない。
見た目が派手なせいで遊び人と誤解されてしまう主人公が、自分を振った好きな男性とルームシェアすることになるピュアラブストーリー。主人公・山森真理は口元のほくろが特徴的な美人で、会社では「モンローさん」と呼ばれている。遊んでいるなどと噂されているが、実は人見知りで恋愛にも奥手。ある日、3年間片想いしていた同期の平田に、間違って好意を伝えるメッセージを送り、玉砕してしまう。失意の真理だったが、ルームシェアするために引っ越しをした先に、自分を振ったばかりの平田がいたのだった。
人を見た目で判断してはいけないが、見た目の印象にはどうしても左右されてしまう。真理が「マリリン」や「モンローさん」と呼ばれ、セクシーな印象を与えるのは口元のほくろのせいだけではないだろう。スタイルが良く、冷徹な目をした時の真理は近寄り難く、冷たさの中に妖しい魅力が感じられる。その表情を見た後だと、恋の悩みに翻弄される真理の姿は、別人に見えるのではないだろうか。恋する相手を想って柔らかく微笑む姿は少女のようにピュアだ。だからこそ、真理が受けてきた容姿による誤解の数々を見ていると胸が痛む。中でも片想い相手の平田は辛辣で、完全に真理が男遊びをしていると誤解しているものだから、それは違うと弁護をしたくなってしまう。思いがけずルームシェアをすることになった二人だが、誤解のせいで前途多難だ。とにかく真理には幸せになってほしいと願わずにはいられない。
会社の後輩に片想いをしている主人公が、恋愛成就の道を捨てて子どもだけが欲しいと勝負をかけるラブコメディ。30歳の武田千尋(ちひろ)は姉御肌で豪快な性格をしている。半年前に助けてもらったことをきっかけに、社長令息で次期社長でもある年下エリート、都築怜(つづきれい)に密かに恋をしていた。好きになってもどうしようもない相手だとわかってはいたものの、子どもが欲しいと思ってしまった千尋は、都築がコネクションを取りたい会社社長との仲を取り持つことを条件に、精子が欲しいと交渉を持ち掛けるのだった。
冒頭にいきなり「あなたの精子ちょうだい!!」という台詞が出てくるので、いったい何が始まるのだと度肝を抜かれるが、ピュアな気持ちからの発言なのでご安心を。身体だけの関係では終わらないが、始まりは身体というか文字通りの子作りとなる。千尋は、衝撃的かつ非常識で捨て身な交渉を持ち掛けなければならないほど崖っぷちに追い詰められていたのだ。千尋は30歳独身、姉御肌で豪快な性格なせいもあってか、周囲から恋愛対象から除外されてしまいがちだ。片想いの相手、都築は社長令息で次期社長、仕事もできてイケメンと、かなりの高スペックな男性だ。常に女性に囲まれていることもあり、千尋は都築との恋愛が成就するのは難しいと考えてしまう。だが恋をすることは諦めたが、都築との子どもが欲しいと思う気持ちは諦められなかったからこその行動だ。そう考えるといじらしくもある。直接的な言葉で赤面してしまうくらい千尋はうぶだが、果たして都築との関係に耐えられるのか。刮目して見届けたい。
不倫疑惑をかけられた主人公が、相談のために訪れた法律事務所のイケメン弁護士に救われた結果、振り回されながら恋に落ちていくリーガルラブストーリー。OLの三森こころは職場の先輩、溝口一也に恋をしていた。既婚者の溝口からは家庭がうまくいっていないと聞いており、正式に離婚してから付き合おうと言われていたが、ある日突然、溝口の妻から不倫を疑われ、慰謝料を請求されてしまう。困ったこころは法律事務所に相談、対応したイケメン弁護士の梅宮仁に励まされ、溝口の妻と対面することになる。
こころは純真で一途な性格の持ち主である。「本物の愛」というものに憧れており、初めてのセックスの相手は恋人とする、と心に決めていた。恋愛に対して極端に奥手というわけではなく、男性をあまり好きになったことがないという。肉体関係と言われただけで赤面し、慌てて抗議するくらいだからうぶと言えば相当うぶなのだろう。失礼ながら、大変危なっかしい女性であるという印象が拭えない。現に好意を寄せて食事を何度かしただけの上司との不倫疑惑をかけられてしまった。会社も辞める羽目になるなど大変な目に遭うのだが、その過程で梅宮と出会えたのは幸運なのかもしれない。とはいえ、梅宮は少々ゲスなところがあり、刺激の強い人物でもあるわけだが。こころはやがて、梅宮が勤める法律事務所で働き始める。依頼人の時から振り回されていたが、一緒に働くとなると一層振り回されることになるだろう。梅宮が本物の愛を捧げるに足る人物か、こころの恋の行方を見守りたい。
会社で頼りにされている姉御肌の主人公が元カレの結婚式で、フリーカメラマンで新郎の友人という男と出会い、酔った勢いで旦那として雇用関係を結んでしまう偽装結婚ラブコメディ。菊池李絵は姉御肌で頼りになる性格をしている。宝くじで2等1000万円が当せんしたが、元カレの結婚式に出席しなければならず気持ちは晴れなかった。秘密の交際だったため周囲には知られておらず、相手の二股の結果終わった関係。もやもやとした気持ちを抱えたまま控室で酒を飲んでいた李絵の前に、カメラを持った男が現れるのだった。
幸運なことが起こると不幸なことも起こるような気がしてしまう。そんな人は多いのではないだろうか。李絵の場合は、元カレの結婚式と宝くじの当せんという極端な出来事が襲い掛かってきている。宝くじの当せんを手放しで喜びたかっただろうに、同情を禁じ得ない。その上、元カレとはいえ、誰にも言わず秘密で付き合っていたという関係だ。誰かに愚痴を言うこともできず、元カレの結婚式への参席も断れず、まさに地獄のような一日を過ごすことに。そこに蜘蛛の糸ならぬ、救いの手が差し伸べられる。それがカメラマンで、新郎の友人としてたまたま駆り出されていた浅野優だ。浅野は、誰も気が付かなかった李絵と元カレの関係を即座に言い当てるほど勘の良い男で、しかもイケメンでもある。果たして浅野と李絵はどのような関係を育むのだろうか。