タイトルに「東西南北」と「四方」が入っている漫画オススメ５選！51 Pt.

「脚がある物は卓椅子以外　翼がある物は飛行機以外　泳いでいる物は潜水艦以外　何でも食ってみる」というほど食に情熱を傾けるという中国。本作の主人公・蘇東坡は、中国料理に革命をおこしたといわれる人物だ。東坡肉は、いわゆる豚の角煮。蘇東坡が左遷された際に生み出したといわれている。当時、豚肉は貧乏人が食べる肉とされ忌避されていた食材。左遷中の身であった蘇東坡は、都から差し向けられた刺客に自ら東坡肉をふるまう。刺客はあまりの美味しさと、それが豚肉であったことに驚愕。安価な食材を先入観に惑わされずに美味しく料理する蘇東坡の才覚には、政治家としての知性の鋭さが見え隠れする。蘇東坡は、自らがおかれた政治的難局を料理によって切り抜けていく。

主人公・フィリエルは、2歳で母を亡くし、父であり天文学者であるディー博士と、父の弟子である少年・ルーンと家族のようにして育ってきた。しかし、そんな平和な日常は、初めて迎えた舞踏会の日に一変する。実はフィリエルの母・エディリーンは女王制をとるグラールの元女王候補であり、天文学者であるディー博士とセラフィールドへ駆け落ちしたという過去が判明したのだ。父であるディー博士から母の形身だと託されたペンダントには、女王の血筋である証の青い宝石「女王試金石」がはめこまれており、舞踏会の場で女王の血をひいたフィリエルの存在が明らかになってしまう。突如女王候補の一人となってしまったフィリエルは、ルーンと共に、大きな運命の流れにまきこまれていく。

36歳にしておばあちゃんという驚きの係累関係をもつ日南子。18歳で独身のまま娘・加奈子を産み、そしてその娘も17歳にして出産。若すぎるシングルおばあちゃんは、こうして誕生したのだ。見た目は20代と称しても違和感はなく、孫の乃菜子（のなこ）をつれて買い物をしていると親子と間違われてしまうほどだ。おばあちゃんとはいえ、まだ30代、恋にも結婚にも憧れる日南子は、アルバイト先でも思わず年下のモデル・陸にときめいてしまう。つい年齢を偽り自己紹介してしまうが、それが後々日南子を苦しめることに。なんと、陸に告白されてしまうのだ。「理由あり」とは思えないほど、明るくほがらかでちょっと天然な日南子に、まさかのモテ期がやってくることになる。

400本のシングルモルトが並ぶ、飴色をしたパーシモンのカウンターを備えたスコッチ・バー。Mr.ライオンが営むのは、本格的なスコッチ・バーだ。それは先にこの世を去った彼の妻の夢でもあった。しかし、北国・スコットランドの生まれのMr.ライオンにとって、「日出ずる国」日本は、「火出ずる暑い国」でもあった。妻が愛してくれた威厳ある10時10分の角度の眉毛も、暑さの前にはシオシオに下がってしまう。日本語もほとんどわからないまま日本にやってきたMr.ライオンだが、バーの営業前に、納豆をつまみにホッピーを嗜むのが今ではすっかり習慣になっている。妻との思い出を胸に、バーという止まり木を訪れる人々と新しい思い出を紡いでいく、彼のほろ苦くも穏やかな日々が描かれる。

四方世界とは、中央のバービルム、北のアッシュール、南のラルサ、東のエシュヌンナの4つの国をあらわす。本作は、古代オリエントの世界をモデルにして描かれた歴史ファンタジーであり、ナムルが暮らすバービルムは、バビロニアがモデルと思われる。シャズは、ナムルを誘い、この四方世界を束ねる王を目指す。荒唐無稽な夢と思われるが、シャズはバービルムの王家の者であり、彼女やナムルが有する神の力は、物体を異世界へ通じさせることができるのだ。使いようによっては人を殺すこともできる。シャズの抗い難い魅力と彼女が自由に操る神の力がナムルを闘いへと向かわせることになる。ダイナミックな歴史ロマンをオリジナリティあふれる設定で、さらにドラマチックなストーリーに仕立て上げた作品になっている。タイトルにふさわしい壮大さを味わえる。