概要・あらすじ
高校生の娘と、娘が産んだ孫がいる一ノ木日南子は、どこへ行っても実年齢よりも遥かに若く見られるため、孫が自分の子供であるかのように振る舞いながら、楽しい日々を送っていた。しかしある時、職場と恋人にこの事実を知られてしまい、どちらもいっぺんに失ってしまう。そんな中、幼なじみの瀬戸要の紹介により、日南子は彼が編集長を務める大手出版社でアルバイトとして働き始め、その仕事をきっかけに人気モデルの真柴陸、そして絵本作家の文月直と出会う。
こうして日南子は3人の男性と知り合い、恋心も含め波乱に満ちた日々をスタートさせることとなる。
登場人物・キャラクター
一ノ木 日南子 (いちのき ひなこ)
大手出版社「柊学館」でアルバイトとして働く女性。年齢は36歳で非常に明るい性格をしている。一ノ木加奈子の母親で、一ノ木乃菜子の祖母でもある。高校3年生の時に付き合っていた彼氏との間に子供ができ、その後、彼氏が蒸発してしまったため、シングルマザーとして加奈子を出産した。世間体を気にして、加奈子は妹ということにしている。 また実年齢よりもかなり若く見えるため、どこへ行っても孫の乃菜子とは親子だと思われている。育児はほぼ母親である一ノ木華子に任せていたので、一ノ木日南子自身は加奈子に母親らしいことをしてあげたことがない。そのことを負い目に感じており、母親として加奈子に何ができるかと常に考えている。「柊学館」で知り合った真柴陸に自分は28歳だと嘘をついてしまい、半ば強引な陸に押されていつしか彼を好きになるが、モデルとして売り出し中の陸の足を引っ張るわけにはいかず、自分の立場も考えて深く踏み込むことができなかった。 一方で、仕事で受け取りに行った絵本の原稿を紛失したことをきっかけに、文月直と少しずつ交流を深め、彼の過去を知ってからは強く惹かれていくようになる。 バーで要と家庭の事情を話しているところを偶然直に聞かれて以来、直からは「おばあちゃん」と呼ばれている。
一ノ木 加奈子 (いちのき かなこ)
高校3年生の女子で、一ノ木日南子の娘。16歳の時にアルバイト先で知り合った33歳の一ノ木剛太郎と電撃結婚をし、17歳で一ノ木乃菜子を授かった。現在は高校に通いながら、日南子や祖母・一ノ木華子とともに子育てをしている。ちなみに剛太郎は婿入りすることになったため、結婚後も一ノ木姓を名乗っている。非常に頭が良くしっかり者で、学校でも優秀な成績を収めている。 子供の頃からずっと姉だと思っていた日南子が母親であり、華子が祖母だと知った時には複雑な思いも抱いたが、成長とともに折り合いをつけ、今では良好な関係を築いている。文月直の手による「まみむめ森シリーズ」の絵本が大好きで、日南子とともに穏やかな時間を過ごした貴重な宝物として大切にしている。
一ノ木 乃菜子 (いちのき のなこ)
一之木加奈子が17歳で生んだ娘で、年齢は1歳。かろうじて歩くことはできるが、言葉はまだ話せない。曾祖母の一ノ木華子、祖母の一ノ木日南子、そして両親に囲まれた大所帯でとても大切に育てられている。日南子と一緒に出かけると、娘に間違えられることが多い。加奈子は高校へ通学しており、日南子も働いているため、日中は保育園に預けられている。
瀬戸 要 (せと かなめ)
大手出版社「柊学館」で、メンズファッション誌「MEN'S JEWEL」の編集長を務める男性。年齢は38歳。昔、一ノ木家の隣に住んでいたことがあり、一ノ木家とは親を介して懇意にしている。そのため、職を失って困っていた一ノ木日南子のために口を利き、「柊学館」でアルバイトとして雇った。日南子の家庭事情も承知しており、社内でも他言せずに配慮している。 過去に一度結婚したことがあるが、現在は独身。あまり表には出さないが、日南子のことをとても大切に想っている。
文月 直 (ふみづき なお)
絵本作家の若い男性で、一ノ木日南子が大好きな絵本「まみむめ森シリーズ」の作者。やわらかなテイストの作品とは裏腹に、文月直本人は仏頂面で不愛想。仕事で関わった日南子に原稿を紛失されたり何かと振り回されているものの、彼女に対して悪感情は抱いていない。幼少期に両親が離婚した際に父親に引き取られ、仲の良かった姉の佳乃と離れて暮らすことになってしまった。 その後、子供ながらに意を決して佳乃に会いに行ったものの拒絶されてしまい、それが原因で他人には心を閉ざしているようなところがある。バーで瀬戸要と日南子が話しているのを偶然聞いてしまったため日南子の家庭事情を知っており、以来、日南子のことを「おばあちゃん」と呼んでいる。明るい性格の日南子と何度も関わりを持つうち、少しずつ日南子のことが気になり始める。
真柴 陸 (ましば りく)
大手出版社「柊学館」のメンズファッション誌「MEN'S JEWEL」専属の男性モデル。年齢は24歳で、現在人気急上昇中。仕事の打ち合わせで「柊学館」を訪れた際、一ノ木日南子に会って一目惚れ。一途な性格のため、自分の立場を顧みず積極的に日南子にアプローチをし続ける。一方で、自分の気持ちをどうにか抑える意味も込め、日南子に対してずっと敬語を使っている。
一ノ木 華子 (いちのき はなこ)
一ノ木日南子の母親で、一之木加奈子の祖母。いつも着物を着こなしており、家庭的でさっぱりした性格の女性。日南子の妊娠が発覚した時もうろたえることなく、日南子を世間の好奇の目から守るために引っ越しをするなど、母親らしい対応を示した。加奈子は自分の娘として育てていたが、ある時、加奈子に自分が祖母であるという事実を知られてしまうこととなった。 当時はぎくしゃくすることもあったが、その後は加奈子とも良好な関係を築いている。祖母という立場になっても落ち着きがない日南子のことを時々たしなめながらも、日南子のこれからの人生に希望を抱いている。
一ノ木 剛太郎 (いちのき ごうたろう)
一ノ木加奈子の夫。老けて見えるが実は33歳。大柄で美男子とは言えないが、心根が優しく穏やかな性格で、怒ることは決してない。加奈子が16歳の時に結婚し、一ノ木家に婿入りした。一ノ木華子に子育てを手伝ってもらいながら、高校に通う加奈子とともに一ノ木家で生活している。
佳乃
文月直の姉。子供の頃に両親が離婚したため母親に引き取られ、直とは離れ離れになった。母親と再婚相手の間に新しい子供が生まれたこともあり、自分の居場所を守るために、せっかく会いに来た直を拒絶してしまう。ずっとそのことを後悔しており、成長し絵本作家になった直に会いに行くが、今度は自分が拒絶されることとなった。現在は北海道で内縁の夫と暮らしているが、生活は豊かではない。
麻記 (まき)
一ノ木日南子の高校時代からの友人の女性。友人の中では、日南子に娘と孫がいることを知る唯一の存在。そのため日南子の良き相談相手となっており、よく電話で女性特有のトークを繰り広げている。長年、恋人と同棲しているがお互いに子供を持つことは望んでおらず、特に結婚する理由もないので独身を貫いている。
二波 留加 (ふたみ るか)
大手出版社「柊学館」でアルバイトをしている女子大学生。年齢は20歳。「柊学館」への就職を希望しているが、実際は「柊学館」に勤務する男性社員との出会いが目的。そのため、瀬戸要が気にかける日南子を何かと敵視しては、自らの若さを武器に対抗する姿勢を見せている。仕事がきっかけで知り合った真柴陸のファンになるが、日南子が陸にも気に入られていることで、さらに苛立ちを覚えることとなる。