あなたは予測可能か!?「20XX年」漫画特集41 Pt.

主人公の兆が2050年サッカーワールドカップで、「サッカーの天才（ジーニアス）」としてフィールドに立つ場面から幕を開ける。とはいえ、物語の中心は、そこに至るまでの出来事だ。兆は日本サッカー界の行き詰った状態を救う存在になるよう、少しずつ成長していく。もちろん、土台となっているのは、彼自身の資質と練習量の多さであることは間違いない。しかし、全てが計算された人工的環境下で、彼が特化しているのは折れない心。周囲がどれだけコントロールしたとしても、サッカーへの強い想いがなければ日本を背負えるほどの選手にはなれないはずだ。読み進めるほどに、兆のサッカーへの情熱が伝わってくる。

本作の舞台は2072年の近未来。テーマは、現在すでに世界共通の問題になっている「エネルギー」だ。人類は新しい次元軸「W」の発見と「コイル」の開発により、無限のエネルギーを手にしエネルギー問題から解放されたかのように見えた。しかし、新しい技術が新しい犯罪をも生んでしまうのも世の常。主人公キョーマの仕事は、密かに出回るようになった不正コイルを回収＆破壊することだ。アンドロイドの美少女ミラも、自分の出生の秘密を探るため彼と行動を共にするようになり、コイルに秘められた謎に迫る。人類は便利さを求めて技術を進化させているが、目的や方法を間違えば危険な未来が待ち受けているかも知れないと感じる作品だ。

本作の舞台となる2033年では「恋愛は面倒なモノ」という考え方が一般的で、恋愛する者がマイノリティになっている。恋愛はお金や時間を注ぎ込んでも、思い通りに進むとは限らない。だが恋とは、「落ちて」しまうものなのではないだろうか。常に冷静だった新聞記者の聖が、事件と関わりのある男性と出会ったことで、人生が変わっていく。無表情だった聖が、恋することで表情豊かに変化する。人を愛することの尊さ、切なさが表現され、恋愛の本質を問う作品となっている。

2086年が舞台となっている本作に、ウイルス性の「眠り病」（別名「記憶のガン」）が登場する。ウイルスは人のトラウマの記憶に感染をして増殖し続け、やがて機能不全を引き起こす。治療には、感染者の記憶に潜り込んでウイルスを除去するダイバーと、そのダイバーをこちらの世界に連れ戻すコンパニオンがバディを組んで当たる。アダムは海軍の任務中に右足を失う重傷を負うが、明晰夢を見る能力を買われ、コンパニオンに抜擢された。バディを組んだ凄腕ダイバー・ルネとの相性は最悪だったが、ぶつかり合いながらも、次第に信頼関係が生まれ協力し合う仲となり、病にまつわる謎に迫っていく。

本作の舞台は2036年。その20年前となる2016年に大震災が起き、原発がメルトダウンを起こした東京は、死の街となってしまった。人間が住めないほどの放射能に汚染され、人口の90％を失い、救助活動も打ち切られる。しかし、生存者がいることが判明し、コッペリオンの荊たちが、彼らを救出するために送り込まれる。彼女たちは人造人間で特殊能力を持っているが、ロボットではない。相手のことを思いやり、危険を顧みず人々を救おうとする。いつ大きな自然災害が発生してもおかしくない現代において、さまざまなことを考えさせられる作品だ。