幸せとは何か? 『貧乏神が! 』の魅力
215 Pt.

異常な幸運の持ち主「桜市子』その巨大な力によって、人間界の「運」のバランスが乱れているため、世界の均等を保つべく貧乏神の「紅葉」がとり憑いたことにより、市子にさまざまな出来事が起こるというストーリー。

現在、ジャンプスクエアにて連載中、15巻まで発売。

『貧乏神が! 』の世界では、「人間界」「神界」「黄泉の国」など多くの世界が登場し、人間や貧乏神だけでなく、福の神・付喪神・妖怪など色々な種族の人々が登場する。

『貧乏神が! 』で重要なのが、幸福エナジーと不幸エナジーだ。
この二つがあることによって人間は普通に生活していますが、どちらかが多いと不幸なことが起こったり幸福なことが起こったりするのだ。
貧乏神は不幸エナジーの影響を必要以上に受けないために身体の一部に包帯（ギプス）を巻いて封印している。

桜市子は、生まれながらに幸福エナジーが異常な量に加えて、周りの人の幸福エナジーまでも吸い取る体質の為、容姿端麗・頭脳明晰・無病息災と人並みの苦労をすることなく、バラ色の人生を歩んでいた。
ただ、幼いころから両親の仕事の為親の愛情を知らないまま育ったことと、小学生の頃に一番信用していた友人からの裏切りによりひねくれた性格に育ってしまったのだ。
紅葉と出会い、色々な出来事を通して人の温かさや大切な人が出来、自らの幸福エナジーを与えるほどに成長する。

紅葉は、貧乏神として市子の異常な幸福エナジーの取集のために派遣された。
基本的にネガティブで市子の幸運体質に対しては妬んでいる（特に胸の大きさを）。
貧乏神としてはとても優秀だが、極度の面倒臭がり。
しかし、当初は市子の幸福エナジーを狙うだけだったが、市子の成長とともにその存在が「標的」から「パートナー・相棒」へと変化していく。

紅葉は数多くの貧乏神アイテムを使って市子から幸福エナジーを奪おうとするのだが、アイテムのネーミングには他作品のパロディーやギャグが詰まっている。

【素価疑～（スカウター）】
　読みの通り幸福・不幸エナジー両方の数値を計ることのできるアイテムだ。見た目は鼻眼鏡だが、かなり高性能で身長やスリーサイズまで表示される。

【田中さ～ん♡そろそろ…注射の時間…DEATH…よ】
　幸福エナジーを吸い取ることができる巨大な注射器（極太）。
見た目同様、幸福エナジーを吸い取るアイテムなのだが痛みはしっかりと感じられるようになっている。

【瞬間移動アイテム首吊ルーラー】　
　字のごとく瞬間移動のアイテム。
ただ、首に紐を引っ掛けることにより移動が可能になるので、見た目から首吊りしているようにしか見えない。
普通の人間が使えば危険だが、市子は幸福エナジーのおかげで生きて移動可能。

【大・損（だいそん）】
幸福エナジーを吸い取ることのできる吸引器。
見た目はただの掃除機だが、その吸引力はネーミング通り、変わりません。

【トラウマ聴診器】
他人の触れたくない過去や秘密を聞き出すことができるアイテム。
見た目は、トラの耳が付いたヘッドフォンに馬の蹄が付いている可愛らしいもの。一度壊れたが、セロハンテープなどで補強すれば使えるようになった。

【オマエノモノハ　オレノモノ　スティック】
所有者同士の幸福エナジーを使うことができるアイテム。
呪文を唱えると某日曜朝の魔法少女のようなコスチュームに変身するが、ただの嫌がらせアイテム。
星形と月型の可愛らしいステッキ型。

貧乏神以外にも福の神アイテムや付喪神アイテムなどバリエーション豊かに登場する。

最後に、『貧乏神が! 』には、パロディーやギャグがちりばめられているが、何気ない幸せをテーマにしている。
市子は紅葉にとり憑かれたことによって多くの困難に直面し、考え方や他人への接し方も変わり成長していくのだ。
それは、読者に幸せとは何かをも訴えかける作品でもあるので、一度読んでみてほしい。