食べることは生きること！異世界グルメ漫画あつめました38 Pt.

初めて見る「のぶ」の光景に違和感をおぼえるハンスであったが、ニコラウスの勧めるままに「トリアエズナマ」を注文する。出てきたのはなんとキンキンに冷えた生ビールだ。ひとたび口に運ぶと、今まで飲んできたビールとは桁違いの美味しさに彼は舌を巻く。「オトーシ」の枝豆や「オデン」のじゃがいもに舌鼓を打ち、ハンスはこの上ない幸福感を味わう。その後も「のぶ」は住民の交流の場として賑わい、衛兵を辞め料理修業をする決意をしたハンスや常連客らと共にアイテーリアを盛り上げてゆく。日本ではごく当たり前の存在である居酒屋が、ヨーロッパ風の異世界と繋がるファンタジーな設定が興味深い。職人気質のノブや癒やし系キャラのシノブと、住民たちとのふれあいにも心温まる。

ライオスは、食糧の問題を解決するため迷宮内で魔物を食べ自給自足をすることを決意する。試しにライオスは、迷宮内で捕らえた歩き茸と大サソリを鍋で煮るものの、余りのまずさに嘔吐する。彼らの様子を見かねた通りすがりの冒険者・センシは正しい調理法で大サソリを捌き、自前の「干しスライム」まで投入し水炊き鍋を作ってしまう。その味に感動したライオス一行は、炎竜をどうしても料理したかったセンシと利害が一致し行動を共にすることに。妹の奪還と炎竜を食べるべくダンジョンを突き進んでゆく。本作は、RPGゲームなどでおなじみの魔物たちが次々と料理されてゆくさまが面白い。架空の食材なのに妙にリアルに感じられる料理レシピも見どころだ。

新橋の若手サラリーマン・森谷は先輩に連日の飲み会に連れられ疲弊しきっていた。おまけに締めのラーメンの代わりにと、無理矢理「しとめ」に押し込まれてしまう。そんな彼の姿を見た女将は、飲み会続きで肝臓が疲れていることを見抜き、ラーメンではなくゴマのおにぎりと味噌汁を振る舞うのであった。みるみるうちに元気を取り戻した森谷は店の常連に。女将はその後も疲れた人々を健康にする料理で癒やし、心身ともに美味しくしていくのであった。本作は、かつて恐れられていた山姥が人を癒す料理セラピーを行う存在として描かれており、どこか懐かしい方言にほっこりとした気持ちにさせられる。また、食材の効能やレシピなども掲載されており、健康に対する知見を増やせるので一石二鳥だ。

手始めに食料の確保を考えたケーマは、猛獣の攻撃をかわし木の実をゲットする。彼がそれを口にした瞬間、みるみるうちにレベルアップし力を得るのであった。なんと、ケーマは異世界に来たことで食べた相手の経験値やスキルを吸収する「魔吸収」を身につけていたことが判明。思いもよらぬチートスキルを手に入れたケーマはさらに強くなるべくローラと共に異世界を旅し、さまざまなものを口にしてゆく。本作は、ケーマが巨大クリオネや空を飛ぶニワトリなど異世界ならではの動物や植物を食し、都合よく無敵になっていくさまが面白い。怠惰どころかドジな行動で彼の足を引っ張るかと思えば、天真爛漫なセクシーさで彼を惑わすローラのキャラクターも愛らしさ満点だ。

なんと高良山は、エリーセ、イーリス、フランカの三姉妹による召喚魔法で異世界に召喚されていた。彼女たちは借金取りに追われ逃げていたが、その道中キラーベアに襲われたという。覚えたての魔法で彼を召喚したはいいものの、元の世界に戻す術を知らず三人は途方に暮れる。そんな彼女たちに高良山は、異世界特有の特殊能力で手に入れたレシピと道具を駆使し、キラーベアの肉を使ったちゃんこを振る舞う。かつて定食屋を経営していた三人は、彼を元の世界に帰すためのヒントを得るため共に冒険の旅に出る。異世界にしか存在しないモンスター肉や野菜を使った一風変わったちゃんこだが、妙に食欲をそそるのが本作の特徴だ。高良山の男らしい野性味溢れるキャラクターも好感が持てる。