『出会い系サイトで妹と出会う話』で大ブレイク！「もちオーレ」特集オススメ５選33 Pt.

お互い同性愛者と知ってしまった二人だが、焼き鳥屋で親睦をはかることに。姉は積極的で昔のように小夜にキスをしようとするが、小夜は照れくささから突き飛ばしてしまう。実は、二人は互いに姉妹を超えた感情を持っていた。中学時代の小夜は彼氏がいると嘘をつき姉にキスの練習をして欲しいとせがみ、二人はキス以上のことをしていたのだ。妹に誇れる人間になろうと決意し受験に励む姉と、真意を汲み取れなかった小夜はすれ違いより疎遠になってしまうが、この再会をきっかけに再び距離を縮めていくことになる。本作はもちオーレ特有のラフな絵柄に、二人の繊細な心の機微が見事に溶け込んでいる。姉妹の百合であるが、違和感なく読み進めることができるだろう。

月岡の冗談を本気にして、彼女をレンタルできるとはやりたつ若宮は、後日10万円を持ってビデオ屋を訪れる。若宮の態度に呆れた様子の月岡が無料でデートに行く旨を申し出るも、若宮は無料レンタルとまたもや勘違い。この一連のやりとりで若宮の反応に味を占めた月岡は、その後も諦めずにやってくる若宮を冗談とも本気ともつかぬ言動で振り回してゆく。真面目でピュアな若宮が月岡に翻弄されつつも、少しずつ仲良くなっていくさまがハートフルである。また、表題作の他に3篇の短編も収録されている。ちょっぴりHでほのぼのした百合模様を楽しむにはもってこいの一冊だ。

惚れ薬を飲んだ四方塚は、いきなりいつみにキスをする。惚れ薬の効果とはいえ、普段は校則を破るいつみに口うるさく指導し、正義感が強い四方塚の豹変ぶりにされるがままだ。四方塚が大企業の令嬢であることや皆から慕われていることから、打算的に行為を受け入れるべきか、それとも担任への思いを貫くかで揺れ動くいつみだが、その瞬間薬が切れて四方塚は元通りに。いつものように冷たくあしらわれ「やっぱり私は百合じゃない!」と憤るいつみだった。その後も、惚れ薬を次々と他の生徒たちに飲まれ、キスされたり脱がされたりといつみの受難は続いていく。自身を百合ではないと否定しながらも、流されてしまういつみが面白い。底抜けにおバカな百合ワールドを、何も考えずに楽しむのをお勧めする。

神田が女性であることに気づかないまま、大熊は女装をして欲しいと懇願する。神田は面倒くささの余り「大熊が付き合ってくれるならいい」と無茶ぶりをして退けようとするが、大熊は両思いになったと勘違いをしてしまう。どうにか誤解を解こうとする神田だが、大熊のピュアな反応にどうしても言い出すことができず、二人はなりゆきで交際を始めることに。少しずつ距離を縮める二人だが、キスといった恋人同士のスキンシップに進めず葛藤する神田であった。イケメンな言動でリードする神田と、初恋にときめく大熊のアンバランスな恋愛が甘酸っぱい。

花絵がいつものようにタヤショに粘着されているところを救ったのは、別のクラスの籠屋リョウなる生徒だ。一時の平穏に喜ぶ花絵であったが、リョウは義憤からタヤショをシメると宣言し、花絵に恋人役になるよう説得する。それがタヤショの逆鱗に触れることになり、リョウとタヤショは血みどろの争いを繰り広げることに。花絵はうろたえるばかりだが、その姿を遠くから何故か笑顔で見守る林檎の姿があった。タヤショのストーキングの数々は常軌を逸しているが、甘んじて受け入れている花絵がより心理的な恐怖を喚起するのが特徴的だ。リョウたちの争いは林檎を含めたクラスメイト達を巻き込み、予想外の幕切れに何とも後味の悪い読後感を与えてくれる。