腐女子の妄想はとどまるところを知らない！オススメ漫画５選48 Pt.

つづ井さんはもしや自分ではないか、と錯覚する腐女子諸君は多いのではないだろうか。腐女子ではなくても、自分が好きな作品や応援している俳優、所謂「推し」への情熱、推しを構成する全てに感謝を伝える姿には共感する部分も多いはずだ。「腐女子とはこういう生態をしている」という一例とも言えるが、見ているととても楽しそうだ。例えばキャラ名と身長を描いたマスキングテープを壁に貼るという遊びだが、つづ井さんは興奮しすぎて夜明けまで一人で楽しんでいる。紙や画面から出てこない以上、推しの実際のサイズを体感することは難しい。実寸大のサイズを体感できるというのは、たとえ目の前にいなくても楽しい行為なのだ。つづ井さんの友人たちもオタクぞろいで、腐女子だったりアイドルオタクだったりする。彼女たちは、個々人の楽しみや趣味を否定しない。互いに個人の楽しみを受け入れ、意見を尊重している。つづ井さんの腐女子ライフは妄想と気遣いでできている。心地よく優しい世界だ。

泉水は格闘ゲーム「フール・オブ・ザ・デッド」の大ファンである。登場人物が全員ゾンビで腐女子にも大人気。泉水も同人誌を作成したりと、ゲーム以外でも楽しんでいた。製作者側になってみたい、という願いはオタクならだれでも抱いたことがあるだろう。実際は狭き門でもあるので、なかなか難しいところがある。しかし、泉水は独自の努力と執念でその門をこじ開けてしまった。この、就職するまでの過程が興味深い。どうしたら就職できるのか、どういったスキルや実績が必要になるのか、分析したうえで実行している。まさしくゲーマーならではの行動と言えるだろう。就職に向けた執念や努力はすごいのだが、泉水は基本的にネガティブで、それでいて自尊心は強いというタイプのオタクである。認められたいという気持ちはあるものの、感情が暴走しがちで、かつ打たれ弱い。だが彼女の積み上げてきた努力は本物だ。だからこそ学歴差に負けるなとエールを送りたい。

アニメや漫画が好きな人は一般的に「オタク」と称されてきた。一昔前のオタクは少々肩身の狭い思いをしていたが、現在は公言できるほどの趣味として認知されている。とはいえ、腐女子はちょっと別だ。男同士の恋愛が大好物という性質ゆえに、腐女子であることを隠している人は多い。そんな、日々抑圧されている人が推しと好みのシチュエーションに出合ったらどうなるか。本作では人間の皮を脱ぎ捨て、本体とも言える毛玉のような生き物が飛び出してくる。この生き物の原案は御薗橋801商店街振興組合のマスコットキャラなのだが、BLを「やおい」とも称することから、パロディキャラとして誕生した。現在は公認されている。801ちゃんの興奮度を示すバロメーターでもあるのだが、謂わば801ちゃんの本音と欲望を表している姿と言えるだろう。チベ君は振り回され気味だが、801ちゃんの趣味を概ね受け入れている。お互いの趣味を尊重しあえるのなら、それは理想のカップル像と言えるのだろう。

男子高校には無論男子しかいない。その内情は男子校出身者に話を聞く以外では情報を知る術がなく、妄想のネタ集めができないと歯がゆい思いをした人も多いはずだ。本作は、前年度まで男子校だったという高校が舞台。1年生には女子が少数いるが、2年生以上は男ばかりである。クラスの9割は男子なので、実質男子校。そんなところに腐女子を放り込んだらどうなるのか。喜び勇んで妄想するというのは想像に難くない。しかし、3人の驚くべきところは、腐女子であることをオープンにしているという点だろう。隠さないことにより自身に関心を持たれないようにし、より男子だけの空間を作ろうとしていると考えると、筋金入りすぎるのでは、と少々恐ろしくなる。被害者男子たちは少々かわいそうなのだが、教訓として彼女たちにできるだけ関わらないようにしている姿に涙が出てくる。強く生きて、と言いたい。同作品内でのカップリング戦争など、あるあるネタもある。笑いながら腐女子界隈の用語も学べる作品だ。

推しのことだけ考えて生きていきたい。そう考えるオタク女子は少なくないだろう。お金があればニートになると公言して憚らないオタクが多い中、かな子はお金がないのにニートかつひきこもりのオタクになってしまった。幼い頃はお姫様に憧れていたのに、約20年の間にいったい何があったのか。推しとの衝撃的な出会いがあったのだろうということは、容易に想像できる。冒頭から推しキャラであるリュウヤの誕生会を催しているのだが、これが痛々しい。祭壇を作るオタク女子というのは昨今珍しくないが、かな子は自身でカップリング相手のお面をかぶり、リュウヤの抱き枕を抱えて自撮りをしている。一方、ネット世界には友人たちと推しの誕生日を祝う様子が溢れており、楽しい気持ちが一瞬で萎む。この落差が辛い。しかし、自分で楽しみを見つけられるのは、オタク女子ならではと言えるだろう。腐女子ならではの趣味のひとつが推しカプのイラストを描くことだが、これには修練が必要だ。夢見る腐女子のニート姫が現実を見つめられるよう、祈るしかない。