幼い容姿だが年齢不詳の女性。通称ポンポさん。かつて数々のヒット作に携わった名プロデューサーを祖父に持つ、若き敏腕映画プロデューサー。映画製作にまつわる数多の才能を受け継いでおり、祖父の引退とともに映画製作会社ピーターセンフィルムの社長に就任した。トンデモB級映画を好んでプロデュースしているが、正統派ヒューマンドラマの脚本家としての才能も持ち合わせている。
好きな映画の『セッション』(2014年/アメリカ/監督・脚本:デイミアン・チャゼル)は、ジャズドラマーを夢見る一人の青年が、鬼教師との出会いによって音楽の狂気に取り憑かれていく物語。ポンポさんの「自分の中に閉ざされた世界を持った人間は、クリエイターとしての潜在能力が高い」という持論を彷彿とさせる。『デス・プルーフ in グラインドハウス』(2007年/アメリカ/監督・脚本・撮影:クエンティン・タランティーノ)は、テキサスを舞台に魅惑的な美女たちが登場する、ホラーとカーアクションが織り交ぜられた作品。「映画は極論、女優を魅力的に撮れればそれでOK」という彼女好みの映画だ。また、ポンポさんはすっきりとまとめられた90分以下の映画を好む傾向にあり、3つ目の作品『フランケンウィニー』(オリジナル版 1984年、リメイク版 2012年/原案・監督:ティム・バートン)は、実写で制作されたオリジナル版が27分、ストップモーション・アニメ作品として制作されたリメイク版は87分というコンパクトな作品である。
映画監督を志し、ポンポさんの製作アシスタントを務める青年。映画を見るときには必ずメモを取り、一つ一つのシーンを理解するまで繰り返し映画を見続けている。ポンポさんにその才能とセンスを見いだされ、監督に大抜擢される。
そんな彼の好きな映画は、細やかな脚本で名高いサスペンスコメディ『スティング』(1973年/アメリカ/監督:ジョージ・ロイ・ヒル)と、孤独な男が暴力や犯罪によって、日常をぶち壊そうとする『ファイト・クラブ』(1999年/アメリカ・ドイツ/監督:デヴィッド・フィンチャー)、『タクシードライバー』(1976年/アメリカ/監督:マーティン・スコセッシ)だ。3作には犯罪を扱った映画という共通点があるが、いずれの作中でも日常からわずか一歩を踏み出した先に広がる非日常的な暴力が描かれている。映画の中で日常の境界線を踏み越えた主人公たちが見せる表情は、一見気弱そうな内に、狂気的な映画製作への情熱を持つジーンを彷彿とさせるかもしれない。
映画が唯一の娯楽の田舎で育ち、女優になる夢を抱いてニャリウッドへ上京した少女。さまざまなアルバイトをしながらオーディションに落ち続ける日々を送っていたが、ポンポさんに見いだされ、主演女優に抜擢されて映画デビューを果たす。つらいときも笑顔と自分を信じることを忘れない、健気で前向きな女の子。
好きな映画の『プロヴァンス物語 マルセルのお城』(1990年/フランス/監督・脚本:イヴ・ロベール)、『秘密の花園』(1993年/アメリカ・イギリス/監督:アグニェシュカ・ホランド)、『バベットの晩餐会』(1987年/デンマーク/監督・脚本:ガブリエル・アクセル)は、どれも牧歌的な田舎を舞台にした、人間同士の心の交流が描かれるハートフルな作品だ。自身のデビュー作で監督を務めるジーンを励ましたり、先輩女優のミスティアの健康を気遣ったりするナタリーの優しい性格は、これらの映画によって培われた面もあるのだろう。
ポンポさんの祖父で元映画プロデューサー。多くの作品でニャカデミー賞を受賞し、名優たちから圧倒的信頼を得ている。現在は引退し、多くを孫のポンポさんに引き継がせた。長年の経験から確固たる監督哲学や映画哲学を持ち、時にジーンを教え導く存在でもある。
彼の好きな3作品は、詐欺師と少女のロードムービー『ペーパー・ムーン』(1973年/アメリカ/監督:ピーター・ボグダノヴィッチ)。現在でもさまざまな映画の中にオマージュ的に1シーンが使われる『第七の封印』(1957年/スウェーデン/監督・脚本:イングマール・ベルイマン)。その映像美で後のクリエイターたちにも多大な影響を及ぼした『狩人の夜』(1955年/アメリカ/監督:チャールズ・ロートン)。心温まる人間同士の交流、死や信仰にまつわる重厚なドラマ、人の闇を描くサスペンスと、いずれも普遍的なテーマを扱った白黒映画の名作だ。
人気の若手女優。ふわふわとした雰囲気をまとっているが、女優としての確かな存在感と演技力を兼ね備えている。いつか自分の主演映画をプロデュースするのが夢。ナタリーに女優としてのアドバイスをするなど、面倒見のよさもうかがえる。ジーン作品の撮影スタッフとしても奮闘し、ナタリーに「それは女優の仕事ではない」と心配されるが、「すべては自分をスクリーンの中で輝かせるためだから、苦にはならない」と、並々ならぬ女優魂を見せつける。
好きな映画である『カミーユ・クローデル』(1988年/フランス/監督・脚本:ブリュノ・ニュイッテン)、『アデルの恋の物語』(1975年/フランス/監督・脚本:フランソワ・トリュフォー)、『ブロンテ姉妹』(1979年/フランス/監督:アンドレ・テシネ)は、いずれもフランスの大女優イザベル・アジャーニが出演するフランス映画だ。時代に翻弄されつつも強く生きようとする女性の姿や狂気が描かれている。
世界的にも知られる大御所俳優。一時は引退していたが、ジーンの監督作品で10年ぶりにスクリーンへの復帰を果たす。ポンポさんの祖父のペーターゼンとは名コンビとして知られている。圧倒的な存在感と、幅広い演技力を兼ね備えた名優であるが、一方で、気さくでおちゃめな一面もあり、撮影現場を盛り上げる努力も怠らない。駆け出し監督のジーンに対しても好意的に接し、対等な関係を築こうとする。
「お客さんは映画館に非日常を目指してくるだろう?」という映画美学を持つマーティンの好きな映画は、『欲望という名の電車』(1951年/アメリカ/監督:エリア・カザン)、『ゴッドファーザー』(1972年/アメリカ/監督・脚本:フランシス・フォード・コッポラ)、『地獄の黙示録』(1979年/アメリカ/監督・脚本:フランシス・フォード・コッポラ)。彼の美学を体現するかのような、名優マーロン・ブランドの重厚な演技を存分に堪能できる名作たちだ。
いくつものポンポさんプロデュース作品を手掛けている、穏やかで謙虚な人柄の監督。冷静な観察眼と高い編集技術を持ち、ポンポさんから厚い信頼を寄せられている。「自分が納得できない作品でも納期が来たら世に出さなきゃいけないのがプロの使命」という持論を持ち、強いこだわりと美学を持つ芸術家肌のジーンとはまた違った職人気質を備えている監督だ。
好きな映画はいずれも日本のアニメーション映画。『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』(2013年/日本/監督:平尾隆之)、『宇宙ショーへようこそ』(2010年/日本/監督:舛成孝二)、『アリーテ姫』(2001年/日本/監督・脚本:片渕須直)は、いずれもテレビシリーズアニメの演出で評価された監督たちによる作品だ。膨大な枚数の原画によって描き出されるアニメーションは、まさにアニメーターをはじめとした多くのスタッフの血と汗の結晶。コルベット監督はそれを生み出したスタッフに敬意を抱いており、同様に自身の作品に携わるスタッフに対しても感謝を忘れない。なお、ここで挙げられた『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』の平井監督は、劇場版アニメ『映画大好きポンポさん』の監督も務めている。