あらすじ
初監督編
映画会社「ペーターゼンフィルム社」の製作アシスタントとして働く青年のジーン・フィニは、天才プロデューサーのジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットのもとで映画製作のノウハウを学んでいた。一方、女優志望ながらアルバイトに明け暮れ、ろくに演技レッスンにも通えていないナタリー・ウッドワードに思うところがあったポンポネットは、ナタリーを呼び出し、売れっ子女優のミスティアの付き人として、同じレッスンやトレーニングを行うように指示する。そんなある日、ジーンはポンポネットから彼女が製作する映画「MARINE」のトレーラー映像の製作を任されることになる。そして、そのごく短い映像の出来映えがよかったことから、ジーンはポンポネットの映画脚本「MEISTER」の監督を任され、ナタリーもまた主演女優を任されることが明かされる。
初心回帰編
「MEISTER」でニャカデミー賞を受賞したジーン・フィニは、その画作りと編集能力の高さをウェズ・G・マクティアナンに評価され、大人気アクション映画作品の続編「マックスストーム2」の監督に抜擢(ばってき)される。前任者が撮影直前で降板したため、なにもかもがすでに決められている環境の中で、ジーンは体調を崩しながらもクランクアップにこぎつける。しかし編集も終えて映画が完成した直後、ジーンは自らの名を冠した作品として世に出すことに抵抗を覚え、完成データ破壊してしまう。その責任を取らされてクビという名目のもと、ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットの祖父であり、伝説の大プロデューサーとして知られるジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼンの自宅で世話になることになったジーンだったが、そこで自らの進む道を見つけ、ペーターゼンフィルム社を退職すると願い出る。
覚醒編
映画「LOVE・Begets・LOVE」を鑑賞して映画に対する情熱が再燃したジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼンから、ジーン・フィニにコンビを組んでの映画製作の話が舞い込む。二つ返事で引き受けたジーンだったが、その間、ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットはペーターゼンフィルム社の仕事を取り上げられ、学校へ通うことになってしまう。しかし、映画から離れることに不満を抱いていたポンポネットの前に、独特なセンスと撮影技術を持つマズルカ・クシジャノフスカという少女が現れる。卒業後に映画業界とは関係のない会社に入社することが決まっているというマズルカを引き入れるため、ポンポネットはジーンやミスティアを巻き込み、マズルカの才能を生かした映画を撮影することを決める。
連載経緯
本作『映画大好きポンポさん』は2015年5月に、深夜に放送する5分アニメの企画として制作された。企画は頓挫したものの、杉谷庄吾が個人的に漫画作品として仕上げ、イラストSNSである「pixiv」で無料公開したところ、多くのクリエイターからの応援があり、閲覧者がうなぎ登りとなったことで「ジーンピクシブ」に掲載され、書籍化となった。
スピンオフ
コミック
本作『映画大好きポンポさん』のスピンオフ作品に、杉谷庄吾【人間プラモ】の『映画大好きフランちゃん NYALLYWOOD STUDIOS SERIES』と、『映画大好きカーナちゃん NYALLYWOOD STUDIOS SERIES』がある。どちらもKADOKAWA「MFCジーンピクシブコミックス」から刊行されている。前者はフランチェスカ・マッツェンティーニを、後者はカーナ・スワンソンを主人公とした作品で、女優として成長していくフランチェスカやカーナの出会いと苦悩が描かれている。
関連作品
本作『映画大好きポンポさん』の本筋に関係ないエピソードを集めた杉谷庄吾【人間プラモ】の短編集『映画大好きポンポさん the Omnibus』が、KADOKAWA「MFCジーンピクシブコミックス」から刊行されている。内容は、ユーゲン・マイルスジャックが店長を務めるダイナーで、ありふれた日常会話に花を咲かせるジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットたちの話や、ペーターゼンフィルム社が設立するきっかけとなった映画の秘話などが収録されている。
メディア化
劇場版アニメ
2021年6月4日から、本作の劇場版アニメ『映画大好きポンポさん』が全国で上映された。大筋は原作ストーリーに沿っているが、オリジナルキャラクターとして、ジーン・フィニのハイスクール時代の同級生であるアラン・ガードナーが登場するなど、原作ストーリーとは異なった部分もある。監督と脚本を平尾隆之、キャラクターデザインを足立慎吾が務めている。キャストは、ジーン・フィニを清水尋也、ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットを小原好美が演じている。
登場人物・キャラクター
ジーン・フィニ (じーんふぃに)
映画会社「ペーターゼンフィルム社」で、ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットの製作アシスタントを務めている青年。オドオドとした陰気な雰囲気を漂わせている。学生時代は学校生活になじめず、授業が終わると家で映画ばかり見ていた。映画を見ながらメモを取る癖があり、映画に対しては非常に勉強熱心。「MEISTER」の監督を任され、ニャカデミー賞を受賞した。その後「マックスストーム2」の監督に抜擢されるも、どんなに大衆受けする作品であっても自分が納得できる作品でなければ駄作と見なすなど、映画に対して強いこだわりを持っている。そのため、一度完成した「マックスストーム2」の完成フィルムデータをすべて削除、ディスクも破壊してしまった。その責任を取って、ペーターゼンフィルム社を一度クビになったのをきっかけに、ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼンの家で世話になり、自分で脚本を書きたいと考えるようになり、「LOVE・Begets・LOVE」を製作するに至った。映画業界に復帰したペーターゼンと共に「Laugh and be FAT」を撮影している最中、ポンポネットからマズルカ・クシジャノフスカを紹介され、その撮影技術に魅せられて「フルールドリスの文学サロン」を同時期に撮影することを決めた。しかし撮影が進むにつれて、「Laugh and be FAT」の脚本に納得できなくなり、お蔵入りにして「Clip」を製作した。好きな映画は『スティング』『ファイト・クラブ』『タクシードライバー』『ヒドゥン』『ゼイリブ』『ブロブ 宇宙からの不明物体』など、未見者には説明しにくい作品。
ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネット (じょえるだゔぃどゔぃっちぽんぽねっと)
ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼンの孫で、天才映画プロデューサーの少女。波打つ金髪をツインテールでまとめている。ペーターゼンフィルム社の社長を務め、周囲からは「ポンポさん」と呼ばれている。両親共に外交職員であり、祖父のペーターゼンに育てられた。毎日、ペーターゼン好みの映画を途中退席も許されずに鑑賞させられ、毎回感想を求められたことで強制的に才能を磨かれた過去を持つ。そのため、映画作りに必要な才能をすべて持ち合わせており、カメラ撮影もこなす。「幸福は創造の敵」という持論を持ち、ジーン・フィニを製作アシスタントに抜擢したのも、彼が社会に居場所のない追い詰められた目をしていたからと語っている。ふだんは好んでB級作品ばかり製作しているが、なにを作っても一級品の娯楽作品に仕上げてしまう。学校に通っていなかったが、ペーターゼンの復帰を機に学校へ通うことになった。そこでマズルカ・クシジャノフスカの天才的な撮影技術を目の当たりにして、なんとかしてマズルカに母親の会社に入社することをあきらめさせ、映画業界に引き込めないかと策を講じる。その結果として、ジーンやフランチェスカ・マッツェンティーニたちを巻き込み、「フルールドリスの文学サロン」の製作を決定する。
ミスティア
人気の若手女優。気取ったところのない気さくな人物で、ジーン・フィニにも笑顔で話しかける。ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼンが所有するマンションの高層階に住んでおり、ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットから無料で提供されている。他人のテリトリーで食事をするのが苦手ながら、料理が作れないため、ナタリー・ウッドワードが付き人として同居するまでは、サプリメントや栄養ゼリーを主食としていた。 自分で自分の出演する映画をプロデュースするという夢を持っており、ポンポネットからは、25歳になったらペーターゼンフィルム社をのれん分けしてもらう約束を交わしている。好きな映画は、フランスの名女優、イザベル・アジャーニが主演する『カミーユ・クローデル』『アデルの恋の物語』『ブロンテ姉妹』となっている。
ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼン (じょえるだゔぃどゔぃっちぺーたーぜん)
ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットの祖父。伝説ともいわれる元映画プロデューサー。数多の大ヒット作品を製作しており、第52回ニャカデミー賞にて八冠を受賞した映画「ハート・オブ・ゲヘナ」が最高傑作と称されている。しかし、「ハート・オブ・ゲヘナ」を超える作品を作ることのできない苦悩と、ポンポネットのあふれる才能を目にしたことで、すべてのコネクションや才能をポンポネットに引き継いで引退していた。だが、ジーン・フィニの撮影した「LOVE・Begets・LOVE」を見た際に映画に対する情熱が再燃し、復帰を決意する。人の名前を覚えるのが苦手だが、自分が興味を持った人間の名前はしっかりと記憶している。自宅の地下には古い映画の資料が大量に保管されており、ジーンはペーターゼンフィルム社を一時クビになっていた頃、大量の書き込みがされた脚本を見て創作意欲を刺激され、監督業のみならず脚本の執筆にも情熱を燃やすようになった。好きな映画は昨今では珍しい白黒作品の『ペーパー・ムーン』『第七の封印』『狩人の夜』で、どれも名作でありつつB級要素があるという共通点がある。
コルベット監督 (こるべっとかんとく)
ペーターゼンフィルム社で映画監督を務める、ふくよかな男性。ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットとウマが合う。ジーン・フィニが「MEISTER」で初監督を務める事になった際には、先輩として「誰か一人、その映画を一番見てもらいたい人のために作ればいい」と助言する。好きな映画は『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』『宇宙ショーへようこそ』『アリーテ姫』『それいけ!アンパンマン おもちゃの星のナンダとルンダ』『映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!』『ガールズ&パンツァー劇場版』。 これらはいずれも日本のアニメ映画だが、テレビシリーズで評価を受けた演出家達が、劇場版でさらに大きく羽ばたいた作品となっている。
ナタリー・ウッドワード (なたりーうっどわーど)
映画女優志望の少女。女優を志して上京して来たが、生活のためにアルバイトに明け暮れ、思うように演技のレッスンに通うこともできず、オーディションで惨敗し続けていた。しかしジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットに見出され、ミスティアの付き人として同じレッスン、トレーニングを受けるようになり、ジーン・フィニが監督を務めた映画「MEISTER」で「リリー」役を演じ、ニャカデミー賞で新人女優賞を獲得するまでになる。難解な映画の設定やなんの説明もない演技に対する理解度は低いが、映画の裏側に流れている本質的なテーマや登場人物の感情表現を完璧に演じ、物語に入り込むセンスを持っている。また、ジーンに対して異性としての好意を抱いている様子が見られる。アクションや冒険、ホラー映画など激しい作品を苦手としている。好きな映画は『プロヴァンス物語 マルセルのお城』『秘密の花園』『バベットの晩餐会』で、田舎を舞台にしたノスタルジックでユーモラスな作品。
マーティン・ブラドック (まーてぃんぶらどっく)
大御所と知られる映画俳優の男性。世界一の俳優と謳(うた)われる名優だが、演じることを面倒くさがり、10年ほどすべてのオファーを断っていた。しかしジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼンに頭が上がらず、ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットに頼まれたペーターゼンに口説き落とされ、「MEISTER」では久し振りに主演の天才指揮者「ダルベール」を演じる。この役に関しては、過去に「黒い光」「ヴェルター」という作品で指揮者を演じているため、特別に練習する必要がなかった。それ以来ジーン・フィニとも懇意にしており、主演に限らず端役でも出演を依頼されている。好きな映画は『欲望という名の電車』『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』で、20世紀最高の俳優とも称されるマーロン・ブランドが主演を務めている。
ウェズ・G・マクティアナン
「スクリューボールスタジオ」の映画プロデューサーを務める男性。ジーン・フィニが監督を務めた「MEISTER」を鑑賞し、画作りと編集能力の高さを評価して彼を「マックスストーム2」の監督として指名した。ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼンがジーンとコンビを組んで新作映画製作に着手した際、ペーターゼンから細かい事務仕事の補助を頼まれ、不満を漏らしながらも手伝っている。好きな映画は『華麗なるギャツビー』『シンシナティ・キッド』『コンドル』など、1960年代から70年代に製作された名作。
レオン・ポールウェイド (れおんぽーるうぇいど)
人気のタフガイ映画俳優。「マックスストーム2」で主演を務める青年。好きな映画は『ハート・ロッカー』『アルゴ』『モーターサイクル・ダイアリーズ』など、実際に起こった戦争や革命をモチーフにした作品となっている。
クリスティア・ロックウェル (くりすてぃあろっくうぇる)
売り出し中の若手映画女優。好きな映画は『ドリームガールズ』『シカゴ』『アーティスト』など、古きよき時代へのあこがれや、女性の立場が弱かった時代の、華々しいショービジネスの世界で活躍する女性達が描かれている、という共通点がある。
フランチェスカ・マッツェンティーニ (ふらんちぇすかまっつぇんてぃーに)
女優志望の少女。ダイナーでウェイトレスとして働いている。長いストレートの黒髪をツインテールでまとめている。ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットがジーン・フィニのプライドを折るために製作したコメディ映画「Lunch Waggon」ではヒロインに抜擢され、念願の女優デビューを果たした。かわいい顔立ちながら天然気味で、なんともいえない愛嬌(あいきょう)がある。デビュー以降は自分が輝くための企画書をふだんから書き溜めており、ポンポネットから映画撮影の相談があった際にも即座に複数の企画書をプレゼンしている。「フルールドリスの文学サロン」もフランチェスカ・マッツェンティーニの企画だが、主演をミスティアとナタリー・ウッドワードに奪われたことに強い不満を抱いていた。好きな映画は『プリティ・プリンセス』『奇跡のシンフォニー』『チャーリーとチョコレート工場』など、王道シンデレラストーリー作品。
ユーゲン・マイルスジャック (ゆーげんまいるすじゃっく)
売れない役者の男性。ふだんはダイナーの雇われ店長を務めている。フランチェスカ・マッツェンティーニと共に、ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットが製作したコメディ映画「Lunch Waggon」に出演している。また、ジーン・フィニが「Clip」の主演として「主人公を演じられる実力があるものの無名な俳優」を探していた際に、コルベット監督からの推薦があったため主演に抜擢された。好きな映画は『ベルリン・天使の詩』『ノスタルジア』『フィッシャー・キング』など、一見癖があるように見えるがシンプルなメッセージが込められた作品。
カーナ・スワンソン
フランチェスカ・マッツェンティーニの後輩の少女。ウエーブがかった紫色の髪をツインテールにしている。フランチェスカを心から慕っており、フランチェスカといっしょに撮影に臨めるのであればどんな役でも喜んで引き受ける。完璧な演技を求めすぎるところがあり、ジーン・フィニからはそういう生真面目な一面が面白くないと評され、台本を撮影事前に渡されるようになった。好きな映画は『鉄ワン・アンダードッグ』『キング・オブ・キックボクサー~ファイナル』『太陽は光り輝く』など、日本での知名度が低いながらも名作とされる作品。
マズルカ・クシジャノフスカ
ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットと同じ学校に通う女子。ウエーブのかかった薄茶色の髪で、つねに眠そうな顔をしている。世界を形ではなく色彩で捉えているらしく、マズルカ・クシジャノフスカがロザリンド・ソールズベリーを撮ったプロモーションビデオを鑑賞した直後、ポンポネットはマズルカを天才だと評価した。ポンポネットから卒業後は即ペーターゼンフィルム社に入社するように勧められたが、投資会社の社長を務める母親の会社に入社が決まっているため、その誘いを断った。しかし、ジーン・フィニやミスティアたちと映画の撮影を進める中で映画撮影の面白さに目覚めた。好きな映画は『ストレンジャー・ザン・パラダイス』『恋愛睡眠のすすめ』『ロスト・イン・トランスレーション』など、映像表現に特徴があり、日本とかかわりの深い監督が撮影した作品。
マーリン・ユーチノフ
脚本家を生業とする少女。金髪ロングヘアで、毛皮の帽子とコートを着用している。ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットがマズルカ・クシジャノフスカを映画業界に引き込むために制作する映画「フルールドリスの文学サロン」では脚本を務めたが、ジーン・フィニの破天荒なやり方に付き合わされ、「Clip」の脚本も手伝わされる羽目となる。好きな映画は『シラノ・ド・ベルジュラック』『ジェルミナル』『フォート・サガン』など、ジェラール・ドパルデューが主演を務め、古典や歴史に関係した作品。
ロザリンド・ソールズベリー
ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットと同じ学校に通う女子。毛先だけウエーブがかった長いピンクの髪をツインテールにしている。女優を志望しており、ポンポネットが映画業界の人間だと知って売り込むために声をかけた。非常に自信家で容姿の美しさを自負し、「フルールドリスの文学サロン」では浮浪児役であることにも不満を持っていたが、撮影時にミスティアの美貌を目にし、自信を喪失した。好きな映画は『カールじいさんの空飛ぶ家』『インサイド・ヘッド』『レミーのおいしいレストラン』など、CGアニメーションの制作会社・ピクサーの作品。
リーセル・パーカー
ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットと同じ学校に通う女子。茶髪ロングヘアで、長身。「フルールドリスの文学サロン」ではロザリンド・ソールズベリーと共に浮浪児役として出演している。また、撮影時にロザリンドが役に不満を漏らした際にも、優しくフォローをする気遣いを見せている。好きな映画は『ルディ/涙のウイニング・ラン』『ミルカ』『フリーソロ』など、スポーツにかける人々をテーマにした作品。
キャロル・ロンシュタット
レベッカ・ロンシュタットの姉で、映画音楽の作曲家をしている少女。ストレートロングヘアを左右で白と紫に染め分けている。フランチェスカ・マッツェンティーニとはケンカ友達だが、嫌い合っているわけではない。「フルールドリスの文学サロン」では劇伴を担当している。好きな映画は『ベルベット・ゴールドマイン』『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』『ロード・オブ・ドッグタウン』など、音楽が印象的な作品。
レベッカ・ロンシュタット
ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットと同じ学校に通う女子。巻き癖のある金髪を低い位置でツインテールにしており、つねに半目になっている。キャロル・ロンシュタットの妹。「フルールドリスの文学サロン」ではロザリンド・ソールズベリーと共に浮浪児役として出演している。好きな映画は『キック・アス』『キングスマン』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』など、アメリカンコミックスを原作としたヒーロー作品。
場所
ペーターゼンフィルム社 (ぺーたーぜんふぃるむしゃ)
ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットが社長を務める映画会社。本社ビルは地下1階、地上5階建てで、最上階がポンポネットの事務所兼私室となっている。大勢のスタッフがいるが、中でもジーン・フィニは、「社会に居場所のない追い詰められた目をしている」という理由で、ポンポネットに才能を期待されていた。
その他キーワード
MARINE (まりーん)
ミスティアがヒロインを演じるB級映画。ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットがプロデュースし、コルベット監督が指揮を執った。豪華クルーザー上で行われるミスコンテストの最中、遺伝子操作された巨大タコやロブスターに襲われたヒロインが、銃火器で応戦する姿を描くアクション作品。露骨にエロとまではいかないが、それなりのお色気シーンが見せ場となっている。
MEISTER (まいすたー)
ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットが、初めてナタリー・ウッドワードと出会った時に、彼の頭に浮かんだシーンを再現するため、製作した映画。そのため、ナタリーをヒロインの「リリー」として当て書きした脚本となっている。ジーン・フィニが初監督として抜擢され、主人公の「ダルベール」はマーティン・ブラドックが10年ぶりの主演という事で注目を浴びた。 失意の天才指揮者、ダルベールが、アルプスの山荘で休養を取りながら、ガイドを買って出た少女のリリーとの交流の中で初めて自然の美しさを肌で感じ、音楽への熱情を再び取り戻していくヒューマンドラマ。ニャカデミー賞で作品賞、新人監督賞、主演男優賞、新人女優賞、脚本賞を獲得した。
マックスストーム2
ウェズ・G・マクティアナンがプロデュースした、派手なアクションシーンが連発する勧善懲悪の冒険活劇の続編。前任監督が撮影直前で降板したため、代わりにジーン・フィニが抜擢された。しかしジーン自身は、この作品を大衆向けではあるが、刺激が強いだけで深みもなにもない作品と考えており、自分の作品として世に出す事に抵抗感を覚えた。 そこでジーンは、完成フィルムデータをすべて削除、ディスクも破壊した。その尻拭いのため、ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットとコルベット監督が徹夜でデータを作り直し、事なきを得た。主人公をレオン・ポールウェイド、ヒロインをクリスティア・ロックウェルが演じている。
LOVE・Begets・LOVE (らぶびげっつらぶ)
ペーターゼンフィルム社をクビになったジーン・フィニが、ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼン宅で名作の脚本に触れ、自らも脚本から書きたいと考えて製作した映画。両親の離婚によって離ればなれになった事で心に傷を負った姉妹が、幼い頃からの夢だったケーキショップを開店させ、互いに支え合いながら心を癒やし、本来の笑顔を取り戻していく姿を描くヒューマンドラマ。 妹の「ナターシャ」をナタリー・ウッドワード、姉の「ミシェル」をミスティアが演じている。またミスティアは、この作品でプロデューサー補佐も務めている。
Lunch Waggon (らんちわごん)
ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットがジーン・フィニの勝手な振る舞いに腹を立て、ジーンのプライドを折るために製作した映画。ヒロイン「ブリジット」に抜擢されたフランチェスカ・マッツェンティーニが働くダイナーをそのままロケ地に使用し、ユーゲン・マイルスジャックも出演している。ダイナーにやって来る客と従業員達のおとぼけギャグが目白押しながらも、ブリジットの成長物語としても退屈させないシチュエーションコメディ作品。 邦題として「恋人たちのクランクイン」というタイトルが付けられている。
Laugh and be FAT (らふ あんど びー ふぁっと)
ジーン・フィニとジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼンがコンビを組んで撮影に臨んだ映画。マーティン・ブラドックが主演を務めている。かつて街の裏側を統治していたマフィアのボス「マルコッチ」とその仲間たちが年を経て、穏やかに暮らしている街に無法なストリートギャングがやって来る。麻薬と暴力で支配しようとするストリートギャングたちに対し、老いたマルコッチたちは自分たちの素性を誰にも知らせることなく、戦いを仕掛けるというシンプルな娯楽作品。しかし、ジーンがジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットと共に「フルールドリスの文学サロン」の脚本作業を進める中で、同時撮影していた「Laugh and be FAT」の脚本に満足できずに、撮影が進んでいたにもかかわらず、すべてお蔵入りにしてしまう。
フルールドリスの文学サロン (ふるーるどりすのぶんがくさろん)
ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットがマズルカ・クシジャノフスカを映画業界に引き込むために制作した映画。監督はジーン・フィニ、企画はフランチェスカ・マッツェンティーニ、脚本はマーリン・ユーチノフ、撮影をマズルカが務めている。また、主演はミスティアとナタリー・ウッドワードが務めている。名門女学園の文芸部に所属する「アイリス」とその仲間たちが、女性が教養を身につけることに不寛容だった時代に大貴族の令嬢である「ホーリー・ボードウィン・フルールドリス」の残した功績に感銘を受け、大人たちと対立しながらも浮浪児たちのために、勉強会を続けるヒューマンドラマとなっている。
Clip (くりっぷ)
「Laugh and be FAT」に代わってジーン・フィニが企画した映画。ユーゲン・マイルスジャックが主演を務めている。「奴(チャップ)」と呼ばれる、本名も年齢も家族も不明の男が、支配者層の人間を殺害しながら自らの存在意義に悩み、対等願望に苦しみながら生きる姿を描いたクライムムービーとなっている。「Clip」の撮影時、マーティン・ブラドックなどの大物俳優を端役として消費し続けることから現場では不満の声が上がっていたが、すべてジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼンの無言の圧力によって黙殺された。
関連
映画大好きフランちゃん NYALLYWOOD STUDIOS SERIES (えいがだいすきふらんちゃん にゃりうっど すたじおす しりーず)
杉谷庄吾の『映画大好きポンポさん』のスピンオフ作品。このシリーズでは著者名として、別のペンネームである【人間プラモ】も並記している。女優を志望する少女のフランチェスカ・マッツェンティーニは、天才映画プ... 関連ページ:映画大好きフランちゃん NYALLYWOOD STUDIOS SERIES
映画大好きポンポさん the Omnibus (えいがだいすきぽんぽさん ざ おむにばす)
杉谷庄吾【人間プラモ】の『映画大好きポンポさん』の本編に収まらなかったエピソードを集めた短編集。だらだらダイナー編ではジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネットを中心に、ダイナーで映画製作に関係する少女... 関連ページ:映画大好きポンポさん the Omnibus