『異世界美少女受肉おじさんと』親友に恋のアプローチ!?　金髪碧眼美少女の元アラサー男×そのイケメンな親友！0 Pt.

平凡なサラリーマンの橘日向には、神宮寺司という幼なじみの親友がいた。子供のころからいつも一緒のふたりだが、身長・ルックス・能力のすべてにおいて平均点な橘に比べて、神宮寺は高身長のイケメンで何をやらせてもうまくこなす。神宮寺に対する密かなコンプレックスを抱きつつ、橘は非モテの日々を脱するために神宮寺とともに何度も合コンに足を運んでした。そんなある日、橘はいきなり現れた女神の力で神宮寺とともにどこともしれぬ異世界へ飛ばされてしまった。見知らぬ森の中で目を覚ました橘は、自分の体の異変に気づく。「なんで俺が俺のまま、まるで思い描いた理想の女子に!?」。橘は愛の女神による願望を叶える力で、理想の金髪低身長ロリ少女の姿に変えられてしまっていたのだ。さらに隣にいた神宮寺に目をやると、彼のことが無性に格好良く感じられる。愛の女神は、橘に「神宮寺を好きになる」という恋の呪いもかけていったからだ。「最悪で最低な呪いを残しやがって…！」と憤る橘だが、時すでに遅し。ここから美少女に転生したアラサー男による、望まぬ恋のアプローチが始まってしまうことになる。

非モテの橘とは違い、文武両道で頭脳明晰な神宮寺は、子供の頃から数多の女性に好意を寄せられていた。そうして女性の醜い部分をたくさん見てきたことで、すっかり女性不信に陥ってしまう。そんな中、親友の橘だけは神宮寺の心に安らぎを与えるオアシスのような存在だった。だが女神の力により、橘は美少女に変身。そんな彼（彼女）を見た神宮寺は、絶望のあまり嘔吐してしまう。女神は魔王の復活で危機に瀕した世界を救うため、この世界に召喚したと説明するが、神宮寺にとっては親友の橘を大嫌いな女の姿に変えられた怒りの方が勝っていた。神宮寺は「橘を元に戻さん限り話は聞かん！」と涙ながらに訴えるが、その命令口調が女神の逆鱗に触れ、「この世界を救いたくなる呪いを授けよう」と宣告される。そうして異世界で目が覚めた神宮寺は、女体化した橘を目にしたときに得体のしれない感情がこみあげてくるのを感じてしまう。その感情こそが、魔王を倒さない限り解けない「恋の呪い」だったのだ。生まれて初めて女性に心ときめかせる神宮寺だが、橘が親友であるという事実は揺るがない。橘との友情を守るため、神宮寺は女神の思惑通りに魔王を倒そうと決意する。

魔王を倒すため旅にでたふたりだったが、女神が橘に与えたチート能力は “愛の女神の呪い”だけではなかった。共に付与された“絶世の美貌”と“トラブルメーカー”というパッシブスキルにより、神宮寺以外の男たちも皆橘に心をときめかせてしまうことが判明する。
謎の魔獣に襲われるというトラブルに遭いながらも、無事に人の住む集落にたどり着く橘と神宮寺。しかし彼らが集落に足を踏み入れた途端、そこは野盗の襲撃を受ける阿鼻叫喚の戦場に変わってしまう。橘が持つ“トラブルメーカー”のスキルが発動してしまったからだ。そうとは知らず呑気に集落に入った橘は、野盗のひとりと遭遇してしまう。絶体絶命のピンチかと思いきや、彼は橘の手を取り「結婚しよう。君のためなら賊もやめよう」と唐突なプロポーズ。驚く橘をさらって走り出す男だったが、そこに現れた別の野盗も橘にプロポーズ。そのまま彼らは決闘をはじめ、ついには多数の男たちによる橘の争奪戦が繰り広げられる。こうして橘の魔性に惑わされた賊は同士討ちで壊滅に追い込まれてしまった。結果的に助かった形になった橘だったが、「おまえが女嫌いになる気持ち少しわかった…」と神宮寺に告げるのだった。

“理想の肉体”のパッシブスキルを授かった神宮寺は、向かうところ敵なしの強靭な肉体を手に入れていた。しかし、そんな彼の大きな弱点はやはり橘。旅の初めには、橘のあざとい上目遣いにもちょっとした冗談を交えて受け流す余裕を見せていたが、次第に橘との結婚を妄想するほど恋の病は悪化していく。
集落を襲った野盗たちのアジトに潜入する直前、偶然目にした橘の胸元が忘れられない神宮寺の頭上に、突如「♡魅了」のマークが出現。少女に興味はないと言い訳を始める神宮寺だったが段々と言うことがおかしくなり、ついには橘の手を取って「おまえは俺の太陽だ」とおよそ彼らしからぬ言葉を口走る。驚愕した橘のビンタでひとまず「魅了」から脱した神宮寺だが、その後も酔っ払ってパンツ丸見えの橘を見ては魅了され、ブカブカのシャツを着る橘を見ては魅了され、そのたびに決して魅了されまいと苦心するはめに。神宮寺は橘にハートを掴まれながらも、男の友情を守る努力を強いられるのだった。

出会うものみな魅了される美少女ボディを手に入れたというのに、神宮寺だけは橘のかわいさを認めてくれない。橘の胸中には、いつしかそんな不満が燻っていた。
愛の女神を祀る王都イシュルナに向かい、魔王を倒す勇者として迎えられたふたりは、王宮の晩餐会に参加することになる。そこで橘は神宮寺に「かわいい」と言わせるために、華麗なドレス姿をお披露目するが、逆に神宮寺からガチ説教を食らう羽目に。そんな中、王宮のメイド長として潜り込んでいた魔王軍の刺客カームは、そんな橘の不満につけこんで神宮寺への嫉妬を増幅させる精神操作魔法を行使する。魔法に支配された橘は、カームの策略で古代の国防兵器に搭乗させられ暴れだす。
女にモテて仕事もできるのにそれを自慢気に誇示することもないカッコいい神宮寺に、橘は劣等感を抱いていた。異世界に来てやっと「美貌」という武器を手に入れるが、神宮寺はそれも褒めてくれない。「俺には何もない」と妬みの感情を爆発させる橘だが、「俺はおまえがうらやましかった！」という神宮寺の本心を聞き、精神操作魔法の拘束を振りほどいて正気を取り戻す。人に弱みを見せることなく己を律して生きてきた神宮寺にとって、素直で優しく周りのみんなを笑顔にする橘はまぶしく見えていた。ふたりは和解し、一件落着と思いきや、今度は橘の頭上に「♡魅了」マークが現れてしまう。こうして、恋と友情の狭間で揺れるアラサー男たちの葛藤は新たなステージに突入するのだった。