羽鳥智世(はとりちせ)は、競売にかけられていた。時は現代、日本の何処か。幼くして母親に先立たれ、そして親族からも見捨てられ孤独な身となったチセ。15歳のチセは、すべてに絶望しこの世界から去ろうとしていた。ビルの屋上から足を踏み出そうとしたその時、不思議な男に声をかけられる。
「もし生きることを投げ出したいなら、貴女を欲しいと思う【誰か】に【貴女】を預けてみますか?」
チセは男に運命を委ね、自らを預ける【誰か】を決めるために競売にかけられることとなったのである。
彼女が孤独な身になったのには理由があった。
それは“見えざる者が見える事”。
幼い頃から人ならざる者と交流する能力を持っていたのだ。その能力故、チセは忌み嫌われ、そして捨てられる事になったのだ。
オークションにかけられるチセ。
そこに突然現れたのはヤギのようなガイコツの頭を持つ魔法使い“エリアス・エインズワース”だった……。
エリアスに連れられ、イギリスまで瞬間移動したチセは大切にもてなされる。今まで人に邪険に扱われていたチセにとって、それは初めての体験。
エリアスによると、チセの持つチカラは“夜の愛しい仔(スレイ・ベガ)”と言うもので、ヒトならざる存在を、好むとも、好まざるとも引き寄せてしまうチカラなのだ。
エリアスは言う、「君を買ったのはもちろん弟子にするためだけど、僕は君を僕のお嫁さんにするつもりでもあるんだ」と。
少女と人外のモノ。二人の関係はこの先どうなっていくのだろうか。