「洋食のねこや」を舞台に、店主と異世界から訪れる客たちとの交流を描いた一話完結のSFファンタジー系グルメ漫画。「洋食のねこや」は、店主曰く「爺さんから店を継いで10年。月曜から金曜日までは通常営業。土曜日は“特別営業”をやっている」という不思議な洋食店だ。週に1度の特別営業日には、「異世界食堂」と名前を変え、異世界から集まる客たちに料理を振る舞っている。同名のライトノベルが原作で、2017年にテレビアニメ化。
「異世界食堂」の客たちはかなりの個性派ぞろい。冒険者もいれば、貴族もいるし、魔族や竜もいれば、騎士や戦士もいる。しかし、全員に共通しているのは、店主の旨い料理に魅了されていることだ。先代から店を継いだ現店主もまた、彼らの幸せな笑顔に癒されていた。先代がよく言っていた、「メシ屋の仕事は旨いメシを出し、客に旨いメシを食べてもらって気持ちよくお金を払って帰ってもらうこと」という台詞を心に刻み、腕によりをかけて絶品料理を振る舞っている。メンチカツやテリヤキチキンからお好み焼きまで、洋食以外のメニューも豊富な土曜日限定オープンの「異世界食堂」は多くの客人で大盛況だ。
シングルマザーが営む食堂を舞台に、家族の形を描いた人情グルメショート漫画。主人公・照子は、5歳の幹太と1歳の陽菜子という幼い2人の子どもを育てているシングルマザー。彼女が営む「ひなた食堂」は、木造家屋が残り下町情緒あふれる東京都墨田区の曳舟にある。メニューは「日替わり定食」のみだが、照子が心を込めて作る家庭の味が評判に。商売は徐々に軌道に乗っていく。
照子は、DV夫から逃れるために、2人の子どもを連れ、東京へ決死の覚悟でやって来る。長男・幹太は、父親から受けた虐待が原因で、心に深い傷を負い声を出せなくなっていた。食堂をオープンさせたが、最初から客が集まるわけもなく不安な日々だったが、下町人情あふれる人々との温かい交流の中で元気を取り戻す。しかし、ようやく元気を取り戻した照子たちの前に、居場所を突き止めた暴力夫が復縁を迫って上京してくる。その時、照子が下した決断とは?グルメ漫画として楽しめるだけでなく、家族についても考えさせられる作品だ。
女性おひとり客が多い食堂が舞台のグルメコメディ漫画。食堂「せいちゃん」の店主・誠一郎には、料理人の他に、ロックバンドの人気ギタリストというもう一つの顔がある。ライブでは超ハードなパフォーマンスを見せているが、彼の素顔は、惚れっぽいのにネクラで人見知りな超奥手男子。そんな誠一郎の元に、癒しと美味しい料理を求めて、今日も女性おひとり客がやって来る。
一見すると、「食堂の店主」と「人気ギタリスト」の両方をこなすのはかなり難しそうだ。しかし、バンド活動で全国を飛び回る誠一郎は、色々な土地を訪れることで珍しい食材をゲットし、店のメニューに積極的に取り入れている。カウンター7席しかない食堂「せいちゃん」には、悩みを抱えた女性のおひとり客も多くやって来る。彼女たちは、女子力の高い誠一郎が作る料理に満たされると同時に、彼の少しトボけていて不思議な和みをもたらすもてなしに癒される。食べて元気になれる食堂「せいちゃん」ならば、毎日でも通いたいと思う人も多いだろう。
新宿の路地裏にある小さなめし屋を舞台に、人間模様を描いたグルメ人情漫画。めし屋の営業時間は深夜12時から朝の7時頃まで。常連客から「深夜食堂」と呼ばれている。メニューは、ビール、日本酒、焼酎と豚汁定食のみ。しかし、材料さえ揃えば客が頼んだ料理を何でも作ってくれる。夜も更けていく中で、マスターと客たちが交流する様子が綴られていく。2009年にテレビドラマ化され、2015年には劇場版も公開された。
左目に傷跡のあるマスターは、名前も素性も一切不明で寡黙な男。一方の客も、新宿という土地柄か、サラリーマンだけではなく、ゲイ歴48年のベテランママや看板ストリッパー、AV男優、マル暴専門刑事、ヤクザの幹部など個性あふれる顔ぶれだ。強面だが料理上手で心が温かいマスターは、ここぞという時には身体を張ってでも筋を通す男。そんな男気あるマスターが待つ「深夜食堂」では、今宵も人情たっぷりなドラマが生まれているに違いない。
食堂を舞台に繰り広げられるお米ラブコメディー。男子高校生・西宮虎次郎は、両親と離れ、サッカーの特待生として、東京から秋田に転校してきたばかり。生まれつきの茶髪と人を寄せ付けない雰囲気から、サッカー部でも学校でも浮いた存在だった。ある時、部活後にお腹を空かせた虎次郎は、一軒の食堂「こまち」に入ったが、メニューには、米の銘柄名しか載っていない。実は、「こまち」は、それぞれの銘柄米に合う究極のおかずを出すという米食堂だった。
米食堂「こまち」は、祖父と女子高校生・秋田小町が切り盛りしている。メニューからお米の銘柄を選ぶと、その米に合う究極のおかずを出すという一風変わったスタイルだ。自分でおかずを選べないことに憤る虎次郎に対し、小町は「米そのものを楽しんでもらいたいから、その米に合う料理しか出さない」と一喝し、南魚沼産コシヒカリといぶりがっこを出す。そのあまりの美味しさに我を忘れて箸を動かす虎次郎だったが、翌日、さらに驚くことに。小町は、高校のクラスメイトだった。彼らの恋の行方や、料理を美味しそうに食べるシーンはもちろんのこと、色々な銘柄米の特徴や美味しい食べ方など、読みどころたっぷりな一作だ。