神々を解放する旅『くにのまほろば』56 Pt.

今から約100年ほど前、日本の領土は日本国の範囲を超えて、アジア各地に広がっていった。
日本がまだ大日本帝国と名乗っていた当時、東アジア各地へと進出していた日本人たちは、自らの神の分祀をそれらの地域へと招き、神社を建立し信仰の対象としていた。
吉川うたた『くにのまほろば』は、そんなアジアの各地に残された神々を解き放つという不思議なお話。

作成日時:2016-07-21 14:00 執筆者:マンガペディア公式

『くにのまほろば』とは

東南アジアのとある国。そこを訪れる不思議な青年、水森陸(みずのもりりく)。彼には不思議な力があった。
それは目には見えないモノが見えること。その身に龍神の力を宿している彼には、ある使命がある。
それは、
アジア各地に根付き、取り残されている神々を解放すること。
見えないモノが見えるという力を使って、アジアのジャングルの奥深くに取り残された数多くの日本式の神社を探し出し、そこに祀られている神々を解放することが彼に課せられた使命なのだ。

ある日陸が訪れた村、そこには大きな力を持つ神が祀られていた。不思議な力によって守られた異界の奥地に存在する小さな神の社。そこで陸は黒金(くろがね)という強大な力を持つ神を解き放つ。だが黒金は、日本から招かれた存在ではなく、元々現地に存在する、強い力を持つ神だったのだ。
日本の神様ではなく、現地の異国の神様を神社に祀ることは異例なこと。陸はその謎を探りながら、未だ残される多くの神社を解放していく。

Nemuki+にて連載、コミックは全2巻が発売中。完結。

摩訶不思議な設定が魅力

『くにのまほろば』は、摩訶不思議な雰囲気が魅力のマンガだ。まず舞台設定が独創的だ。
日本がまだ大日本帝国と名乗っていた時代。東アジアのほぼ全ては欧米列強の植民地となっていた。東南アジア各地を白人たちの植民地支配から解放するという大義を掲げ、多くの地へと日本人は進出。
そしてその地に広がった日本人たちが行ったのが、自分たちを守ってくれる神々を勧請すること。そして、その神々の住まいとなる神社を建立することだった。

やがて時はながれ、日本は今の日本の形へとなるが、東南アジア各地には、日本式の神の社、神社がそのまま取り残されているところがあるのだ。当然、勧請された神の分祀はそのままその場所に留まり続けている。
『くにのまほろば』では、100年程前の日本の影響をうけながら、東南アジア独自の文化とまじりあった独特の雰囲気を見事に描き出している。

このマンガを見てわかったのが、日本には妖怪がいると言われているが、東南アジアにも同じく妖怪がいるという事。
彼らは精霊(ハントゥ)と呼ばれており、奇妙奇天烈な姿形をしていて、妖怪と言った方がしっくりくるだろう。


不思議なアジアンパワースポットミステリー『くにのまほろば』で、いつもと違う不思議体験をしてみてはいかがだろうか。

◆公式サイト

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