小学3年生の主人公・千鶴の不思議な体験を描いた、全5話のオムニバス形式の少女漫画。「ちいちゃん」と呼ばれる千鶴は母親と2人暮らし。ちぃちゃんは身勝手な母親に振り回されて、寂しい思いをしていた。ある日、ちぃちゃんは取り壊しの決まった図書館で小人の家族と出会い、不思議な世界に足を踏み入れる。
本作に出てくる「図書館」は、もうすぐ取り壊される古びた私立図書館だ。その暗がりには、不思議な小人の家族が住んでいる。ちぃちゃんの担任の先生は、ちぃちゃんのことを理解せず、自分に従わせようとしていた。ちぃちゃんは小人たちと出会い、彼らから勇気をもらって先生に自分の意思を主張できるように。また、遅くまで帰ってこない母親の愛情に疑いを抱き寂しい想いをしていたが、小人たちの導きで過去の世界をのぞき見し、そこで母親が自分を確かに愛していることを知る。古びた図書館に住む小人たちが不思議の世界へと導いてくれて、ちぃちゃんの毎日を明るいものに変えてくれる、そんな優しく心温まる物語だ。
図書館をテーマに描く異世界ビブリオファンタジー漫画。アムンという小さな村に暮らす主人公シオ=フミスは本が大好きな少年。しかし、貧民街に住む耳長であるという理由で差別され、図書館の使用を禁じられている。ある日、本の都アフツァックの司書たちと出会ったことで、シオ=フミスの運命の歯車が回りだす。
本作の舞台となっている異世界では、大陸全ての本が揃っていると噂される本の都アフツァックの中央図書館が、大陸中に図書館を整備する事業を進めている。人々の尊敬を集める中央図書館の司書たちは「カフナ」と呼ばれ、書物の貸出、保管、調査、修繕など多岐にわたる仕事をしている。カフナたちは炎の精霊の「魔術書」を回収するため、シオ=フミスが住むアムンを訪れるが、その「魔術書」が原因でアムンの図書館は火事に見舞わてしまう。だが、風の魔術師の司書セドナがそれを食い止めた。本が大好きなシオ=フミスは、セドナたちとの出会いから、中央図書館の司書を目指すことを決める。図書館と魔術の世界が融合した独特の世界観が魅力の作品だ。
本好きな人々ばかりが暮らす栞ヶ浜という町を舞台にしたファンタジー漫画。栞ヶ浜へ引っ越してきた高校生の魚住遊紙(うおずみゆうし)は、あらゆる本が集まる「森」に迷い込み、「森」の番人だという不思議な少女モリと出会う。
本作に登場する「図書館」は、あらゆる本が眠る「くおんの森」。「書痴」の異名を持つ祖父の血を継いだ遊紙は、一読した本は決して忘れない特殊能力の持ち主だ。しかしそれゆえ、紙魚(しみ)という文字を食べる不思議な魚に気に入られ、からだの中に寄生されてしまう。遊紙は読んだ本の内容を紙魚に食べさせる代わりに、本の内容を実体化する不思議な能力を得た。古本屋が建ち並び、住民の誰もが本を愛する栞ヶ浜を舞台に描かれる幻想的な世界観は、本作の大きな魅力だ。本にまつわる名称や標語、伝承が数多く登場し、本好きにはたまらない本尽くしの世界を堪能することができる。
全宇宙の歴史と英知が集まる「永遠図書館」を舞台にした正統派ファンタジー漫画。主人公のメシェ・ペデルセンは、永遠図書館の上級司書である白道司書(ベルベット)を目指す女の子。本館の中央書庫塔の最下層にあるという、「世界で最初の本」を読むという夢を叶えるため、様々な人や本との出会いを通じて成長していく。
本作に登場する図書館は、空の星々から伝えられる全宇宙の歴史を記録し、収蔵するコネプルシア図書館。その膨大な記録から「永遠図書館」と呼ばれていて、管理は白道司書がしている。その役割は「焼灼(しょうしゃく)」という方法で、氷の月に集まる星々の光を記録することだ。メシェは誰よりも本を読むことが大好きだが、白道司書に必要な技術である焼灼は少し苦手だ。だが、誰よりも本を愛する気持ちが認められ、焼灼の実技試験を受ける。みごと試験に合格したメシェは、白道司書の証である金環栞(イークレフ)を手に、夢への一歩を踏みだした。独特な用語で綴られるユニークな世界観を楽しみながら、メシェの夢の行方に注目してほしい。
書と知の都市、スヴェントバイトを舞台に描かれる歴史ファンタジー漫画。この世界で唯一の図書館を擁するスヴェントバイトの騎士団隊長イグアーツと、上級司書のアーデルハイトは、その蓄えられた知識を狙う周辺諸国との果てなき戦いに身を投じていく。
本は知識であり、本を収蔵する図書館は知識の宝庫だ。そして、知識は売っても減ることのない魅力的な財産だ。本作で描かれているのは、その知識と権力をめぐる血なまぐさい紛争で、舞台は世界で唯一の図書館を擁するスヴェントバイト。人並み外れた記憶力で、図書館の生きたアーカイブとも言われるアーデルハイトは、どんな卑怯な手を使っても戦争に勝利しようとするイグアーツを軽蔑していた。しかし、実際に戦場に出てみると、紛争の種は図書館の知を元手とした自分たちの富の独占にあると気がつく。グロテスクなまでにリアルな戦闘描写とともに、図書館の知は誰のものかを考えさせる作品だ。