“家族の形”を描いた漫画
39 Pt.

シングルマザーやシングルファーザー、年の差婚、熟年離婚など、平成の時代に入ってから徐々に世の中で当たり前になりはじめた様々な家族の形や問題。それらをテーマにした話題作を紹介する。

第1話では女子高生のまゆこ、第2話ではその従妹のりえと、1話ごとに異なるキャラクターをクローズアップして物語が綴られていく、群像劇型のオムニバス作品だ。物語の中心となるのは、まゆことそのクラスメイトである、ぐっち、きゃなこ、ニーナの仲良し4人組で、全員の両親が離婚している「チーム離婚」を自称するグループ。父が「彼氏」と暮らすために母と離婚したまゆこをはじめ、彼女たちの家庭環境もなかなか複雑だ。とはいえ、彼女たち自身はその環境に大きな不満を抱くことなく、時に悩みながらも仲間との友情や、自分だけの恋を謳歌していく。不倫、浮気、同性愛など、センシティブな愛の形も交えつつ描かれる少女たちのビビッドな気持ちと、家族の関係が見どころだ。

悠々自適ともいえる、2人だけの穏やかな老後を過ごしていた熟年夫婦・武井勝と有喜子の間に降ってわいた騒動を描く、ファミリーもの作品。主人公である有喜子は、長い結婚生活の中で、何でも「おーい」の一言で済ませる寡黙な夫と、その要求を察して従う妻という、いかにも“昭和”な夫婦のあり方にずっと寂しさを感じていた。武井家の愛猫・チビがいなくなったことに加え、さらにいくつかの出来事を経て二人のすれ違いは大きくなり、ついに彼女はキャリアウーマンとして働く末娘の菜穂子に、離婚を考えていることを告白してしまう。時を重ねてもなかなか通じ合えない男女の気持ちと、社会現象としても話題になった熟年離婚を題材に、不器用な夫婦のドラマが温かな雰囲気で描かれていく。

連載スタート時に妻は28歳、夫は57歳という、四半世紀以上もの年の差を乗り越えて結婚した綾乃康治・かずえ夫妻。幸せな日常を送る年の差カップルの姿を、妻自身が描いた作品だ。互いの年齢差と、そのことが原因で生じるであろう問題に悩みつつも結婚を決意し、娘の決断に反対する父親を二人が誠意をもって説得するなど、“年の差婚”を実現するにあたって二人は大奮闘。新たな家族を築いていく様子が、妻の視点を中心に描かれていく。「親子ですか？」と尋ねられるなど、実体験を元にした“年の差夫婦あるある”もふんだんに盛り込まれ、温かなひとつの家族の姿を楽しめる作品だ。

都会暮らしの気ままな独身女性と、突然預かることになった小学生の女の子との波乱含みの共同生活を描くハートフルな物語。タイトルの「ニコニコ日記」は、主人公の小鳥遊ケイと、彼女の元に預けられた仁子（ニコ）の間で行われている交換日記のことで、彼女たちが互いに想いを伝えるための重要なアイテムだ。日記でのやり取りの中で、大女優・紫野美冬の隠し子として、母の愛を注がれることなく密かに育てられたニコの寂しさを知ったケイは、彼女に幸せな笑顔を与えるべく、母代わりとなって彼女の成長を見守っていく。ケイに想いを寄せるTV局のディレクター・高梨との恋や、美冬が決して明かさないニコの父の秘密など、様々な出来事を経て強まっていくケイとニコの絆に注目だ。