タイトルに「君」や「キミ」がある漫画特集37 Pt.

少女同士の繊細な恋を描いた『やがて君になる』が、2018年10月にテレビアニメ化。今回は『やがて君になる』にちなんで、タイトルに「君」「キミ」「黄身」など、「きみ」が入る漫画5作品をピックアップ。

少女から少女への切ない想いを綴った恋愛作品。主人公・小糸侑は、「恋」を理解できずにいた。友人たちが楽しそうに話す恋の話を聞き、それはとても幸せで素敵な「特別」な感情らしいとは思っている。けれど、男友達から告白されても、「特別」な感情は生まれなかった。それを気に病んでいた侑は、同じように恋心を理解できずにいた先輩・七海燈子と出会う。ある日、そんな燈子が「あなたを好きになりそう」と侑に告白。戸惑う侑だが、生徒会役員選挙を通じて、燈子と親しくなっていく。やがて誰の目にも「完璧」に見えている燈子の弱さを知り、彼女のそばにいたいと思うようになる。「特別」を作らない侑が好きな燈子と、燈子を「特別」だと感じ始める侑。静かに心に響くストーリーはもちろん、タイトル「やがて君になる」の意味を考える楽しみも味わえる作品だ。

ヒロイン・種田繭の父は、日本でも指折りの心臓外科医だ。繭は、父の患者で同い年の少年・垣野内逞と、幼い頃から大の仲良しだった。しかし繭は8歳のとき、父が「逞は20歳まで生きられない」と話しているのを聞いてしまう。それでも逞のことが大好きな繭と、同じように繭が大好きな逞。幼い2人は、結婚の約束をする。やがて成長した2人は、困難に直面しながらも想いを育んでいく。第53回小学館漫画賞を受賞。2009年に実写映画化された。
心臓病を抱えた垣野内逞と、彼を想い続けるヒロイン・種田繭の純愛ストーリー。タイトルの「僕」は逞、「キミ」はヒロイン・繭を指す。逞は病気を抱えながらも懸命に明るく生きる、運動好きな少年だ。そんな彼の病気を心配しつつ、真っすぐに好意を向ける少女・繭。しかし逞は、小6の夏に「20歳まで生きられない」ことを知ると、繭を避けるようになる。繭が大好きだからこそ別の人との幸せを見つけてほしい、と願ったのだ。それでも繭は、逞のことを一途に想い続ける。やがて逞も、繭と共に生きたいと思うようになっていく。だが、逞が生き延びる道は心臓移植か、極端に成功例の少ない手術しか残されていなかった。

本作は、タイトルに「黄身」を冠している。おおひなたごうが描く「食べ方」にスポットを当てたギャグ漫画だ。主人公・田宮丸二郎は、食べ方に強いこだわりを持つ男だ。そのため、恋人・長嶋みふゆだけでなく、仕事仲間ともしばしば食べ方で揉めている。しかし二郎は、自分の食べ方を相手に押し付けているのではない。どれが正解なのかと悩み、模索する心を持つがゆえに、相手と揉めてしまうのだ。タイトルにもなっている「目玉焼きの食べ方」についてもそうだ。二郎は、最初に半熟の黄身に醤油を垂らし、白身を絡めてご飯のおかずにしていた。だが、みふゆが、黄身を最後に残して単体で食べているのを見て喧嘩に。ところがその後、とあるきっかけで、二郎は今一度「目玉焼き」の食べ方について、思い直すことになる。

WEB漫画を展開する「ジャンプ+」に掲載されたコメディ漫画。本作の「キミ」はヒロイン・君子（きみこ）の「君」だ。君子はとんでもないトラブルメーカーである。「左様で」が口癖の主人公・郷里治哉は、平穏な日常を求める一般人。だが、ヒロインである君子は、その真逆を行く破天荒な女の子だ。君子は「己が良ければ全て善し」と言い切る。また彼女は、日常を脅かす存在がいて、それを倒す力を持った者がいるファンタジーのような世界が理想だと語る。そんな理想の世界を、郷里とともにつくり上げようと画策する君子。なかば無理矢理に郷里を「選ばれし者」に仕立て上げ、剣を持たせて「脅威」と闘わせようとするが…。結末は、是非その目でたしかめてほしい。

本作は当初『ノゾミとキミオ』というタイトルだったが、掲載誌の変更に伴い『ノゾ×キミ』と改められた。「ノゾ×キミ」というタイトルには、文字通り「覗き見」の意味も込められている。須賀キミオは、女子更衣室のロッカーに閉じ込められ、不本意ながら「覗き見」をしてしまった。困り果てるキミオを助けたのは、ヒロイン・小嶺ノゾミだった。その日の夜、キミオの携帯電話にノゾミからのメールが届く。メールには、秘密を守る条件が書かれていた。それは、向かい合わせになっているマンションの部屋から「お互いの姿を見せ合いっこする」というもの。学校に親しい友達がいないノゾミは、自然な自分の姿を見せられる相手が欲しかったのだ。キミオと「見せ合いっこ」するようになったノゾミは、魅力的な女の子に成長していく。ラブコメ要素が満載の心温まる物語だ。