モテ要素はここにあり！料理男子漫画オススメ５選21 Pt.

無職の男性への世間の風当たりは強い。エンと同世代の男性となれば、アラサー男子。世のアラサー男子は出世したり重要なプロジェクトを任されたりと、仕事にやりがいを感じる時期だろう。エンはそんなやりがいを、ミコの生活を整えることに見出してしまった。だが、ミコのほうは自分が限界まで働いていることもあり、本来同じように働くべきエンが家でゴロゴロしていることに複雑な気持ちを抱く。家事が雑だったらミコの言い分もさもありなんと共感できるところもあっただろう。しかし、エンの主夫レベルはかなり高い。作中でミコが出した無理な料理の注文を短時間で全て叶え、ついでに疲労回復用の果物まで用意してくれる。なんてできた主夫だ。日常生活に腑に落ちないという感情を抱えながらも、食事が美味しく気遣いを感じられれば許せてしまうものだ。だからミコはエンとの同棲生活を解消しないのだろう。互いに必要不可欠で、欠かせない存在だと思わされる。

オネエの定義は様々あり性的趣向の方向に話が持っていかれやすいが、女性語を使用することに加え、一般的に女性が好きといわれているものを愛する男性が「オネエ」とよばれることがあると、言っていいだろう。のぶ子はボーイッシュな少女だ。髪は短く、ジーパンやショートパンツなどラフで動きやすい服装をしていることが多い。そんな彼女と同棲している千代彦はカフェで働いており、かわいいものが大好き、裁縫も料理も得意なオネエ男子。家事は主に千代彦が担当しているが、のぶ子が何もできないからではない。単純に、千代彦がのぶ子のことを甘やかしたいのだろう。ありのままののぶ子を愛し甘やかすのは、同じようにのぶ子が千代彦のありのままを受け入れているからなのだろう。相思相愛なのだ。千代彦は外見が男らしいのでオネエな口調とのギャップはあるが、素直にモテるだろうなと思わされる。しかし、恋人になりたいというより、のぶ子との日常を眺めていたい。末永く幸せでいてほしい。

料理は一朝一夕では身につかず、日々の積み重ねの上に成り立っている。中には何度やっても料理が上手にならないという人もいるだろう。致し方ない。どんなことでもできる人とできない人がいる。まどかは全てを努力で何とかしてきた女性だ。料理も努力したが、なかなかうまくいかず、恋人にフラれてしまう。苦手ならば得意な人間に任せればいい、という思考の帰結は真っ当だ。派遣されてきたのは17歳の高校生、広瀬悠貴（ひろせゆうき）。笑顔が可愛く家事の腕前は完璧だが、実は毒舌で物言いはかなり辛辣だ。オブラートに包むことが美徳とされる世にあって、悠貴の歯に衣着せぬ物言いはかなりキツく感じられるだろう。しかし、はっきり言ってもらわないとわからないこともある。結果その人のためになるならば、率直な物言いも間違いではないのだ。互いに得意分野が真逆なまどかと悠貴は年齢差こそあれ良いコンビ。二人の深まる関係を見守っていきたい。

筧と矢吹のカップルの物語だが、主に料理を得意としているのは筧である。筧は物語開始当初43歳。職場では恋人と同棲していると告げているが未婚。そのため、謎めいた私生活を勘ぐられることは多いようだ。高級志向だと思われているが、将来を見越して貯蓄を欠かさないため実はかなりの倹約家。スーパーをハシゴしてお手頃な商品だけを購入していく姿は、とても理性的。多くの料理担当者が作るものを決めて買い物に来るのに対し、筧は購入した材料から献立を組み立てていく。長年作り慣れている、料理が上手な人の作り方だ。そのうえ冷蔵庫の中身も、購入した材料も一切無駄にしないあたりに性格が出ている。お金に少々うるさいのは、自分の人生を見越してのことだ。それを悲観しているわけでもなく、事実をありのまま受け止めて将来を考えている。あまり考えすぎると引かれるが、矢吹が大らかな分バランスが取れているのだろう。互いが補い合って生きている。

綾は食べることが好きな女子である。体形を理由にフラれているが、必要以上に太っているわけではない。細すぎず太すぎない、健康そのものの体形である。二の腕がぷにっとしていたくらいで太いとは笑止千万、そんな彼氏とは別れて正解だと憤慨してしまいそうだが、後に先輩と出会うためだったのだと言い聞かせることで心を落ち着けよう。先輩、ハルは家事全般が得意な高校生男子である。働き者ではあるが慣れておらず知識に乏しい綾を的確にサポートする。そして、ご褒美と称して様々な料理を出してくるのだ。特にお菓子類が得意らしく、ゼリーやムース、パウンドケーキなどが登場。ジャムも手作りするというのは相当だろう。漬物のつけ方でご近所のマダムと情報交換をするあたり、料理は日常の中にあることが窺える。綾は最初、容姿に惹かれ、次いで料理で胃袋を掴まれた。しかし、本当に恋したのは心に響く言葉があったからである。最終的に人の心を掴むのは、相手を想う真心だ。