水晶玉によって未来を見通す占い師の女性と、彼女に恋をした中学生の少年による恋の攻防を描く占いラブコメディ。占内晶子(うらないしょうこ)は、水晶玉によって未来を見通す凄腕占い師。彼女が水晶玉に手をかざせば、必ずその未来を見ることができる。ある日晶子のもとに、男子中学生がやってきた。彼は好きな人との恋が成就するか占ってほしいという。水晶玉を見ると、彼が恋しているのは晶子自身であることが判明する。晶子は嘘の占い結果を伝え、恋を諦めるように誘導しようとする。
占い師といえば水晶玉に手をかざしている姿が思い浮かぶだろう。晶子はそのイメージ通り、水晶玉を使う占い師だ。フード付きのローブのようなものを羽織っているところからも、どこか神秘的な雰囲気が漂っている。彼女が手をかざせば、水晶玉はその未来を映し出すのだが、その的中率はなんと100%。必ずその未来が訪れることを意味している。腕の良い占い師である彼女のもとに、中学生の少年が訪れる。彼は、自分が恋をしている相手が晶子であることを承知で、彼女自身に恋の行方がどうなるかをたずねる。だが晶子はなんとか彼が諦めるよう、頭を巡らせる。占い師と客、成人女性と男子中学生。二人の関係がどうなるのか、目が離せない。
占い師の家系に生まれた三姉妹の仕事や恋、成長を描いていく占いホームコメディ。宝阿弥星魅(ほうあみほしみ)は占い嫌いの女子高生。放課後友人に強引に誘われ、占いの館「ジプシー・ハウス」を訪れる。占い師の女性は星魅を一目見るなり、何も聞かずに名前や悩み、下着の色まで言い当ててしまう。実は、占い師はひとつ上の姉の刻魅(ときみ)だった。長女の瞳魅(ひとみ)も有名占い師である宝阿弥家は占い一家。末妹である星魅も占い師になるように言われているが激しく拒絶しており、頑なに大学進学を希望しているのだった。
宝阿弥家は代々占いを生業としている。特に祖父は稀代の霊能力者と言われ、政治家や企業家など様々な客の問題を解決し、昭和史の陰にその人ありとまで言われた人物なのだとか。瞳魅と刻魅はすでに占い師として仕事をこなしており、館には学生からサラリーマンまで様々な人が訪れる。ひっきりなしとは言わないが、三姉妹が生活するのには十分な費用を稼いでいるのだから、盛況と言っても良いだろう。瞳魅は雑誌の占いコーナーを複数担当しているらしく、まさしく売れっ子である。占い方法はひとつだけではなく、例えば瞳魅は水晶玉も使うし、タロットカードも使う。刻魅は筮竹や石を使っており、占いのバリエーションは豊富だ。姉妹にとって占いとは特別なものであり、生活に根差したものでもあるのだろう。未来が見えても努力なしでは幸せは舞い込んでこない。幸せを維持するには、瞳魅のようにごみ捨ての方角にもこだわるくらいの姿勢が求められるようだ。
四ツ辻で占いをしている男と、未来を見る力をもった少年が、様々な人の人生に触れていくオカルトオムニバス。閑(しずか)は古書店を営みながら、辻で占いをしている。ある日の夕方、閑が占いに出かけるため、一緒に暮らしている未信(みのぶ)が店番を引き受けることになった。そこへ女性が訪ねてくる。本を探しているわけではなく、うちに遊びに来てくださいと手を引く女性。未信は闇に囚われ、気が付くとどこか部屋の中にいた。その頃閑は辻で占いをしていた。そこへ、酒に酔った市長がやってきて、閑は市長に明日西に凶運があると告げる。
様々な占いのスタイルがあるが、日本式の占いスタイルというと、やはり着物姿で帽子をかぶり、筮竹を振っている姿が目に浮かぶ。ちなみにあの帽子は茶人帽、利休帽などというらしい。閑はそんな、古典的な占い師スタイルをしている。占い方法は筮竹を主に使用しているようだが、重要なのは道具ではなく場所だ。閑は辻占(つじうら)をしているのである。辻占とは閑のように道端で占いをひらいている人のことをいうのではなく、古くからある占いの方法だ。夕方に辻(交差路)に立ち、行き交う人の言葉を宣託とし、占う。道はここではないどこかに繋がっていると考えられており、日本だけでなく西洋でも悪魔を呼ぶ儀式に使われたりする。閑は辻に立ち、行き交う様々な事象を静かに見つめ、人々の心の澱(おり)を取り除いていくのだ。泰然とし、どこか現世とは隔絶したところのある閑が立ち続ける辻は、過去現在未来、全てを映し出す。辻の真ん中は、まさしく運命の分かれ道なのだ。
占いを提供するカフェを舞台に、少女たちの悩みを占いで解決していくハートフルストーリー。高校一年生の地坂千広(ちさかちひろ)は転校してきたばかり。何度も転校してきたせいか、どこででも親しい友人を作ることができず、今度こそと思ってはいたものの、後ろ向きな思考が邪魔をして行動を起こせずにいた。ある雨の日、気落ちしながら歩いていた千広は、カフェに寄り道をする。そこは、占いを提供しているカフェだった。高校生だという店員の文目綾太朗(あやめりょうたろう)にすすめられ、千広は占いをしてもらうことになる。
ネイチャーフォーチュンカフェは、こだわりの茶葉で淹れるミルクティーと本格的なフードメニュー、そして占いが売りである。コンセプトは一杯の紅茶を注文するように、占いを気軽にできる店であるということ。注文時に占いをお願いすれば、イケメン店員が客を占ってくれる。占い方法は、店名にもなっている「ネイチャーフォーチュン」というものだ。算命学に基づいた占いで、生年月日をもとに自然界にある10の要素(エレメント)に当てはめていく。その人の持って生まれた性格や運勢を占っていくのだ。千広は自身の性格とエレメントの性質は大きく異なるという印象を受けた。しかし、店員たちにアドバイスを受け、クラスに馴染もうと一歩踏み出した後は、穏やかな性質で誰とでも馴染んでいっているように見える。占いはその人の運命を決定づけるものではなく、少しだけ背中を押すためにあるものなのだろう。美味しい紅茶とともに、一歩踏み出す勇気を分けてもらえる場所である。
女性の占い師が住む町を舞台に、占い師を目指す少女たちの日々を描いたガールズ青春ストーリー。女性の占い師「占(うらら)」が治めている迷路町。占いを生業とする女性を中心に、様々な人々が生活していた。千矢(ちや)は五殿山という山の奥地で、動物たちと暮らしてきた。15歳になったことから、育ての親から手紙をもらい、山を下りて迷路町で暮らすことになる。迷路町にやってきた千矢だったが、動物たちが付いてきてしまい、飲食店でトラブルを起こしてしまうのだった。2017年1月から3月にかけてテレビアニメ化。
和風とも中華風ともとれる、どこかレトロな街並みが広がる迷路町は占い師たちの町である。占(うらら)と呼ばれる占い師たちは、全て女性。15歳以上の女性しか就業することができず、国中の女性のあこがれの職業なのだ。一番占いから十番占いまで存在し、十番から八番までは見習い、七番から一人で仕事をすることができ、五番から自分の店や弟子を持つことが許される。番を上げていくためには試験に合格していく必要があるのだが、システムがしっかりと作られていることが分かるだろう。占いが町を支える根幹になっているのである。神様の力を借りて占いを行うため、占たちは占い師というよりも神職に近い印象を受けるだろう。彼女たちは一緒に暮らしながら、切磋琢磨して占を目指している。少女たちの占いの技術と絆が町を作っていく、迷路町はそんな町だ。