リワールド・フロンティア@COMIC

リワールド・フロンティア@COMIC

国広仙戯の小説『リワールド・フロンティア』のコミカライズ作品。仲間ができず一人ぼっちで探検を続けていた少年ラグディスハルトが、ハヌムーン・ヴァイキリルという少女との出会いをきっかけに、探検者として大きく羽ばたいていく姿を描くダンジョンファンタジー。コミックスには国広仙戯の書き下ろし小説も収録されている。

正式名称
リワールド・フロンティア@COMIC
ふりがな
りわーるどふろんてぃああっとこみっく
原作者
国広 仙戯
漫画
ジャンル
アドベンチャー
 
ファンタジー
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

探検者の少年ラグディスハルトは共に戦う仲間が欲しいと思いつつも、不人気な支援術士であるためにほかの探索者たちから敬遠され、どこのパーティーにも入れずにいた。今日もすべてのパーティーから門前払いを食らい、意気消沈したラグディスハルトは、玉砕覚悟で一人の少女に声を掛ける。「ハム」と名乗ったその少女は探検者になったばかりの初心者で、右も左もわからない状態にあり、声を掛けてきたラグディスハルトの提案に、渡りに船とパーティーを組むことを決意。ラグディスハルトは、初心者とは思えないほど不遜な態度を取るハムを不審に思いつつも、何も知らない彼女に一つ一つ丁寧に説明しながら、月の塔へと挑む。探検を始めたハムはラグディスハルトの戦いぶりを見て、自分も参戦するが、その力は初心者とは思えないほど圧倒的なものだった。破壊不可能といわれる塔の外壁すら破壊したハムの力を見て、ラグディスハルトは冗談まじりに現人神の単語を出すが、実は本物の現人神であったハムは正体が見破られたと誤解し、ラグディスハルトを糾弾する。正体を秘密にしたいハムは、ラグディスハルトに友人となることを提案。ラグディスハルトは喜んでこれを受け入れ、二人は初めての友達ができたことを喜び合う。そしてハムは、自らの本当の名前が「ハヌムーン・ヴァイキリル」であることを明かすのだった。

第2巻

ラグディスハルトハヌムーン・ヴァイキリルは晴れて友人となったが、ハヌムーンの正体が明らかとなった際のドタバタが原因で、二人は月の塔の攻略の最前線である196階層へと迷い込んでしまう。強力なセキュリティ・ボットが徘徊する196階層であることを失念していた二人は危機に陥るが、ラグディスハルトの隠していた特技である支援術式の同時発動によってなんとかこの窮地を抜け出す。さらにそこに、ヴィクトリア・ファン・フレデリクス率いる蒼き紅炎の騎士団が現れ、彼らの危機を救う。ラグディスハルトと騎士団のあいだでちょっとしたいざこざが起きたものの、ヴィクトリアの鶴の一声で事態はおさめられ、ラグディスハルトはヴィクトリアから謝罪され、同時に彼女とネイバーになるのだった。ヴィクトリアと別れた二人は、ヴィクトリアと196階層のゲートキーパー戦を観戦しに向かう。ヴィクトリア率いる蒼き紅炎の騎士団の戦いと勝利に興奮するラグディスハルトに対し、ハヌムーンは197階層のゲートキーパー戦を提案する。無謀ともいえるたった二人でのゲートキーパー戦であったが、ラグディスハルトは己のすべてを懸けて時間を稼ぎ、そのあいだに術式を完成させたハヌムーンの攻撃でゲートキーパーを倒すことに成功。無名の二人によるゲートキーパー討伐は探検者のあいだに激震を走らせ、各方面に大きな波紋を呼ぶこととなる。

関連作品

小説

本作『リワールド・フロンティア@COMIC』は、国広仙戯の小説『リワールド・フロンティア』を原作としている。内容は本作と同じく独りぼっちの少年ラグディスハルト現人神ハヌムーン・ヴァイキリルとの出会いをきっかけにして、己の運命を大きく変えていく姿を描いたダンジョンファンタジーとなっている。原作小説は国広仙戯が「小説家になろう」に投稿していた作品で、TOブックスラノベより刊行されている。イラストは東西が担当している。

登場人物・キャラクター

ラグディスハルト

探検者の少年で、おとなしくまじめな性格をしている。年齢は16歳。黒い服を身にまとい、黒い髪を短く切りそろえている。友達が欲しいと思いつつも、不人気な支援術士であるため、専らソロで探検を続けている。その姿はほかの探検者のあいだでも有名で、ひそかに「ぼっちハンサー」の蔑称で呼ばれている。ハヌムーン・ヴァイキリルと出会い、彼女と友人となったことで、いっしょに行動するようになる。ハヌムーンからは名前の最初と最後の文字を取り、「ラト」の愛称で呼ばれる。祖父の形見の刀を武器としており、剣術スキルのランクはB+。術式を使う際に重要となる術力が10年に一人といわれるほど小さく、術式の出力が恐ろしく低い。しかし、術式の制御に関しては100年に一人といわれるほどの逸材で、違う術式を10個同時に使用できる力を持つ。これは特技のレベルを超えた特異体質の域で、ふつうの人間が同じまねをしようとしたら頭が10個必要になるといわれている。そのため、出力に左右されない支援術式を同時使用することで、己の力を最大限生かすことができると考え、支援術式を使った戦い方をしている。同時使用によって身体能力の重ね掛けができるため、支援術式の効果時間中である3分間だけなら、「最弱の支援術士」でありながら「世界最強の剣士」になることができる。

ハヌムーン・ヴァイキリル

現人神の少女。金と蒼の妖瞳(ヘクロクロミア)を持ち、美しい銀色の髪をおかっぱ頭に整えている。浮世離れした雰囲気を漂わせており、一人称は「妾」で、尊大な話し方をする。天龍の加護を受けた現人神で、極東の「天界」と呼ばれる場所で大事に育てられてきたが、自由な生活や友達にあこがれており、窮屈な天界の生活に嫌気が差して脱走。天界に最も近い浮遊島フロートライズに降臨する。たまたま見かけたCMで探検者の存在を知り、通りすがりの人から探検者が「夢と希望のある職業」で「友達を作りやすい」と聞いたことで探検者を目指すこととなる。ラグディスハルトに誘われ、いっしょに探検をするようになる。探検で初の戦闘後、ラグディスハルトに正体を見破られたとカンちがいして、うっかり自分から正体をバラしてしまう。その後、ラグディスハルトを口封じするため、「トモダチ」となることを提案し、彼と親友となる。現人神という境遇から今まで対等な友人と呼べる存在がおらず、「トモダチ」という存在を特別視しており、友達ならば自分の秘密を知られてもよいと考えている。ラグディスハルトと初めて会った際にはとっさに「ハム」と偽名を名乗っていたが、友人となって以降は彼から「ハヌ」の愛称で呼ばれるようになる。世間知らずな言動が目立つが、ラグディスハルトの特性を理解して即座に戦術に組み込むなど頭の回転そのものは速い。戦闘では天龍の力を借りた風系の術式をあやつるが、全属性中最も威力が低いといわれている風属性にもかかわらず、月の塔の外壁に穴を開けるほどの出鱈目な威力を放つことができる。

ヴィクトリア・ファン・フレデリクス

蒼き紅炎の騎士団の団長を務める女性。長く伸ばした金色の髪をポニーテールにした髪型で、若くしてトップクラスの探検者として君臨している才女。才に恵まれつつも己を律し、誰とでも分け隔てなく接する好人物で、横暴な態度を取る者は同じクラスタに所属していようと罰する自他共に厳しい性格をしている。その華々しい活躍と高潔な精神から、探検者のあいだでは圧倒的な人気を誇り、街のテレビジョンでは彼女の出演するCMが何度も放送されているため、浮遊島フロートライズでは知らぬ者がいない有名人となっている。「剣聖」と呼ばれたウィルハルトを父親に持ち、彼女も剣を使って戦うため「剣嬢」の異名を持つ。また親しい者からは「ヴィリー」の愛称で呼ばれる。特別製の特殊術式「ブレイジングフォース」を所持しており、その戦闘能力は絶大。戦闘では指揮を執りつつ自らも前線に立ち、統率が取れた集団ならではの強さを見せつける。

カレルレン・オルステッド

蒼き紅炎の騎士団の副団長を務める青年。金色の髪をオールバックに整えた偉丈夫で、冷静沈着な性格をしている。クラスタ内ではNo.2に数えられる実力者で、「氷槍」の異名を持つ。単純な戦闘能力だけではなく、組織をまとめ上げる手腕も優れており、その能力はヴィクトリア・ファン・フレデリクスからも信頼されている。

フェリシア

蒼き紅炎の騎士団に所属する女性。眼鏡を掛けたクールビューティーで、まじめで落ち着いた性格をしている。クラスタ内の事務仕事およびマネジメント業を担当し、探検者のトレーディングカード「EXF」関連の仕事にもかかわっている。ウィザードタイプの探検者で、戦闘では術式による砲撃を担当する。仕事でも戦闘でもスキのない才媛としての一面を見せるが、実は甘党で、スイーツ店巡りを趣味とする。

イェリ

女性限定パーティー「白百合(ホワイト・リリィ)」のリーダーを務める少女。髪をショートカットに整えており、勝ち気な雰囲気を漂わせている。誰に対してもはっきりとした物言いをするために人当たりが強いが、仲間に対しては甘い面を見せる情に厚い性格をしている。女性しかいないパーティーのリーダーを務めているため、下心のある男性を警戒しており、ラグディスハルトにも辛らつな態度で接した。またスカート派であるため、スカートがめくれるからと風系の術式を嫌っており、パーティーには風使いを入れない方針を立てている。

シアナ

女性限定パーティー「白百合(ホワイト・リリィ)」に所属する少女。眼鏡を掛け、ベレー帽をかぶっている。内気でおとなしい性格で、男性が大の苦手。ヴィクトリア・ファン・フレデリクスのファンで、探検者のトレーディングカード「EXF」に彼女のカードが存在するため、現在はEXFにはまっている。探検者となったばかりのハヌムーン・ヴァイキリルを勧誘するものの、彼女が風使いと知った際にはパーティーの方針から泣く泣く彼女の勧誘をあきらめている。

集団・組織

蒼き紅炎の騎士団 (のーぶる ぷろみねんす ないつ)

ヴィクトリア・ファン・フレデリクスが率いるクラスタ。クラスタの古い呼び名の一つである「ナイツ(騎士団)」を冠する組織で、団長のヴィクトリアの方針で単なる探検者の集団ではなく、騎士道精神を持った騎士団を目指したクラスタとなっている。クラスタの中では比較的新しいクラスタだが、ヴィクトリアのカリスマ性と華々しい活躍から躍進を続けており、新進気鋭のクラスタとして注目されている。メディアにも多数出演しているため、探検者だけではなく一般人にも有名なクラスタとなっている。「NPK」の略称で呼ばれることも多い。

場所

月の塔 (るなてぃっくばべる)

浮遊島フロートライズの真ん中に存在する遺跡。言い伝えでは月まで延びているとされるほどの巨大な塔で、古代の人々がセキュリティシステムを起動して以降は、「終末戦争」で多くの記録が失われたこともあり、その全貌を知る者はいない。月の塔の直径は1キロで、1フロアの面積は0.75平方キロ。塔の構成物質は現代では再現不可能な「柔らかくて強い金属」で、この金属はあらゆるゆがみや衝撃を吸収してしまう特性を持つ。このため塔の破壊はおろか、傷を付けることさえ至難の業となっている。謎多き塔であるため、現代において一部では塔を神聖視する者もおり、塔を崇める宗教団体も存在する。塔にはセキュリティ・ボットが徘徊し、探検者たちはこれを打ち倒すことでコンポーネントを得ている。塔は上層になればなるほど出現するセキュリティ・ボットは強くなるが、その分、得られるコンポーネントも多くなる。各階層には「ゲートキーパー」と呼ばれる強力な力を持つセキュリティ・ボットが存在し、これを倒すことで新しい階層が解放される。現在は196階層までが解放されている。

その他キーワード

ストレングス

支援型の術式。「体力」という概念そのものを強化する身体強化系の術式で、筋力やスタミナ、心肺機能といった身体能力を総じて強化することができる。一度の発動につき対象の身体能力を2倍にする。最大10回までの重ね掛けも可能だが、肉体の頑強さまでは強化しないため、強化しすぎると肉体が能力についていけず自壊する恐れが存在する。そのため、肉体の頑丈さを強化するプロテクションの術式とは相性がよい。

ラピッド

支援型の術式。「速度」という概念そのものを強化する身体強化系の術式で、運動の速度や神経の伝達速度、血流の速度といった敏捷性を総じて強化することができる。一度の発動につき対象の速度を2倍にする。最大10回までの重ね掛けも可能だが、肉体の頑強さまでは強化しないため、強化しすぎると肉体が速度についていけず自壊する恐れが存在する。そのため、肉体の頑丈さを強化するプロテクションの術式とは相性がよい。

プロテクション

支援型の術式。「頑丈さ」という概念そのものを強化する身体強化系の術式で、効果範囲内であれば肉体のみならず衣類などの装備品の「頑丈さ」も強化することができる。一度の発動につき対象の頑丈さを2倍にする。最大10回までの重ね掛けも可能で、重ね掛けすればするほど効果は高くなる。ただし、あくまで強化できるのは単純な頑丈さのみで、脳震盪(しんとう)や毒、病原菌の類を防ぐことはできない。また、肉体が硬くなる性質から重くなる特性があり、重ね掛けして硬くなればなるほど、体は重くなり満足に動くことも難しくなる欠点が存在する。重くなった体は身体機能や敏捷性を強化すれば動かすことができるため、ストレングス、ラピッドの術式と相性がいい。

フォースブースト

支援型の術式。「現実改竄(かいざん)能力」という概念そのものを強化する身体強化系の術式で、現実を改竄する「術力」を大幅に引き上げることができる。主に攻撃術式、回復術式と併用して使う。一度の発動につき対象の術力を2倍にする。最大10回までの重ね掛けも可能で、最大倍率は2の10乗の1024倍。ただし、術式の威力を底上げした分、術式のフォトン・ブラッドの消耗が激しくなるというデメリットも存在する。

フレイボム

攻撃型の術式。指定した座標を中心に爆撃を引き起こす術式で、威力は発動の際に込められた術力の高さに比例する。「爆撃」とも表記される。複数のフレイボムを同時のタイミングで重ね合わせると威力が乗算で増していく「連鎖爆撃(チェーンボム)」という支援術式に似た特性を持つ。10回重ね掛けすれば2の10乗の1024倍の威力となるが、非常にタイミングがシビアで、実用には複数人の探検者の綿密なコンビネーションが必要となる。そのため探検者間では、フレイボムの連鎖爆撃を使った戦術は実用的ではないといわれている。ラグディスハルトは術式の同時発動で一人でも連鎖爆撃を狙えるため、この術式を愛用している。

カメレオンカモフラージュ

支援型の術式。隠蔽隠密系の術式で、光を透過させて対象を光学的に隠ぺいすることができる。人間の目のみならず、セキュリティ・ボットの光学センサーを誤魔化すことも可能だが、同じカメレオンカモフラージュの影響下にある者同士であれば視認は可能。また走ったり、ジャンプをしたり、武器を振り回したりなど、激しい運動をすると解除されてしまう欠点も存在する。この術式では匂いや音を消すことは不可能だが、同じ隠蔽隠密系術式には匂いを消す「タイムズフレグランス」や、音を消す「アコースティックキャンセラ」が存在する。

ブレイジングフォース

ヴィクトリア・ファン・フレデリクスの保有する特殊術式。「烈火焔奏」とも表記される。これを発動すると全身のフォトン・ブラッドから変換された蒼い炎で包まれる。この蒼い炎は攻撃や防御に使えるうえ、彼女自身が持つ特性が加わることで炎に質量を持たせ、その威力を増幅している。さらにブレイジングフォース発動中であれば、「飛剣焔舞曲(フェニックスレイブ)」「神葬剣舞極・終焔(ディヴァインエンド)」という派生術式を発動させることができる。飛剣焔舞曲は炎を身にまとわせることで飛翔を可能とし、さらに剣に炎をまとわせることで伸縮自在の攻撃を可能とする。威力、機動力を大幅に引き上げる効果があるため、非常に使い勝手のよい術式だが、その分消耗が激しいため、多用するとすぐさまフォトン・ブラッドを枯渇してしまう欠点が存在する。神葬剣舞極・終焔は炎を剣の刀身に一極集中することで威力を大幅に引き上げる術式で、効果範囲は狭くなるがその威力は絶大。ヴィクトリアにとって必殺技ともいえる術式で、強敵との戦いでとどめとして使うことが多い。

SEAL (しーる)

遺伝子に根差し、人類の進化をうながした生体コンピューターシステム。正式名称は「Skin Electronic Augment Living Integrated Circuit」で、元は肉体に寄生させる生体コンピューターだったが、現代では遺伝子レベルで肉体に一体化している。これによって現代の人間の肉体は大きく変化しており、「フォトン・ブラッド」と呼ばれる特殊な血液も流れるようになっている。フォトン・ブラッドは現実を改竄(かいざん)する力の源が含まれており、これを用いると、現実では起こり得ない超常現象を引き起こすことができる。現在はSEALにフォトン・ブラッドを効率よく使うため、「術式(アプリ)」をダウンロードして扱うのが一般的となっている。術式を発動する際に、励起したフォトン・ブラッドは光り輝くため、これが名の由来となっている。光の色はその者の血筋によって変わり、またフォトン・ブラッドに含まれる現実を改竄する力の強さ「術力」も個々人によって違う。術力の力の大きさは、そのまま術式を発動させる際のアイコンの大きさに比例する。

ネイバー

SEALを持つ者同士が連絡先を交換する行為。「隣人」「知り合い」を意味する言葉で、SEALを持つ者同士であればお互いの合意の上で握手をすると、お互いのアドレスや基本的な個人情報を交換することができる。ルーターを利用した情報交換ではないため、基本的な情報のやり取りしかできないが、ルーターを利用せずとも簡単な連絡程度なら取り合うことができるという利点も存在する。

ルーター

SEAL同士を接続する機器。探検者が術式などで仲間を援護するためには、SEALのポートを開き、SEAL同士を接続する必要があるが、セキュリティの関係上、ポートはすべて閉じられており、通常の方法では接続することができない。そのため、探検者は専用の装置であるルーターを使って共有プロトコルを作り、それを使ってポートを解放する。ルーターは一般的に四~五人程度の規模で使われることが多く、この規模の探検者集団を「パーティー」という。ただしルーターは高価なため、安価なルーターである「スイッチ」の方を使う者も多いが、スイッチは安価な分性能も低く、二人までしか接続することができない。そのため二人組の探検者は「コンビ」と呼ばれる。また、高性能なルーターであれば10人以上の人間を接続させることができ、さらにルーター同士をつなげば大規模な探検者の集団である「クラスタ」となる。

クラスタ

探検者のルーター同士をつなぎ合わせ、複数のパーティーが集まった集団。クラスタの呼称は時代によって大きく変わっており、遙か昔は「レギオン」、数世代前までは「ギルド」と呼ばれていた。ルーターの接続毎に使用可能なポートが一つずつ減ってしまううえに、大規模になればなるほど共通プロトコルの処理が重くなるが、その分、数を利用した大規模な戦闘を行うことができるようになる。特にゲートキーパーとの戦いはクラスタ単位で挑むのが常識となっている。

ギンヌンガガップ・プロトコル

SEALで使われるプロトコルの一種。物質の質量をゼロにし、情報量だけにする能力を持つ。情報量だけになった物品はSEAL内部のストレージに保管できるため、これを使って人々は多くの荷物を手ぶらで持ち運ぶことができる。特に多くの武器、防具を持ち運ぶ探検者には必須のプロトコルで、探検の際には多くの場面で活用される。ただし持ち運べるのは無機物のみで、有機物、特に植物や生物のデータ化は困難で、無理やり行おうとしてもデータが劣化することが多く、生物は大概の場合死滅してしまう。名前の由来は原初の宇宙そのものである虚無のゼロ「ギンヌンガガップ」で、これをモデルにしてこのプロトコルは開発されたとされる。

支援術士 (えんはんさー)

支援系の術式をメインに扱う者の総称。対象の身体能力を強化したり、特殊な能力を付与したり、または術式の威力を底上げしたりする術式をあやつるのを得意とし、他者のサポートに特化した能力を持つ。ただし支援型の術式は、ほぼすべてが術力の力に左右されず効果が同じなため、強い術力を持つ者ほど非効率な術式で、逆に弱い術力を持つ者ほど効率的な術式となっている。発動する際には、必ず使用者の術力の最大出力が求められるため、術力が強い者ほど燃費が悪い術式となっている。また、支援系の術式はほとんど効果時間が3分間しかなく、重ね掛けして効果を上げることは可能だが、効果時間は重ね掛けしても最初に掛けた術式の3分間だけという欠点が存在する。このように取り回しが悪いうえに、そもそも術式自体が総じて制御が簡単ではなく、発動そのものが困難なため、探検者間では扱いの難しい術式と敬遠されている。

現人神 (あらひとがみ)

神となった人の総称。「人の姿の神」「神に等しい力を持つ人」とも評され、それ故崇められ、信仰の対象として束縛されている。現人神もSEALを持ち、ルーターを使えば一般人とパーティーを組むこともできるが、基本的なフォーマットそのものが違うため、探検者の使う一般的な術式を使うと想定外の効果が出る場合がある。

探検者 (えくすぷろーらー)

遺跡を探検(エクスプロール)する職業。世界各地に存在する「遺跡(レリクス)」を探検するのを仕事とし、遺跡で手に入れたコンポーネントを売って日々の糧を得ている。コンポーネントを得るためには遺跡を徘徊するセキュリティ・ボットとの戦闘が不可避であるため、必然的に探検者は荒くれ者が多い。有名になればその活躍を讃えられて英雄のような扱いを受けるが、一方で無法者も多いために忌避されることもある、二面性を持つ職業となっている。探検者の活動にはギンヌンガガップ・プロトコルやルーター、術式といったSEALを活用するためのものが必要不可欠だが、SEALのリソースは限られているため、これを上手にやりくりすることが探検者には求められる。

コンポーネント

情報を具現化する機能を持つ装置。正式な名前は「情報具現化コンポーネント」だが、専ら略して「コンポーネント」と呼ばれる。現代の技術では再現不可能な喪失技術の一つで、遺跡を徘徊するセキュリティ・ボットはこれを利用して具現化する。コンポーネントは、現在ではさまざまな用途に転用可能な資源として扱われており、探検者はこれを回収することで日々の糧を得ている。探検者が使う術式の開発にもコンポーネントは使用されるため、探検者間では貨幣の代わりに使われることもある。そのため、コンポーネントはセキュリティ・ボットの最大の弱点であるが、破壊してしまうと再利用不可能であるため、探検者はコンポーネントを破壊せずにセキュリティ・ボットを倒す必要がある。コンポーネントは青白く光る球体のような形をしており、セキュリティ・ボットを倒したら近くにあるSEALに回収される仕組みとなっている。

クレジット

原作

国広 仙戯

キャラクター原案

東西

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