ぼ・ん・ど

ぼ・ん・ど

ひょんなことから桜井家に迎え入れられたペンギンのてんと、それにまつわる人々の交流を描いた日常ハートフルコメディ。あずまよしおの初連載作品にして代表作で、「月刊少年マガジン」1998年10月号から2007年10月号まで連載された。

正式名称
ぼ・ん・ど
ふりがな
ぼんど
作者
ジャンル
その他ギャグ・コメディ
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世界観

ペンギンをペットとして飼う、という設定の作品だが、ペンギンのてんを中心とした人々の交流関係が主なテーマとなっている。そのため、作中ではペンギンの飼い方や詳しい生態などが明かされるわけではない。

作品構成

いくつかのエピソードを除き、基本的に1話完結となっている。あとがきによれば、連続する回を含めて1話のなかでは1日におきた出来事のみが描かれており、話の中で日をまたぐことはない。なお、全108話で約1年が経過したことになっているが、エピソードが完全に時系列順に進んでいるわけではなく、前後している場合もある。そのため、夏服を着ている次の話で突然上着を羽織っていたりもする。

あらすじ

ある日、桜井鯵は珍しいものを見つけたとペンギンのはく製を持ち帰ってきた。しかしはく製であるにも関わらず、指でつつくと噛みつき、一度目を離すとポーズが変わる。なんとそのペンギンは生きていたのだ。困惑する桜井一家だったが、買ってきたからには責任を負わなければならないと飼うことを決意する。それから桜井家は、普通の家庭では経験することのない少し変わった日常を過ごすこととなる。

登場人物

本作『ぼ・ん・ど』の登場人物の名称には一定のパターンがあり、名字には樹木や花といった植物の名称が、名前には魚の名称がそれぞれ含まれている。また作中には主人公の桜井香魚を含め、芸能人をモデルとした人物が多数登場し、単行本巻末の設定資料集でもそのことについて触れられている。

単行本の装丁

各単行本の巻末には、その巻に登場した人物・キャラクターの設定資料集が掲載されている。作中に一度しか登場しない人物についても詳しく掘り下げられており、作中では語られなかった裏設定も豊富に描かれている。

登場人物・キャラクター

桜井 香魚 (さくらい あゆ)

桜井家の長女で、14歳の中学生。元気で活発だが、実は極度の運動音痴。ショートボブの髪型に、当初はあちこちにハネたアホ毛が特徴だったが、アホ毛は回を重ねていくごとになくなった。主にてんの面倒を任されており、どこに行くにも一緒にいることが多い。広末涼子をモデルにしたことがコミックス巻末の設定資料集で明かされている。

てん

はく製として桜井家にやってきて、飼われることになったペンギン。種別としてはアデリーペンギンらしい。マグロが大好物。物語当初は鳴くこともなかったが、のちに人語を理解したり、リフティングをしたりと明らかにペンギン離れした能力を見せるようになっていく。名前の由来は、はく製として飾られていた台座に「ten」と書かれたプレートがあったため。

桜井 鯵 (さくらい あじ)

桜井香魚の父親で38歳。オールバックの髪型にスクエアタイプの大きな眼鏡が特徴。基本的にのんびりした性格だが、料理や家事などに変なこだわりを持っており、香魚や桜井柳葉魚にウザがられている。家庭内での序列は最下位で、桜井鯵の意見はあまり聞き入れられないことが多い。

桜井 柳葉魚 (さくらい ししゃも)

桜井香魚の母親で32歳。肩にかかるぐらいの明るい髪をストレートボブにした髪型が特徴。家族思いの良き母親だが、編み物の腕が壊滅的なひどさで、独創的と評される。何かにのめり込むと周りが一切見えなくなる癖がある。

梨島 岩魚 (なしじま いわな)

桜井香魚の叔母で、桜井柳葉魚の妹。27歳。明るい色の髪を後ろでざっくりとまとめた髪型が特徴。肝の据わった性格をしており、豪気。可愛いものを見るとついデコピンをしてしまう困った癖がある。

梨島 𩸽 (なしじま ほっけ)

梨島岩魚の娘で、桜井香魚の従姉妹にあたる。1歳。てんに対して幼児特有の無邪気で豪快な接し方をしては周りの人間をハラハラさせている。

梨島 鰯 (なしじま いわし)

梨島岩魚の夫で、桜井香魚の叔父にあたる。31歳。研究職に従事しており、結婚当初と見た目が変わったと言われた時には「幸せ10%、ストレス3%、不摂生9%、合計22%の体脂肪が体についた」と分析するなど、何事も数値などに置き換えて考える理数系。一度見たことや聞いたこと、体験したことを絶対忘れないほど記憶力が良い。

柏木 鯰 (かしわぎ なまず)

桜井家の隣に住む初老の文筆家。当初は気難しいとして周囲から孤立気味だったが、のちにてんを通じて、主に桜井家と頻繁に近所付き合いをするようになる。数年前に妻に先立たれて以来独身。フルーツポンチが大好物。「百恵」という名前の鯉を飼っている。大竹まことをモデルにしたことがコミックス巻末の設定資料集で明かされている。

梧桐 魬 (ごとう はまち)

文芸誌「窈然」を出版している東西出版に勤める、柏木鯰の担当編集者の男性。担当して15年になるため、柏木のことならなんでも知っているつもりでいる。周囲から「仏の梧桐」と呼ばれるほど温和な性格。

桂 伊佐木 (かつら いさき)

帝都出版の編集者で、柏木鯰の担当編集者の男性。少なくとも24年前から柏木を担当しており、彼が尖った性格だった頃も知っている。当時が一番恐く、今の柏木は丸くなったと語る。作中に登場する担当編集の中では一番の古株。

葛谷 洲走 (くずたに すばしり)

帝都出版の編集者で、柏木鯰の担当編集者の男性。柏木家に集まる編集者の中では最も若く、常識をわきまえない言動が目立つ。他の編集者の例え話を参考にして柏木を殴ろうとするなど「ハチャメチャ」と評される。

青柳 魳 (あおやなぎ かます)

柏木鯰の同業者でライバルの、36歳の売れっ子作家。代表作は「女豹シリーズ」。長い黒髪を後ろに束ねた髪型に無精ひげがトレードマーク。細い目をしていつもニコニコと笑顔を絶やさず、物腰も柔らかい。しかし、飼っているペットが死んだり、てんを命の危険にさらしても態度を変えないなど、死生観が少し一般人とはズレている。 「弱肉強食」がモットー。

リーサル

青柳魳が飼っているイワトビペンギン。非常に狂暴な性格をしており、自分に向ってくるものは問答無用で攻撃する。特にてんには容赦がない。てんの友達にしてライバル。

渡瀬 こい (わたせ こい)

柏木鯰と同時に文学賞を受賞した、現役女子大生文筆家。整った容姿と物腰の柔らかさでファンも多いが、実際にはサインが欲しいと寄ってくる人たちを「俗物」と呼んだり、「ぶっちゃけ世の中にウケるのは動物もの」と断定するなど、腹に一物ある様子。

楠木 鱚 (くすのき きす)

桜井香魚の同級生。竹を割ったような明るくあっけらかんとした性格。女子バレーボール部の主将を務めており、同性の下級生から人気がある。普段は標準語で話すが、お笑いが好きで冗談を言う時や怒ると関西弁口調になる。

榊原 鰱 (さかきばら たなご)

桜井香魚の同級生。三つ編みに眼鏡をかけた文学少女。図書委員を務め、ミステリー同好会に所属している。融通のきかない真面目な性格だが、消しゴムのカスをつなげるという変な趣味を持っていたりと独特な感性を持つ。設定資料集では一目ぼれが特技であることが明かされ、常に誰かに恋をしているという。5歳上の兄がいる。

(うめ)

リサイクル屋「まつ」で働く青年。可愛いものに目がなく、業務中に捨て猫を拾ったり、てんを見かけては仕事を放棄したりして、店主の松山に迷惑をかけている。

松山 (まつやま)

リサイクル屋「まつ」を営む男性。仕事中にペンギンの着ぐるみを着た桜井香魚を目撃。その異様さから荷物を落としてしまったり、早くその場から逃げだしたい衝動に駆られる。

三輪車の少女 (さんりんしゃのしょうじょ)

三輪車に乗って遊んでいる最中にてんを見つけた少女。その可愛さに一目惚れして、「ゴンザレス」と名付けて連れ帰ろうとするが、桜井香魚に阻まれる。

柚原 鰻 (ゆずはら うなぎ)

桜井香魚と桜井鯵が訪れた寿司屋柚寿司の二代目大将。食事の最中に鯵が酔い潰れてしまい、困っている香魚に「新作研究会」と称してオリジナル寿司を振る舞う。

桐谷 (きりたに)

エステティックサロン「Goliath(ゴリアテ)」に勤める女性。懸賞で無料チケットが当たった桜井香魚とてんのエステマッサージを担当した。「Goliath」の社員であることに誇りを持っている。

てんの母 (てんのはは)

南極に住むてんの母親ペンギン。てんが誤って崖から転落した際には悲しむものの、てんの父のまた新しい子供を作ればいいという言葉に簡単に納得するなど、なかなかに非情な性格。

てんの父 (てんのちち)

南極に住むてんの父親ペンギン。てんが誤って崖から転落した際、悲しむてんの母に対してまた新しい子供を作ればいいと語るなどなかなかに非情な性格。のちに不幸な死を遂げる。

塾通いの少年 (じゅくがよいのしょうねん)

太い眉毛に丸い目の少年。塾の帰り道に公園の上空に映し出されたてんの影を見てU・F・Oと勘違い。それ以来、未確認生物との遭遇を夢見ている。本名は不明だが、テストの氏名記入欄から「~倉 かじか」と名前の一部が見て取れる。

樫村 鮫 (かしむら さめ)

来る日も来る日も張り込みを続ける刑事。なぜか一人だけ劇画調のタッチで描かれたキャラクターで、本人もハードボイルドを気取っている。しかしてんに邪魔され、子供にちょっかいを出され、近所では不審者扱いをされてしまっている。本人は通称が「トリプルボギー」だと言うが、彼をそう呼ぶ者はいない。

トゥルーマンJOE (とぅるーまんじょー)

頭まで覆う黒い全身タイツにマント、白い手袋と白いブーツを履いた出で立ちをしている。元々は全身真っ白だったが、たった一度ついた嘘のため全身が真っ黒になってしまい、白い姿に戻るために戦い続けるという設定。てんは彼の大ファンでヒーローショーにも行くほど。

イールマン

TVの特撮番組「トゥルーマンJOE」に登場する怪人。その名の通り鰻の怪人の格好をしている。得意技は「エレクトリックイールビーム」。この必殺技でトゥルーマンJOEを一度は追い詰めた。

桃川 鯔 (ももかわ ぼら)

「M・A・C(桃川・アクション・クラブ)」を主宰する27歳の男性。逆立てた髪にエラの張った四角い顔が特徴。情熱的な殺陣とどんな役もこなす幅広い演技力で若手スーツアクターの憧れの的になっている。

桑田 (くわた)

「M・A・C(桃川・アクション・クラブ)」に所属する若いスーツアクターの青年。桜井香魚とてんが見に行ったヒーローショーではイールマンを演じた。設定資料集によれば、スーツアクターをしている割に運動音痴らしい。

イナちゃん

桜井香魚とてんが見に行ったヒーローショーで司会進行役を務めた22歳のお姉さん。ヒーローショーで、子供が桃川鯔の下半身の盛り上がりを指摘することを気に病んでいる。

すーちゃん

桜井香魚とてんが見に行ったヒーローショーにいた子供の一人。短く刈り上げた髪と顔中の絆創膏が特徴的な少年。メガネや松村、くーとは小学校の友人同士。何かにつけては松村をイジるガキ大将的な存在。

メガネ

桜井香魚とてんが見に行ったヒーローショーにいた子供の一人。メガネをかけた少年。すーちゃんや松村、くーとは小学校の友人同士。しゃべるとなぜか必ずメガネが光る。

松村 (まつむら)

桜井香魚とてんが見に行ったヒーローショーにいた子供の一人。太っていて気が弱く、すーちゃんやメガネにいつもからかわれてばかりいる。他の仲間から父親の所有する裏ビデオを見て鼻血を出していたことを暴露されてしまう。

くー

桜井香魚とてんが見に行ったヒーローショーにいた子供の一人。顔中に絆創膏を貼り、ヒーローショーに見に来る活発な少女。香魚に「てんが見たがっているから来た」と言われても信じず、「自分にもオタクの兄がいるから」と香魚をヒーローオタク扱いした。

柊 さより (ひいらぎ さより)

桜井柳葉魚が通う手芸教室の後輩で23歳。柳葉魚に連れられて訪れた桜井家で柘植鮪と出会う。保育士をしており、柊さよりいわく勤めている幼稚園では「あやしのさより」と呼ばれているらしい。てんをあやすためにその手腕を振るい、見事大人しくさせることに成功する。

柘植 鮪 (つげ まぐろ)

桜井鯵が勤める会社で、同じ課に所属する28歳の青年。鯵いわく「課のエース」。鯵に連れられて訪れた桜井家で柊さよりと出会う。編み物が得意というさよりに対しては毛糸アレルギーと返し、動物が好きかと問われると、昔はシーモンキー、今は食用に買ったサザエを飼っていると答えるなど、なかなか話がかみ合わない。

鱚の父親 (きすのちちおや)

桜井香魚の学校で行われたクラス対抗バレーボール大会兼父兄参観日に来た楠木鱚の父親。時折声援を飛ばしながらも、桜井鯵と2人で的外れな解説ばかりする。

杜松滝 (ねずたき)

楠木鱚が主将を務めるバレーボール部の副主将。桜井香魚の学校で行われたクラス対抗バレーボール大会では、決勝の相手チームにいた。香魚や榊原鰱の散々なプレイを見ながら、鱚に「よく決勝までこれたね」と同情する。

マープル

榊原鰱が飼っている猫。急な用事で家を空けることになった鰱一家に代わり、桜井家で面倒を見ることになった。まだ子猫にも関わらず、お手をしたり、許可が出るまでご飯を食べないなど非常に頭が良く、愛らしい。

(かつお)

桜井家の近所に住む芸術家の男性。市の依頼で音楽ホールに飾るための絵を描こうと桜井香魚にモデルを依頼する。「ぱぁ」以外の言葉を発さず、奇行を繰り返す怪しい人物だが、香魚は「鰹おじさん」と呼び、慕っている。

葵 秋刀魚 (あおい さんま)

桜井家の近所に住む写真家の卵で24歳の青年。写真コンテストに応募するため、てんにモデルを依頼した。自分の知る「写真家の心得」を実践してコミュニケーションを図るも、空回りばかりしてしまう。

ひいおじいちゃん

桜井香魚の父方の曾祖父で85歳。香魚がまだ3歳の頃に会ったきり一度も会っていなかったが、法事のために桜井家を訪れた。てんと香魚を見間違えたり、日向ぼっこをしている最中に突然倒れたりとかなり危なっかしい一方、入れ歯を外しててんをからかったりする元気もある。

粟野 鱏 (あわの えい)

桜井香魚のクラスメイト。短い髪を立たせ、メガネをかけた15歳の少年。文化祭でクラスの出し物である映画の監督を務め、そのお礼として桜井家に招かれた。

檜塚 (ひのづか)

榊原鰱が所属するミステリー同好会の部長を務める男子生徒。太い眉毛に目立つ下まつ毛、二重あごを持つ顔が特徴。テーブルに乗せた汁椀が勝手に動く現象をポルターガイストと呼んで、周囲を呆れさせる。

杉浦 (すぎうら)

交通整理をしている20歳の女性。勤務中にてんと遭遇し、仕事を忘れて遊んでしまったり、助けようとして迷惑を被る。作中ではもっぱら「杉ちゃん」と呼ばれ、名字は巻末の設定資料集で明かされた。

(かえで)

楓山女の姉。端正な顔立ちと抜群のスタイル、ドリルのように巻いた前髪を持つ妖艶な28歳の女性。海の家での支払いをゴールドカードで済ませようとしたり、一般人のことを「庶民」と呼ぶなど浮世離れしている。海水浴に来た際にてんと出会い、「ラインハルト」と名付けて可愛がる。名字は楓だが、名前は設定資料集でも明かされず、山女からはもっぱら「お姉さま」と呼ばれる。

楓 山女 (かえで やまめ)

ストレートの長い黒髪と抜群のスタイルを持つ22歳の女性。いつも楓と一緒に行動しており、姉同様少し浮世離れをした言動をするが、姉が気絶している間は「お姉さま」ではなく「姉」と呼んだり、てんを食べたいと言った姉に対して鶏肉をペンギンと偽って食べさせるなど、一定の常識はわきまえている様子。

しげまつの主人 (しげまつのしゅじん)

桜井鯵の行きつけの床屋「しげまつ」の二代目主人で50歳の男性。隠居したしげまつの先代に代わり、夫婦で床屋を営んでいる。鯵が訪れた際に「わしが切ろう」と言い張る先代を止めるが、結局は押し切られてしまった。

しげまつの先代 (しげまつのせんだい)

桜井鯵が行きつけの床屋「しげまつ」の先代主人で72歳。隠居していたはずだったが、人手が足りない店に出てきて鯵の散髪をする。散髪中、「弘法も筆の誤り」、「猿も木から落ちる」などの諺を連発するなど手元がかなり怪しい。

ブリーダー

公園でてんと戯れていた桜井鯵の前に現れた初老の男性。鯵にペットの飼い方がなっていないと語り、自分のペット「アルファ」を例に挙げつつ、ペットの躾について語る。

アルファ

ブリーダーに飼われているペットの犬。非常によく躾けられており、ブリーダーの掛け声で2本足で立ってポーズを決めるなど、非常に優秀。

メダカの母親 (めだかのははおや)

蓮沼メダカの母親。てんを連れた桜井柳葉魚と梨島𩸽を連れた梨島岩魚に話しかけてきた。息子の公園デビューがまだなので、その練習台になって欲しいと2人に頼む。腰が低く、自己紹介でも言葉が震えるほど大人しい性格だが、実は壮絶な過去を持っている。

蓮沼 メダカ (はすぬま めだか)

母親に連れられて現れた幼児。母親が桜井柳葉魚と梨島岩魚を相手に公園デビューの練習をしている間、梨島𩸽とてんを相手に遊んでいたが、砂を投げつけられたりてんで殴られたりしたため、道具を使って反撃を試みる。非常に鋭い目つきが特徴で、設定資料集によればこれは父親譲りらしい。

銀の月の常連 (ぎんのつきのじょうれん)

喫茶店「銀の月」の常連客の男性。「銀の月」の周辺に全国チェーンの喫茶店が続々出店したことに危機感を覚え、店に客を呼ぶ方法を考案して銀の月のマスターに強要する。

銀の月のマスター (ぎんのつきのますたー)

喫茶店「銀の月」のマスター。髪を七三分けにし、口髭をたくわえた恰幅のいい男性。今までコーヒー一筋の人生を歩んできたという。銀の月の常連にそそのかされ、「銀の月」に客を呼ぶためのさまざまな作戦に巻き込まれる。

萩原 鯎 (はぎわら うぐい)

桜井鯵の大学時代の同級生の男性。電器メーカーに勤めており、ペット型ロボット「ニャーボ」を持って桜井家を訪れる。ニャーボの開発が評価され、再登場時はミニフィギュア付きの食玩開発の担当者になっていた。

栗原 久絵 (くりはら くえ)

桜井家の3軒隣に住む栗原家の少女。合挽き肉を買い忘れた母親の代わりに、てんを連れて初めてのおつかいを任される。

ミノー・ヒッコリー (みのーひっこりー)

カリフォルニア大学教授で日米比較文学を研究している男性。戦後日本文学論の論文の取材をしに、柏木鯰家に訪れる。日本びいきで文学作品はもちろん、文化などにも詳しい。柏木をノーベル文学賞に推したいほどの人物と評価し、その作品内に登場するてんのことも知っている様子。ちなみに「ミノー(Minnow)」とは、英語で魚の鮠(ハヤ)を表す。

篠原 チヌ (しのはら ちぬ)

桜井香魚の住む町で雑貨・駄菓子屋「篠原商店」を営む老齢の女性。84歳。桜井鯵が小学生の頃から商店を営んでいたが、寄る年波に勝てず、店を閉める決意をした。

兼松 羽太 (かねまつ はた)

桜井鯵の小学校時代の同級生。鯵、樫本虎魚とともに三馬鹿トリオの一員だった。過去によく駄菓子の当たりを引いていたため、ばっちゃんから「ラッキーボーイのケンちゃん」と呼ばれていた。

樫本 虎魚 (かしもと おこぜ)

桜井鯵の小学校時代の同級生。鯵、兼松羽太と共に三馬鹿トリオの一員だった。建築会社に勤めており、現場監督を任されるほど優秀。仕事に対するポリシーから取引先からの信頼も厚い。

松倉 (まつくら)

榊原鰱が想いを寄せる男子生徒。サッカー部に所属しており、背番号は13番で、鰱の出席番号と同じ。好きなタイプはメガネをかけた知的な女性で、読書好きがいいと語っている。また、鰱と同じブランドのシャープペンシル、消しゴム、手提げ袋を使っていることから、「意識しているのでは?」と桜井香魚らに推測される。

月見 鮴 (つきみ ごり)

桜井香魚のクラスメイト。体育祭のクラス対抗応援合戦で応援団のリーダーを務める女生徒。応援にかなり力を入れており、他のクラスの応援合戦の情報を聞いては、それに対抗するために新しい要素を取り入れようと四苦八苦している。

藤崎 鰖 (ふじさき たかべ)

市役所で地域住民の声にすぐ応えられるよう設置された「今やる課」の職員。仕事に誇りを持っており、側溝のフタの修繕はもちろん、老人に自転車の乗り方を教えたりとなんでも精力的にこなす好青年。困っている人を見ると放っておけないと語り、てんの陳情にも耳を傾ける。

ワンワン

町内の駐車場によくいる野良犬。犬種は「シベリアンなんとか」。怪我をしていたが、てんに連れられてやってきた藤崎鰖に見つけられ無事保護された。それ以来「今やる課」のマスコットとして活躍している。

藍原 めばる (あいはら めばる)

ある商社の部長夫人で28歳。愛犬の菊水丸を連れて動物タレントオーディションに現れる。育成に全精力を傾けた菊水丸に絶対の自信を持っており、オーディション合格を目指す。

菊水丸 (きくすいまる)

藍原めばるが飼っている愛犬。犬種はパピヨン。非常に愛らしく大人しい性格。背中にはトリマーなどから「天使の羽」と呼ばれる独特の模様を持っているが、それを見た桜井柳葉魚には心霊写真の顔みたいに見えると評された。

大槻 しいら (おおつき しいら)

ギャンブル好きの29歳の青年。フリーター。ギャンブルに独自のこだわりを持っており、自分の信じるジンクスを絶対に崩さない姿勢を持つ。その経験から「ペンギンを見ると勝負に勝てない」という新たなジンクスを確立し、それを打ち破るために奮闘する。

菊川 伊良 (きくかわ いら)

客になりすまして店の採点を行なう覆面調査員(ミステリーショッパー)のアルバイトをしている34歳の女性。自称「ベテラン調査員」。覆面調査員の初心者で、一緒に調査を行う桜井柳葉魚や斉藤めじ奈に調査の仕方や基準などをレクチャーする。

斉藤 めじ奈 (さいとう めじな)

客になりすまして店の採点を行なう覆面調査員(ミステリーショッパー)のアルバイトをしている29歳の女性。調査員としては初心者で、非常に採点が甘い。その裏には家庭の事情がある。

竹林のおじさん (ちくりんのおじさん)

楠木鱚の父親の知り合い。七夕飾りを作りたいという桜井香魚たちに所有する竹林の笹を分けてくれた。周囲は開発の進んだ住宅街だが、竹林だけは周辺の学校などから七夕の時だけ需要があるため残しているという。香魚いわく「七夕の番人」。

瓜生 チカ (うりゅう ちか)

桜井香魚のいとこ。前髪をサイドに留め、額を広く出した髪型とメガネが特徴の女性。大学の入試のために上京し、桜井家に泊まることになった。実家は福岡の筑豊地方にある。なまりの強い方言でしゃべり、東京の路線図を見ては目を回すという典型的な田舎者キャラ。

カレー屋 (かれーや)

桜井鯵と柏木鯰が「柚寿司」で飲んでいる時に出会った男性。とあるきっかけで息子に食べさせたカレーが好評だったため、カレー屋を開業して営んでいる。現在は店を継ぐとばかり思っていた息子が会社員になると言いだしたことに悩んでいる。

サッカー少年 (さっかーしょうねん)

夜な夜な公園で一人サッカーの練習をしている少年。極度の緊張症に悩んでおり、誰かに見られているとガチガチになってしまうため、「フィールドの機械伯爵」という異名を持つ。最初はてんに見られていても緊張するほどだったが、隣で楽しそうに遊ぶてんを見て打ち解けていく。

蘇芳 うるか (すおう うるか)

テレビの情報を盲目的に信じてしまう困った主婦。新情報が出ると前まで信じていた物を放り出しても新しい情報に飛びつく癖がある。てんのことはよく知っており、可愛く思っているが、外来種が危険という報道を見てから徐々に疑心暗鬼にかられていく。

葦原 (あしはら)

桜井香魚たちの住む町で毎年行なわれているオリエンテーリングで、去年まで毎年参加していた人物。楠木鱚が聞くところによれば80歳を超える老齢で、毎回オリエンテーリングで出題されるクイズに全問正解していたという。その逸話から賢者と呼ばれるようになった。今年は体調不良につき不参加だった。

おでん屋の大将 (おでんやのたいしょう)

桜井鯵が立ち寄ったおでん屋の屋台を営む老人。穏やかな人物で聞き上手。仕事や日常の些細なことがうまくいかない鯵の愚痴を聞き、優しく諭す。

平政 (ひらまさ)

帝都小学校に通う小学生の男の子。川端の土手に座っていた時にてんと出会い、自身が通っていた鷺沢幼稚園の友達から教わった遊びをてんに教える。てんのことを「ペンギンさん」と呼び、優しく語りかけるなど社交的で活発な性格。

テリー

ネオ江ノ島水族館にいるペンギン。南極にいた頃のてんの親友。誤って連れてこられてしまったてんを仲間に紹介しつつ、昔話やそれぞれの今の生活の話に花を咲かせる。強いリーダーシップを持ち、周りのペンギンから厚い信頼を寄せられている。

集団・組織

オヤジーズ(仮)

桜井鯵が近所の呑み友達と結成した草野球チーム。20代中心の「ヤングマン」チームと対戦するも、メンバー不足の補充要員に桜井香魚を選んだため、散々な試合展開になり、悩まされる。

水族館の職員 (すいぞくかんのしょくいん)

青柳魳が自宅で飼っている水棲生物を手放す決心をした際に呼ばれた、水族館の職員。リーサルを含めて引き取ろうとするが、リーサルに回収を邪魔され、攻撃されて散々な目に遭う。

ひまわりーズ

桜井香魚のいとこである瓜生チカが大学で所属しているサークル。幼稚園や保育園を訪れて一緒に遊ぶのが主な活動内容。それぞれの特技を活かした遊びで子供たちに接しており、非常にあやし上手。以前に訪れた幼稚園でペンギンを連れてくると子供たちに約束したため、活動に香魚とてんを誘う。

その他キーワード

「トゥルーマンJOE」 (とぅるーまんじょー)

作中に登場する特撮ヒーローもののテレビ番組。子供らを中心に人気のある番組でデパートの屋上でヒーローショーが行なわれたり、偽物のグッズが出回ったりするほど。設定資料集によれば、「トゥルーマンJOE X」という続編があるらしいが、こちらは駄作だと不評を買っているらしい。

女豹シリーズ (おんなひょうしりーず)

柏木鯰の同業者であり、ライバルである青柳魳の代表作品。「女豹」と書いて「めひょう」ではなく、「おんなひょう」と読む。シリーズは何作も出ており、実写映画化されたり、ヒロインのフィギュア玩具が発売されるほどの人気を誇る。柏木はこの作品の大ファンで、原稿を放り出してフィギュア作りに注力するほどハマっている。

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