まるでシャボン

まるでシャボン

恋愛にトラウマを持つ連城世津子、世津子のいとこで不思議な魅力のある連城草子、そんな二人のあいだにある確執と、互いへのあこがれを丁寧に描いたヒューマンドラマ作品。世津子の思い人で、草子の婚約者の羽賀タケシの三角関係も同時に描かれる。「週刊マーガレット」1986年39号から1987年16号にかけて連載された。

正式名称
まるでシャボン
ふりがな
まるでしゃぼん
作者
ジャンル
恋愛
 
ヒューマンドラマ
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あらすじ

第1巻

連城世津子の実家は、世津子の母が学生を対象にしたアパートを経営しており、新たにいとこの連城草子が入居して来た。実は4年前、世津子が当時交際していた神島尚樹が草子に心変わりした過去があり、世津子はまるで心の古傷が痛むような感覚を覚えつつも、既に終わった事だと草子を歓迎する。草子がやって来た数日後、今度は行方不明の妹を探すために羽賀タケシが入居して来た。世津子はタケシに一目惚れし、久しぶりに恋心を募らせていく。そんな中、世津子はタケシから羽公三の個展のチケットをもらう。せっかくだからと個展を訪れた世津子は、公三がタケシの父親である事、そしてタケシと草子が婚約している事を知ってしまう。世津子の前では何の関係もないふりをするタケシと草子と共に暮らす事に疲れてしまった世津子は、一人暮らしを開始。世津子が草子から家政婦のアルバイト先を紹介されて働き始めたところ、神島が亡くなった事を知る。

第2巻

連城世津子神島尚樹が事故死した事、そして連城草子羽賀タケシと交際・同棲していたにもかかわらず、生前は神島と二人きりで度々会っていた事実を知ってしまう。世津子が草子にすべてを打ち明けてほしいと申し出ると、草子は「タケシとの交際を両親から反対されていて悩んでいた事」「神島が事故死する直前、いっしょにいたのは自分だと言う事」をカミングアウトする。神島が突然亡くなり、自分は神島とタケシのどちらが好きなのかわからなくなったと語る草子に、世津子はなにも言葉をかける事ができなかった。そんな中、神島が事故死した当時に交際していた彼女の友里が世津子、草子、タケシの前に現われる。そして友里は草子がタケシと同棲していたにもかかわらず、神島と会っていた事実を三人の前で暴露してしまう。こうして三人は離れ離れになり、世津子はタケシに思いを伝えられないまま恋が終わる。さらに草子も世津子の母が経営するアパートから出て行く事になった。最後の日の夜、世津子と草子は初めて神島の事や、これまでの経緯を本音で語り合う。

登場人物・キャラクター

連城 世津子 (れんじょう せつこ)

女子大学生で、年齢は20歳。弟に三ちゃん、いとこに連城草子がいる。周囲からは「せっちゃん」の愛称で呼ばれている。世津子の母が学生を対象にしたアパートを経営しており、連城世津子自身も入居者の世話を焼く事もある。高校時代に入居者の神島尚樹と交際していたが、神島が草子を好きになった事でふられてしまう。それから二人が同棲し始めた事実にショックを受け、長らくトラウマになっていた。しかし、行方不明の妹を探すために入居して来た羽賀タケシに久しぶりの恋心を抱く。タケシとかかわるうちに、彼が草子と婚約している事に気づき、さらにタケシは妹ではなく草子を追ってやって来た事を知って苦悩する。自身と同じような雰囲気を持つが、圧倒的に男性から好意を寄せられる草子にコンプレックスを抱いている。

連城 草子 (れんじょう そうこ)

連城世津子のいとこにあたる女性。年齢は21歳。4年ぶりに世津子と再会し、世津子の母が経営する学生向けアパートに転居して来た。家政婦のアルバイトをして収入を得ている。4年前はショートカットのボーイッシュな雰囲気の美少女だったが、再会後はロングヘアの大人の美女に変貌した。どこかミステリアスでつかみどころがない小悪魔的な性格の持ち主で、男性から好意を寄せられる事が多い。以前、世津子の恋人だった神島尚樹から告白され、同棲した過去がある。ただし連城草子本人は、世津子と神島が交際していた事実は知らなかった。その後は神島と別れ、新たに出会った羽賀タケシと同棲していたが、神島との再会と直後の死を知って自分の本心がわからなくなり、家出をする。家族と縁が薄く、楽しそうに暮らしている世津子を羨ましく感じている。食が極端に細く、麺料理などは1本ずつしか食べる事ができない。

羽賀 タケシ (はが たけし)

スーツを着た社会人の男性。世津子の母が経営する学生向けアパートに転居して来た。本来であれば学生以外は入居できないが、行方不明の妹を探すために一時的に住む事になった。しかし実際に妹はおらず、突然行方不明になった同棲中の婚約者、連城草子を追ってやって来た。草子がいなくなった理由は、元恋人の比佐子が草子に余計な事を言って疑心暗鬼になっているためだと思っている。実際は草子が元恋人の神島尚樹の死を知って、自分の気持ちがわからなくなっているためだが、羽賀タケシ自身は神島の存在も知らない。また、連城世津子から恋心を寄せられている事にも気づいていない。父親は画家の羽公三。

神島 尚樹 (かみしま なおき)

爽やかで整った顔立の男子大学生。以前、世津子の母が経営する学生向けアパートに住んでいた。連城世津子にとって初恋の相手で、交際していた。しかし連城草子に心変わりし、同棲をする事になったためにアパートから転居していった。その後、草子との交際も終了している。一連の出来事により、世津子の心に大きなトラウマを植えつけた。のちに事故死しており、最後に車に乗せていた相手は、当時羽賀タケシと交際していた草子で、神島尚樹自身にも友里という彼女がいた。

昭一 (しょういち)

連城草子がアルバイトをしていた際に出会った男子大学生。年齢は21歳。裕福な家庭に育ち、草子を家政婦として雇った家のお坊ちゃま。アルバイトをしにやって来た草子に興味を抱き、接近を試みるもののはっきりと拒絶されている。その後は本気で草子の事が好きになり、草子の方からも次第に胸の内を明かされるようになった。草子と付き合いたいと思っているが、羽賀タケシと神島尚樹の存在を知り、告白できずにいる。

友里 (ゆうり)

神島尚樹が事故死した際に、交際中だった元彼女。神島の事を忘れられず、彼の軌跡をたどっている最中に、連城世津子と連城草子の二人と知り合う。実は神島が事故死する直前に、長い髪の女性が彼の車に乗っている場面を目撃しており、世津子か草子が神島の浮気相手ではないかと疑い、真実を知りたいと行動していた。ただし浮気相手に復讐をしたいわけではなく、あくまでなにがあったのかを知りたいだけである。

比佐子 (ひさこ)

羽賀タケシの同僚で元恋人の女性。タケシとは5年ほど交際していた。その後、同僚達とタケシと連城草子が同棲している家に行き、散々嫌味を言ったあと、まだ自分はタケシと関係があると挑発する。

(はかま)

連城世津子と同じ大学に通う男性。世津子に思いを寄せており、積極的にアプローチしているものの、デリカシーに欠ける上に強引なため、あからさまに避けられている。しかし世津子の母が経営する学生向けアパートに転居しようとするなど、世津子に執着している。ただし世津子が髪の毛を切ってからは興味をなくし、あまりかかわりを持たなくなった。

世津子の母 (せつこのはは)

娘の連城世津子と息子の三ちゃんを女手一つで育てているシングルマザー。学生向けアパートを経営しており、大家兼管理人を務める。基本的に学生以外は入居を断っているが、世津子のいとこにあたる連城草子、行方不明の妹を探すためにやって来た羽賀タケシは例外的に入居を許可している。

三ちゃん (さんちゃん)

連城世津子の弟。生意気盛りの小学生。顔を合わせるとかわいがってくれていた連城草子を以前から慕っており、草子が世津子の母が経営する学生向けアパートに転居してからも懐いていた。

羽 公三 (はね こうぞう)

画家を生業とする男性。羽賀タケシの父親。ふだんは絵画に興味のない若い層からも人気が高く、袴もファンの一人。個展をすれば大盛況になるなど、世間から高い評価を得ている。タケシの婚約者の連城草子を気に入っており、たびたび絵のモデルになってもらっている。

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