あさっての方向。

あさっての方向。

早く大人になって兄を楽にしてあげたいと願う小学生の少女と、過去をやり直したいという思いに捉われている24歳の女性。真逆の願望を持つ二人の年齢が入れ替わってしまった事から起きる事件と、周囲の人々の人間模様を描く。「コミックブレイドMASAMUNE」2003年秋号から2007年初夏号にかけて掲載された作品で、2006年にTBS系列にてTVアニメ化もされている。

正式名称
あさっての方向。
ふりがな
あさってのほうこう
作者
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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登場人物・キャラクター

五百川 からだ (いおかわ からだ)

小学6年生の女の子。8歳の時に事故で両親を亡くしており、現在は兄の五百川尋と2人で暮らしている。小学校低学年に間違えられるほど小柄だが、家事全般をこなすしっかり者で、子供扱いされることを嫌う。尋のことを「ヒロ兄」と呼んで慕っているが、実は尋の叔母である葉子の娘で尋とは兄妹ではない。自身もその事実を知っており、尋に迷惑をかけているという負い目から早く大人になって兄を自由にしてあげたいと密かに思っていた。 「願い石」の力で大人の身体になり、図らずも願いが実現するが、自分が誰も知らない存在になってしまったことに気づき、とまどいと不安に襲われることになる。

五百川 尋 (いおかわ ひろ)

五百川からだの兄。海外に留学していたが、4年前に両親が事故死したため帰国。地方都市である乙事沢の研究室に就職し、近くのアパートで妹のからだと暮らすようになった。留学中に野上椒子と付き合っていたが、両親の死を理由に手紙で一方的に別れを告げたため、現在は仲がぎくしゃくしている。実は、からだの実母である葉子と一度だけ関係を持ったことがあり、からだは実の娘である可能性もあるのだが詳細は不明。 冷静なタイプで物事に動じないように見えるが、実は精神的に脆く、からだと椒子の異変に混乱しながらも2人をもとに戻す方法を探っていく。

野上 椒子 (のがみ しょうこ)

五百川尋の同僚の女性。アメリカの高校に飛び級で編入した経験を持つ俊才で、24歳という若さながら研究室の室長を任されている。留学中に尋と付き合っていたが、尋が帰国しなければならなくなったため交際を解消した。その時の後悔から過去に戻ってやり直したいという願望を抱いており、五百川からだと一緒に「願い石」に願をかけたことから小学生の姿になってしまう。 クールで知的な美女だが、少女時代はそばかすの目立つ冴えない女の子で、現在でも自分の容姿や性格に強いコンプレックスを抱いている。

網野 徹允 (あみの てつまさ)

五百川からだと同学年の男子で、通称は「テツ」。まだ小学6年生ながら身長167センチとかなり大柄で、高校生に間違われることもある。資産家にして地元の実力者である網野家の子で、どんなわがままも許されているが、そうした自分の扱いに少し反発も覚えており、姉の網野透子が住むアパートに入り浸っている。からだのことを異性として意識していて、彼女が兄である五百川尋のことをいつも気にかけているため、嫉妬から尋に対して反発しがち。

網野 透子 (あみの とうこ)

網野徹允の姉で五百川尋、五百川からだ兄妹の隣人。資産家にして地元の実力者である網野家の子だが、弟の徹允だけが大事にされ、自分はぞんざいな扱いを受け続けてきたため、当主である祖父の網野翁に反発。18歳の時に家を出てアパートで自活を始めた。網野家の後継者である徹允との扱いの差を理不尽に感じてはいるが、徹允のことは弟として大事に思っており姉弟仲は良い。

葉子 (ようこ)

五百川からだと五百川尋の母親の妹。尋の初恋の相手でもある。将来を誓い合っていた男性を早くに亡くし、悲しみと寂しさから甥である尋と関係を持ってしまい、まもなく妊娠。尋が留学した後、思い人の忘れ形見という名目でからだを生んだが、姉夫婦とともに事故死した。生前、からだは姉夫婦の子として育てられていたが、いかなる事情でそのような形になったのかは不明。

中宮 菊子 (なかみや きくこ)

正体不明の不気味な老婆で、中宮右実と中宮左枝という金髪の双子姉妹を傍らに従えている。「願い石」の効力を熟知しており、右実と左枝のどちらかを自身と年齢を入れ替える要員にして、若返ろうと目論んでいる。戦前に乙事沢を訪れた際に少年時代の網野翁と出会っており、彼に願い石の効果や入れ替わりの方法を教えた。

中宮 右実 (なかみや ゆみ)

中宮菊子に仕える金髪の双子姉妹の妹。姉の中宮左枝とともに菊子のために新たな「願い石」を探しており、菊子が若返ったら、石を見つけた方は老婆となる代わりに菊子の財産の3分の1を受け継ぐ約束をしている。歯を「願い石」でコーティングしており、噛むことで石の純度を確認することができる。また、絵本を読むのが好きで、図書館に入り浸っていたことから図書委員の笹塚と親しくなる。

中宮 左枝 (なかみや さえ)

中宮菊子に仕える金髪の双子姉妹の姉。妹の中宮右実とともに菊子のために新たな「願い石」を探しており、菊子が若返ったら、石を見つけた方は老婆となる代わりに菊子の財産の3分の1を受け継ぐ約束をしている。幼い時に足に大怪我を負い歩行が不自由だったが、現在は治っている。

網野翁 (あみのおう)

乙事沢の実力者である網野家の当主。網野徹允と網野透子の祖父だが、網野家の後継者である徹允だけを猫かわいがりしている。若い時に網野家を訪れた中宮菊子に会っており、その美しさに魅了されて網野家に伝わる「願い石」の1つを彼女に渡した。その際に菊子から石の効能を聞かされ、やがて恐ろしい考えに取り憑かれていく。

笹塚 (ささづか)

乙事沢の中学で図書委員をしている少年。中学の図書室に忍び込んで「願い石」のことを調べていた網野徹允と知り合い、彼に協力することになった。内気で口下手なため、1人で本を読んだりエッセイを書いたりするのを好んでいたが、絵本好きの中宮右実との関わりを通して少しずつ変わっていく。

太助 (たすけ)

「願い石」を祀っていた神社のある村に住んでいた少年。手妻(手品)使いの少女しづくが海に飛び込んでいるのを見かけたことから彼女と仲良くなる。しづくが元春と行っていた「願い石」を使った奇跡がインチキであることが明らかになった際、彼女が逃げる手助けをした。

しづく

「願い石」を祀っていた神社の神主である元春が連れて来た手妻(手品)使い。髪が短いので少年のように見えるが、実は女の子である。ご神体の「願い石」が奇跡を起こしているかのように見せ、元春の信者集めに一役買うが、信充に秘密を暴露されたため村人たちに追われ、「願い石」を持って海に飛び込む。

信充 (のぶみつ)

「願い石」をご神体として祀っていた2つの神社のうち、上社(かみやしろ)の神主を務める男性。下社(しもやしろ)の神主である弟の元春が、「願い石」を信者集めに利用しようとしていることに反発。元春がしづくを使って起こしている奇跡の秘密を暴こうとする。

元春 (もとはる)

「願い石」をご神体として祀っていた2つの神社のうち、下社(しもやしろ)の神主を務める男性。手妻(手品)使いのしづくを使って、「願い石」が奇跡を起こす石だと宣伝。下社に信者を集めようとしたことから、上社(かみやしろ)の神主である兄の信充と対立する。

信太 (しんた)

乙事沢の言い伝えに登場する少年。曾祖父が鹿と間違えて人を撃ってしまったため、一族は村の掟によって曽祖父、祖母、信太の母の三代に渡って追放処分とする「三代ハジキ」となっている。そのため、母親は村に入ることを許されず、山奥での生活を強いられている。四代目にあたる信太は掟の対象外とされているため、母親と離れて村で暮らしていたが、時おり母親に会うため山に入っている。 ある時、山で少年の姿をした山の神に遭遇し、母親と山の神が出会うきっかけを作ることとなった。

信太の母 (しんたのはは)

乙事沢の言い伝えに登場する女性。信太の母親だが、祖父が鹿と間違えて人を撃ってしまったため、掟によって祖父、母親、自身の三代に渡って村に入ることを禁ずる「三代ハジキ」となった。ゆえに信太と引き離され、1人で山奥の小屋で暮らしていたが、息子と一緒にいたいと思うあまり、山の神を利用して村を滅ぼそうとする。

山の神 (やまのかみ)

乙事沢の言い伝えに登場する存在。幼い少年の姿をしているが人ではなく、真冬にも関わらず冷たい食べ物を好み、身体も雪のように冷たい。そして、山の神が人里に入ると、その里には取り返しのつかないことが起きるとされている。ある時、母親を訪ねて山にやって来た信太に遭遇。一緒に信太の母の住む小屋に行くこととなった。

場所

乙事沢

五百川からだや五百川尋たちが暮らす町。「願い石」を神体として祀っていた神社の神主だった信充が、明治時代に石を持ってこの地にたどり着いたと言い伝えられている。山からも海からも近い地方都市で、網野家が地元の実力者として君臨している。

その他キーワード

願い石 (ねがいいし)

「願いを叶えてくれる石」と言い伝えられている紫紺色の小石。乙事沢にある祠にいくつも置かれており、誰でも持っていけるようになっていた。実は、願った者たちの年齢を入れ替える力があり、例えば老人と子供が一緒に願うと老人は若返って子供に、子供は年老いて老人の年齢になってしまう。そして、一度発動すると石は効果を失い、炭のようなものに変化してしまう。 なお、年齢の入れ替わりは必ず発動するものではないが、石の純度が高いほど発動確率が高くなる。

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