あさっての方向。

あさっての方向。

早く大人になって兄を楽にしてあげたいと願う小学生の少女と、過去をやり直したいという思いに捉われている24歳の女性。真逆の願望を持つ二人の年齢が入れ替わってしまった事から起きる事件と、周囲の人々の人間模様を描く。「コミックブレイドMASAMUNE」2003年秋号から2007年初夏号にかけて掲載された作品で、2006年にTBS系列にてTVアニメ化もされている。

正式名称
あさっての方向。
作者
ジャンル
ファンタジー一般
レーベル
BLADE COMICS(マッグガーデン)
巻数
全5巻
関連商品
Amazon 楽天

第1巻 

小学6年生の五百川からだは4年前に両親と死別したため、地方都市である乙事沢で兄の五百川尋と二人で暮らしていた。ある日、からだは町の祠に祀られている「願い石」の前で尋の元恋人の野上椒子と出会い、二人でいっしょに願い事をする。からだは兄の負担になっているという思いがあり、今すぐ大人になりたいと願った。椒子はまだ尋への思いに捉われていて、過去に戻してほしいと願った。それはかなう事のない願いのはずだった。ところが、からだと椒子は互いの年齢が入れ替わってしまい、からだは大人の女性に、椒子は小学生の子供の姿になってしまう。混乱しながらも、からだ達の言う事を信じた尋は椒子と共に願い石を調べに行くが、祠の石はすべて炭のようになってしまっていた。椒子は願い石に関する文献をあさり、海辺の町に別の願い石がある事を突き止める。三人はその町に向かう事にするが、尋が大人になった妹を「からだ」と呼んでいるところを、彼女に思いを寄せる少年、網野徹允に見られてしまう。

第2巻

五百川からだが大人の姿になった事を網野徹允に知られてしまったため、一行は彼を連れて、願い石があるという海辺の町に向かう。だが、願い石は町の神社のご神体で、人には見せられないという。からだは海で出会ったナンパ男に、頬にキスしてくれたら何とかしてあげると言われて了承するが、唇にキスされてしまい激しく動揺。しかも、願い石が入っているという箱は空で、調査は空振りに終わる。その夜、五百川尋を除く三人は町で行われていた祭に行くが、徹允は大人になったからだの姿に我を忘れ、思わず幼い欲望をぶつけてしまう。一方、ヤケ酒をあおって悪酔いした尋は、母親の妹で初恋の女性である葉子との事を思い出していた。尋は未亡人となった葉子と一度だけ関係を持った事があり、からだは自分の娘かもしれないと思っていた。翌日、四人は乙事沢に戻るが、からだは海辺の町での出来事が忘れられず、徹允の事を避けるようになる。事情を察した尋は、からだを連れて乙事沢を去る決意をする。徹允はようやく自分が彼女を深く傷つけてしまった事に気づいて謝りに行くが、すでにからだ達は部屋を引き払っていた。

第3巻

乙事沢を去った五百川からだ五百川尋は、誰にも知らせず別の町で新しい生活を始める。一方、からだと出会った頃の事を思い出しながら失意に暮れる網野徹允の前に、中宮菊子という不気味な老婆が現れる。菊子は中宮左枝中宮右実という美しい双子の姉妹を連れており、二人を使って願い石を探しているようであった。彼女達に先を越されまいと、地元の中学校の図書館に忍び込んで書物をあさる徹允は、図書委員の笹塚に協力を求める。徹允はからだに嫌われたままでもいいから、せめて彼女のために願い石を見つけようと心に決めていた。一方、笹塚はいつも図書館にいる妹の右実とかかわりを持つようになる。笹塚は右実にあこがれに似た気持ちを抱き始めるが、右実は姉の左枝と共に菊子とある約束をしていた。それは願い石を見つけた方が、菊子と年齢が入れ替わって老婆となる代わりに、彼女の財産の3分の1を受け継ぐというものであった。

第4巻

野上椒子網野徹允は、海辺の町のご神体になっていたという願い石の伝承を調べる。それによると文明開化の頃、信充元春という、共に神官をしている兄弟が願い石をめぐって争い、兄の信充が石を持って失踪。弟の元春はその事を隠し、空箱をご神体と偽って祀り続けたという事だった。そして、姿を消した信充が辿り着いたと思われる場所が乙事沢であった。さらに調査を進める椒子は、五百川尋との過去に思いを馳せる。かつての彼女は容姿や性格に劣等感を覚えていたが、そんな彼女を変えたのが留学先で出会った尋だった。やがて椒子は尋と恋人同士になり、幸せな日々を送っていた。だが、両親と叔母の葉子が事故死した事から急きょ日本に戻った尋は、五百川からだを養うため椒子に一方的に別れを告げる。この尋との別離は椒子にとって大きな傷になっていた。一方、乙事沢を出た尋は慣れない仕事に追われ、心身を摩耗させていた。大人の姿になった事でさらに尋に迷惑をかけてしまい、後悔と無力感に苛まれるからだは、椒子に助けを求める。椒子は自分もからだも元に戻りたい事、まだ願い石が見つかる可能性がある事を尋に告げる。同じ頃、徹允は祖父の網野翁から願い石と同じような石があると知らされていた。

第5巻

願い石を入手しようとする網野徹允は、祖父の網野翁から、石を渡す代わりに自分と入れ替わってみないかと言われる。実は、網野翁は若い頃に中宮菊子と出会っていた。菊子は網野家に伝わる願い石を二分し、自分がすぐに使ってしまわないようにと半分を網野翁に預けた。その時、網野翁は願い石の効能を菊子から聞いており、徹允と年齢を入れ替えて若返ろうと考えていたのである。しかし、徹允の純真さを見て土壇場で思い留まった網野翁は、中宮右実中宮左枝を使って菊子から奪ったもう一方の願い石を、自分が持っていた分といっしょに徹允に渡す。右実は菊子の支配から逃れたいと思うようになっており、そこを網野翁に付け込まれたのである。だが、菊子は完全な願い石をもう一つ持っていた。菊子は右実達の眼前で石に願いを捧げる。その後、姉妹の姿を見た者はいなかった。五百川からだ野上椒子は、徹允の持って来た願い石を使って元の姿に戻るが、椒子は自分を見つめ直そうと乙事沢を去る。そして、中学生になったからだは同じ中学に通う笹塚を慕うようになっていた。かくして、五百川尋とからだ、椒子、徹允の四人はそれぞれ別々の方向に向かって歩き始める。 

登場人物・キャラクター

主人公

小学6年生の女の子。8歳の時に事故で両親を亡くしており、現在は兄の五百川尋と2人で暮らしている。小学校低学年に間違えられるほど小柄だが、家事全般をこなすしっかり者で、子供扱いされることを嫌う。尋のこと... 関連ページ:五百川 からだ

五百川からだの兄。海外に留学していたが、4年前に両親が事故死したため帰国。地方都市である乙事沢の研究室に就職し、近くのアパートで妹のからだと暮らすようになった。留学中に野上椒子と付き合っていたが、両親... 関連ページ:五百川 尋

五百川尋の同僚の女性。アメリカの高校に飛び級で編入した経験を持つ俊才で、24歳という若さながら研究室の室長を任されている。留学中に尋と付き合っていたが、尋が帰国しなければならなくなったため交際を解消し... 関連ページ:野上 椒子

五百川からだと同学年の男子で、通称は「テツ」。まだ小学6年生ながら身長167センチとかなり大柄で、高校生に間違われることもある。資産家にして地元の実力者である網野家の子で、どんなわがままも許されている... 関連ページ:網野 徹允

網野徹允の姉で五百川尋、五百川からだ兄妹の隣人。資産家にして地元の実力者である網野家の子だが、弟の徹允だけが大事にされ、自分はぞんざいな扱いを受け続けてきたため、当主である祖父の網野翁に反発。18歳の... 関連ページ:網野 透子

五百川からだと五百川尋の母親の妹。尋の初恋の相手でもある。将来を誓い合っていた男性を早くに亡くし、悲しみと寂しさから甥である尋と関係を持ってしまい、まもなく妊娠。尋が留学した後、思い人の忘れ形見という... 関連ページ:葉子

中宮 菊子

正体不明の不気味な老婆で、中宮右実と中宮左枝という金髪の双子姉妹を傍らに従えている。「願い石」の効力を熟知しており、右実と左枝のどちらかを自身と年齢を入れ替える要員にして、若返ろうと目論んでいる。戦前に乙事沢を訪れた際に少年時代の網野翁と出会っており、彼に願い石の効果や入れ替わりの方法を教えた。

中宮菊子に仕える金髪の双子姉妹の妹。姉の中宮左枝とともに菊子のために新たな「願い石」を探しており、菊子が若返ったら、石を見つけた方は老婆となる代わりに菊子の財産の3分の1を受け継ぐ約束をしている。歯を... 関連ページ:中宮 右実

中宮 左枝

中宮菊子に仕える金髪の双子姉妹の姉。妹の中宮右実とともに菊子のために新たな「願い石」を探しており、菊子が若返ったら、石を見つけた方は老婆となる代わりに菊子の財産の3分の1を受け継ぐ約束をしている。幼い時に足に大怪我を負い歩行が不自由だったが、現在は治っている。

乙事沢の実力者である網野家の当主。網野徹允と網野透子の祖父だが、網野家の後継者である徹允だけを猫かわいがりしている。若い時に網野家を訪れた中宮菊子に会っており、その美しさに魅了されて網野家に伝わる「願... 関連ページ:網野翁

笹塚

乙事沢の中学で図書委員をしている少年。中学の図書室に忍び込んで「願い石」のことを調べていた網野徹允と知り合い、彼に協力することになった。内気で口下手なため、1人で本を読んだりエッセイを書いたりするのを好んでいたが、絵本好きの中宮右実との関わりを通して少しずつ変わっていく。

太助

「願い石」を祀っていた神社のある村に住んでいた少年。手妻(手品)使いの少女しづくが海に飛び込んでいるのを見かけたことから彼女と仲良くなる。しづくが元春と行っていた「願い石」を使った奇跡がインチキであることが明らかになった際、彼女が逃げる手助けをした。

しづく

「願い石」を祀っていた神社の神主である元春が連れて来た手妻(手品)使い。髪が短いので少年のように見えるが、実は女の子である。ご神体の「願い石」が奇跡を起こしているかのように見せ、元春の信者集めに一役買うが、信充に秘密を暴露されたため村人たちに追われ、「願い石」を持って海に飛び込む。

信充

「願い石」をご神体として祀っていた2つの神社のうち、上社(かみやしろ)の神主を務める男性。下社(しもやしろ)の神主である弟の元春が、「願い石」を信者集めに利用しようとしていることに反発。元春がしづくを使って起こしている奇跡の秘密を暴こうとする。

元春

「願い石」をご神体として祀っていた2つの神社のうち、下社(しもやしろ)の神主を務める男性。手妻(手品)使いのしづくを使って、「願い石」が奇跡を起こす石だと宣伝。下社に信者を集めようとしたことから、上社(かみやしろ)の神主である兄の信充と対立する。

乙事沢の言い伝えに登場する少年。曾祖父が鹿と間違えて人を撃ってしまったため、一族は村の掟によって曽祖父、祖母、信太の母の三代に渡って追放処分とする「三代ハジキ」となっている。そのため、母親は村に入るこ... 関連ページ:信太

信太の母

乙事沢の言い伝えに登場する女性。信太の母親だが、祖父が鹿と間違えて人を撃ってしまったため、掟によって祖父、母親、自身の三代に渡って村に入ることを禁ずる「三代ハジキ」となった。ゆえに信太と引き離され、1人で山奥の小屋で暮らしていたが、息子と一緒にいたいと思うあまり、山の神を利用して村を滅ぼそうとする。

乙事沢の言い伝えに登場する存在。幼い少年の姿をしているが人ではなく、真冬にも関わらず冷たい食べ物を好み、身体も雪のように冷たい。そして、山の神が人里に入ると、その里には取り返しのつかないことが起きると... 関連ページ:山の神

場所

乙事沢

五百川からだや五百川尋たちが暮らす町。「願い石」を神体として祀っていた神社の神主だった信充が、明治時代に石を持ってこの地にたどり着いたと言い伝えられている。山からも海からも近い地方都市で、網野家が地元の実力者として君臨している。

その他キーワード

願い石

「願いを叶えてくれる石」と言い伝えられている紫紺色の小石。乙事沢にある祠にいくつも置かれており、誰でも持っていけるようになっていた。実は、願った者たちの年齢を入れ替える力があり、例えば老人と子供が一緒... 関連ページ:願い石

書誌情報

あさっての方向。 全5巻 マッグガーデン〈BLADE COMICS〉 完結

第1巻

(2005年3月10日発行、 978-4861271335)

第2巻

(2006年3月10日発行、 978-4861272530)

第3巻

(2006年10月10日発行、 978-4861273193)

第4巻

(2007年3月10日発行、 978-4861273681)

第5巻

(2007年8月9日発行、 978-4861274091)

SHARE
EC
Amazon
logo