とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の一方通行

とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の一方通行

鎌池和馬の小説『とある魔術の禁書目録』の登場人物である一方通行を主人公としたスピンオフ作品。時系列は『とある魔術の禁書目録』の第5巻直後に設定されており、一方通行がDAなどをはじめとした学園都市にはびこる陰謀に巻き込まれていく様子が描かれている。「月刊コミック電撃大王」2014年2月から連載の作品。

正式名称
とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の一方通行
ふりがな
とあるまじゅつのいんでっくすがいでん とあるかがくのあくせられーた
原作者
鎌池 和馬
作画
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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あらすじ

第1巻

病院の寝室で本を読んでいた一方通行のもとに、DAに追われていたエステル・ローゼンタールが逃げ込んで来る。しかしエステルは抵抗の末、DAの構成員・西雄に気絶させられて連れ去られてしまう。その騒ぎに無関心を貫いていた一方通行だったが、エステルが打ち止めの写真を持っていた事を知るや否やエステルを解放するように西雄に迫る。すると、西雄はプロトタイプを使って一方通行に応戦するが、プロトタイプは一方通行の能力によって破壊されてしまう。そして、西雄から解放されたエステルは一方通行に、打ち止めに危機が迫っている事を伝える。一方通行は、打ち止めに危機を及ぼそうと迫るDAを滅ぼす事を決意して、彼らのアジトに向かう。そこにはDAのメンバー菱形光比古があやつる窮奇がおり、一方通行と戦闘になる。一方通行は能力を発動して窮奇の破壊を目論むが、窮奇の使うレベル5級のサイコキネンシスによって苦戦を強いられる。

第2巻

エステル・ローゼンタール人皮挟美を人として終わらせてやるべく、死霊術の能力を使って偽りの魂「禍斗」を侵入させ始める。挟美の死体を処理している死体安置所を、警備員を装ったDAの構成員が訪れ、エステル達を追っ払う。そんな中、一方通行は彼らがただの警備員でない事を見抜くと強引に死体安置所に押し入り、DAの構成員との戦闘になる。その最中、エステルによる挟美への処置が不完全だったため、彼女は偽りの魂「禍斗」を定着させたまま再び目を覚ます。そして「禍斗」は、DAの構成員が主人であるエステルに害を及ぼす敵と認識して、彼らに襲い掛かる。一方通行は「禍斗」と共にDAのメンバーを殺そうとするも、その途中で治療中だった傷が開いた事で倒れてしまう。その隙を突いてDAの構成員は死体安置所から逃げ出し、外にいたミサカ10046号を人質にする。一方、DAに資金援助をしていた亡本裏蔵はDAの行き過ぎた行動を問題視して、DAを潰すために暗部組織・屍食部隊を動かす事を決定する。

第3巻

警備員による激しい攻撃に晒されていたDAは、菱形光比古による命令を実行するため、大型兵器タランチュラを起動させる。そして、タランチュラはその破壊力を駆使して、警備員達を蹂躙し始めた。警備員の黄泉川愛穂はそんなDAの激しい猛攻を前にしても一歩も退かず、DAの鎮圧にあたっていた。しかし、タランチュラの攻撃によって死に絶えた仲間達を前にして、絶望感に襲われる。そこに亡本裏蔵の命令を受けた暗部組織・屍食部隊が戦場に姿を現す。彼女らは自らの能力を使ってタランチュラを停止させたあと、さらにその場にいた愛穂やミサカ10046号達を襲い始める。そんな中、ミサカ10046号を助けるためにエステル・ローゼンタールと「禍斗」が戦場に現れる。「禍斗」は屍食部隊達を敵と認めるや否や、彼女達との戦闘を開始する。しかし、屍食部隊は高い能力を駆使して「禍斗」との戦闘を有利に進めつつ、既に敵意を失っているDAのメンバーや愛穂達を嬉々として殺そうとするのだった。

第4巻

「禍斗」は屍食部隊を倒すために人皮挟美の身体能力を解放するが、ナルの能力を前に苦戦を強いられる。挟美の肉体が限界に達していると考えたエステル・ローゼンタールは、土精の力を利用して「禍斗」の防御力と攻撃力の底上げを行った。これにより「禍斗」はナルとの戦闘を有利に進める事に成功するが、ナルは能力を使って巨大な掘削機を作成。それにより「禍斗」の土の鎧を剝がそうと試み、「禍斗」は甚大なダメージを喰らってしまう。そこでエステルは戦うのは止めてほしいと屍食部隊に頼むも、彼女らは聞く耳を持たない。そんな中、一方通行が戦場に現れて、ナルの作った巨大な掘削機を一撃で破壊する。一方通行が強力な能力者だと理解したリーダーは、メンバーによるコンビネーション攻撃を繰り出すが、一方通行には傷一つつかなかった。そして、一方通行は清ヶ、ナル、薬丸の順番にその圧倒的な攻撃力で打ち倒す。そして最後に残ったリーダーは、あまりの恐怖に気絶してしまうのだった。

第5巻

ミサカ10046号を回収するために、菱形光比古一方通行達の前に窮奇を送り出す。すると、一方通行は今度こそ逃がさないように風をあやつる事で窮奇の逃げ道を塞ぎつつ、窮奇を壊そうと試みる。すると、光比古の作成した棺桶のうち、饕餮混沌までもが現れて、一方通行に襲い掛かる。さらに混沌は隙を突いてミサカ10046号を回収して逃げ去ってしまう。一方通行はミサカ10046号を取り返すために混沌を追おうとするが、その行く手を窮奇と饕餮に阻まれる。一方、一方通行に置いていかれたエステル・ローゼンタールと「禍斗」だったが、光比古を止めるために行動を起こし始める。エステルがナンバーズの悪霊を止めるための武器「舜帝の剣」を呼び出すための儀式を開始する中、エステルのもとに光比古からの通信が入る。そして、二人の会話の中でエステルがかつての友人・菱形蛭魅を歪んだ形で生き返らせてしまった責任を取るために、光比古達を止めようとしている事が発覚する。その頃、一方通行は混沌を破壊してミサカ10046号を助け出す事に成功していた。

第6巻

一方通行の前に、さらなる強化を施された窮奇饕餮が現れ襲って来る。レベル5級の能力を使用する窮奇、饕餮を前にして苦戦を強いられる一方通行だったが、激しい戦闘の末に2体の破壊に成功。だが、その破壊に掛かった時間は菱形光比古にとって菱形蛭魅を強化するための時間稼ぎに過ぎなかった。その最中、エステル・ローゼンタールは光比古によって強化された蛭魅が目を覚ます前に舜帝の剣を使って、蛭魅から檮こつを引きはがそうとする。すると、蛭魅をかばおうとした光比古が、舜帝の剣により腹部を刺されて致命傷を負った。しかし、そのお陰で蛭魅は強化に成功して、巨大な化け物に成長していく。その成長に飲み込まれかけるエステルだったが、寸前で一方通行によって救出される。そんな中、蛭魅の中に侵入していた檮こつの正体が、イサク・ローゼンタールであった事が判明する。イサクは光比古が気絶した事でその正体を現し、自らの悲願を成就させようとさらなる自己進化を遂げていく。その事実に打ちのめされるエステルだったが、一方通行により発破を掛けられた事によりイサクを止める事を決意する。

第7巻

エステル・ローゼンタールイサク・ローゼンタールを止めるためには、檮こつの符に舜帝の剣を突き刺せばいいと一方通行達に説明する。しかし、その符は自己進化を遂げた巨大な身体の中に隠れており、簡単には探せない。そんな中、菱形光比古が符のある巣の中まで、一方通行達を案内すると申し出る。一方、イサクは一方通行達が身体の中に侵入している事を察知し、周囲にいたDAの構成員達を取り込む事で自己進化のスピードを早める。しかし、そのせいでイサクは歪んだ正義感によって支配され始めた。その隙を突いて一方通行達は檮こつの符にたどり着き、舜帝の剣を符に突き刺す事に成功した。それによりイサクは自らが失敗した事を悟り、消滅。同時に菱形蛭魅も消滅し始める。光比古はそれを見届けたのち、息を引き取った。そして、エステル達は蛭魅の消滅に巻き込まれるが、一方通行がベクトル変換によって消滅のエネルギーを空中へと逃がす。しかし、そのせいで無理をした一方通行は、頭から血を流して倒れてしまう。その後、病院で目を覚ました一方通行の前にエステルが現れ、礼を言いつつ別れを告げる。

第8巻

一方通行の前に謎の少女・姫戯茉離が現れた。一方通行は茉離の心音を聞く事で、彼女の身体の中に異常がある事を発見する。その異常のせいで倒れた茉離は、冥土帰しに診察してもらう事になり、茉離の身体の中には心臓の代わりとして、歯車とぜんまいで作られた機械が機能している事が発覚する。さらにその機械の中には、能力を意図的に暴走させる薬物が含まれていた。この機械は茉離の神経系にまで複雑に絡みついていた事から、冥土帰しですら取り外す事ができない。そんな中、打ち止めといっしょにいた茉離がまたも倒れてしまう。茉離が緊急の手術をしているあいだに一方通行は、茉離の身体に関係している論文を漁る。しかし無理が祟った事により、一方通行は倒れてしまい、茉離は病院を去り、警備員のところへと身を寄せていた。そこで一方通行は黄泉川愛穂を通じて茉離と連絡を取ろうとするが、茉離は警備員が追っている事件の重要参考人であるために連絡が取れない状態になっていた。

登場人物・キャラクター

一方通行 (あくせられーた)

学園都市に住んでいる少年で、白髪に赤い目をしている。脳を損傷している事から、妹達の有する「ミサカネットワーク」の補助なしではしゃべる事すらままならない。また治療が完全ではない事から冥土帰しのいる病院に入院しており、無理をする度に傷口が開いてしまう。その性格は残虐で一度敵と見なした者に対しては容赦しない。 一方で悪人でない人達を戦闘から遠ざけようとするなどの配慮を見せる。特に打ち止めや妹達に対しては過去の負い目もあって、庇護の対象として認識している。レベル5の能力者で、学園都市の超能力者の中で第1位の座に君臨している。能力名は「一方通行」で、その能力名が彼の通称となっている。能力の概要はベクトル操作で、音や空気などの力も操作する事ができる。 ただし、脳を損傷している事から「ミサカネットワーク」の補助を受けるためのデバイスなしには能力の発動が困難。また、デバイスのバッテリーには制限時間がある。DAの標的が打ち止め達である事を知り、彼らと敵対関係になった。そして、エステル・ローゼンタールらと共にDAや菱形光比古らの野望を阻止する事になる。

エステル・ローゼンタール (えすてるろーぜんたーる)

ローゼンタール家の第23代当主を務めている少女。金髪でエメラルド色の瞳をしており、左目の下には泣きぼくろがある。プロポーション抜群で胸が大きい。やや天然なところがあり、極度のお人好し。その一方で羞恥心に欠けており、ほぼ初対面の一方通行の前でも平気で下着姿になっていた。ローゼンタール家に代々伝わる死霊術をあやつる事ができ、スーパーバイザーとして菱形光比古の研究にかかわっていた。 その際、菱形蛭魅となかよくなり、死亡した彼女を生き返らせようとして失敗してしまう。その後、蛭魅の中にいる檮こつを止めるために、DAのもとから逃げ出そうとするも失敗。しかし、一方通行により救出され、以来彼と行動を共にするようになる。 さらに屍食部隊との戦闘中に一方通行の強さに魅了された事から、彼を師として仰ぐようになる。そして、一方通行らと共に蛭魅の暴走を止める事に成功した。その後、病室で眠っていた一方通行のもとを訪れて一連の事件解決の礼を述べると、「禍斗」となった人皮挟美といっしょに一方通行の前から去っていった。

人皮 挟美 (ひとかわ はさみ)

学園都市に住んでいる高校1年生の少女。茶髪をロングヘアにしている。レベル2クラスの能力者で、発火能力を使用する。ある日、入水自殺を試みて川に飛び込むも、失敗する。その直後、DAの構成員に救出されるも、棺桶の素体として使用する目的でDAにより殺された。そして、プロトタイプの中に入り、発火能力を利用される。 その際、一方通行と戦闘になり、彼にプロトタイプを破壊された事で解放された。その後、死体安置所に死体を送られるが、エステル・ローゼンタールによる処置を受けた結果、偽りの魂「禍斗」となったうえで蘇生された。以降は主人であるエステルを第一に考え、彼女といっしょに「禍斗」として行動する。「禍斗」となってからは身体能力が飛躍的に向上する一方で、人間らしい感情は失った。 そして、菱形光比古らがかかわっている一連の事件解決後、エステルといっしょに学園都市から去っていった。

菱形 光比古 (ひしがた みつひこ)

聖音高等学校に在籍している研究者の少年。目的を第一に考える性格で、そのためには倫理観に著しく欠ける方法であっても平気で実行してしまう。妹の菱形蛭魅を大切に思っており、彼女をレベル6にするという目的から、DAに所属している。もともと超能力を研究するチームに所属しており、その過程で能力を強化する事のできる棺桶の開発に成功した。 それをDAに兵器として分け与える一方で、蛭魅をレベル6にするという目的のために妹達の身柄を拘束しようとしている。しかし、その目的を一方通行に知られて、彼と敵対する事になった。その後、ミサカ10046号を拘束する事に成功して、彼女の中にある10031回にも及ぶ死の記憶を蛭魅に送信し彼女の自己進化を促した。 だが蛭魅は、既にイサク・ローゼンタールにより身体を乗っ取られた事を知り、彼を止めるために一方通行らと協力した。その後、崩壊する寸前の蛭魅との別れを済ませたのち、静かに息を引き取った。

菱形 蛭魅 (ひしがた ひるみ)

菱形光比古の妹で、ツインテールの髪型をした少女。光比古の研究のスーパバイザーとして招かれたエステル・ローゼンタールと友人になるも、研究の途中で死亡してしまう。その後、エステルのあやつる死霊術によって蘇生を試みられるも、その結果檮こつにより身体を乗っ取られてしまう。そして、檮こつにあやつられつつも、光比古に妹達の持つ10031回もの死の記憶を手に入れるよう促した。 しかし、一方通行らに計画を止められてしまい、檮こつの中にいたイサク・ローゼンタールと共に消滅した。

西雄 (にしお)

DAの構成員の男性。歪んだ正義感を持っており、目的達成のためならば行き過ぎた行為をも辞さない。逃げ出したエステル・ローゼンタールの捕獲任務を行っている最中、一方通行に接触した。その際、一方通行に対抗するためにプロトタイプを起動したが、一方通行には敵わず隙を突いて彼のもとから逃げ出した。しかし、エステルの捕獲任務に失敗したうえにプロトタイプを破壊された事から、DAのメンバーによる粛清を受けて殺されてしまう。

黄泉川 愛穂 (よみかわ あいほ)

警備員に所属する女性で、黒髪をポニーテールの髪型にしている。言葉尻に「じゃん」とつける癖がある。人皮挟美に関する事件を担当していた事から、一方通行と知り合いになる。さらにその過程でDAの存在を知り、彼らについての調査を行っていた。その後、DAを鎮圧するためにほかの警備員達と共に現場に向かうが、タランチュラの猛攻に遭ってしまう。 さらに戦闘に介入して来た屍食部隊らにより、命を狙われてしまう。その際は一方通行らに命を救われて、多数の死者を出した現場から生還している。

冥土帰し (へゔんきゃんせらー)

学園都市に住んでいる医師の男性。現在、一方通行の治療担当医師を務めている。禿頭が目立つ老人で、蛙のような顔をしている。また、語尾に「だね?」と付けて相手に聞き返すような口調でしゃべる。非常に優秀な医療技術を有しており、生きて自分の前に連れて来れば医師として必ず治すという強い信念を持っている。治療の必要な患者には厳格な態度で接する事もあり、治療が終わっていないまま無理を繰り返す一方通行に対して、苦言を呈した。

ミサカ10046号 (みさかいちまんよんじゅうろくごう)

妹達の内の一人である少女。茶髪のショートヘアで、常盤台中学の制服に身を包んでおり、頭には暗視用ゴーグルを付けている。御坂美琴のクローンであるため、彼女と外見が酷似している。冷静沈着な性格で、強い正義感を持っている。レベル3程度の電気操作能力を持つほか、能力の不足を補うために銃などを所持している。また電気信号を通して、ほかの妹達と情報を共有する能力を持つ。 一方通行らから逃げ出して来たDAの構成員と接触するが、彼に拘束されてしまう。さらに、その身柄は菱形光比古に委ねられ、10031回もの死の記憶を菱形蛭魅の自己進化に利用された。その後、一方通行によって光比古から救出され、蛭魅の中に潜んでいたイサク・ローゼンタールを止めるために一方通行らに協力する。

リーダー

暗部組織「屍食部隊」のリーダーを務めている少女。ショートへアで、両手のひらをつなげた絵が書かれたマスクを着用している。学園都市を御しきれない教師陣に強い恨みを抱いており、教師や教師に従う優等生などに対して強い敵意を向けている。また、気に入った人物を見つけると、屍食部隊に勧誘してしまう癖がある。レベル3の能力者で、能力名は「鳥瞰把握」。 これを使用すると、特定の人物の位置を知る事が可能となる。亡本裏蔵からDA抹殺の依頼を受けて、彼らのいる戦場に足を運んだ。その際、いっしょにいた警備員の黄泉川愛穂らも殺そうとした。しかし、戦闘に介入して来た一方通行による攻撃を受け、仲間達が倒された恐怖により一方通行の前で気絶してしまう。

ナル

暗部組織「屍食部隊」に所属している少女。ショートヘアで、左目の下に髑髏の形をしたマークを付けている。単純で無邪気な性格であるが、殺す必要のない者も遊び感覚で殺してしまうような残虐性を持つ。特に教師達に強い恨みを抱いており、彼らに対しては躊躇しない。レベル3相当の能力者で、紙を媒介とした念動能力を所持している。能力を介した紙は、合金並みの硬度と布並みの柔軟性を併せ持ち、その紙を使って武器や鎧などを製作し戦闘を行う。 その際の造形能力に天才的なセンスを持っているため、実質的にレベル4クラスの戦闘力を所持している。亡本裏蔵からDA抹殺の依頼を受けて、彼らのいる戦場に足を運んだ。その際、いっしょにいた警備員の黄泉川愛穂らも殺そうとした。 しかし、戦闘に介入して来た一方通行にはまったく歯が立たず、彼による圧倒的な攻撃を前にして一撃で戦意を喪失してしまう。

清ヶ (せいけ)

暗部組織「屍食部隊」に所属している少女。黒髪のロングヘアで舌に刺青を入れており、セーラー服を身につけている。物静かな性格であるものの、殺す事をためらわない残虐性を持つ。屍食部隊の中では一番の新参者だが、彼女らの持つ教師達への強い恨みに共感を覚えている。半径1メートルの摩擦係数を制御できる能力を所持しており、空気摩擦を制御する事で120トンもの重量を持つタランチュラの突進ですら止める事ができる。 さらに皮膚に掛かる摩擦係数などをあやつる事で、相手から受ける攻撃のほとんどを無効化する事ができるほか、移動に掛かる摩擦係数を制御する事で高速で移動する事も可能。ただし、足元の摩擦係数を操作しての移動は、本人曰く痛みが伴うためにあまりやりたがらない。 亡本裏蔵からDA抹殺の依頼を受けて、彼らのいる戦場に足を運んだ。その際、いっしょにいた警備員の黄泉川愛穂らも殺そうとした。しかし、戦闘に介入して来た一方通行に遭遇したのち、彼により生体電気を操作された結果、瞬時に気絶してしまう。

薬丸 (やくまる)

暗部組織「屍食部隊」に所属している少女。ショートヘアで、大きめの帽子をかぶっており、手袋を着用している。仲間以外の者には容赦しない、残虐な性格の持ち主。特に教師らに対する恨みは人一倍強い。亡本裏蔵からDA抹殺の依頼を受けて、彼らのいる戦場に足を運んだ。その際、いっしょにいた警備員の黄泉川愛穂らも殺そうとした。 しかし、戦闘に介入して来た一方通行に遭遇したのち、彼によるデコピンを喰らって気絶してしまう。

亡本 裏蔵 (なきもと りぞう)

学園都市の運営に携わる統括理事会の一員である男性。黒髪のロングヘアで、首の後ろで髪を一本に束ねて、顎鬚を生やしている。農業ビルなど学園都市の食糧事情のすべてを管理し、都市インフラを守るための防衛戦力を多数融通されている。その一部を利用して自身は完全武装の戦闘列車を使い、つねに移動し続ける事で位置情報の特定を防ぎつつ、高度な安全性を確保している。 この列車での移動は学園都市内で「永遠に走り続ける地下鉄」として都市伝説になっている。技術力と行動力を伴った組織としてDAに利用価値を見出し資金援助を行っていた。しかし、DAの行き過ぎた行為を知った直後に切り捨てる事を決め、DAの処理をするように屍食部隊に命令を下している。

イサク・ローゼンタール (いさくろーぜんたーる)

ローゼンタール家の第4代当主を務めていた男性。生前は長髪で、頭の後ろで髪を一本に束ねていた。一族の悲願を達成するためには多数の人間を犠牲にする事を躊躇しない残虐極まりない性格で、周囲の人々からは「悪魔」と呼ばれ恐れられていた。道教の跳尸術を一族に伝わる技術に取り込んだ人物で、それによりローゼンタール流とも呼ぶべき新たな魔術の系譜を生み出している。 その後、息子のネイサンによって檮こつの中に魂魄を転写してもらっていた。また、疑似魂魄を構成するセフィロトに1万回の死の記憶を書き込む事でケテルに至る事ができると判断した事から、菱形蛭魅の身体を使って菱形光比古をあやつり、妹達の持つ多数の死の記憶を送信してもらった。それにより現代にて復活を果たし、一族の悲願を達成するまであと一歩のところまで迫った。 しかし、一方通行らの協力を得たエステル・ローゼンタールにより野望を阻止されてしまい、最後は自らの失敗を悟ったうえで消滅した。

姫戯 茉離 (ひめぎ まつり)

何者かに追われている最中、一方通行と出会った謎の少女。金髪で縦ロールの髪型をしている。頭には王冠を模したようなカチューシャを付けている。上品にしゃべり、ドレスのような服装を好んで身につけているが、私服として浮いている事に対してはまったく自覚はない。強い正義感の持ち主で、困っている人を見た際には必ず助ける事を自身の絶対のルールとしている。 一方通行と出会った直後、倒れてしまい冥土帰しに診療を受けている。その際、身体の中には心臓の代わりとして、歯車とぜんまいが使用されている事が発覚する。さらに、その機械の中には能力を意図的に暴走させる薬物が含まれていた。その機械は神経系にまで絡みついていたために、冥土帰しの腕をもってしても摘出する事は困難だった。 冥土帰しの診察を受けたあとは、警備員のもとに身を寄せている。のちに、とある事件の重要参考人となっている事が、黄泉川愛穂により判明する。

集団・組織

DA (でぃーえー)

警備員内の互助組織という建前を持つ秘密結社。歪んだ正義感を持つ者達で構成されており、自らの語る正義の実現のためには度の過ぎた治安維持活動をする事も厭わない過激な組織。「ディシプナリー・アクション」の略で、行き過ぎた治安維持活動により懲戒処分を受けた警備員達で構成されている。組織の理念に賛同した警備員などにより多くの情報や資金援助、技術供与まで受け取っており技術力と行動力を伴った組織として成長している。 菱形光比古主導のもと、打ち止めなどの妹達の確保を行動方針としたために、一方通行と敵対する事になった。

屍食部隊 (すかべんじゃー)

四名の少女で構成されている暗部組織。リーダーをはじめとして、教師や教師に従う優等生などに強い恨みを抱いている者達で構成されており、所属しているメンバーの多くは味方以外の者に対して容赦しない残虐な性格の持ち主ばかり。また、レベル3からレベル4相当の能力、戦闘能力を持つ実力者により構成されている事から、暗部として高い適性を持っている。 特にメンバーの力を結集したコンビネーション攻撃は、相手を動けなくしたうえでリキッドテルミット反応を起こすという強力な攻撃により、4000度を超える高熱で相手を焼き尽くす。ただし、敵対した一方通行にコンビネーション攻撃も通用せず、一瞬にして壊滅させられてしまう。

その他キーワード

舜帝の剣 (しゅんていのけん)

ナンバーズの悪霊を剝がす事のできる短剣で、エステル・ローゼンタールが所持している。これをナンバーズの悪霊を留めている符に突き刺す事によって、媒介からナンバーズの悪霊を剝がす事が可能となる。

死霊術 (ねくろまんしー)

死者の魂をあやつる事のできる魔術の一種で、ローゼンタール家に代々伝わっている。この術を使う事により死者に疑似魂魄を転写してあやつったり、死者の記憶を読み取ったりする事が可能となる。

ナンバーズの悪霊 (なんばーずのあくりょう)

ローゼンタール家の5代目当主であるネイサンが生み出した疑似魂魄で、檮こつ、窮奇、混沌、饕餮の四体が存在している。符を死体に定着させる事により、その死体に疑似魂魄を宿す事が可能。また、これらの疑似魂魄が転写された死体は、人間以上の力を発揮する事が可能となる。これを剝がすには舜帝の剣を符に突き刺す事が必要となる。 もともとローゼンタール家の現当主エステル・ローゼンタールが所持していたが、これを菱形光比古によって奪われてしまっている。また、光比古は棺桶にこれを宿す事によって、強力な兵器として使用している。

ローゼンタール家 (ろーぜんたーるけ)

「完全なるゴレム」を生み出す事を悲願としている一族。ローゼンタール家の祖であるオペドが、死体に疑似魂魄を受けつける方法を生み出した事により、その魔術が一族に伝来している。しかし、この魔術を開発したオドペは異端であるとして故郷を追われ、東洋に流れついた。4代目のイサク・ローゼンタールが一族伝来の魔術に跳尸術を取り込んだ事により、ローゼンタール流とも呼ぶべき新たな魔術の系譜を生み出している。 完全なるゴレムの作成を目指した五代目のネイサンがナンバーズの悪霊を生み出すに至るが、それでも「完全なるゴレム」の作成にはほど遠かった。その後、魔術は研鑽を重ねられ、現当主のエステル・ローゼンタールに受け継がれている。

棺桶 (かんおけ)

菱形光比古が開発した巨大兵器。機械で作り出した肉体を脳に身体だと錯覚させる事により、使用する能力を大幅に強化する事が可能となっている。ただし、この兵器を使用するための媒介となる身体は死体でなくてはならず、また死体にはローゼンタール家に伝わる「悪霊」を使用しなくてはならない。

プロトタイプ

棺桶の一つで、人皮挟美の死体が使用されている。挟美の持つ発火能力を使用する事が可能で、その能力はレベル4クラスとなっている。一方通行に対抗するために西雄が、これを独断で起動させるも一方通行により一撃で破壊されてしまった。

檮こつ (とうこつ)

ナンバーズの悪霊の一体で、エステル・ローゼンタールが菱形蛭魅を生き返らせるためにその身体に定着させた。実は五代目のネイサンが死の間際にあったイサク・ローゼンタールを転写している。それによりイサクは蛭魅の身体を使って、菱形光比古をあやつる事ができていた。

窮奇 (きゅうき)

ナンバーズの悪霊の一体で、菱形光比古により棺桶の一体に植えつけられている。棺桶となった際は強力な兵器を多数積んでいるほか、レベル5級の念動能力を使用する事が可能となっている。その念動能力は一方通行による攻撃すらも一部防いで見せた。また、饕餮といっしょに一方通行を追いつめようとする。しかし一方通行には敵わず、宿っていた棺桶は破壊されてしまう。

混沌 (こんとん)

ナンバーズの悪霊の一体で、菱形光比古により棺桶の一体に植えつけられている。棺桶となった際は強力な兵器を多数積んでいる。光比古の命令によりミサカ10046号を確保したのち、その身体を光比古のもとに届ける事に成功している。その後、一方通行により棺桶を破壊された。

饕餮 (とうてつ)

ナンバーズの悪霊の一体で、菱形光比古により棺桶の一体に植えつけられている。棺桶となった際は強力な兵器を多数積んでいるほか、素体となった死体が持つ転送能力を使用する事ができる。その転送能力はもともとお気に入りのぬいぐるみと、自分の位置を入れ替える事のできるという能力だった。ただし、催眠により遠方に射出できるマーカーをぬいぐるみだと思いこませている。 さらに、棺桶により転送能力は強化されている。その後、光比古によるさらなる強化が加えられた結果、ぬいぐるみの役割をマーカー以外にも押しつけられるようになったうえ、窮奇との視覚連携により転移のできる範囲がさらに広がっている。これらを使用して窮奇といっしょに一方通行を追いつめようとするも、一方通行によって宿っていた棺桶は破壊されてしまう。

タランチュラ

DAが所持している巨大兵器で、見た目は巨大な蜘蛛のような形をしている。また、その重量はおよそ120トンもある。強力な兵器を多数積んでおり、射撃の威力は警備員の持っている盾ごと身体を真っ二つにしてしまうほど。ただし、連続使用は30分ほどしか持たない。警備員との戦闘になった際、確保していたミサカ10046号を菱形光比古のもとに送り届けるために起動された。 しかし、屍食部隊の妨害に遭った事により、その任務は結局達成されずに終わった。

クレジット

原作

鎌池 和馬

キャラクターデザイン

はいむら きよたか ,

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