あらすじ
超平和バスターズ
「じんたん」と呼ばれる宿海仁太は、小学生の時に五人の友達と超平和バスターズを結成して楽しい日々を送っていたが、ある出来事をきっかけに仲のよかった超平和バスターズのメンバーと決別し、バラバラになってしまう。高校生になった仁太たちの距離はいつの間にか離れていき、それぞれが後悔や未練を抱えながらも、それぞれの新しい生活を送っていた。高校受験に失敗したことで人生に絶望した仁太は高校にもほとんど行かず、引きこもり気味の日々を送っていた。そんなある日、いつものように引きこもっていた仁太の前に、幼少期に死んだはずの幼なじみの本間芽衣子が現われる。亡くなった日から成長した姿で現れた芽衣子は、仁太に対してどうしても叶えて欲しいお願いがあると語るが、芽衣子自身もそのお願いの内容を思い出せないでいた。当初は芽衣子の存在が信じられず半信半疑の仁太だったが、彼女を無視することもできず、困惑しながらも願いを聞くことにする。こうして、あの日止まったはずの時間が再び動き出し、仁太と芽衣子の新しい夏が始まるのだった。仁太の前に現れるようになった芽衣子の姿は彼以外には見えていない様子で、数年ぶりに再会した久川鉄道以外は、目の前に芽衣子が現れたという話すら信じてくれなかった。やがて、離れていたはずの超平和バスターズの面々は、鉄道の提案でかつての秘密基地に集結するようになり、まずは仁太にしか見えない芽衣子を見つけるための方法を探すことになる。
白の、リボンのワンピース
本間芽衣子が花火で「∞」の形を描いて超平和バスターズを驚かせた翌日、再び秘密基地に向かった宿海仁太は、そこで鶴見知利子に遭遇する。来るのを待っていたかのような知利子は、仁太にしか変えられないことがあると言いながら、彼を連れ出して松雪集に会わせる。知利子の指示どおり、仁太は集の前で芽衣子の名前を出して適当に挑発するが、集も芽衣子の姿を見かけたことがあると、仁太のことを挑発。すぐとなりに芽衣子がいるのにと不思議に思う仁太だったが、真相を確かめるべく、みんなといっしょ芽衣子を捜しに向かうこととなる。そんな中、久川鉄道が森で、芽衣子がよく着ていた白いワンピース姿の少女を発見。だが、その少女を追いかけるうちに、鉄道と集が見たという芽衣子の姿は、集が芽衣子に変装した姿であったことが判明する。逃げ出した集を追いかけた仁太は、森の奥で足を滑らせ倒れたまま動かない集に声を掛ける。話を聞いた仁太たちは、集が誰よりも芽衣子の死に罪悪感や後悔を感じると同時に、芽衣子の姿が見える仁太に嫉妬と対抗心を抱いていたことを悟る。集の複雑な心情を察し、昔から仁太と集のケンカの仲裁に入っていた知利子は互い謝罪するよううながし、彼らは無事に仲直りを果たすのだった。後日、芽衣子の心配事が絶えないうちは彼女がいつまで経っても成仏できないだろうと、以前から登校を避けていた彼は学校に行くことを決意。だが、肝心の芽衣子からは無理して行く必要はないと止められ、仁太が怖い顔をしていると、ますます心配されてしまう。
めんまとみんな
本間芽衣子の実家から芽衣子の日記を借りた宿海仁太たちは、かつて完成させるつもりだった手作り花火を超平和バスターズで上げることが、彼女の願いなのではないかと推測する。さっそく、花火を手作りするために行動を開始する仁太たちだったが、資格を持たない者は火薬を扱えないこと、花火師に頼んで作ってもらうには20万円もの資金が必要であることが判明。そこで仁太たちは、資金を貯めるためアルバイトを始めるが、そんな中、ヤマさんから本間学に花火作りを止められたことを告げられる。ショックを受けながらも、どうしても芽衣子の願いを叶えてあげたい仁太たちは許可をもらうために本間家を訪れるが、本間イレーヌから芽衣子がいなくなった今でもなかよくしていることを責められ、説得できず逃げ帰る羽目になってしまう。それでも仁太は、花火の資金作りに励んでアルバイトを続け、松雪集と鶴見知利子は説得するために学のもとへ向かう。そして芽衣子の両親の反対を乗り越え、仁太たちは芽衣子の前で打ち上げるための花火を完成させる。だが、芽衣子の願いを叶えたあとは彼女といっしょにいられなくなってしまうことから、仁太は複雑な感情を抱いていた。そんな中、かつて遊び場にしていた寺に集まった仁太たちは、芽衣子に抱える思いと本音を報告し合う。一方、みんなと花火を完成させたことを仏壇の宿海塔子に報告する芽衣子は、自分の手が薄くなって透け始めていることに気づく。その手を見つめながら、入院している塔子との会話を思い出した芽衣子は、同時に自分が仁太たちに望んでいた本当の願いを思い出す。帰宅した仁太は芽衣子の変化に気づき、体が薄くなった彼女を背負って秘密基地に急行するが、到着する頃には彼からも彼女の姿が見えなくなってしまう。
メディアミックス
TVアニメ
本作『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』は、TVアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』を原作としている。原作TVアニメ版はフジテレビ・ノイタミナで2011年4月から2011年6月にかけて放送された。監督は長井龍雪、キャラクターデザインと総作画監督は田中将賀が務めている。キャストは、宿海仁太を入野自由、本間芽衣子を茅野愛衣が演じている。
劇場版アニメ
2017年7月から、本作『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の原作アニメ版『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の後日談を描いた劇場版アニメ『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』が公開された。劇場版は本間芽衣子の死を乗り越えて1年を迎えた超平和バスターズが、芽衣子との思い出を振り返る姿が描かれている。
実写ドラマ
2015年9月に、本作『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の原作アニメ版『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』をもとにした単発実写ドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』が、フジテレビ系列で放送された。脚本はいずみ吉紘が務めている。キャストは、宿海仁太を村上虹郎、本間芽衣子を浜辺美波が演じている。
登場人物・キャラクター
宿海 仁太 (やどみ じんた)
秩父市立緑ヶ丘高校に通う男子。超平和バスターズのメンバーの一人。あだ名は「じんたん」。私服では「地底人」などの文字が大きく書かれた、変わったデザインのシャツを愛用している。以前はリーダーシップにあふれる明るい性格だったが、本間芽衣子と宿海塔子を亡くしてからは引きこもりがちで、消極的な性格になっている。小学生の時に幼なじみと結成した、超平和バスターズのリーダー的な存在だったが、芽衣子と塔子の死後に緑ヶ丘第三中学校に通っていたが高校受験に失敗し、人生に絶望してしまう。幼少期から芽衣子には友人以上の感情を抱いていたが、照れ隠しで心にもない言葉を残して逃げた直後に彼女が死んでしまったため、罪悪感と後悔から心に深い傷を負っている。地区内では底辺レベルとされる緑ヶ丘高校に入学しているが、ほかの生徒のことは見下すような態度を取り、ほとんど登校もしていない。引きこもってからは人の多い場所を避けるようになり、外出時はニット帽や眼鏡を身につけて知り合いに会うのを避けている。そんな中、幽霊となった芽衣子が現れ、当初は悪い夢だと思いながらも彼女の願いを叶えて成仏させるために行動するようになり、疎遠気味だった幼なじみとの交流も取り戻していく。当初は自分だけに芽衣子の姿が見えることが信じられず、芽衣子に対して冷たい態度を取っていたが、次第に存在を受け入れてふつうに接するようになる。早くから幼なじみたちに芽衣子のことを打ち明けて相談していたが、ほかの者には見えないために、久川鉄道以外には信じてもらえなかった。現在でも仲間の危機を放っておけない仲間思いの一面は変わらず、仲間をかばったり無理をして努力を重ねることもある。また、本来は頭脳明晰で運動神経もよく、居間にはマラソン大会や硬筆展の賞状などが飾ってある。物事の飲み込みが早く要領もいいため、安城鳴子と同じゲームショップで始めたアルバイトでも、すぐに仕事を覚えた。誕生日は4月16日で血液型はB型。身長は165センチで、好きな色は赤。好物は塩ラーメンで、トッピングは落とし卵を好む。
本間 芽衣子 (ほんま めいこ)
超平和バスターズのメンバーの一人で、チームのマスコット的な存在だった女子。あだ名は「めんま」。幼なじみと平和な日々を送っていたが、ある夏の日に川の転落事故で亡くなっている。小柄な体型で、どこか儚(はかな)げな印象をまとったクォーターの少女。銀髪のロングヘアで、ロシア人の血を引く本間イレーヌから継いだ碧眼と白い肌を持ち、涼しげな白いワンピースを愛用している。天真爛漫に振る舞っているが、つねに仲間に気を配る優しい性格の持ち主。幼くして命を落としてしまったことは、宿海仁太をはじめとする友人や家族に、大きなトラウマを与えている。仁太が高校に進学した年の夏頃に突然、幽霊のような存在となり、成長した姿で仁太の前に出現する。仁太以外には視認できず声も聞こえないが、食事をしたり人や物質に触れたりと、多少の物理的干渉力を持ち、仁太に対しては生きた人間のように接することもできる。このため、仁太以外からは物が浮いているように見えることもある。文字を書いて自分の思いを伝えることもできるが、秘密基地以外では書くことができず、仁太以外の幼なじみたちにも自らの存在を明らかにしたあとは、愛用していた日記で筆談を行うようになった。見た目は成長しているものの、記憶や性格は亡くなった時のままであり、生前と同様に幼い言動が多い。仁太たちに叶えて欲しい願いがあって出現したが、肝心の願いの内容は思い出せず、この願いを叶えるには仁太以外のメンバーの力も必要であることを訴えている。その結果、超平和バスターズが秘密基地に集結し、途絶えていた交流を復活させることになる。誕生日は9月18日で血液型はA型。身長は147センチで、好きな色は白。好物はカレーと塩ラーメンで、トッピングはかき卵を好む。
安城 鳴子 (あんじょう なるこ)
超平和バスターズのメンバーの一人で、宿海仁太と同じ秩父市立緑ヶ丘高校に通う女子。あだ名は「あなる」。幼少期は黒ぶち眼鏡と癖っ毛のまじめな少女だったが、成長後はコンタクトレンズに変え、派手な恰好をしている。しかし根は優しく仲間思いな性格で、生真面目な一面も変わっていない。几帳面なところがあり、引き出しにラベルを貼って整理整頓し、私物にも細かく名前を書いていた。高校入学後は春菜や亜紀とつるんでいるが、彼女たちに流されがちな現状を、心底情けないと思っている。子供の頃と同じくゲームや漫画が好きで、ゲームショップでアルバイトしている。幼い頃は地味な見た目と、本間芽衣子と正反対な自分がコンプレックスで、彼女を友人として大切に思いつつも、嫉妬に近い複雑な感情を抱いていた。しかし、自分が仁太に発した言葉がきっかけで、芽衣子が死んでしまったと思い込み、心に深い傷と罪悪感を負っている。幼少期は「あなる」というあだ名をなんとも思っていなかったが、成長して言葉の意味を知ってからはこのあだ名を恥ずかしく思い、あだ名を呼ばれると嫌がったり怒ったりすることがある。芽衣子が事故死してからは、仁太との関係も希薄になり同じ高校になってもよそよそしくなっていたが、実は昔から仁太に好意を抱き、同じ高校に通うようになって嬉しいとも思っている。当初は仁太とは苗字で呼び合い距離を置いていたが、芽衣子の出現をきっかけに超平和バスターズが再び集結し、彼との距離が縮まって昔のようにあだ名で呼び合うようになる。芽衣子のことは見えていないが、仁太への思いから心のどこかで複雑な思いを抱えている。花火作りの資金を稼ぐために仁太がゲームショップでアルバイトを始めたことで、アルバイト仲間となる。アルバイト中に仁太に告白したが断られ、それでも彼のことを思い続けている。星座は山羊座で血液型はA型。身長は164センチ。
松雪 集 (まつゆき あつむ)
超平和バスターズのメンバーの一人で、宿海仁太の第1志望だった王大付属高校に通う男子。あだ名は「ゆきあつ」。イケメンなことに加えて成績は学年2位と優秀なうえに運動も得意で、女子からの人気も高い。飄々とした性格とは裏腹に負けず嫌いなところがあり、幼い頃から本間芽衣子に好意を抱くと同時に、チームのリーダーである仁太に対抗心を燃やし、よくケンカしていた。ふだんは冷静沈着ながら、未練を抱えている芽衣子のことになると冷静さを失い、時には常識外れな行動に走ることがある。いつもいっしょにいる鶴見知利子から思いを寄せられているが、気づいていない。現在でも仁太に抱く複雑な感情から、志望校に落ちた彼をバカにするような態度で接するが、仁太との過去や芽衣子への未練から脱却できず、今でも引きずっていることを自覚している。幼少期、ある夏の日に芽衣子に告白するもうやむやにされ、そのあとに芽衣子が死んでしまったために、自分の行為が彼女に死につながったのではと、後悔や罪悪感を抱えている。仁太にだけ芽衣子の姿が見えるという話も当初は信じていなかったが、対抗心から自分も芽衣子の姿を見たと言い張る。しかし、それは仁太への対抗心からカツラと白いワンピースで芽衣子そっくりな少女に松雪集が変装した姿であり、知利子の誘導でこれらの行為が仁太たちに知られた際に、芽衣子の死にトラウマを抱えていることを打ち明けた。知利子の計らいで仁太と仲直りしたあとも、意地を張って彼とは距離を置きがちになっていたが、本音を吐露する機会を与えてくれた彼女には感謝している。仁太にしか芽衣子が見えない事実に苛立って衝突することもあったが、いくつかのきっかけで芽衣子が確かに彼の前にいることが明らかになってからは、嫉妬心を抱えながらも芽衣子の願いを叶えるために協力している。恋心が報われない安城鳴子には、ひそかに同類意識を感じている。身長は181センチ。好物は八ツ橋。
鶴見 知利子 (つるみ ちりこ)
超平和バスターズのメンバーの一人で、宿海仁太の第1志望だった王大付属高校に通う女子。あだ名は「つるこ」。黒のロングヘアで眼鏡をかけており、大人っぽく理知的な性格をしている。趣味は読書で、同じ高校の松雪集とよくいっしょに行動している。昔はよくスケッチブックを持ち歩いており、現在でも絵を描くのが得意。ふだんはおとなしいが仲間の揉め事が起こると率先して仲裁し、特に衝突の多い仁太と集の仲立ちをすることが多かった。幼少期から思いを寄せている集に追いつくために努力し、学年4位の成績を修めているが、彼に好意を寄せる女子たちからは敵視されがち。また、集への思いをほとんど態度に表さないため、彼には気づかれていない。誰にでもクールに接するが、久々に再会した仁太にはふだんとは異なる柔軟な態度で接する。集と放課後もいっしょにいることが多いために付き合っていると勘違いされることもあるが、実際は微妙な関係で、気を配るような行動を取りつつも彼をやんわりと批判することもある。昔から周囲への気配りや観察力に優れており、他人に流されがちな安城鳴子の悩みや、集が芽衣子への未練と執着心に囚われていることに気づいていた。早い段階から集の異変を察し、自ら仁太に頼んで協力を求めていた。芽衣子の姿を見たと言い張る集が、仁太への対抗心で変装していたなどの行動を察しており、集が内心では気づいて欲しいと思っていることも感じ取り、その苦しみから助けるための行動に出る。これにより集が未練や本音を吐露する機会を与え、結果的に彼を救っている。超平和バスターズの仲間に対しても真意が読み取りづらく不可解な行動も多いが、すべてのメンバーの性格を把握しており、時に辛らつな物言いをするのも心配の裏返しである。身長は170センチ。
久川 鉄道 (ひさかわ てつどう)
超平和バスターズのメンバーの一人で、高校には行かずアルバイトをしながら世界中を旅している少年。あだ名は「ぽっぽ」。昔はみそっかす呼ばわりされるほどに小柄で気弱だったが、超平和バスターズに入ってからは宿海仁太たちの弟分になった。現在は大柄な体型の立派な青年に成長し、さまざまな柄のアロハシャツを愛用している。少々楽天的なところもあるが仲間思いの明るい性格で、チームのムードメーカー的な存在。昔から無邪気で人懐っこいところもあり、疎遠がちだった幼なじみに対してもよそよそしく振る舞うこともなく、久しぶりに再会した仁太にも昔と変わらぬ態度で接している。日本に帰って来てからは、超平和バスターズの秘密基地の家屋で暮らし、新聞配達のアルバイトをしている。世界中を旅しているため珍しい料理を多く知っていたり、各国の言葉もしゃべることができる。仲間に入れてくれた仁太には恩義と尊敬を抱き、幼少期は彼が活躍するたびに「じんたんつえー!」などと賞賛するのが定番だった。仁太が、故人であるはずの本間芽衣子が見えるようになったという話も真っ先に信じ、積極的に協力したり相談に乗ったりしながら、自分も芽衣子と交流したいとさまざまな行動を起こしていた。芽衣子以外のメンバーとしては唯一、昔と性格がほとんど変わっておらず、引きこもりがちな仁太を後押ししたり、超平和バスターズが集まるきっかけを作ることも多い。仁太たちとは異なり、芽衣子の死にトラウマを抱えていないように見えるが、実は芽衣子が事故に遭った直後に衰弱する姿を目撃している。しかし恐怖心から、芽衣子を助けられずに逃げてしまったため、そのことに強い罪悪感を抱き、高校に通わず世界中を旅するのも現実逃避からの行動である。これらの負い目から、芽衣子の姿を見て交流することに固執している。身長は185センチ。趣味は年寄りっぽいところがあり、性的嗜好に至ってはかなりマニアック。
宿海 篤 (やどみ あつし)
宿海仁太の父親。受験に失敗し引きこもりがちな仁太を咎(とが)めることなく、いつも気さくな態度で接している。スキンヘッドの頭を覆うニット帽をいつもかぶっている。なんに対しても「かわいい」と言いながら茶化す癖がある。一見、息子に対して放任主義のように見えるが、仁太の生活を正確に把握していると同時に内心では気にかけており、彼が本間芽衣子と塔子の死で負った心の傷も理解している。塔子の仏壇に向かって、仁太のことを報告することも多い。好物は塩ラーメンで、トッピングは落とし卵とコショウを好む。
宿海 塔子 (やどみ とうこ)
宿海仁太の母親。生まれつき体が弱く、入院していたが病状が悪化し、仁太が幼い頃に亡くなっている。生前はレーズンの入った蒸しパンを作るのが得意で、よく超平和バスターズに振る舞うなど、仁太以外の子供にも優しく接し、本間芽衣子たちからも慕われていた。闘病生活に入ってからは仁太のある変化を心配しており、よく見舞いに来ていたある人物に、この悩みを打ち明けていた。
本間 イレーヌ (ほんま いれーぬ)
本間芽衣子の母親。日本人とロシア人とのハーフで、銀髪碧眼と白い肌は娘たちに受け継がれている。幼くして亡くなった芽衣子の死を現在でも引きずっており、芽衣子の好物であったカレーを作った時には、欠かさず仏壇に供えている。芽衣子の友人である宿海仁太たちに対し、表面的には好意的に接していたが、内心では彼らだけが成長していくのを見る辛さから、憎しみのような感情を抱いていた。超平和バスターズが芽衣子のために花火作りを始めてからも、芽衣子を利用して遊んでいると思い込み、ヤマさんに頼んで花火作りへの協力を中断させていた。さらに、説得のために訪れた仁太たちを一方的に責め立て、八つ当たりのような暴言で追い返している。それでも花火作りをあきらめない仁太の姿や息子の本間聡志の本音、さらには家族と向き合うようになった本間学の励ましを受け、芽衣子を亡くした悲しみを受け止めるようになり、仁太たちとも和解した。
本間 聡志 (ほんま さとし)
本間芽衣子の弟。愛称は「さー君」。幼少期から慕っていた姉の芽衣子を亡くして以来、その死を引きずっている本間イレーヌと、イレーヌに向き合おうとしない本間学のあいだで育ち、家族関係はかなりギクシャクしている。このためスレたような冷淡な態度が多いが、本音では芽衣子を亡くした悲しみと家族と分かり合えないことに寂しさを感じている。超平和バスターズが芽衣子の願いを叶えるために行動しているのを見ているうちに、ずっと秘めていた思いを両親に打ち明け、結果的に両親とも打ち解けることができた。
本間 学 (ほんま まなぶ)
本間芽衣子の父親。当初は芽衣子の死から目を逸らし、その死を引きずっている妻の本間イレーヌとも向き合おうとしなかった。また、超平和バスターズが芽衣子のために花火を作ることも反対していたが、松雪集の必死の説得を聞いて考えを改めていく。これらの出来事に加え、息子の本間聡志がずっと隠していた本音を聞いたことで、家族と共に過去と向き合えるようになり、イレーヌと聡志を励ました。
春菜 (はるな)
秩父市立緑ヶ丘高校に通う女子。宿海仁太と安城鳴子のクラスメイト。ぽっちゃり体型で色黒肌を持つ。学校の内外で鳴子、亜紀と共によく三人で行動している。服装や言動は軽薄なところがあり、鶴見知利子からは「お股が緩そう」などと辛らつな言葉を投げかけられている。急に付き合いの悪くなった鳴子には不満を抱いている。
亜紀 (あき)
秩父市立緑ヶ丘高校に通う女子。宿海仁太と安城鳴子のクラスメイト。ショートヘアで、細身な体型をしている。学校の内外で鳴子、春菜と共によく三人で行動している。服装や言動は軽薄なところがあり、鶴見知利子からは「お股が緩そう」などと辛らつな言葉を投げかけられている。急に付き合いの悪くなった鳴子には不満を抱いている。
ヤマさん
宿海仁太たちの住む町で花火職人をしている男性。超平和バスターズから手作り花火の相談を受けるが、資格のない者には火薬を扱えないこと、依頼して作るなら20万円の資金が必要になることを教える。その後、アルバイトで資金を稼いだ仁太たちの依頼を受けたが、本間芽衣子の両親から止められたことで協力を中断。のちに本間学が考え直したことで花火作りを再開し、仁太たちの協力を得ながら花火を完成させる。
集団・組織
超平和バスターズ (ちょうへいわばすたーず)
宿海仁太を中心に彼の幼なじみ六人組で結成した、平和を目的とする子供だけのグループ。チーム名「超平和バスターズ」の命名は仁太で、秘密基地に集まってみんなで遊んだり、平和のためにさまざまな活動を行なっていた。「∞(無限大)」がチームの象徴で、秘密基地のあちこちにもマークが刻まれている。本間芽衣子の死をきっかけに自然解散し、残ったそれぞれのメンバーが彼女の死にトラウマや罪悪感を抱えている。通う学校も別々になったことで次第に疎遠になっていったが、芽衣子が幽霊のような姿で仁太の前に出現したのをきっかけに再結成される。当初は仁太が芽衣子の姿が見えるようになったという話を聞いても、久川鉄道以外は信じていなかったが、芽衣子が自分の存在を知らせるために花火で∞を描いたことで、全員が信じるようになった。以降は芽衣子の願いがなんなのかを探り、それを叶えることを目的に、さまざまな活動をすることとなった。
クレジット
- 原作
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超平和バスターズ