エッグ・スタンド

エッグ・スタンド

ナチスドイツ占領下のパリを舞台に、愛、平和、戦争、殺人、憎しみなどの意味を深く問いかけた、社会派ドラマであり、人間ドラマ。主人公である少年・ラウルは、幼いが暗殺者で、殺す前に必ず暗殺対象とベッドを共にし、「愛することと殺すことは同じだ」と思い込む。そして、孵化しないまま卵のなかで死んだ黒いヒヨコに自分を投影する。「戦争とは何か」「人が人を殺すということは」という重厚なテーマを、繊細な絵柄で映画的に表現した作品。『プチフラワー』誌上で1984年3月号に掲載された。全100ページ。

正式名称
エッグ・スタンド
ふりがな
えっぐ すたんど
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

第2次世界大戦下のパリ。ナチスドイツ軍に占領された街で、ドイツ軍の高官が次々と暗殺される。犯人はまだ幼い少年だという。一方、ユダヤ系ドイツ人であることを隠し、パリの街で踊り子をしているルイーズは、殺人現場になった公園でラウルという孤児を拾う。ラウルに疑いを持ったレジスタンスのマルシャンは2人に近づき、3人で不思議な同居生活を始める。

やがてルイーズはマルシャンと愛し合うようになるが、ナチスの捜索の手が届き、逃げようと飛び出したアパートの屋根から足を踏み外して墜落死する。

登場人物・キャラクター

ラウル

13~14歳のフランス人の少年。1年ほど前、自分を溺愛して束縛しようとする母親を殺して家を出て、テロリストのパピヨンに拾われ、暗殺者として教育される。その後、パピヨンも殺し、ドイツの高官に見込まれてパリに出る。幼く純粋で、死と生の境目の認識があいまいなまま成長した。暗殺対象には体を売ってから殺すというクセがある。 字が読めない。

ルイーズ

ユダヤ系ドイツ人だが、フランス人と偽ってパリのキャバレーで踊り子をする少女。17歳。アパートで独り暮らしをしていたが、ラウルを拾って一緒に暮らすようになる。父親はドイツで大学教授をしていたが、ユダヤ系だったため、ヒットラー政権になった時にフランスに逃げた。その後、ベルリンの空襲で母親が亡くなったため、父親を追ってフランスに飛んだが、見つけられなかった。 ニューヨークに憧れて、いつか行きたいと願っている。

マルシャン

フランス人で、レジスタンスの活動家。かつては兵士として戦争に行っていたが、空襲で妻と乳児だった子を亡くし、レジスタンス活動に身を投じた。26歳。ドイツ高官の殺人事件で、ラウルに疑いを持ち、近づくためにルイーズのアパートの同居人となる。ラウルの暗殺を止め、ルイーズをナチスから逃がそうとするが、どちらも果たせなかった。

ロゴスキー

フランスびいきのドイツ人。先見の明があり、ドイツ軍の敗戦をみこして器用に立ち回る。ドイツ軍上層部に通じ、情報をフランス側レジスタンスに流したりもする。少年趣味があり、ホテルの部屋でラウルに射殺される。

パピヨン

レジスタンスのフランス人青年。テロリスト。ヴィシー郊外の森で迷っていたラウルを拾い、殺人の方法を教え込む。ドイツびいきの金持ちの未亡人や、ドイツ軍大佐のもとに、ラウルを送り込んでは殺させた。ラウルを操ろうとして、だんだんと口うるさくなっていったため、それを嫌ったラウルに射殺される。

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