おおきに! 喫茶メモリーズ

おおきに! 喫茶メモリーズ

転勤で大阪にやって来た気弱な青年の平野信太は、アーケード商店街にある昔ながらの喫茶店の看板娘に一目惚れ。店に通い詰めるうちに、大阪の飾らない庶民の味と人情に触れていく信太の姿を描く、涙あり笑いありのグルメ奮闘記。「思い出食堂」2019年35号から2019年48号にかけて掲載された作品。

正式名称
おおきに! 喫茶メモリーズ
ふりがな
おおきに きっさめもりーず
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
 
片思い
関連商品
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あらすじ

第1巻

東京の会社に勤めていた平野信太は、大阪へ転勤することになった。現地で出迎えてくれた先輩の北花田に大阪の街を案内してもらうも、不慣れな環境になじめる気がまったくせず、信太はすっかり意気消沈してしまう。信太との親睦を深める場所として北花田が選んだのは、アーケード街にある個人経営の喫茶店。いつの間にか会話に入ってくる客のおばちゃんや、レーコーという未知のメニューに戸惑いながらも、バナナジュースを注文した信太は、バナナジュースを持ってきた店のウエイトレスの田辺千里に一目惚れしてしまう。バナナジュースを飲んで店を出た信太は、先ほどまでの暗い気持ちがすべて吹き飛び、大阪はいいところだと、思わず北花田に素直な感想を漏らすのだった。(一品目「バナナジュース」。ほか、11エピソード収録)

登場人物・キャラクター

平野 信太 (ひらの しんた)

東京の会社に勤めている男性。年齢は25歳。会社では営業部に所属している。優しくまじめな性格をした好青年。考えていることがすぐに顔に出てしまい、若干気弱なところが玉に瑕。関東出身で、大阪への転勤が決まったあと、馴染みのない環境で暮らすことに不安を感じていた。現地で先輩の北花田に大阪を案内してもらっても不安は解消されなかったが、親睦を深めるために訪れた喫茶メモリーズで出会った店の看板娘、田辺千里に一目ぼれする。千里に会うために喫茶メモリーズに通いつめる中で、大阪の庶民の食べ物や大阪人の人情に触れ、徐々に大阪へと馴染み、好きになっていく。千里が未亡人で、子供がいることを知った時は一時的にショックを受けるも、それでも心が揺らぐことはなく、一途に千里を思い続けている。仕事にも恋愛にも真摯に向き合っているが、若干抜けているところがあり、平野信太自身も気づかないうちに、千里への思いを彼女に知られてしまっている。純朴で爽やかな雰囲気を漂わせているため、意外に女性からモテる。考えていることがすぐに顔に出てしまうことも、北花田からは「わかりやすいトコがええトコ」と褒められていた。恋敵の泉尾大正からは、イタリアンスパゲッティを知らなかったことから「ナポリ」というあだ名で呼ばれ、バカにされていたが、のちにそれなりになかよくなる。

田辺 千里 (たなべ ちさと)

大阪在住の女性。年齢は28歳。アーケード街にある喫茶店の喫茶メモリーズでウエイトレスをしている。明るく朗らかな性格をした美女で、周辺住民からも好かれている看板娘。喫茶メモリーズのオーナーである田辺久太郎の娘で、死別した夫の穂積とのあいだに授かった一人息子の田辺彼方がいる。2年目に夫を亡くしたあと、実家へと帰ってきた。大阪に転勤になった平野信太と喫茶メモリーズで出会い、信太から一目ぼれされる。当初は信太のことをよく来店してくれる常連客としか思っていなかったが、幼なじみの泉尾大正が信太と言い争いをしている最中に、信太が自分のことを好きであると宣言したのを聞いてしまい、それ以来信太のことを異性として意識するようになる。大正からもずっとアプローチされているが、仲のいい幼なじみ以上の感情は抱いていないため、毎回はっきりと断っている。みんなから信頼されているしっかり者だが、信太と色恋沙汰の話を聞くと動揺し、うっかりミスをしてしまうなど、意外に繊細な一面もある。

田辺 彼方 (たなべ かなた)

かわいらしい幼稚園男児。田辺千里と亡夫である穂積とのあいだに生まれた一人息子で、喫茶メモリーズで家族といっしょに暮らしている。元気いっぱいな明るい性格で、千里をはじめとする家族の愛情をたっぷり受けて健やかに育っている。家族や店の常連からは「カーくん」という愛称で呼ばれ、かわいがられている。お祭りの日に迷子になった際、平野信太に助けてもらい、チキンラーメンを作ってもらった。それがきっかけで信太のことが大好きになっており、信太について話す時は目が輝き、テンションも爆上げになる。

北花田 (きたはなだ)

大阪在住の会社員の男性。平野信太の上司で、大阪へ転勤してきた信太に大阪の街を案内していた。会社では営業部に所属している。少しおちゃらけたところがあるが、明るくて人情味のあふれるよき先輩。親睦を深めるために喫茶メモリーズに立ち寄り、結果的に信太の運命が変わるきっかけを作った恩人。面倒見がよく、関西圏の文化全般に不慣れな信太の面倒を見て、仕事面もしっかりと指導していた。自他共に認める無類の「だんじり」好きで、だんじり開催中はほとんど出社しない。そのため同僚からは、だんじり開催中の北花田はもう人間じゃないと、よくわからないジョークを飛ばされている。

泉尾 大正 (いずお はるまさ)

スカジャンを羽織った強面の男性。田辺千里の幼なじみ。言動は見た目どおり荒っぽく、初めて会った平野信太からは「ザ・大阪のヤンキー」だと思われていた。千里に思いを寄せており、喫茶メモリーズで千里と親し気に話をしていた信太に食って掛かり、千里のことを勝手に「ワシの女」と呼んでいた。しかし、千里からはただの幼なじみだと思われており、熱心なアプローチもすべて空振りに終わっている。千里をはじめとする親しい人からは、「マサ」という愛称で呼ばれている。感情表現がストレートで、何事にも直情的だが、根は決して悪い人間ではなく人情味もある。千里が幸せになることを心から願っている。千里が見合いをした時は、最初こそ強弁に反対していたが、見合い相手がまっとうな人間だと判明すると、見合いの成功を祈っていた。イタリアンスパゲッティを知らなかった恋敵の信太を「ナポリ」と呼んでバカにしている。猫に異常なほど好かれる体質で、猫がいる場所に行くと、次から次へと猫が群がってくる。

堺 浅香 (さかい あさか)

大阪在住の会社員の女性。平野信太の同期で、会社では総務部に所属している。明るくて世話好きな性格で、押しが強い美人。串カツ屋で飲んでいた際に信太と北花田に偶然会い、親交を深めることになった。信太のことは出会った当初からシュっとした東京の人であると認識し、なんとはなしに好感を持っていたが、実際に話したことでより一層の好意を抱くようになった。信太に思い人がいると知ったあとも、積極的にアプローチを続け、その過程で信太の好きな女性にも興味を抱くようになる。

田辺 和泉 (たなべ いずみ)

大阪のアーケード街にある喫茶店、喫茶メモリーズでおかみさんとして働いている中年女性。年齢は55歳。田辺千里の母親で、夫の田辺久太郎と力を合わせて、喫茶メモリーズを切り盛りしている。平野信太が千里目当てで毎日店に通っていることに気づいており、さらに千里の気持ちもなんとなく察している。そのため、千里に対し信太と付き合うように勧め、千里を動揺させていた。

田辺 久太郎 (たなべ きゅうたろう)

大阪のアーケード街にある喫茶店、喫茶メモリーズでマスターとして働いている料理上手な中年男性。髭がよく似合うナイスミドルで、年齢は58歳。田辺千里の父親で、妻の田辺和泉と力を合わせて、喫茶メモリーズを切り盛りしている。コーヒーに強いこだわりがあるため、コーヒーの注文があると必ず自分で入れている。

穂積 (ほづみ)

田辺千里の夫だった男性で故人。苗字は不詳。生前は千里と仲睦まじく暮らしており、今も千里の胸の奥に楽しい思い出を残している。千里とのあいだに一人息子の田辺彼方を授かったが、彼方が生まれてすぐに病死してしまう。

喫茶メモリーズの常連

喫茶メモリーズにほぼ毎日通い続けている三人組の中年女性。三人とも声が大きくパワフルで、おしゃべりが大好き。年齢は自称25歳。喫茶メモリーズを訪れたほかの客の会話にも自然に入ってくるなど、誰に対してもフレンドリーに接する。夫である穂積を亡くして実家へ戻ってきた田辺千里のことを心配し、お見合い話を持ってくるなど、かなりの世話好きでもある。平野信太が千里を目当てにして喫茶メモリーズに通っていることにすぐに気づき、二人の進展を傍から見守っていた。泉尾大正からは「オバハン三人組」と呼ばれている。

場所

喫茶メモリーズ (きっさめもりーず)

大阪のアーケード街にある喫茶店。マスターは田辺久太郎が務めており、妻の田辺和泉がおかみさん、一人娘の田辺千里がウエイトレスとして働く、昔ながらの家族経営の喫茶店。庶民の舌を満足させる素朴なメニューを用意しており、こだわりの味で多くの常連客をつかんでいる。久太郎の提案で常連を集めて数年前から「花見会」を開くなど、お客さんを大事にする地域密着型の経営をしている。

その他キーワード

レーコー

アイスコーヒーの別称で、「冷コーヒー」を略した表現。主に関西方面で使われる言葉で、喫茶メモリーズのメニューにも記載されていた。関東出身の平野信太はこのメニューの意味がわからず、平然とレーコーを注文する北花田の様子を見て、さらに困惑することになった。

バナナジュース

バナナと牛乳をミキサーで混ぜたミックスジュース。喫茶メモリーズに初めて入った平野信太が注文した。その際に喫茶メモリーズの常連から、バナナが昔は高級品であり、東京オリンピックを境に輸入制限が解かれ、徐々に庶民の食べ物になっていったことを教えられる。バナナジュースを飲んだ信太は、幼い頃に母親が作ってくれたバナナジュースの味を思い出す。

みょうがの味噌汁

具にみょうがを加えた味噌汁。気難しい相手がいる商談先に行く前に、どしゃぶりの雨に見舞われたうえ、足元がドブにはまるなど、さまざまなトラブルに見舞われた平野信太が、田辺千里に振る舞ってもらった一品。この出来事をきっかけに、千里は信太の名前を覚えることになった。

イタリアンスパゲッティ

ナポリタンの関西方面での呼び名。喫茶メモリーズのメニューにも記載されていた。イタリアンスパゲッティを知らなかった平野信太が、ナポリタンとの違いを田辺千里に聞き、それを知らなかった彼女を困惑させていた。そのことがきっかけとなり、泉尾大正は信太を「ナポリ」と呼んでバカにするようになる。千里と大正の大好物でもある。

イカ焼き

小麦粉の薄い生地にブツブツのイカを混ぜて焼いた大阪のジャンクフード。卵入りは「デラバン」、卵とポン酢つきは「デラポン」と呼ぶ。喫茶メモリーズの常連からイカ焼きの話を聞き、興味を抱いた平野信太が一人で食べに行った際に、偶然同じ店にいた田辺千里と食事をすることになった。

串カツ (くしかつ)

串に食材を刺して揚げたもの。大阪の串カツを食べたことがなかった平野信太が、北花田に連れられて串カツの店を訪れた際、偶然に同期の堺浅香と会うことになった。浅香が信太に好意を抱くきっかけとなる。

モツラーメン

具にモツを加えた辛目のラーメン。お見合いに出向いた田辺千里のことを密かに見守っていた泉尾大正と平野信太が、車を飛ばして食べに行っていた。その際、千里のことをあきらめようとしている大正に、信太は自分は決して千里をあきらめないことを伝えていた。

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