概要・あらすじ
正義感の強い武闘派女子・唐沢未来は、クラスメイトの神山陵に課題を代行させようとしていた不良を一蹴して追い払う。しかし、守ったはずの陵に喧嘩は良くないと諭され、また女の子なのだからもっと自分を大切にするように苦言を呈される。この一件から、陵のことを理解不能だと感じていた未来だったが、ある時、放課後にクラスメイトが始めたコックリさんをきっかけに霊に攻撃されたところを陵に助けられ、次第に彼のことが気になり始める。
亡くなった未来の兄・唐沢青治のことも知っている陵に時に不信感を抱いたりと、すれ違いも経験しながら、自分たちが前世からの恋仲であったことを知り、2人は惹かれ合うようになる。青治の親友で現在は教師を務めている聖真人や、未来と陵が前世で授かった子の子孫にあたる桜咲さくらと桜咲龍羽の姉弟も交え、未来の潜在能力を狙い次々と襲って来る霊たちとの戦いを経て、未来と陵はより絆を深めていく。
登場人物・キャラクター
唐沢 未来 (からさわ みく)
高校生の女子で、正義感が強い武闘派。髪は肩にかかるくらいに長めにしている。身長は159センチ。誕生日は1月1日。血液型はB型。幼い頃に亡くなった兄・唐沢青治が好きで、当時青治に「長い髪が似合う」と言われてから、ずっとロングヘアにこだわっている。料理が上手だが、それは早くに兄が亡くなったため何が起こるか分からないと痛感し、料理くらいはできるようになろうと思ったのがきっかけ。 照れ屋なため素直に好意を口にすることが苦手で、ストレートに好意を示す神山陵に想いを寄せつつもうまく応えることができずにいる。陵との水着デートの際には、周囲の異性の注目を集めたほどにスタイルは良いが、普段の服装はシンプル系で、また少々乱暴なこともあり学校の男子たちにはやや敬遠されている。 一方で、さっぱりした性格から同性には人気がある。前世は「未桜」という名の才色兼備の白拍子だった。
神山 陵 (かみやま りょう)
高校生の男子で、天然系のおっとりタイプ。ちょっと前髪が長めだがごく一般的な髪型で、眼鏡をかけている。身長は161センチ。誕生日は1月1日。血液型はO型。5歳の頃から同学年の唐沢未来に恋心を抱き続けている。神社の跡取り息子で、家に伝わる緋扇を駆使して除霊ができる。未来のことを心から愛しており、お互いの気持ちを確認しあってすぐに未来の親に挨拶に行こうとしたほど真面目で一途。 普段はおっとりして穏やかに振る舞っているが、未来のピンチには颯爽と駆けつけ、頼もしい一面を見せる。学校で心霊研究同好会に所属しているが部員数や活動内容は不明。前世は「嶺羽」という貴族の青年だった。
唐沢 青治 (からさわ せいじ)
唐沢未来と11歳違いの年の離れた兄で、未来が5歳の時に16歳で交通事故死した。髪は短めで爽やかな外見で、性格も朗らか。妹の未来を溺愛していた。10歳の時に、突然呪術師だった前世の箔晴としての記憶が蘇り、神山家を訪ね緋扇を借りて、前世の主君であった嶺羽の転生の儀を行った。この転生の儀によって、嶺羽の魂が神山陵として転生することとなった。 前世の記憶に目覚めてからは、未来のことを害意のある霊から守っており、死亡後も未来を見守っていた。だがその力もすでに薄れつつあり、霊媒のぬいぐるみを介して以後は陵に守ってもらうようにと未来に伝える。
聖 真人 (ひじり まさと)
唐沢未来や神山陵の通う高校の男性教師。担当教科は化学。未来が1年の時はクラスの副担任、2年に進級した際にはクラスの主担任となる。生前の唐沢青治とは友人だった。年齢は20代の半ばで、未来の母親が初対面でイケメンと口にするほどの整った容姿を持つ。一方で、自身も謙遜するでもなくそれをさらりと肯定するなど自信家で、上から目線の断定的な物言いをすることが多い。 試験管に詰めた液体を投げつけることで除霊をする能力を持つ。
桜咲 さくら (さくらざき さくら)
高校生の女子。髪型は長めのボブで、弟の桜咲龍羽とともに、京都から唐沢未来の通う高校に転入して来た。身長は153センチ、誕生日は4月5日、血液型はAB型。スイーツ好きで辛いものは苦手。お嬢様育ちで、生け花やお茶などの所作作法に秀でているが、料理は経験不足で不得手。嶺羽と未桜の子孫で、未桜の治癒の力と舞いを受け継いでいるが、その力は弱ってきている。 お抱えの術者の予言によって未来が未桜の生まれ変わりと知り、弟の龍羽と結婚させて一族の力を復活させようと未来に近づく。だが、未桜の力を狙う黒幕の謀略により、未来を守る神山陵を邪魔者と誤解し、会うなり陵に瀕死の重傷を負わせてしまう。のちに真実を知り、未来や陵と協力関係を築く。
桜咲 龍羽 (さくらざき りょうは)
高校生の男子。黒髪をセンター分けにし、クールな外見をしている。身長184センチ、誕生日は4月5日、血液型はA型。姉の桜咲さくらとともに、京都から唐沢未来の通う高校に転入して来た。嶺羽と未桜の子孫で、未桜の治癒の力と舞いを受け継いでいるが、その力は弱まってきている。家の存続を最優先に考えるように育てられてきたこともあり、自身の意志は押し殺してしまいがち。 未桜の生まれ変わりである未来を桜咲家に迎え入れ、子供を成すことで近年弱ってきた治癒の力を取り戻そうと、姉のさくらと共謀し強引に未来に迫った。その際、未来を守るために立ちはだかった神山陵が嶺羽の生まれ変わりであることに気づかず、瀕死の重傷を負わせてしまう。のちに真実を知り、未来や陵と協力関係を築く。
嶺羽 (りょうは)
平安時代の貴族の青年。真面目で誠実な人柄だが、身体が弱い。白拍子の未桜と恋仲になったが、嫉妬に狂った未桜の先輩の白拍子・祇夕に呪殺された。その間、たった数か月の蜜月だったが、未桜との間に子供を授かった。しかし、嶺羽自身はそうと知らずに亡くなり、神山陵として転生した後に、子孫の桜咲さくら、桜咲龍羽と出会ったことではじめて娘である美羽の存在を知ることとなった。
未桜 (みおう)
平安時代の若い女性。歌舞の上手な白拍子。貴族の嶺羽の寵愛を受けて恋仲になったが、3か月ほどで嫉妬に狂った先輩の白拍子・祇夕によって嶺羽が呪殺されてしまうこととなった。既に嶺羽との子を胎内に授かっていたが、嶺羽はそれを知ることなく他界したため、都を離れ田舎でひっそりと母子で暮らしていた。唐沢未来として転生した。
祇夕 (ぎゆう)
平安時代の若い女性で、歌舞の上手な白拍子だった。貴族の嶺羽の邸宅に囲われていた。祇夕自身が指導した未桜が主の嶺羽と恋仲になったことで、自身も嶺羽に好意を寄せていたことを自覚し嫉妬に狂った。嶺羽の命を狙う黒幕にそそのかされ、嫉妬心を煽られて魂を売り妖となってしまう。嶺羽を呪殺し、生まれ変わった後も未桜と惹かれ合うたびにお互いに災いが降りかかるようにと呪いを残した。 だがこの呪いは、2人の転生した姿である唐沢未来と神山陵により浄化された。
神山 優 (かみやま ゆう)
高校生の男子で、神山陵の双子の弟。起き抜けの唐沢未来が一瞬間違えてしまうほどに陵と似た顔立ちをしているが、黒髪の陵と違い神山優の髪は淡い茶色で、髪の左側をヘアピンで留めているのが特徴。何故か未来が1人でいる時に限って現れる。
麟夜 (りんや)
ぎりぎり束ねられるくらいの長さの黒髪を、適当に一つ括りにしたぼさぼさ頭の青年。唐沢未来の持つ力を狙い、蜘蛛や蛾を使役する力を駆使し、唐沢青治の霊を無理矢理従わせて攻撃を仕掛けてきた。柄の悪い口調で話し、他人を苦しめるのが好きな残虐な性格。
箔晴 (はくせい)
平安時代、嶺羽に仕えていた呪術師の青年。同じく嶺羽に仕えていた白拍子の祇夕が恋に破れた妬みから主君にかけた呪いを解くために力を尽くした。だが妖に魂を売った祇夕に返り討ちに遭い、主君の嶺羽より先に命を落とした。神山陵の先祖に当たる人物であり、現世では唐沢青治として転生を果たした。
時雨 (しぐれ)
平安時代、嶺羽の異母兄弟だった貴族の青年。現世に転生していることは間違いないようだが、詳細は不明。唐沢未来の持つ未桜の力を狙う黒幕で、白拍子の祇夕や蜘蛛や霊を使役する麟夜をけしかけた張本人である。
美羽 (みう)
嶺羽と未桜の娘。未桜の胎内に宿った時には嶺羽は呪殺されてしまったため、身分違いの未桜は都を離れて母子で慎ましやかに暮らしていた。父親が身分のある人だと知らされずに育ち、日々の食事にも窮する質素な生活をしていたが、嶺羽の異母兄弟の時雨の捜索によって未桜が再び都に召された際、ともに付いて行った。
その他キーワード
緋扇 (ひせん)
神山家に少なくとも神山陵の父親の先代から伝わっている扇。術を使う際の媒体となる。神山の家系のものは自然界に溢れる八百万(やおよろず)の神の力を借りる能力を持っており、例えば水たまりがある場では水の神の力を借りて使役することができる。ただし、何もない場所から火を出現させる場合は、その場に火の神を呼び寄せる能力が必要で、陵は父親にこの緋扇を使って厳しく修行を課されたことで、その能力を短期間で身につけるに至った。 他にも、作中で唐沢青治が緋扇を借りて転生の儀を行うなど、絶大な力が秘められている。なお、古くなったり壊れてしまった場合は、その都度陵が木の神の力を借りて修復している。
書誌情報
あやかし緋扇 12巻 小学館〈フラワーコミックス〉
第1巻
(2011-09-26発行、 978-4091340504)
第2巻
(2011-09-26発行、 978-4091340535)
第3巻
(2012-01-26発行、 978-4091342690)
第4巻
(2012-04-26発行、 978-4091345158)
第5巻
(2012-07-26発行、 978-4091346285)
第6巻
(2012-10-26発行、 978-4091347091)
第7巻
(2012-12-26発行、 978-4091347497)
第8巻
(2013-03-26発行、 978-4091348746)
第9巻
(2013-06-26発行、 978-4091351906)
第10巻
(2013-09-26発行、 978-4091354150)
第11巻
(2013-11-26発行、 978-4091356420)
第12巻
(2014-03-26発行、 978-4091357847)