概要・あらすじ
天狗の父と人間の母との間に生まれた刑部秋姫は、群青高校に通う女子高生。人よりも力持ちであることを除けば、同じ中学出身の同級生・神谷武のことが気になる普通の女の子。幼馴染みでお目付役でもある眷属見習いの次郎坊こと榎本瞬や、クラスメイトの松中緑らとともに、充実したスクールライフを目指して、奮闘する日々であった。
登場人物・キャラクター
刑部 秋姫 (おさかべ あきひめ)
群青高校の一年生。天狗と人とのハーフで、父は緑峰山康徳神社の僧正天狗・康徳坊、母は普通の人間の刑部春菜。天狗としての名は緑峰山太郎坊秋姫。「太郎坊」と呼ばれることもある。天狗としての資質はあるが、必要な修行をしていないため、トラックを持ち上げられるほどの怪力を持つ以外は、特別な術などは使えない。 母親と暮らしており、週に一度、父に会いに康徳神社に行く。緑峰中学から群青高校へと進学した。中学生の頃から同級生・神谷武のことが気になっており、高校入学を期に告白。つきあうこととなる。
榎本 瞬 (えのもと しゅん)
人間だが緑峰山で天狗になるための修行をしている。天狗としての名は緑峰山次郎坊瞬。「次郎坊」とも呼ばれる。赤ん坊の時、緑峰山のふもとに捨てられていたのを、康徳坊に拾われた。刑部秋姫とは乳兄弟の関係でもあり、幼馴染みである。天狗修行のため学校には行っていなかったが、刑部秋姫の護衛の意味もあって、同じ群青高校に通うこととなった。 幼少の時から見る不思議な夢のことを気にしている。
神谷 武 (かみや たける)
群青高校一年生。刑部秋姫のクラスメイト。実家は大工で、祖先は康徳神社を建てた名工。手先が非常に器用で、仏像や面を作るのが得意。彼の作ったものには何かが宿るとも言われている。子供の頃から刑部秋姫に対して普通の子と同じように接していた。気さくで優しく女子からの人気も高いが、本人は秘かに女の子に頼られるような強い男になりたいと思っている。 休みの日にホームセンターに行くことが趣味。
松中 緑 (まつなか みどり)
群青高校一年生。刑部秋姫のクラスメイト。祖父は緑峰町の町長。小さい頃、「町長の孫」と言われるのが嫌で、同じように「天狗の娘」と言われるのを嫌がっていた刑部秋姫と仲良くなり、以来、親友となっている。榎本瞬や眷属見習いとも仲が良い。眼鏡をかけたクールで物静かな性格で、怪しい本が好き。 子供の頃、同じピアノ教室に通っていた1つ年上の毛利紫に淡い思いを寄せていたが、高校に入って再会したことで思いが深まっていく。
金田一 麗華 (きんだいち れいか)
群青高校一年生。刑部秋姫のクラスメイト。出身は赤飯中学。はじめは天狗を信奉する緑峰中学出身者を馬鹿にした態度をとっていたが、宿泊研修での出来事をきっかけに仲良くなる。男っぽい性格で何かと頼りになる存在。自分自身は恋愛とは無縁と思っていたが、同じ高校の猫町のことが少しずつ気になっていく。
赤沢 千洋 (あかざわ ちひろ)
群青高校一年生。刑部秋姫の中学時代からの友人。黒髪ロングの美少女で、刑部秋姫からは「恋愛隊長」と呼ばれたりもする。実家の化粧品店を建て直すべく、堅実な人生設計を立てていたが、ふとしたきっかけで知り合った眷属見習い・三郎坊に図らずも惹かれていく。
毛利 紫 (もうり ゆかり)
群青高校生徒会長。気さくで明るく、人なつっこい性格。誰に対してもフレンドリーで、出会ってすぐに仲良くなれる。生徒会長としての人望も厚い。小さい頃、松中緑と同じピアノ教室に通っていた。
康徳坊 (こうとくぼう)
緑峰山の僧正天狗。刑部秋姫の父親。夏祭りの夜に刑部春菜と出会って恋仲となり、子をもうける。当初、子どもは引き取って山で育てるつもりでいたが、母親の刑部春菜の反対にあって断念。緑峰山で母娘を見守ることとなる。妻・春菜にベタ惚れで、お気に入りのスイーツをお土産に刑部家を訪ねることを楽しみにしている。 娘・刑部秋姫も溺愛しており、何かと世話を焼きたがる。元は破戒僧だったが修行の末、天狗となった。町の人からも信奉されている。
刑部 春菜 (おさかべ はるな)
刑部秋姫の母親。年上の男性が好みで、夏祭りの夜、450歳年上の康徳坊と出会って恋に落ち、刑部秋姫を産む。子どもは康徳坊に渡す約束だったが、母性本能に目覚め、自分で育てることとなった。また、康徳坊に拾われた瞬も我が子同然に育ててきた。
烏丸 紅葉 (からすま もみじ)
鞍馬山の伝説的な烏天狗・鞍馬山僧正坊の娘。天狗としての名前は鞍馬山三十八郎坊紅葉。群青高校に転校してきて、刑部秋姫の同級生となる。優秀な天狗であり、人間的にも良くできた人物のため、学校内での人気も高い。また、烏天狗に憧れる瞬とは話も合う。当初、刑部秋姫は彼女に苦手意識を持ち、瞬との間柄を気にしていたが、紅葉自身は刑部秋姫の良き理解者となっている。
蘇我 栄介 (そが えいすけ)
西の名門・石槌山の天狗。天狗としての名は石槌山五郎坊栄介。刑部秋姫よりも1つ年下。刑部秋姫の許婚の話があったが、康徳坊が握りつぶしていた。高校生になると、群青高校の一年生として入学してきた。烏丸紅葉に気がある様子を見せる。「福山」という名のフクロウの眷属神がいつもお供している。
須賀 うらら (すが うらら)
古墳沼高校2年生。平城京で鬼となった没落貴族の末裔。神谷武に興味を持ち、群青高校の学園祭に侵入。その際、刑部秋姫を術で学校内に閉じ込め、はりぼての人形を暴れさせるなどの騒動を起こした。後に、修学旅行で奈良に来た刑部秋姫たちと再会する。
眷属見習い (けんぞくみならい)
緑峰山において神の守護やお使いをする眷属になるために修行をしている動物たち。山にいる時は動物の姿をしているが、町に出る時や人間に会う時は、若い男の姿に変化する。それぞれ、三郎坊が狐、四郎坊が狸、五郎坊が兎、六郎坊が猿、七郎坊が鶏、八郎坊が猪、九郎坊が鹿、十郎坊がマレーバクの眷属となっている。
場所
康徳神社 (こうとくじんじゃ)
康徳坊が治めている緑峰山にある神社。普通の人間は立ち入ることができない禁足地となっている。まだ天狗になりきれていない榎本瞬も神社にいる時はお面を外すことができない。神谷武の祖先の大工が建立した。
書誌情報
町でうわさの天狗の子 12巻 小学館〈フラワーコミックス α〉
第1巻
(2007-12-21発行、 978-4091313935)
第2巻
(2008-07-10発行、 978-4091316929)
第3巻
(2009-01-09発行、 978-4091322586)
第4巻
(2009-06-10発行、 978-4091325181)
第5巻
(2009-11-10発行、 978-4091328199)
第6巻
(2010-04-09発行、 978-4091331786)
第7巻
(2010-10-08発行、 978-4091334589)
第8巻
(2011-06-10発行、 978-4091338235)
第9巻
(2012-04-10発行、 978-4091344632)
第10巻
(2012-12-10発行、 978-4091347961)
第11巻
(2013-07-10発行、 978-4091354600)
第12巻
(2014-01-10発行、 978-4091357380)