いつかのメイン

いつかのメイン

浅草の暴走族の少年がハワイへと留学し、広い世界の中で自分が何ができるかという事を探す過程で、不良同士のケンカや留学生同士の友情、家族愛などさまざまなテーマを描くヤンキー漫画。物語序盤は東京・浅草を舞台とした暴走族同士の抗争が中心だが、中盤以降は留学先のハワイが主な舞台となり、途中からストーリーの流れが大きく変わる。「週刊ヤングジャンプ」1994年35号から1996年34号にかけて連載された作品。

正式名称
いつかのメイン
ふりがな
いつかのめいん
作者
ジャンル
不良・ヤンキー
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あらすじ

雷少年・天太(第1巻~第2巻)

浅草の暴走族「雷少年」のメンバーである観音寺天太は、敵対する暴走族「写楽」の頭である緑征史を偶然倒した事でら不良たちの標的となった。その場に居合わせた「雷少年」の特攻隊長・貴品は、天太の心意気に打たれ親友となってくれるよう願い出る。こうして天太は貴品と共に「雷少年」で名を上げていく事となるが、その一方で高校を入学初日に退学になってしまう。そんな天太に母親の観音寺信子は、ハワイ留学を勧めるのだった。そんな中、天太は幼なじみの城千秋と再会する。千秋は東京制圧を目論む千葉県の暴走族「百鬼夜行」の総長であり、東京都の暴走族である「雷少年」はその標的となっていた。千秋と図らずも敵対する事になった天太だったが、「百鬼夜行」の元特攻隊長である羽賀から、東京制圧は「百鬼夜行」の中央幹部たちの独断である事を知らされる。こうして天太は千秋と手を組み、東京に侵攻して来た「百鬼夜行」の中央幹部たちを撃退。そして千秋は、その場で「百鬼夜行」の解散を宣言する。

愚連隊・死蝋会(第3巻~第4巻)

ハワイ留学を目前に控え、観音寺天太は「雷少年」のメンバーから壮行会を開いてもらう事となった。そんなある日、天太の幼なじみである夏樹は敵対するレディースに因縁をつけられ、そのバックにいる愚連隊「死蝋会」と対立する。そして壮行会当日、「雷少年」は「死蝋会」の襲撃を受けて壊滅させられてしまう。天太は復讐のため「死蝋会」に戦いを挑むが、恐るべき強さを誇る「死蝋会」の幹部に苦戦を強いられる。そこへ貴品羽賀城千秋が加勢に現われ、彼らの助けを得て天太は「死蝋会」を撃破するのだった。だが、そこへ「死蝋会」の総帥・凪真が登場。羽賀と千秋は凪に敗れ、重傷を負ってしまう。かつて夏樹と付き合っていた凪は、天太の前から夏樹を連れ去る。それを追って凪のいるマンションへと乗り込んだ天太は、凪とのタイマン勝負に勝利。この勝負を通じて凪は自分自身を改めて見つめ直す事を決意し、天太達の前から姿を消すのだった。そして天太は、仲間に見送られてハワイへと旅立つ。

ハワイ留学と新たな仲間(第5巻~第6巻)

ハワイへとやって来た観音寺天太は、叔父夫妻の家にホームステイしながら英語学校に通い始めた。そこで出会った菱木純の紹介で天太は一人暮らしを始め、さらに学校で同じく日本人の柳生竜二ミウと知り合う。純と共にサーフィンをしたり、ミウとデートしたり、さらには暴走族を旗揚げしようとするなど天太のハワイ生活は少しずつ充実していく。

そんなある日、天太は竜二の正体がヤクザである事を知る。折しも純の前にもかつての恋人であるサキが現れる。サキの現在の恋人であるナオミは、ミウを純の恋人と誤解しドラッグパーティへと連れ去る。それを知った天太と純はパーティ会場に突入、激闘の末に天太はミウを助け出し、純もまたサキに改めて自身の気持ちを伝えるのだった。一方、竜二の前には敵対する組織から刺客が送り込まれていた。死闘の果てに竜二は刺客を退けるが、彼は自身のハワイでの生活が終わりに近づいている事を悟るのだった。

いつかメインランドへ(第7巻~第8巻)

菱木純に連れられ、ハワイのカイルアビーチへとやって来た観音寺天太は、ハワイは日本でもアメリカでもない、一つの島にすぎない事を純に教えられる。そして純は天太に、いつの日かアメリカ大陸「メインランド」を目指すと告げるのだった。それからしばらく後、純とサーフィンの途中に肩を負傷し運び込まれた病院で、天太はミウのホームステイ先のホストであるビリーと知り合う。実はビリーはミウに対して歪んだ愛情を抱いており、ついには彼女をレイプしてしまう。その事を知った天太は、純や柳生竜二の助けを借りてビリーのもとからミウを連れ出し、二人で暮らし始める。しかし、ミウは妊娠が発覚して両親と共に日本へと帰国し、竜二もまた自身の所属していた組織から連絡を受け、天太たちのもとを去っていく。そして、天太にも妹・観音寺玉世から、母親の観音寺信子が病気だという知らせが入る。

登場人物・キャラクター

観音寺 天太 (かんのんじ てんた)

浅草界隈で暮らす、江戸っ子を自認する少年。中学生の頃から暴走族「雷少年」に所属しており、緑征史をタイマンで倒した事から敵対する暴走族に狙われている。最初はケンカの腕前もなくハッタリだけで戦っていたが、のちにケンカの技術に目覚め、城千秋や凪真たちとの戦いを制していく。ハワイへの留学後は持ち前の明るさと前向きな性格から菱木純や柳生竜二らと交流し、いつの日かアメリカ大陸「メインランド」を目指すようになる。

観音寺 信子 (かんのんじ のぶこ)

観音寺天太の母親で、浅草で魚屋を営んでいる。天太には厳しく接するものの深く愛情を注いでおり、厳しさはその裏返しである。女性ながらケンカも強く、相手が子供であっても容赦はしない。早くに夫を亡くし、その後は女手一つで天太たちを育てて来た。実は末期のガンに冒されているが、周囲にはその事を微塵も感じさせない気丈な女性。

観音寺 玉世 (かんのんじ たまよ)

観音寺天太の小学生の妹。母親の観音寺信子に似てしっかり者で、乱暴な兄の天太を心配している。しかし、心の底では兄の事を信頼しており、素直に自分の思った事を話せるのは天太の前だけである。

貴品 (たかしな)

暴走族「雷少年」の特攻隊長を務める少年。自宅が金持ちでケンカも強いという理由から、観音寺天太からはなかば利用されている立場にあるが、貴品本人は友情に厚く、天太を「マブダチ」と見なし強い執着を持っている。そのため、天太の幼なじみである城千秋に嫉妬する事もある。

片山 由紀夫 (かたやま ゆきお)

暴走族「雷少年」の総長を務める男性。祭りをこよなく愛する粋な人物で、普段は大工として生計を立てている。ケンカの腕前は、浅草はもとより東京中にもその名が知れ渡っているほどの実力者。自分から名前を売るためのケンカを仕掛ける事はしないが、売られたケンカは必ず買う主義。

(じん)

暴走族「爆炎天使」の総長を務める男性。空手をベースとした格闘技の達人で、男気のある人物。片山由紀夫とは互角の実力を持つライバル同士。緑征史を倒した観音寺天太の噂を聞いてタイマン勝負を挑むが、そこで天太の心意気に触れ、彼に心酔するようになる。

城 千秋 (じょう ちあき)

千葉県の暴走族「百鬼夜行」総長を務める少年。小学校の頃まで浅草に住んでおり観音寺天太とは幼なじみ。天太の母親・観音寺信子を尊敬しており、幼い頃に信子にかけられた「強くなれ」という言葉を胸に空手を習い、千葉県では敵なしといわれるまでになった。東京制圧をめぐって一時天太と敵対するが後に友情を取り戻し、その後は共に強敵と戦っていく。

羽賀 (はが)

「百鬼夜行」の特攻隊長を務める男性で、「百鬼夜行」の創設メンバーの一人。のちに「百鬼夜行」の総長となる城千秋を「百鬼夜行」にスカウトした人物で、その後も千秋の事を気にかけていた。バイクのテクニックは千葉県最速といわれるほどであり、その技術から「韋駄天」の異名をとる。

緑 征史 (みどり せいじ)

暴走族「写楽」総長を務める男性。つねにシンナーを手放さないドラッグ中毒で、殺人以外のありとあらゆる犯罪に手を染めているとして、チーム内外から恐れられている。偶然とはいえ観音寺天太に敗れた事から、天太への復讐を目論む。

夏樹 (なつき)

観音寺天太の幼なじみで、浅草の市場で働いてる女性。また、レディース「弥勒」の総長として人望も厚い。かつて自分にはないものを持っている凪真と付き合っていた事もあったが、天太に惹かれ凪のもとを去る。天太がハワイに留学したあとは観音寺信子や観音寺玉世の面倒を見るなど世話好きな性格。

凪 真 (なぎ まこと)

愚連隊「死蝋会」の総帥を務める男性。赤ん坊のときコインロッカーに捨てられ、家族の愛情を知らずに育った。そのため、相手を傷つける事に何一つ罪悪感を感じておらず、「死蝋会」を率いているのもただ自分の虚しさを埋める事が目的だった。夏樹をめぐって観音寺天太と戦い、敗れたあとは彼の協力者となる。

菱木 純 (ひしき じゅん)

ハワイの留学先で観音寺天太が出会った青年で、年齢は天太よりも2歳年上。不倫と再婚を繰り返す母親から半ば捨てられる形でハワイへと留学し、天太が訪れる1年半ほど前からハワイで生活している。つねにキャップをかぶっており、趣味であるサーフィンはプロ級の腕前。

柳生 竜二 (やぎゅう りゅうじ)

ハワイの留学先で観音寺天太が出会った男性。つねに穏やかな微笑みを絶やさず、やや気が弱いような一面も見せるが実は凄腕のヤクザで、敵対する組織の組長を殺害した事から身を隠すためにハワイへと来ていた。友人として接してくれた菱木純や天太には、年齢が離れていながらも親愛の情を抱いている。

ミウ

ハワイの留学先で観音寺天太が出会った少女。日本にいた頃には女子高に通っていたが、周囲とうまくなじむ事ができず、銀行員だった父親の勧めでハワイへとやって来た。弁護士のビリーの家にホームステイしている。運動神経がよく、天真爛漫な性格だが心は繊細で、その気持ちを理解してくれた天太と惹かれあい同棲する事になる。

サキ

かつて菱木純の恋人だった女性。現在はナオミと付き合っているが、心の奥底にはまだ純に対しての想いが残っている。のちにナオミと別れ、純と復縁したあとはいっしょに暮らしている。観音寺天太とも彼の留学初日に学校で出会っている。

ナオミ

サキの恋人の男性。かつて菱木純とはよき友人だったが、自分にないものを持っている純に対して嫉妬心を抱き、純のもつすべてのものを奪い取る事を計画する。サキと付き合っているのも純の恋人だったからであり、それ以上の感情は特に持ち合わせていない。

ビリー

ミウのホームステイ先の男性。弁護士である事からかなりの社会的地位を持っており、周囲からも好人物として慕われているが、その実態は幼い少女に対して歪んだ愛情を抱えている。その正体を知ったミウは観音寺天太のもとへと身を寄せる。

集団・組織

雷少年 (かみなりしょうねん)

片山由紀夫が総長を務める暴走族。総長である片山の人柄もありチーム内の結束は固く、集会でも和気あいあいとした雰囲気が特徴。しかし、片山をはじめ所属するメンバーの実力が高い事から周囲からは一目置かれている。

写楽 (しゃらく)

緑征史が総長を務める暴走族。走りよりもケンカがメインのチームであるため敵対するチームも多く、同時に総長が危険人物の緑であるという事から、恐れられてもいる。敵対する暴走族との抗争においては、徹底的に相手チームを潰す事でも知られる。

百鬼夜行 (でびるらん)

城千秋が総長を務める暴走族。千葉県では名の通ったチームであり、かつて羽賀も特攻隊長として所属していた。比較的歴史の浅いチームながら、総長の千秋の戦闘能力と幹部の戦略から急速に勢力を拡大し、東京制圧を目標としている。

死蝋会 (しろうかい)

上野を本拠地とする愚連隊。総帥の凪真が暴力と恐怖によって統制をとっており、ヤクザですら道を開けるといわれるほど周囲からは恐れられている。メンバーは総帥である凪自らが選抜し、幹部は体のどこかに凪の手により傷がつけられている。

場所

メインランド

アメリカ大陸本土の事。ハワイに来た人はそのビーチでゆったりと時を過ごすが、ここはあくまでも一つの島で、アメリカ大陸本土への通過点に過ぎないという意味が込められている。ハワイのカイルアビーチで菱木純が観音寺天太にその名前を伝え、天太はいつか「メインランド」を目指す事を決意する。

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