あらすじ
第1巻
高校1年生の春名優羽は、誰もが認める美少女だが、幼なじみの和泉凛からいじめ抜かれたせいで、自分に自信が持てない性格に育ってしまった。凛は幼い頃から優羽の事が好きなのだが、素直になれず「ゴミ」呼ばわりし、未だにその関係が続いているのである。そんなある日、優羽は友人の坂下暦と出かける事になるが、凛から優羽は中学時代のジャージが一番似合うので、それを着て行けと言われる。優羽はそれに従うが、当日それを不憫に思った同級生が声を掛け、こんな格好をさせた人間はどうかしているし、明らかに嫌がらせだと伝える。優羽はこれにショックを受けるが、そこに凛が現れる。凛に嫌われてしまったのではないかと優羽は泣き出すが、凛はそんな優羽を抱きしめるのだった。そしてこの日から、二人の関係は変わり始める。優羽は自分に自信が持てないあまり言い出せなかったが、ずっと凛に思いを寄せていたのである。そこで優羽は、自分を変える事を決意。しかし優羽は、ただでさえ人気者の凛と藤蛍太の二人と親しいために嫉妬されており、クラスメイトに話し掛けても無視されていた。ある日、クラスメイト達の会話を盗み聞きした優羽は、自分は嫌われていると自覚して傷つくが、そこに現れて優羽のよさを話してくれたのは凛だった。これによって優羽とクラスメイトとの誤解も解け、優羽はますます凛への思いを深める。
第2巻
和泉凛は春名優羽が自分を嫌っていなかった事を知り、遠足で自分達の関係を変える決意をする。これを知った藤蛍太は協力を申し出て、いい雰囲気で遠足は進むが、そこで凛が女子に呼び出され、告白を受ける。これを聞いていた優羽は、凛が自分には恋人がいるという理由で彼女をふった事に驚く。しかも、その恋人とは優羽の事だった。まるで身に覚えのない優羽に対し、凛は自分が女子に人気があるため、優羽を恋人という事にしておいた方が都合がいいのだと語る。だがこれは噓で、凛はどのような手段を使っても優羽と恋人になりたかったのである。そうとは知らず、優羽は偽りの恋人関係を演じる事を了承。凛は優羽を騙した事を心苦しく思いながらも、彼女と恋人になれた事を喜ぶのだった。この時から凛は別人のように優しくなるが、優羽はこれを凛に気を遣わせているようで申し訳なく感じていた。そこで優羽は、やはり恋人の振りはできないと凛に謝罪するが、凛は応じずに突如優羽にキスをして去っていくのだった。後日、この行いを反省した凛は謝ろうとするが、優羽は凛を避け続ける。しかし体育の授業中、優羽が怪我をしたのをきっかけに、二人は仲直り。凛は元の態度に戻りつつも、自分をふった事を後悔させてやると宣言する。
第3巻
春名家のリフォームが始まり、春名優羽はこれが終わるまでの約1か月間、叔父の家で暮らす事になった。そんなある日、和泉凛は、自分が優羽の恋人なら、家が離れても送り迎えをするのにと告白する。一方の優羽は先日は申し訳なさから偽の恋人関係を解消してしまったが、自分はずっと前から凛の恋人になりたかった事を伝える。しかし凛は、偽の恋人関係だった時と同じ失敗を繰り返してしまうかもしれないと不安を感じ、なかなか返事ができずにいた。しかし、このままではいけないと感じた凛はついに告白し、とうとう二人は本当に付き合う事となる。その後リフォームも終了し、自宅に戻った優羽は、凛と楽しい夏休みを過ごす。そして2学期が始まり、優羽と凛はクラスメイト達から、文化祭の出し物で「白雪姫」の白雪姫と王子を演じてみないかと頼まれる。しかし、この申し出を凛は断り、結局二人は衣装係を務める事になる。そして文化祭当日、優羽は叔父の家で過ごしていた頃に知り合った男子高校生の佐伯和真と再会する。優羽を気に入っていた和真は、わざわざ彼女に会いに来たのである。和真は坂下暦に追い払われるが、この時、暦は和真が悪い人間ではない事に気づき、彼を意識するようになる。
第4巻
春名優羽はファミリーレストランで偶然出会った佐伯和真から、無理して和泉凛と付き合っていないかと心配されたが、決してそんな事はないと伝えた。優羽はこれでもう和真に会う事もないだろうと考えるが、成績が芳しくない優羽の家庭教師として和真がやって来る。そんな二人の再会を快く思わない凛は、翌日から勉強会に参加するようになり、この甲斐あって優羽の成績は上昇。テスト後、優羽は坂下暦と共に佐伯家へお礼に行く事にする。そこで二人は、冬休みに和真の親戚が経営するペンションに遊びに来ないかと誘われる。そして、暦の強い希望もあり、優羽達は凛と藤蛍太も交えた五人で出かけ、初日は近くの遊園地で遊ぶ事になる。ここで凛は、いいところをみんな和真に取られてしまった事に落ち込むが、その夜優羽に励まされ、二人はキスをするのだった。翌日は和真の妹の佐伯実花も合流するが、凛を気に入った実花は、積極的に凛にアプローチを始め、優羽と凛は、結局この日もあまりいっしょに過ごせずに終わってしまう。さらに帰り際、実花は優羽にライバル宣言をする。
第5巻
3学期になり、春名優羽は佐伯実花に和泉凛を取られてしまうのではと思うあまり、強い不安を感じていた。凛は、のんきにも嫉妬されている事を喜ぶが、予想以上に実花は本気だった。実花の通う白鳥中学校は小・中・高一貫校だったが、実花は凛の通う大鳥高校に進路を変更していたのである。そして、見事合格した実花は、さらに積極的に凛にアプローチするようになる。さらに実花は、勝手に凛を球技大会実行委員にして、いっしょに活動し始める。そんな実花に優羽はますます嫉妬するが、凛は嬉しさのあまり、優羽に意地悪をしてしまう。坂下暦と藤蛍太に注意されても凛は止まらず、もっと優羽を嫉妬させようという実花の提案に乗り、キスしている振りまでする。これを目撃した優羽はついに怒り、見かねた蛍太は凛を叱るのだった。これによって凛は、自分の欲望のために優羽だけではなく、実花まで利用して傷つけた事を自覚。反省した凛はまず実花に謝罪したうえではっきりとふるが、優羽とは話せないまま球技大会当日を迎えてしまう。そこで凛は優羽が突き指した事に気づいて声を掛けるが、ここで優羽は凛に話があると打ち明ける。別れ話かと凛は動揺し、週末の優羽の誕生日を素晴らしい日にするので、どうか考え直してほしいと伝える。
第6巻
春名優羽は、誕生日前日の土曜日に和泉凛と、誕生日の日曜日に友人グループ全員といっしょに過ごす事になった。そして土曜日、水族館デートに出かけた優羽と凛は楽しく過ごし、これからもずっといっしょにいたいという気持ちを伝え合う。翌日、誕生日を迎えた優羽は、凛、坂下暦、藤蛍太、佐伯和真、佐伯実花の五人にお祝いされる。しかし和真は、前日凛が優羽に贈ったものがあまりにも適当ではないかと感じ、それでも優羽は凛を好きだという事実に腹を立てていた。そんな和真を案じた暦は声を掛けるが、落ち込んだ和真は暦にキスをしようとする。激怒した暦は拒絶して走り去るが、二人を心配してやって来た優羽は、これを目撃してしまうのだった。これが原因で暦と和真は先に帰ってしまい、さらに実花が口を滑らせた事で、暦が和真に好意を寄せている事まで知れ渡り、誕生日パーティは終了する。その翌日、和真は暦に謝罪し、しばらく優羽達四人から距離を置くと伝える。しかし暦は、それでは余計気まずくなってしまうと、当面のあいだ自分と交際している振りをしてほしいと持ち掛ける。
第7巻
春名優羽は、坂下暦と佐伯和真の様子がおかしい事に気づき、二人が交際を始めた真相を尋ねた。そこで暦はすべてを打ち明け、暦と和真が偽の恋人関係を演じる必要はなくなってしまう。しかし和真は、もう少しこの関係を続けてみないかと提案。暦は和泉凛、藤蛍太、佐伯実花にも報告したうえで交際を続ける事にする。そして修学旅行が訪れ、優羽達の大鳥高校と和真の青南高校は、まったく同じ日程で京都へ出かける事になる。優羽、凛、蛍太の三人は暦に秘密で和真と会わせる事にする。そこで和真は暦に告白して、二人は付き合う事になるのだった。その夜、優羽がホテルで感動の余韻に浸っていると、凛が遊びに行こうと誘いに来て、二人は楽しい時間を過ごす。そして凛はホテルに戻ってから、今度は二人だけで旅行に行こうと告げるのだった。こうして修学旅行は終わり、凛はファミリーレストランでアルバイトを始める。しかしある日欠員が出てしまい、それを聞いた優羽は代役に志願する。
第8巻
春名優羽は、和泉凛の働くファミリーレストランで一日だけアルバイトをする事になったが、初めての仕事にミスを連発してしまう。それでも凛のサポートでどうにか一日を終えた優羽は安堵するが、翌日から凛の様子がおかしくなる。心配した優羽は凛の店を訪れ、アルバイトが終わるまで待つ事にするが、そこで凛と従業員が、これからしばらく凛が東京を離れるので、アルバイトを休まなくてはならないと話しているのを聞いてしまう。その理由は、自宅を離れて地方で働いている凛の母親の和泉涼子が倒れた事にあった。その日から凛はしばらく学校を休む事となる。しかし凛の滞在中、涼子はさらに体調を崩して検査入院する事になる。これによって凛は夏休みに入ってからも涼子のそばにいる事にし、二人を案じた優羽はたとえ数時間しか会えなくても、お見舞いに行く事を決意。こうして二人は久しぶりに会い、優羽の思いに触れた涼子は、自分が優羽の両親に事情を伝えるので、泊まっていくといいと伝える。翌日二人は涼子が建て直しを手伝った二田ガーデンスパで遊び、涼子の体調ももう問題ないという事で、二人仲よく東京に戻るのだった。
第9巻
2学期が始まり、大鳥高校では体育祭の準備が始まった。そんなある日、クラスメイトが恋人と初体験したという話を聞いた春名優羽と坂下暦は、自分達の恋人である和泉凛や佐伯和真との関係を意識してしまう。これを知った凛は優羽をからかい、そういった事は先延ばしになってしまっている旅行でしようと宣言する。迎えた体育祭当日、どうしてもやる気の出ない凛は、優羽にやる気の出る事を言ってほしいと頼む。それを聞いた優羽は、旅行では二人で同じ部屋に泊まってもいいと伝える。ところが、これを聞いた凛は逆に尻込みしてしまい、それは自分が借り物競争で1位を取れた時のご褒美にしてほしいと言ってしまう。これによって二人は必要以上に緊張したまま借り物競争を迎えるが、凛は見事1位を獲得。二人は3週間後に控えた旅行で、同じ部屋に泊まる事になる。そして旅行当日、二人は和泉涼子の力を借りて山奥のコテージに泊まる事になる。そしてその夜、凛は優羽に自宅の鍵をプレゼントする。一人暮らしである凛は現在の暮らしに不安を感じており、困った時は優羽に来て助けてほしいのだという。優羽はこれに感激し、二人はついに初めての夜を過ごす。
第10巻
春名優羽と和泉凛は、コテージで一夜を過ごしたが、途中で優羽が気絶した事により、初体験は失敗に終わる。それでも一生の思い出ができた二人は楽しく帰宅するが、優羽の母親に二人だけで旅行に行った事がばれてしまう。これを知った凛は、これから自分達は結婚するまで一切やましい事はしないので、信じてほしいと謝罪する。いよいよ受験シーズンが近づくが、凛は佐伯和真や藤蛍太に比べ、自分は将来の事をまるで考えていない事に気づく。そこで凛はアルバイトをやめて受験勉強に専念し、進学校に通う和真に負けないほどの結果を出そうと決意する。しかし、そうとは知らない優羽は凛とすれ違う事となり、淋しい思いをするのだった。後日優羽は、凛が国公立大学への主席入学を目指すと聞き、応援する事になる。しかし優羽は、将来に向けて進み出している友人達に対し、特に自分には目標がない事に疑問を抱いていた。そこで優羽は、凛のよい妻を目指すために栄養士になる事を決意し、受験勉強を始める。しかしその直後、父親の異動が決まり、引っ越しの話が出る事となる。
第11巻
春名優羽は、両親と和泉凛と話し合った結果、高校卒業まで凛の自宅で暮らす事になった。そして楽しい1年はあっという間に過ぎ、優羽達は卒業する事になる。さらにそれから4年後、優羽と凛はついに結婚式を挙げる事になる。しかし当日坂下暦は、幸せそうな優羽と凛、藤蛍太と大倉るりに対し、自分と佐伯和真は多忙で満足に会う事もできず、そのうえ自分の素直じゃない態度が原因で距離ができている事に悩んでいた。そんな暦に、和真は自分の名前だけ記入した婚姻届けを渡す。これは、2年後に国家試験に受かったら、結婚しようという和真の偽りのない気持ちだった。感激した暦は、2年後には絶対結婚して、新居は優羽と凛の家のとなりの家にしようと誓うのだった。
スピンオフ
本作『ういらぶ。 -初々しい恋のおはなし-』のスピンオフ作品として、佐伯実花を主人公に据えた『花とモンキー』がある。これは、高校3年生に成長した実花が、クラスメイトの、サルのようと評されている男子の尾田友樹と恋をする物語となっている。こちらは「Sho-Comi2017年第18号から2017年第20号にかけて連載された作品で、『ういらぶ。 -初々しい恋のおはなし-』の11巻に収録されている。
メディアミックス
実写映画
2018年11月、本作『ういらぶ。 -初々しい恋のおはなし-』の実写映画版が公開された。監督は佐藤祐市、脚本は高橋ナツコが務め、春名優羽役を桜井日奈子、和泉凛役をKing&Princeの平野紫耀が演じている。
小説
2018年10月、本作『ういらぶ。 -初々しい恋のおはなし-』の実写映画版公開に合わせて、2種類の映画ノベライズ小説が刊行された。1冊目は星森ゆきもの原作を高橋ナツコが脚本化したものを、豊田美加がノベライズし、小学館文庫から刊行されたもの。2冊目は、星森ゆきもの原作を高橋ナツコが脚本化したものを、宮沢みゆきがノベライズし、小学館ジュニア文庫から刊行されたものである。
登場人物・キャラクター
春名 優羽 (はるな ゆう)
大鳥高校1年B組に在籍する女子。のちに2年B組に進級する。和泉凛、坂下暦、藤蛍太とは、同じマンションの同じフロアに住む幼なじみで、春名家は303号室にある。眉の下で切り揃えたラウンド前髪で、胸の下まで伸ばした茶色のロングヘアにしている。たれ目で唇が厚く、やや小柄な体型。誰もが認める美少女だが、幼なじみの凛に、幼い頃から春名優羽はなにもできない、ダメな「ゴミ」に等しい人間であると言われ続けた事によって、極端に自分に自信の持てない性格になってしまっている。実際に凛の言う通りドジで失敗が多いため、ますます自分を嫌いになってしまうという悪循環が起きている。加えてあがり症で、幼い頃から親しい凛達以外にはまともに挨拶もできないため、周囲からは感じの悪い女性だと誤解されている。ずっと凛に思いを寄せていたものの、自分のような女性は凛にふさわしくないと、思いを伝えられずにいた。しかし高校1年生の春、自分を変えるために一念発起。少しずつだが周囲とコミュニケーションを取れるようになり、おしゃれにも関心を持ち始め、苦手だった料理も克服し、人間的に成長していく。緊張すると、両手で髪の毛を握ってしまう。美容室には怖くて行けず、暦に切ってもらっているため、いつも希望よりも前髪を短くされ過ぎて、困っている。
和泉 凛 (いずみ りん)
大鳥高校1年B組に在籍する男子。のちに2年A組に進級する。春名優羽、坂下暦、藤蛍太とは、同じマンションの同じフロアに住む幼なじみで、和泉家は304号室にある。前髪を目が隠れるほど伸ばした、黒の癖のある短髪。釣り目で、背が高く、細めの体型をしており、耳にはピアスを付けている。非常に美形で、何事もそつなくこなす事から、女子からの人気が非常に高い。しかし実際は、あまのじゃくな性格で、思った事を素直に表現できない。また、独占欲と執着心が強く、子供の頃から思いを寄せている優羽に対し、歪んだ愛情を抱いている。そのため、実際は誰もが認める美少女である優羽に対して、子供の頃から貶める発言を繰り返し、彼女を極端に自信のない人間にしてしまった。高校1年生でもその関係は変わっておらず、長らく自分は優羽に嫌われているのだと思い込んでいた。しかし高校1年生の春、そうではなかった事を知り、優羽と恋人になれるようアプローチを始める。これによって優羽との関係は少しずつ改善されていき、和泉凛自身も人間的に成長していく。その結果、少しずつ優しさを表現できるようになるが、優羽を独占したいあまり極端な行動に出るところはあまり変わっていない。両親は長期出張で家におらず、一人で生活している。そのため、家事全般は得意。好きな食べ物はカレー。
坂下 暦 (さかした こよみ)
大鳥高校1年B組に在籍する女子。のちに2年A組に進級する。春名優羽、和泉凛、藤蛍太とは、同じマンションの同じフロアに住む幼なじみで、坂下家は305号室にある。前髪を目が隠れないように右寄りの位置で斜めに分け、肩につくほどまで伸ばしたセミロングヘアにしている。明るい性格のしっかり者だが、肝心な時に素直になれない自分に悩んでいる。優羽の唯一の同性の友人として彼女を溺愛しており、優羽に意地悪をしがちな凛には容赦がない。誤解されて孤立しがちな優羽の事をつねに案じており、高校1年生の秋、佐伯和真にちょっかいをかけられていた優羽を助けた。しかし、すぐさま和真が悪い男性ではない事に気づき、彼を意識するようになる。その後、和真が優羽に思いを寄せている事を知りながら和真に片思いするようになる。しかし高校2年生の春、周囲に自分の気持ちを知られてしまったのを機に、友人達に気を遣わせないためにも、しばらく和真と偽の恋人関係を演じる事を提案する。だが、これがきっかけで和真が自分の思いに気づく事となり、正式な交際に発展した。薬剤師を目指しており、高校卒業後は医療系の大学に進学する。
藤 蛍太 (ふじ けいた)
大鳥高校1年B組に在籍する男子。のちに2年B組に進級する。春名優羽、和泉凛、坂下暦とは、同じマンションの同じフロアに住む幼なじみで、藤家は306号室にある。前髪を目が隠れそうなほど伸ばしたショートボブヘアにしている。高校1年生の冬、佐伯実花にヘアアクセサリーをプレゼントされてからはこれを気に入り、アクセサリーで前髪の左側を上げた髪型に変えた。背が高く、細めの体型をしている。落ち着いた面倒見のいい性格で、大倉るりには、まるで母親のように面倒を見てくれる存在であるという意味で「オカン君」と呼ばれている。そのため、子供の頃から続く凛の恋愛相談に辟易しつつも、いつも話を聞いている。恋愛には関心がなく、高校2年生の春、実花に思いを寄せられるようになっても特に応えず、周囲の恋愛模様を見守るだけにとどまっていた。しかし高校2年生の夏休み、塾で出会ったるりに関心を抱き、いっしょに過ごすうちに思いを寄せるようになっていく。その後、るりがオーストラリアに引っ越す事を知って一度はあきらめようとするが、優羽達に背中を押されて告白し、遠距離恋愛を始めた。高校卒業後は自分の学力に適した、成績次第で留学もできる大学に進学した。
佐伯 和真 (さえき かずま)
青南高校に通う1年生の男子。佐伯実花の兄。前髪を目が隠れるほど伸ばした、黄土色のウルフカットヘアにしている。背が高く、細めの体型。一見チャラチャラとした印象だが、実際は親切で、周囲に気を遣う心優しい性格をしている。また非常に成績優秀で、勉強を教えるのもうまい。春名優羽と和泉凛とは、高校1年生の夏、優羽が自宅のリフォームのため、一時的に叔父の家で暮らしていた際に知り合った。優羽を非常に気に入り、高校1年生の秋、大鳥高校の文化祭で再会し、坂下暦とも知り合った。しかしこの時、あまりにも優羽に対して横暴な凛の態度に疑問を抱く。そこで、優羽が無理して凛と交際しているのではないかと案じるうち、優羽に本気で思いを寄せるようになっていく。だが、高校2年生の春、優羽はたとえ凛からどのような扱いを受けていても、変わらず凛が好きな事を理解。そんな中、実花の失言により、暦が自分の事を好きらしい事が周囲に知れ渡ってしまう。これを機に、気まずい空気を払拭するため優羽達から距離を置き、しばらく暦と偽の恋人関係を演じる事になる。しかし、そのうちに暦への思いに気づき、高校2年生の修学旅行の時から正式に交際を始めた。家は代々医師の家系で、高校卒業後は医師を目指して医科大学に進学する。
佐伯 実花 (さえき みか)
白鳥中学校に通う3年生の女子。のちに大鳥高校に進学して1年A組に在籍する。佐伯和真の妹でもある。前髪を目の上で切り、巻いたセミロングヘアを頭の高い位置で結んだツインテールにしている。小柄な体型でかわいらしい顔立ちをしており、美意識が高く、ややメイクが濃い。思った事をはっきりと言う性格で、行動力がある。そのため、周囲のムードメーカー的な存在だが、うっかり口を滑らせて失言する事も多い。春名優羽とは、優羽達が和真に誘われて旅行に出かけた際に知り合った。この時、和泉凛を気に入って思いを寄せるようになり、彼に近づくため、受験勉強の必要ない小・中・高一貫校を蹴って、大鳥高校を受験した。大鳥高校入学後は、強引なアプローチで凛に近づこうとするが、優羽を嫉妬させるために、凛をキスしている振りをしようとするなど、度を越した意地悪をしてしまう。これによってついに優羽を怒らせてしまい、凛からもふられてしまった。その後、慰めてくれた藤蛍太に思いを寄せるようになるが、蛍太が大倉るりを好きになった事で身を引いた。男性に対する理想は非常に高く、年上の男性が好きだと公言していたが、思い人とはなかなか交際に至らなかった。しかし高校3年生の時、同級生の尾田友樹と交際を始める。
和泉 涼子 (いずみ りょうこ)
再生コンサルタントをしている中年の女性。和泉凛の母親。前髪を顎の下まで長く伸ばして真ん中で分けて額を見せ、胸の高さまで伸ばしたロングヘアにしている。釣り目で、細めの体型をしている。「立て直しの女王」と呼ばれるほどの優秀な再生コンサルタントで、経営危機に陥った商業施設などを救うため、全国を飛び回っている。そのため自宅にはほとんどおらず、凛には放任放置で育ったと感じさせていた。そのため、あまり親子仲はよくない。凛が高校2年生の夏、激務がたたって体調を崩して倒れてしまい、急きょ会いに来た凛と再会するが、関係の修復はできずにいた。しかし、そこへ心配した春名優羽がお見舞いに来た事で、凛の態度も軟化。少し凛との関係を改善したのち、凛に自宅へ戻るように命じた。
大倉 るり (おおくら るり)
大倉高校に通う3年生の女子。春名優羽達が高校2年生になってから知り合ったため、彼らより学年は一つ上。祖母がオーストラリア人の、クオーターでもある。前髪を顎の高さまで長く伸ばして真ん中で分けて額を見せ、顎の高さまで伸ばしたボブヘアにしている。左目尻に、ほくろが一つある。背が高くすらっとした体型。飄々とした性格で、明るく親しみやすい。周囲にはいい加減な女性と誤解されやすいが、大倉るり本人はこれをまったく気にしていない。しかし実際は、周囲の事によく気がつく、しっかりしたタイプである。藤蛍太とは高校3年生の夏、同じ塾に通っていた事がきっかけで出会い、親しくなる。また夏休み明けに、優羽と坂下暦に道案内した事で知り合い、なかよくなった。その後、体育祭の準備を通じて蛍太とさらに親しくなるが、祖母が体調を崩したため高校卒業を待たずに2学期が終わり次第、オーストラリアに引っ越す事になってしまう。そのため、蛍太との関係も終わりかに思えたが、引っ越し当日に蛍太が告白した事で交際を始めた。動物が大好きで、将来はオーストラリアの動物保護団体に入って働きたいと考えている。
書誌情報
ういらぶ。ー初々しい恋のおはなしー 11巻 小学館〈フラワーコミックス〉
第1巻
(2015-08-26発行、 978-4091375551)
第2巻
(2015-11-26発行、 978-4091378453)
第3巻
(2016-02-26発行、 978-4091382481)
第4巻
(2016-05-26発行、 978-4091384294)
第5巻
(2016-08-26発行、 978-4091385109)
第6巻
(2016-11-25発行、 978-4091387493)
第7巻
(2017-02-24発行、 978-4091391544)
第8巻
(2017-05-26発行、 978-4091393647)
第9巻
(2017-08-25発行、 978-4091395177)
第10巻
(2017-11-10発行、 978-4091397508)
第11巻
(2018-10-10発行、 978-4098702862)