おもいでだま

おもいでだま

『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』で知られる荒井ママレの初単行本化作品。1話完結形式が基本。舞台は現代の日本で、大事な想い出を保存したり、トラウマを取り出したりできる「メモリー・セーブ・キャンディー」を購入する、様々な人々の姿を描いたSF人間ドラマ。小学館「月刊!スピリッツ」2011年11月号から2013年10月号まで連載。

正式名称
おもいでだま
ふりがな
おもいでだま
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
ヒューマンドラマ
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
全4巻完結
関連商品
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記憶が保存できるキャンディー

本作に登場する重要なアイテムが「メモリー・セーブ・キャンディー(MSC)」である。MSC社が開発したキャンディー型のメディアで、記憶の出し入れを行う時に使用される。記憶の取り出しはMSC社のみで行われ、一つの記憶に対する費用は10万円。まず頭部にセンサーをつけ、脳の電気信号をコンピュータが解析して模倣する。次に外部から特定の記憶を探し出してMSCにコピーし、記憶が固定されていた場所には空の情報を上書きする。最後に、記憶があった場所とMSCに同じ「しるし」をつけてリンクを作成することで、MSCを摂取すると記憶が戻るようになる仕組みである。長い時間が経過したトラウマなどは完全に取り除けないこともあるが、その時の強い感情は切り離されあやふやな記憶となる。また、他人のMSCを摂取することで、その人の記憶を見ることは可能、だが感情までは追体験できないという特徴がある。

「記憶」を巡るSFヒューマンドラマ

本作は、1話完結形式を基本に、老若男女様々な人間が記憶を巡って繰り広げるSFヒューマンドラマである。例えば第1話の主人公である大学生の太一は、3年前に童貞であることを彼女にバカにされた記憶があり、そのトラウマを取り除くためにMSC社を訪れる。想い出を捨て、改めて元カノを訪ねる太一だったが、彼女の反応は予想とは違っていた。また、死を間近に控えた大富豪の老人は三人の息子に資産を遺すが、資産の名義変更に必要な情報を、100個のMSCの中に隠してしまう。息子たちは、遺産を相続するために父親の記憶がコピーされたMSCを次々と口から摂取することになる。

MSCの闇に迫るサスペンスドラマ

週刊誌の記者、鹿野忠は、MSCの特集記事を書くために取材を始める。そして、MSC社に紹介された複数の顧客にインタビューをするうちに、記憶を取ることに依存する人間が増えるのではという疑問を抱く。また、会員制オークションサイトでは、自分の記憶を売る若者が増える現象も起きていた。そんな中、鹿野はすべてをゼロにする「黒いMSC」の存在を突き止める。それは、摂取した者を記憶喪失にしてしまう、記憶の破壊だけを目的にしたMSCだった。さらに、鹿野が記事にした「無断人体実験疑惑」をきっかけに、MSC社の社員で社長令嬢でもある椎名ミオが抱える秘密も明らかになっていく。本作は1話完結の物語をベースにしながら、全体を通して大きな物語が進み、終盤はMSC社の闇に関するサスペンスドラマへと展開していく。

登場人物・キャラクター

椎名 ミオ (しいな みお)

MSC社の顧客担当室に勤務する女性社員。ボブカットが特徴の若い女性で、MSC社社長の娘でもあり、トラウマを取り除ける社会は素晴らしいことだと考えている。自らもMSCを多用しており「鳥の死骸を踏んだ」といった些細な記憶を消すために、手帳に日時と出来事を細かくメモしている。「黒いMSC」の存在が明らかになったことをきっかけに、自らの過去を探ることになる。

鹿野 忠 (しかの ただし)

「週刊ロゴス」という雑誌の記者の中年男性。短髪、無精髭が特徴。MSCについての取材を進めるうちに、MSCに依存する「ストレスフリー社会」に危機感を覚えるようになり、MSCに否定的な立場を取るようになる。さらに記憶を完全に破壊する「黒いMSC」の存在や、MSC開発当初の人体実験を追って記事にする。

書誌情報

おもいでだま 全4巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2012-05-30発行、978-4091845566)

第2巻

(2013-03-29発行、978-4091851406)

第3巻

(2013-07-30発行、978-4091854568)

第4巻

(2013-10-30発行、978-4091855688)

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