キャロル&チューズデイ

キャロル&チューズデイ

TVアニメ『キャロル&チューズデイ』のコミカライズ作品。近未来の火星で、家出少女のチューズデイは、同じく孤独を抱えた少女、キャロルと出会い、二人でミュージシャンになるという夢を目指す。AIが音楽を作るのが当たり前になった時代で、二人の少女が自分たちの手で音楽を作り、奏でる姿を描いた青春物語。「ヤングエース」2019年6月号から2020年8月号にかけて掲載された作品。2019年TVアニメ化、配信アニメ化。

正式名称
キャロル&チューズデイ
ふりがな
きゃろるあんどちゅーずでい
原作者
BONES
原作者
渡辺 信一郎
漫画
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
歌手
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

True Colors

ハーシェルの街で生まれ育った17歳の少女、チューズデイは、ミュージシャンになりたいと思っていたものの親の反対を受け、誰にも理解されない孤独な日々を送っていた。ある日、チューズデイはミュージシャンになるため一念発起し、家出をして、人が集まる地、アルバシティに旅立つ。しかし箱入り娘のチューズデイは、アルバシティ到着したその日に荷物を盗まれ、無一文で都会に放り出されてしまう。残ったのは愛用のギターのみで、失意に暮れながら放浪の旅を続けるチューズデイは、一人の少女の路上ライブを目にする。チューズデイは自分と同じ孤独を抱える少女、キャロルの演奏に深く共感し、二人はあっという間に意気投合。お互いの過去と夢を語り合った二人は、音楽コンビ「キャロル&チューズデイ」を結成する。二人は新曲を作ってみたものの、貧乏でフリーター暮らしの二人は満足にスタジオも借りられない。そこでキャロルは火星移民メモリアルホールに忍び込み、グランドピアノを弾くことを提案する。ホールでは火星音楽界に君臨するアーティガンがコンサートの準備に追われており、スタッフのロディも準備に奔走していた。そんな中、ロディは潜り込んでいたキャロルとチューズデイを発見し、面白半分に彼女たちの演奏を録画するものの、二人の演奏の虜となり、その演奏をSNSに投稿する。その演奏動画を、酒場でくすぶっていた元音楽マネージャーのガス・ゴールドマンが目にし、ガスは押しかける形でキャロル&チューズデイのマネージャーとなる。そしてキャロル&チューズデイはガスのツテを使って「サイドニア・フェス」に参加しようとするが、ガスの交渉は難航。それでも食い下がるガスに免じてオーナーは、急に欠席となった目玉アーティストの代役として二人の参加を認める。代役のため観客からはブーイングを浴び、キャロル&チューズデイの初フェスは散々なものとなるが、最後まで歌い切った二人はミュージシャンとしての第一歩を歩み始める。

Show Me The Way

天才子役で、女性ファッションモデルとしても活躍しているアンジェラは、いつまでも子役でいたくないという向上心と、同じことを繰り返す日々に退屈し、新たな刺激を求めていた。そんなある日、歌手になりたいという希望が受け入れられ、音楽の大物ヒットメイカーのタオを紹介される。しかしタオは、あくまでアンジェラを自分の「マリオネット」にすると公然と言い放ち、自分の作る音楽で成功できるかの検証対象としか見ていなかった。上から目線で一方的に言い放つタオの態度に腹を立てたアンジェラは、プロ意識を刺激され、「最高のマリオネット」になると宣言し、歌手の道を歩み始める。自らに過酷なトレーニングを課し、予想を上回る歌唱力を身につけたアンジェラは、ヘッジファンドの帝王の異名を持つシュバルツから出資をもぎ取り、着実に基盤を固めていく。そしてタオは、アンジェラを最高の形でデビューさせるべくオーディション番組「マーズ・ブライテスト」への出場を決める。一方、キャロルチューズデイの凸凹コンビはトラブル続きの毎日を送っていた。そんな中、ガス・ゴールドマンが二人に提案したのはマーズ・ブライテストへの出場だった。そしてキャロル&チューズデイはマーズ・ブライテストの予選会場で、個性豊かなライバルたちとの戦いを勝ち抜き、本選出場の切符を手にするのだった。

Army Of Two

キャロルチューズデイマーズ・ブライテスト本選に出場し、ついにこれまで築き上げてきた二人の絆と曲が問われる時がきた。本選に出場した6組の出場者はいずれも個性的で実力派ぞろい。アンジェラに敵対心を向けられ宣戦布告されたり、チューズデイのファンであるシベールに懐かれたりしつつも、キャロル&チューズデイは順調に勝ち進んでいく。しかしそんな中、シベールは実はストーカーのような偏執な愛をチューズデイに抱いており、一方的に裏切られたと感じたシベールは、チューズデイに大ヤケドを負わせる。準決勝直前のアクシデントに場は騒然。それでも辛うじて二人は舞台に立ち、即興の曲で勝利をつかむ。しかし、突然のトラブルに二人の絆は不協和音を奏で、折悪くそこにチューズデイの家の者たちが現れ、チューズデイを連れ帰ってしまう。決勝を前に離れ離れとなってしまう二人であったが、チューズデイたちの手助けによってコンビを再結成する。そして二人は決勝に出場するため、多くの人たちの助けを借りながら会場を目指す。二人を手助けする者の中には対戦相手のアンジェラや、チューズデイの兄のスペンサーの姿もあり、二人の奮闘が多くの人の心を動かし、奇跡の時間を作っていく。

関連作品

TVアニメ

本作『キャロル&チューズデイ』は、2019年4月から10月にかけてフジテレビで放送されたほか、Netflixで全世界独占配信も行われているTVアニメ『キャロル&チューズデイ』を原作としている。総監督は渡辺信一郎、制作はBONESが務めている。キャストは、キャロルの声優を島袋美由利、歌パートをNai Br.XX、チューズデイの声優を市ノ瀬加那、歌パートをCeleina Ann、アンジェラの声優を上坂すみれ、歌パートをAlisaが担当している。なお、キャロル、チューズデイ、アンジェラの三人の歌声を担当するのは、全世界オーディションによって選ばれた歌い手となっている。

登場人物・キャラクター

キャロル

フリーターの少女。年齢は17歳。誕生日は火星歴32年の12月25日。褐色の肌を持ち、ドレッドヘア気味の黒い髪を後ろで一つまとめにしている。両親は不明で、地球の教会に捨てられたあと、養護施設で育てられる。その後、火星に移住し、バイトをして生計を立てながら路上で弾き語りをする生活を送っている。天涯孤独な身の上ながら、モットーは「明日は明日の火星嵐が吹く」で、明るくバイタリティにあふれた性格をしており、少しの失敗ではへこたれないタフさを持つ。養護施設でピアノの慰問コンサートを見て以降、音楽に魅了され、ピアノやキーボードの技術を身につける。路上演奏中、家出していたチューズデイと出会って意気投合し、音楽コンビ「キャロル&チューズデイ」を結成する。面倒見のよい性格をしており、当初は一文無しとなったチューズデイのために、身銭を切って彼女の分の生活費を払っていた。その身の上から、強くなければ一人で生きていけないと考えており、「孤高」を気取って他者から一歩引いて接してきた。そのため本当の意味で友人と言える存在はおらず、心を許せる友達はチューズデイが初めて。チューズデイとの触れ合いで、自分の孤高はかっこつけに過ぎず、あきらめを正当化していたに過ぎないと自認し、成長していく。趣味はスケートボードと食べ歩きで、スケートボードの腕前はかなりのもの。

チューズデイ

金髪碧眼の家出少女。年齢は17歳。誕生日は火星歴32年の6月10日。髪をストレートロングに伸ばし、そばかすの残る顔立ちをしている。学校に馴染めず、家に引きこもってばかりいたが、ラジオで聞いた音楽に衝撃を受け、音楽をやりたいと思うようになる。しかし母親のヴァレリー・シモンズの理解が得られず、愛用のアコースティックギターを手に家出を決意する。生まれ育ったハーシェルの街を出て、ミュージシャンになるため勢いで都会のアルバシティを訪れるものの、世間知らずであるため初日で荷物を盗まれ、路頭に迷ってしまう。そんな中、キャロルと出会い、たまたま演奏していた彼女の曲に共感し、意気投合して、音楽コンビ「キャロル&チューズデイ」を結成する。家族はいるものの、理解者はおらずに胸の内に孤独を抱えて生きてきたため、同じ思いを抱くキャロルとはすぐに無二の親友となる。キャロルと共同生活を送るようになるものの、当初は箱入り娘であるため、掃除すらまともにできず世間知らずっぷりを見せたが、適応能力は高く少しずつできることを増やしていっている。なんでもかんでもメモをする癖があり、つねに愛用のメモ帳を持ち歩いている。また作曲する際にもメモ帳を使用している。モットーは「ビーバー泳げば棒にあたる」で、アクティブな性格をしている。お嬢様育ちでおとなしそうに見えるが、根は頑固者。自分の意思は絶対曲げないものの、周囲の目を気にして自分の意見をはっきり言えないところがあり、それが学校や家で馴染めない理由となっていた。キャロルとの触れ合いで自分の悪い部分を自覚することで少しずつ成長し、自分の意見を伝えるため周囲と対話できるようになっていく。

アンジェラ

新人歌手の少女。年齢は16歳。誕生日は火星歴33年の4月1日。3歳の頃から芸能界で活動してきた天才子役で、失敗が多い子役からの転身のテストケースとしてタオに選ばれる。気が強く、刺激を求めていたこともあり、タオの提案を受け入れる。負けん気が強いため、合理的な考え方をするタオの鼻を明かしたいとの思いから、無理なトレーニングを課して着実に歌唱力を磨いていく。その姿勢は無謀ながらタオの予想を超える成長を見せており、アンジェラ自身の高いプロ意識から本番でも確かなパフォーマンスを見せる。マーズ・ブライテストに出場し、その華やかな経歴から色眼鏡で見られていたが、圧倒的な歌唱力を審査員と観客に認めさせ、誰からも文句の出ない満点を叩き出す。キャロル&チューズデイのことを「調子に乗った素人」と毛嫌いしており、格の違いを思い知らせるため、正面切って宣戦布告する。一方でそれだけ意識しているともいえ、チューズデイがシベールにケガをさせられたり、家に連れ戻された際には対決できないと激怒している。マーズ・ブライテスト決勝戦でキャロル&チューズデイと対決。会場に間に合わないキャロル&チューズデイが路上ライブを始めると、審査員に嘆願してまで認めさせ、二人と対決する。

ガス・ゴールドマン

キャロル&チューズデイのマネージャーを務める男性。年齢は54歳。でっぷりとした体型のひげ面で、音楽業界に長いこと身を置いている大ベテラン。しかし、最近のAIが作る音楽は「魂を感じない」と嫌悪しており、音楽業界から身を引いて飲んだくれてばかりいる。ロディが撮ったキャロル&チューズデイの演奏動画を偶然見て、彼女たちの演奏に魂を感じ、押し掛ける形でキャロル&チューズデイのマネージャーとなる。強引でいい加減な性格をしているが、行動力と経験だけはあり、年若い二人を見守りつつ導いていく。地球のテキサス州出身で、若かりし頃は細身な体型をしていた。ロックバンド「レイジーサンヲウィッチ」で活動したあとにマネージメント業に転向し、フローラ・フェリを発掘した実績があるが、それ以降は目立った実績はなく、典型的な一発屋だったと評されている。

ロディ

アーティガンのスタッフを務める少年。年齢は17歳ながら、AIプログラマーとして卓越した腕を持ち、その技術を活かして生計を立てている。アーティガンからも「できる男」と認められているが、今一つ実感や達成感が得られず、日常を退屈だと感じている。そんな中、偶然ホールに忍び込んでピアノ演奏を始めたキャロルとチューズデイを目撃。退屈しのぎに二人の演奏を録画し始めたが、そのまま二人の演奏の虜(とりこ)となってしまう。そして、ロディは録画した映像をSNSに投稿したが、それがきっかけで二人は多くの人に注目されるようになる。ガス・ゴールドマンがキャロル&チューズデイの押し掛けマネージャーになった際、いっしょに彼女たちと知り合う。その後も二人のことを何かと気に掛けており、アーティガンに彼女たちのことを紹介したりしている。強引なガスに振り回されたり、インドア派なのに肉体労働をさせられたりと、ロクな目に遭っていないが、刺激に満ちた日常をロディなりに楽しんでいる。

タオ

若き天才プログラマーの青年。色付き眼鏡をかけ、黒い髪を短く整えている。感情が乏しく、つねに無表情ながら周囲の誰もが認める「超天才」。物事を合理的に考え、効率を追求し、あらゆる仕事で結果を出している。最近音楽業界に転向したものの、瞬く間にAIを使った作曲で数々の名曲を生み出し、すでに音楽界では有数のヒットメイカーとして知られている。AI歌手をメインに取り扱ってきたが、初の人間の歌手の検証対象として、元天才子役のアンジェラを指名し、彼女を歌手に仕立て上げる。タオは超天才として知られているが、同時に「超人間嫌い」としても有名で、タオのラボは社員が120名在籍しているが、全員がAIロボット。合理性を追求する余り、気づかいや相手の感情はまったく考えておらず、対象のデータのみで判断して淡々と決断を下す。このためアンジェラに対しても、自分の「マリオネット」と平然と言い放っている。負けず嫌いのアンジェラとは衝突が絶えないが、想定以上の成長を見せるアンジェラを認める節もあり、なんだかんだでいいコンビとして成長していく。元はマインド・コントロールの分野を専門としていた脳科学者だが、その過去には謎が多く、タオがなぜ音楽分野に興味を持ったかも含めて、謎に包まれている。

アーティガン

火星音楽界に君臨する大人気の男性DJ。年齢は42歳。音楽関係のプロデューサーもこなすほか、アパレルブランドも手掛けており、その業界で非常に有名。年齢の割に体をかなり鍛えており、服の下は筋骨隆々とした体格をしている。ナルシスト性格で、能力から肉体美まで自分を褒め称えることを何よりも好む。超セレブで、大きな豪邸に住んでいる。「できる男」である自分が大好きであるため、有能なロディのことを気に入っている。ロディに紹介されてキャロルとチューズデイに会うが、曲を聞いて欲しいという彼女たちの頼みを「音楽はビジネス」と一顧だにせず、門前払いする。その態度にチューズデイが腹を立て、楽譜を目の前で燃やしてボヤ騒ぎを引き起こすも、そのロックな姿を見て、自分が音楽を志した初心を思い出す。彼女たちの奇行に思うところがあったため、マーズ・ブライテストで審査員となって出場選手の彼女たちと再会した際には、お互い微妙な表情を浮かべる。決勝戦では、キャロル&チューズデイの熱に当てられ、アンジェラの嘆願を受け入れる。

ヴァレリー・シモンズ

ハーシェル州の知事を務める女性。年齢は47歳。2度離婚しており、現在は独身。チューズデイとスペンサーの母親。家はかなり裕福でメイドたちに子供の世話をさせ、自分は仕事一筋に生きている。大統領選に立候補予定のため、チューズデイが家出をしたことを大ごとにしたくないと考え、警察に捜索願も出さず水面下でひそかに捜索している。ただでさえ多忙なうえ、大統領選でデリケートな時期と重なっているため気が立っており、スペンサーからは質の悪い「鬼ババ」になっていると評されている。マーズ・ブライテスト決勝前にチューズデイの居場所をつき止め、彼女を家に連れ戻す。しかし駆け付けたキャロルに連れられ、チューズデイは脱走。初めて面と向かって自分の思いを伝えてきたチューズデイの意思と彼女の演奏を見て、親子としての絆を思い出す。その後はチューズデイがミュージシャンになるのを認め、母親として旅立つ娘の姿を見送った。

スペンサー

ヴァレリー・シモンズの息子で、チューズデイの兄。年齢は21歳。金髪長身の青年で、ハーバード大学火星校に通っている。幼少時よりエリート教育を受けて育ち、チューズデイは何かとスペンサーと比較され、落ちこぼれ扱いされていた。そのためチューズデイもスペンサーから落ちこぼれ扱いされていると思っていたが、スペンサーはそんなチューズデイの境遇に同情しており、何かと心配していた。家出したチューズデイを連れ戻すようヴァレリーに命じられるも、その最中、彼女たちの本気の演奏を見て二人の活動を応援するようになる。チューズデイがヴァレリーに家に連れ戻されたあとも、自分の本心を伝え、チューズデイが家から脱出できるように手助けをしている。またチューズデイのギターは、実は自分が昔使っていたものであることを教えている。

ダリア

アンジェラの母親。恰幅(かっぷく)のよい体型をした中年女性で、アンジェラのエージェントを務めている。元子役だったが、火星という環境に体が適応できず、アンドロギュヌス(男体化)を発症して引退する。当時、アンドロギュヌスの治療法は確立しておらず、不完全な治療法の副作用で感情の起伏が激しくなり、過去にそのせいで2度傷害時間を起こして逮捕されている。これらの経緯から自分の娘であるアンジェラに、自分の夢を託している。アンジェラをタオと引き会わせるものの、独自にタオを調査した結果、彼が「マインド・コントロール」を研究した過去があり、アンジェラを「マリオネット」と呼んでいることに危機感を抱く。一時はアンジェラをタオのもとから引き離そうとするも、やる気を出した彼女の意思を尊重して、見守り続けている。マーズ・ブライテストでは関係者席でガス・ゴールドマンと出会う。ガスとは似た者同士であるため、何かと張り合い、会うたびに口ゲンカをしている。

ピョートル

マーズ・ブライテストに出場する歌手の男性。緑色の髪をした美形の青年で、ハイテンションでノリが非常に軽い。キャロルたちが思わず「言葉で酔う」と評するほどに賑やかな性格をしている。「SNS界の王子様」と呼ばれるほどSNS界では人気者で、歌唱力もパフォーマンスも非常に優れている。実は昔は地の性格を隠して、周囲に合わせてまじめに振る舞っていた。しかし素の自分を否定し続けて生きてきたため、自分も周囲も好きになれず、たまり続けたフラストレーションがある日、ついに爆発。SNSに自分の本性をさらけ出したところ、意外にも人気が出て、素の自分を受け入れることができるようになったという過去がある。このため軽薄としか思えないふだんの振る舞いも、つねに本気で取り組んだうえで自分の芸風に昇華しており、その芸風を貫き通すため、実は陰で相当な努力を重ねている。マーズ・ブライテストの準決勝で、キャロル&チューズデイと対決するも惜敗する。

シベール

マーズ・ブライテストに出場する女性。黒髪ショートカットのボーイッシュな格好で、中性的な雰囲気を漂わせている。キャロル&チューズデイの動画を見て以降、チューズデイに並々ならぬ好意を寄せている。あくまで好意を抱いているのはチューズデイだけであり、キャロルには見向きもせず、いつか自分がチューズデイの相棒になることを夢見ている。「人は若いあいだだけ美しさを表現できる」という独特の価値観を持ち、歌でその鋭利な価値観を表現する。またふだんは英語でしゃべっているが、歌はフランス語で歌う。確かな歌唱力を持つが、マーズ・ブライテストでは本戦で敗退。その後、勝ち残ったキャロル&チューズデイの応援を口実に楽屋に入り込む。だが、直に会っても自分の愛を受け入れてくれないチューズデイに一方的に裏切られたと考え、チューズデイの左腕に熱湯を浴びせかけて火傷を負わせる。これにより逮捕されるが、その際にはチューズデイとキャロルに呪いともいえる言葉を吐き捨て、二人の心に傷を残した。

OGブルドッグ (おーじーぶるどっぐ)

マーズ・ブライテストに出場する歌手の男性。ヒゲが濃い強面で、フード付きのジャンパーを目深にかぶっている。元ギャングで元ドラッグディーラーという経歴を持ち、12発の銃弾を受けても生還した逸話を持つ。凶暴な性格で、「噓っぽい安っぽい奴らを全員を殺ス」と称してマーズ・ブライテストに参加する。見た目とは裏腹に歌の技量とセンスは繊細そのもので、オペラとラップを絶妙に融合させた「オペラップ」を歌う。しかしOGブルドッグの経歴はすべて自称で、ウソで塗り固められている。実は田舎でドラッグストアの店員として働く母親思いの心優しい人物で、物騒な経歴や言動はすべてキャラ作りのためのものだった。

クリスタル

銀河中で人気のトップアーティストの女性。年齢は32歳。長身褐色肌の美女で、金色の髪を長く伸ばしている。火星での楽曲のストリーミング再生数最高記録を持つ。またダンサーとしても高い実力を誇り、歌唱力だけではなくパフォーマンスの評価も高い。キャロルとチューズデイも大ファンで、キャロルたちがサイドニア・フェスでクリスタルと会った際には感動のあまり固まってしまったほど。スキップとは旧友の間柄。AIの作った曲の完成度を認めているが、個性のないAIの曲を歌っているとアーティストとして何を表現したいのか見失いそうになると、ジレンマを抱えている。そのためスキップと同じくAIに頼らないキャロル&チューズデイの曲を認めており、彼女たちの初ライブが失敗に終わったあと、二人を慰めている。

スキップ

アーティストの男性。年齢は35歳。大柄な体型で険しい顔立ちをしており、見た目は怖いが物腰は丁寧で、温厚な性格をしている。一般的な知名度はほとんどないが、熱狂的なファンが多く、業界人からの評価も高いことから、知る人ぞ知る通好みのアーティストとして地位を確立している。キャロルとチューズデイに絡み、二人に怯(おび)えられるが、二人の演奏を褒め称え、握手をして去って行く。クリスタルとは旧友の間柄で、彼女と共にキャロル&チューズデイの初ライブを見守る。

その他キーワード

マーズ・ブライテスト

火星で長らく愛されているオーディション番組。優勝したミュージシャンにはデビューが約束されていることから、火星中の目立ちたがりが集まっている。マーズ・ブライテストの参加者は20万人に上ることもあり、そのほとんどは予選でふるいにかけられ、本戦に出場できるのはわずか6組のみ。本戦の1回戦は得点方式となっており、審査員3名の合計点数の上位4組が2回戦に進めるルールとなっている。2回戦以降は一対一のパフォーマンス対決で、両者のパフォーマンスの優劣を審査員が判断し勝敗を決める。

クレジット

原作

BONES , 渡辺 信一郎

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