おれは直角

おれは直角

長州藩の名門校萩明倫館に通う石垣直角が、友人や周囲の大人たちを巻き込んであばれまわるコメディ作品。小山ゆうのデビュー作。

正式名称
おれは直角
ふりがな
おれはちょっかく
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
時代劇
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

家柄の正しい上士の子どもばかりが通う名門校・萩明倫館に、下級武士の子でありながら通うことになった主人公の石垣直角は、自分の信じる武士道を突き進み、周囲の人々を巻き込んで大暴れ。当初は戸惑っていた同級生たちや大人たちも、そんな直角に影響されて、次第に変わってゆくのだった。

登場人物・キャラクター

石垣 直角 (いしがき ちょっかく)

父である石垣小太夫の「武士道は曲がることなく、常にまっすぐな心で行動すべし」という教えを真に受けて育つ。曲がったことが大嫌いで、なんでも直角なものを好み、自分が道を曲がるときは、直角に曲がる癖がある。学問はからきしだが、武芸において秀でており、必殺技直角斬りを独自に編み出す。誰とでも分け隔てなく接する性格で、町人たちの友人も多い。 武士道とは常に戦場の心を持つべきとの考えから、萩明倫館に武芸を広めるべく剣道部を創設し、二年生に進級した後は生徒会長になる。

石垣 小太夫 (いしがき こやた)

主人公石垣直角の父親。日頃からトラブルばかり起こす直角が、格式の高い萩明倫館に通うようになったことで心労が絶えず、ことあるごとに切腹しようとする。馬番役で禄高は二十俵二人扶持の下級武士。後の改革で、御納戸役組頭に昇進し、四十俵七人扶持となる。

石垣 香苗 (いしがき かなえ)

主人公石垣直角の母親。奔放に育った直角に終始気をもんでいる石垣小太夫と比べれば、直角には好意的。基本的に温厚でやさしい人物だが、時には小太夫とケンカをすることも。

郷 慎太郎 (ごう しんたろう)

萩明倫館に通う学生で、石垣直角の一級上の先輩。学問にも武芸にも秀でた文武両道の人物。物語の当初は月形の配下の一人で、不良学生風の振る舞いをしていたが、直角との決闘に敗れる。その後友情をかわし、直角のよき理解者となる。

立花 薫 (たちばな かおる)

城代家老であり、石垣直角の通う萩明倫館の責任者。直角の人柄を高く評価しており、藩を支える人材として成長することを期待している。人前に出るときは厳格な表情で威厳を保っているが、実は笑い上戸で、直角の振る舞いを見るたびに隠れて笑い転げている。藩内の役職を決定する際には、身分の高さよりも個人の能力の高さを重視するという改革を行う。

細刈 (ほそかり)

萩明倫館の教師で、石垣直角の担任。城代家老の立花薫から、直角をそのまま真っすぐに指導するように指示される。武芸よりも学問を重んじており、授業中でも構わず暴れまわる直角によって、一時期は教師としての自信を喪失していた。しかし、直角のことは誰よりも気にかけており、直角が退学処分になりかかった時も、他の教師たちからかばおうとしていた。

北条照正 (ほうじょうてるまさ)

先祖代々城代家老を務める北条家の嫡男。幼いころに両親を亡くし、祖父から溺愛されて育つ。長崎に3年間の留学を行い蘭学を学んだ後に萩明倫館に入学し、石垣直角と同じ組になる。西洋かぶれで、洋服や舶来の品物を見せびらかすのが好きだが、知識はあやふや。他人になかなか心を開かない頑なな性格だが、直角とは次第に打ち解けて親友となる。

北条 (ほうじょう)

北条照正の祖父で、元城代家老。北条家は先祖代々城代家老を務めており、藩内では一番の実力者。孫の北条照正を溺愛しており、照正が未来の城代家老としてふさわしい人物に成長してくれることを望んでいる。息子が若くして亡くなったため、立花薫を城代家老に推挙して、現在は隠居している。 立花とは若い頃からの親友で、「かおるちゃん」と呼んでいる。

月形 (つきがた)

萩明倫館の最上級生で、明倫館の生徒たちを仕切っている番長的な人物。剣術に長け、下級生の郷慎太郎を手下のようにしていた。自分に従おうとしない石垣直角と決闘するが、直角斬りに敗れる。その後、直角斬りを破る技を考案し、再度直角に挑むが再び敗北する。大門学園での武芸大会後は剣道部に参加する。

瞳 凛太郎 (ひとみ りんたろう)

長州藩の西の外れにある尚光塾から萩明倫館にやってきた転校生。おとなしく礼儀正しい性格で、すぐに萩明倫館の生徒たちの人気を集める。しかし、その正体は大門学園の生徒で、大門学園の地位を向上させるため、他の藩校を潰していた。萩明倫館を内部から崩壊させようとするが石垣直角の人柄に触れて改心し、萩明倫館を去る。 普段は隠しているが、すぐれた武芸の才を持つ。

斎門 (さいもん)

長州藩にある大門学園の生徒会長。本格的な剣術を身につけており、武芸が盛んな大門学園の中でも一番の実力を持つ。武芸大会を開催し、石垣直角たち萩明倫館剣道部を招待する。大会で萩明倫館を破ることで、藩内での萩明倫館の評価を貶めようとした。しかし、直角の活躍によって大門学園は敗れ、斎門自身も直角との勝負に引き分ける。

小鉄 (こてつ)

長州藩にある大門学園の生徒で、斎門に次ぐ実力者。両親はなく、剣の腕を斎門に見込まれて大門学園に通っていた。身のこなしが軽く、蹴りも取り入れた我流の剣術を使う。試合で石垣直角に敗れてから、直角の後を追い萩明倫館剣道部に参加するため、萩明倫館の用務員室に住み込んで働きはじめる。

貴杉 じゅん (たかすぎ じゅん)

長州藩でも高い身分の貴杉家の子女。剣術や馬の扱いにも長けた気の強い性格で、女子生徒ばかりの指月剣道部の主将を務めている。萩明倫館剣道部に挑戦状を送りつけるが、石垣直角に敗れて以来直角に好意を持ち、剣道部の活動に協力するようになる。北条照正からは、許嫁扱いされているが、あまり相手にしていない。

大山 大介 (おおやま だいすけ)

萩明倫館の生徒で、石垣直角の一学年下の後輩。一見礼儀正しく真面目な子どもだが、陰では仲間といっしょに身分の低い子どもを馬鹿にするなど、性格の悪い一面を持つ。直角が生徒会長になると、自分たちがいじめられるのではと恐れ、直角の評判を貶めるために、さまざまな策略をしかける。

川上 真剣 (かわかみ しんけん)

城代家老立花薫の改革によって、萩明倫館の校長となる。元々は萩明倫館の出身で、昌平黌に進学し卒業した後は江戸で放蕩していた。全校生徒の中で一人だけ武芸を志している石垣直角の行く末を案じている。

(さかき)

城代家老立花薫の付き人。立花のいたずら好きで笑い上戸な性格が他人に知られないようにいつも気を使い、苦労している。立花のことは尊敬しているが、忙しい中でも石垣直角の家へ遊びに出かける立花に腹を立てることもしばしば。真面目な人物だが、酒癖が非常に悪い。

場所

萩明倫館 (はぎめいりんかん)

主人公石垣直角が通う、長州藩の藩校。伝統のある名門校で、毎年多くの生徒が江戸の昌平黌へと進学している。規律を守り、礼儀を重んじた教育で、身分の高い武士の子どもばかりが通っている。長州藩に実在した同名の藩校がモデル。

その他キーワード

直角斬り (ちょっかくぎり)

『おれは直角』に登場する必殺技。主人公の石垣直角が、さまざまな仕掛けを作った納屋の中で訓練して独自に編み出した。剣の軌道を直角に曲げることで、相手の攻撃や受け太刀をかわしながら切り込むという技。

SHARE
EC
Amazon
logo