概要・あらすじ
人権派弁護士として知られる白石誠に憧れて、彼の経営する弁護士事務所に入所した新人弁護士武田真実は、いきなり九頭元人という弁護士と2人で案件に取り組むよう指示される。傍若無人で口も態度も最悪、文字通りの「くず」人間である九頭元人に辟易とさせられながらも、最終的に依頼人が抱えていたトラブルを解決してしまう手腕を目にする。
登場人物・キャラクター
九頭 元人 (くず もとひと)
白石誠法律事務所に所属する弁護士。口が悪い上に金にも汚く、上にへつらっては人を煙に巻くような態度を常に崩さない。依頼人と自分の利益になるためなら時と場合によっては犯罪すれすれの行動も起こす。しかしその裏では、優れた人間洞察力を持ち、訴訟や相談内容に隠された真実を暴き出して解決に導く。 若い頃に女性の世話になるヒモ生活を送っており、その頃に一人娘九頭美月をもうけている。
武田 真実 (たけだ まみ)
白石誠法律事務所に所属する弁護士。弱い者の味方としてメディアで活躍する人権派弁護士の白石誠所長に憧れて弁護士を志すようになった。九頭元人とコンビを組まされる。ろくに仕事もせずに現場をかき回してばかりの九頭元人への良きツッコミ役だが、彼の手腕そのものは認めている。 いわゆる優等生で依頼人に対しても誠心誠意接するように努力しているが、持ち前の正義感がわざわいして、厳しく接してしまうこともある。
軒下 歩夢 (のきした あゆむ)
700万円もの借金をして法科大学院に通い司法試験に合格、OLから弁護士に転身した。就職難で88の法律事務所から就職を断られ、人手不足を補うために基本給無しの「ノキ弁」(軒下弁護士)として白石法律事務所入所した。人を疑うことを知らない素直な性格で、依頼人とも公平に接するが、やや調子に乗りやすく、経験不足からの失敗も多い。
白石 誠 (しらいし まこと)
白石誠法律事務所の所長。薬禍訴訟や被害者救済訴訟、そして少年事件関連訴訟に精通しており、テレビのコメンテーターとしても出演することも多い。その実は息子白石寿仁也の出来の悪さを嘆いたりと小市民的な言動が見られる。九頭元人の態度にも頭を悩ませるが、彼の弁護士としての能力は買っている。
白石 寿仁也 (しらいし じゅにや)
白石誠法律事務所の所長、白石誠の息子で、自身も弁護士。父親のオフィスの一角を間借りして白石寿仁也法律事務所を開き、独自に依頼を受ける。海外での留学経験もあり期待もされていたが、気が小さいわりにプライドが高く調子に乗りやすい性格が災いして事件に巻き込まれたり九頭元人にいいようにあしらわれたりする。 正義感も父親譲りで、かつて父白石誠が担当した事件が冤罪か否かで激しく争ったこともある。
九頭 美月 (くず みづき)
シングルマザーの母、秋野葉月の死後、兄夫婦に引き取られたが、折り合いが悪く家出。九頭元人のもとに身を寄せる。当初は九頭元人との血縁関係は不明で、彼も認知していなかったが、周囲の身勝手な言動に憤慨してつい認知してしまう。古典や神話・伝承に興味を持つ小学生で、九頭元人にしばしば問題解決の糸口となるような話をもちかけるも、だいたいは茶化されてしまい、怒っている。
加藤 公平 (かとう こうへい)
白石誠法律事務所に所属する弁護士で妻帯者。後輩の武田真実の入所以前から九頭元人の非常識な言動に悩まされる。非常に真面目で堅物だが、女性の依頼人に誘惑されたり痴漢冤罪事件の被告人になったりしたこともある。
国光 裕次郎 (くにみつ ゆうじろう)
古書店を経営している九頭元人の悪友で独身。法廷マニアで頻繁に公判を傍聴しているためか法律知識も豊富で、そのマニアックな知識が九頭元人の抱えている案件についても解決の一助となるとがある。
小俣 夕花 (おまた ゆうか)
白石誠法律事務所の事務員で、同世代の武田真実と仲がいい。おとなしい性格だが、依頼人の小説家にナンパされそのまま交際するも、女性弁護士との二股交際が発覚して破局になったことがある。
場所
白石誠法律事務所 (しらいしまことほうりつじむしょ)
東京都内のビルの2階にある弁護士事務所。人権派弁護士としてマスコミで評判の白石誠が経営しているため、依頼人も多く、かつ多種多様である。依頼人の側に寄り添うという所長のポリシーから少額訴訟も受け付けているが、決まって九頭元人が担当してしまうため、調査中に依頼人とトラブルとなることも多い。
イベント・出来事
人の裁き (ひとのさばき)
『弁護士のくず』でとりあげた事件。ホームレスの後藤札次(ごとうさつじ)がコンビニエンスストアで100円のパンを万引きし、追ってきた店員・正木純貴を持っていた小刀で刺殺する。弁護を引き受けた九頭元人は、かつて中堅建設会社の常務取締役だった後藤が不正経理で解雇され、妻子を捨ててホームレスになったことまで突きとめるが、当の後藤は無期懲役でもかまわないとうそぶく。 しかしこの事件は裁判員裁判に持ち込まれ、「人を殺した人間には死刑がふさわしい」と信じる一般人・飯家元太郎(いいかげんたろう)が裁判員に選ばれていた。法定刑では死刑または無期懲役の強盗殺人罪を執行猶予に持ちこむため、九頭元人は妻子の証言をとりに妻の実家に向かう。
その他キーワード
子供たちの生贄 (こどもたちのいけにえ)
『弁護士のくず』でとりあげた案件。偉智目中学校(いぢめちゅうがっこう)の体育教師備田志悟鬼(びんたしごき)が生徒の白花百合夫を殴ったとして母親の教育評論家白花真理亜から告訴された。備田は生徒の石下忍がいじめの対象になっていることを知り百合夫を指導しようと手を出したのだが、狡猾な百合夫はボロを出さない。 百合夫の心の闇を見透かした九頭元人は依頼を受け、百合夫が悪事を白状するきっかけを画策する。
DOLL (どーる)
『弁護士のくず』でとりあげた案件。自研女子高校(じけんじょしこうこう)の日本史教師比久毬夫(ひぐまりお)が交通事故に遭う。しかし、入院した彼の自宅には同校の生徒人形若菜が死亡しており、室内からは大量の女性用下着と衣裳が発見された。九頭元人は、依頼を受けた元白石誠法律事務所所属の後輩から強引にもぎ取り、不利な状況証拠がそろった事件の弁護を引き受ける。 比久がラブドール愛好家だったことが判明して、情欲の対象を人形から人間に変えたと推理したマスコミは九頭元人に猛烈なバッシングをしかけるが、九頭元人はまったく気にせず独自の調査を続ける。
不幸の人 (ふこうのひと)
『弁護士のくず』でとりあげた案件。白石誠法律事務所の加藤公平は家庭内暴力被害のおそれがある主婦・谷見愛実(やみまなみ)から離婚調停の相談を受けた。妻が弁護士に相談したことを知った夫の司法書士・谷見狷介(やみけんすけ)は、加藤を痴漢に仕立て上げた。弁護士の九頭元人は、加藤の妻・君子とともに痴漢被害者を探し出して彼の冤罪を晴らすために奔走する。
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弁護士のくず 第二審 (べんごしのくず だいにしん)
傍若無人な振る舞いから「弁護士のくず」とも言われる男・九頭元人が、持ち込まれるさまざまな事件を、弁護士らしからぬ破天荒な手段で解決し、事件にかかわる人々の隠された思いを暴き出していくさまを描いた作品。... 関連ページ:弁護士のくず 第二審