あらすじ
第1巻
高校1年生の小枝つぐみは、小さくて細い自分の体に長いあいだコンプレックスを抱いていた。こんな自分を好きになってくれる人なんかいないだろうと思っていたある日、彼女は同じ高校に通う瀬名正宗と出会う。正宗はつぐみが落としたヘアピンをいっしょに探してくれたり、大きな荷物を持っているところを手伝ってくれたりと、なにかとつぐみを助けてくれるようになる。つぐみは、それまで誰も「女の子」として扱ってくれたことのなかった自分に対し、優しく接してくれる正宗が少しずつ気になっていく。正宗から夏祭りに誘われたつぐみは、そこではっきりと自分が正宗に恋心を抱いていることを自覚する。
第2巻
瀬名正宗が好きだと自覚した小枝つぐみは、二人で海へと出掛ける。しかし、それがもとで正宗が風邪を引いてしまう。自分のせいで正宗が風邪を引いてしまったことに責任を感じたつぐみは正宗の看病に努め、そこで正宗もまたつぐみへの気持ちを確認する。秋になり、つぐみは文化祭で劇の主役に選ばれる。つぐみはこの文化祭が終わったら、正宗に自分の気持ちを打ち明けようと決意し、劇の主役をやり遂げたつぐみは正宗に告白する。正宗もまたそんなつぐみの気持ちに対して「好きだ」と応えるのだった。
第3巻
瀬名正宗に告白し、晴れて付き合うこととなった小枝つぐみだったが、これまで異性と付き合ったことがなかったため、正宗とどう接していいのかわからない。ぎこちないながらも少しずつ距離を縮めようとするつぐみに対して、正宗に思いを寄せている萩原芽衣子は、そんな二人の関係が面白くない。一方、成績が落ちているつぐみは、その原因が正宗と遊んでいるからだと考え、テストが終わるまで勉強だけに集中しようとするが、正宗からはいっしょに勉強しようと持ち掛けられる。それを知った芽衣子は、自分も正宗の家で勉強すると言い出す。正宗の幼なじみである芽衣子は、何度も正宗の家に来ていることをアピールしてつぐみを翻弄するが、正宗はそんなつぐみを自分の部屋へと連れて行き、優しく抱きしめるのだった。
第4巻
クリスマスの時期になり、小枝つぐみは瀬名正宗を自宅へと招いて手料理を振る舞う。しかし無理がたたって、つぐみは熱を出して倒れてしまう。つぐみを介抱した正宗は、改めてつぐみを大切に思っていることを自覚し、つぐみもまた正宗の気持ちを知り喜ぶ。年が明けて、つぐみは正宗と共に初詣に出掛ける。正宗から、いつ頃から自分のことを好きだったのか尋ねられ、つぐみは正宗と初めて遊びに行った夏祭りの頃からと答える。それに対して正宗は、いつ頃かは忘れたが前から気になる存在だったことを打ち明けるのだった。そんな中、つぐみのもとに中学のクラス会の連絡が入る。その参加者の中に、同じ中学に通っていた清藤玲香の名前があることを知り、つぐみは動揺する。
第5巻
中学時代のクラス会に参加する清藤玲香は、小枝つぐみが中学時代に唯一仲のよかった男子生徒だった。背が低くて細い体にコンプレックスを持っているつぐみにとって、清藤は自身の悩みを共有できるかけがえのない存在だった。しかし、清藤が友人に自分の悪口を言っているところを目撃し、以来気まずい状態が続いていた。偶然にも通学途中に清藤と再会したつぐみは、大切にしているヘアピンを落としてしまう。そのヘアピンを拾った清藤は、それを理由につぐみを呼び出し、不意打ちで彼女にキスをする。瀬名正宗と付き合っていながら、清藤とキスをしてしまったことで罪悪感を抱いたつぐみは、正直に清藤のことを正宗に打ち明ける。正宗はつぐみを責めることなく、今後は清藤とかかわらないようにとだけ告げるのだった。
第6巻
瀬名正宗は、小枝つぐみが清藤玲香とキスをしたことを知り、清藤の通う高校へと乗り込む。それに対して清藤は、つぐみのことをずっと好きだったと答え、なぜ自分ではなく正宗がつぐみと付き合っているのかと詰め寄る。清藤は、自分の気持ちをうまく伝えられずに、つぐみに冷たく接してしまったことを悔やんでいたのだ。つぐみが本気で好きだという清藤に対して複雑な感情を抱く正宗は、つぐみに清藤と会って来たことを正直に話す。一方のつぐみは、清藤からケーキのプレゼントを受け取っており、少し気まずい雰囲気となってしまう。そんな中、正宗は偶然にも清藤が引っ越すことを知る。
第7巻
小枝つぐみは、瀬名正宗をこれ以上不安にさせないために、清藤玲香と二度と会わない誓約書を作成する。だが正宗は、つぐみに清藤が福岡へ引っ越すことを告げ、清藤がつぐみにとって大切な存在であればそれを受け入れると話す。つぐみは正宗の優しさを嬉しく思うが、清藤と接することは正宗への裏切りと考え、清藤と距離を置こうとする。一方の清藤もまた、つぐみへの思いを秘めたまま福岡へと旅立とうとしていた。清藤が福岡へ出発する日、正宗はつぐみを連れて空港へと向かい、清藤を見送らせる。そこで清藤は不器用ながらもつぐみに感謝の気持ちを告げ、福岡へと旅立つ。
第8巻
小枝つぐみは、参加したビンゴ大会で温泉旅行券を引き当てる。悩んだ末に、つぐみは瀬名正宗を誘って旅行に行くことを決意する。そんなつぐみに親友の遠藤優凪は、男女が二人で旅行に行くという意味の重大さを指摘する。遠藤の話を聞いたつぐみは、覚悟を決めて旅行に出掛ける。その夜、正宗はつぐみを抱き寄せ、つぐみの身体ではなくつぐみ自身がほしいと語り、二人の絆はさらに強いものとなる。春になり、2年生へと進級したつぐみは、正宗や遠藤と同じクラスになって幸せを感じていた。しかし、そのクラスには正宗に思いを寄せる萩原芽衣子の姿もあった。
第9巻
クラスメイトから人気の高い瀬名正宗と萩原芽衣子は揃ってクラス委員に選ばれ、小枝つぐみもまた体育祭の実行委員に推薦される。しかしつぐみは、クラス委員の二人が話しをしているだけで気が気ではなかった。そんな中、つぐみは体育祭で二人三脚に出場して芽衣子とペアを組むことが決まる。正宗に思いを寄せる芽衣子は、正宗の彼女であるつぐみに対して非協力的だったが、少しずつつぐみのペースに乗せられていく。そんなある日、つぐみは芽衣子が小学生の頃に太っていたが、正宗に好きになってもらうために痩せる努力を重ねてきたことを知る。共にコンプレックスを持っていた者同士として、つぐみと芽衣子とのあいだに奇妙な友情が芽生え始める。
登場人物・キャラクター
小枝 つぐみ (こえだ つぐみ)
低い身長と細い体にコンプレックスを持つ女子高校生。幼い頃から、その体型のせいで周囲の男子たちにからかわれていた。なにかと自分に優しく接してくれる瀬名正宗と出会い、少しずつ彼に惹かれていく。正宗への思いを自覚してからは、なんとか正宗にふさわしい女性になろうと努力を重ねていた。その後、気持ちが正宗にも通じ、二人は両思いの恋人同士となる。恋愛に対しては不器用で、正宗と付き合うようになってからも思うように距離を縮められずにいる。しかし、思い悩む日々を過ごしながらも徐々に成長していく。
瀬名 正宗 (せな まさむね)
小枝つぐみと同じ高校に通う男子高校生。高校では男女を問わず高い人気を誇り、つねに話題の中心にいる。いつもひたむきなつぐみが気になるようになり、つぐみが困っているときには必ず助けたり優しく接していた。つぐみと付き合うようになってからは、ほかの男性がつぐみに接しないように気を配ることが多くなる。しかし、つねにつぐみのことを一番に考えており、つぐみのためになるなら自分以外の男性と接することも承諾するなど、懐が非常に深い。
遠藤 優凪 (えんどう ゆうな)
小枝つぐみと同じ高校に通う女子高校生。つぐみとは中学時代からの親友で、つねに行動を共にしている。瀬名正宗のことが好きになったつぐみの恋を全力で応援し、問題が発生するたびに親身に相談に乗っている。趣味は漫画を描くことで、つぐみと正宗との関係を遠藤優凪自身の漫画のネタにしている。つぐみからは「えんちゃん」と呼ばれており、正宗もつぐみの呼び方にならって同じように呼んでいる。
木村 義武 (きむら よしたけ)
小枝つぐみと同じ高校に通う男子高校生。瀬名正宗の友人で、クラスの中でもムードメーカー的な存在として場を盛り上げている。正宗と行動を共にしているため、正宗と付き合うようになったつぐみや遠藤優凪といっしょにいる時間が増えている。正宗がつぐみと付き合うことで自分と遊ぶ時間が少なくなっていることにやや不満を抱ている。正宗からは「タケ」と呼ばれている。
清藤 玲香 (きよどう れいか)
小枝つぐみと違う高校に通う男子高校生。つぐみとは同じ中学校の出身で、共に細い体をしていたためにつぐみと「ホネ同盟」というユニットを結成していた。同じコンプレックスを持つつぐみに思いを寄せていたが、好きな気持ちの裏返しとして冷たく接してしまい、つぐみと疎遠になっていた。高校になってつぐみと再会し、改めて好きだという気持ちを伝えようとするが、既につぐみは瀬名正宗と付き合っており、清藤玲香自身の行動の遅さを後悔する。家庭の事情で福岡へと引っ越すことが決まり、出発の当日に正宗の配慮でつぐみと会い、感謝の気持ちを伝えて去っていく。
萩原 芽衣子 (はぎわら めいこ)
小枝つぐみと同じ高校に通う女子高校生。クラスでも有名な美少女で、男子生徒からの人気も高い。瀬名正宗とは小学生の頃からの幼なじみで、当時は現在と異なり太った体型だった。その体型で周囲からからかわれていたところを正宗に助けられ、それ以来正宗に恋心を抱いていた。正宗がつぐみと付き合うことになったと知り、つぐみに嫌悪感を抱くようになる。しかし体育祭で二人三脚をすることになり、共に正宗が好きな者同士、体型に対するコンプレックスを抱く者同士として、奇妙な友情が芽生える。
書誌情報
きみはかわいい女の子 13巻 講談社〈講談社コミックス別冊フレンド〉
第1巻
(2016-01-13発行、 978-4063920246)
第2巻
(2016-05-13発行、 978-4063920437)
第3巻
(2016-09-13発行、 978-4063920796)
第4巻
(2017-02-13発行、 978-4063921038)
第5巻
(2017-07-13発行、 978-4063921229)
第6巻
(2018-01-12発行、 978-4065103982)
第7巻
(2018-05-11発行、 978-4065114223)
第8巻
(2018-09-13発行、 978-4065127520)
第9巻
(2019-02-13発行、 978-4065142172)
第10巻
(2019-08-09発行、 978-4065166376)
第11巻
(2020-07-13発行、 978-4065197752)
第12巻
(2020-11-13発行、 978-4065213964)
第13巻
(2021-04-13発行、 978-4065229644)