概要・あらすじ
自動車販売や修理を行うカンダモーターズの新入社員、白ちゃんは、いつも失敗ばかりですっかり自信をなくしていた。今日もお客さんからクレームを受け、落ち込んでいたところ、会社の敷地内に「ミムラパン」と書かれた自動車を見つける。それはパンク修理のためにカンダモーターズに来店した、パンの移動販売車であった。近づいてみると、たくさんのパンに囲まれながら仕事をする若い男性がいた。移動式パン屋の店長、ミムラさんである。「どのパンにしましょう」と声をかけられた白ちゃんは、白いパンを注文する。するとミムラさんは、これから白ちゃんのパンを作るという。目の前の白パンは予約分だったのだ。注文をキャンセルしようとする白ちゃんだったが、ミムラさんは半ば強引にチラシを手渡し、カンダモーターズを後にした。チラシには、「高速道路のパーキングエリアでお待ちします」と書かれていた。夜になり、仕事を終えた白ちゃんは、迷った末にパーキングエリアに向かう。ミムラさんから受け取った、焼き立ての白パンを食べた白ちゃんは、そのおいしさに夢中になる。かんだ瞬間はやわらかいのに、かめばかむほどモチモチになってくるのだ。ミムラさんも、最初は生地をこねるのが下手で、何度やってもうまくいかず、10回目で嫌になったという。しかし、明日を生きてもいいと思えるぐらい、楽しい一瞬があったから、諦めずに今でもパンを作り続けているのだという。その話を聞いた白ちゃんは、車のそばにいるだけで楽しかった、かつての自分を思い出した。翌日、カンダモーターズには、元気に接客する白ちゃんの姿があった。自分の原点を思い出した白ちゃんは、悩みが吹っ切れたようであった。
登場人物・キャラクター
ミムラさん
移動式パン屋を営む、赤毛で細身の男性。のんびりと穏やかな性格だが、マイペースで押しは強い。パン作りに関しては妥協せず、手間ひまをかけているため、店を開くとたちまち完売するほど人気がある。悩みを抱えた人と出会うと、その人のためだけにオリジナルのパンを作ることもある。
白ちゃん (しろちゃん)
自動車販売や修理を行うカンダモーターズの新入社員の若い女性。車についての知識は豊富だが、プレッシャーからかミスを繰り返し、店長から怒られてばかりいる。すっかり自信をなくしていたところ、ミムラさんが焼く白パンに出会い、立ち直るきっかけとなる。
書誌情報
くるくるくるま ミムラパン 3巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2021-08-11発行、 978-4098611195)
第2巻
(2022-05-12発行、 978-4098613328)
第3巻
(2022-10-12発行、 978-4098614295)