上京ガールが都会の書店に挑戦
高野あかりは愛知県の須王堂書店で3年間勤務していたが、ある日、東京本店への異動を命じられる。初めての上京に心を躍らせるあかりだったが、東京の書店は地方とは比べものにならないほどの忙しさで、元々のんびり屋のあかりは都会の厳しさに直面し、早くも挫けそうになる。しかし、副店長の寺山杜三の温かい気遣いに励まされ、次第に店になじんでいく。本作は、都会の書店で働き始めたあかりが、仕事を通じて成長し、恋を育んでいく姿を描いている。
二人の眼鏡男子との三角関係
あかりが好意を寄せる杜三は、知的な印象を与える眼鏡をかけたインテリ系の紳士。穏やかな物腰と、どこか不思議な雰囲気を漂わせている。一方、あかりの同僚である加納緑は、もう一人の眼鏡男子として登場する。緑は洗練されたイケメンで、仕事の進め方は非常にテキパキとしており、段取りが悪いあかりに辛辣な態度を見せる。緑はふだんは眼鏡をかけていないが、読書の際には眼鏡をかけ、そのギャップにあかりはドキッとさせられる。あかりは当初、同じ職場で働く彼らを単なる仕事仲間として見ていたが、次第に三人の関係は変化し、いつの間にか三角関係へと発展していく。
都会の書店で働くということ
本作の舞台は、東京にある大型書店「須王堂書店本店」で、多くの人々で賑わっている。一見すると、書店の業務は文系の穏やかな仕事のように思われがちだが、実際には毎日入荷する新刊の入れ替えやポップ作成、客への対応、企画提案など、多岐にわたる業務をこなさなければならない。田舎の書店から東京の本店に異動してきたあかりの視点を通して、意外にも重労働な書店の仕事がリアルに描かれている。また、本屋の仕事ならではの魅力として、過去の文学作品に触れる機会が豊富である点も挙げられる。読書好きにはたまらない、共感できる「あるあるネタ」も盛り込まれている。
登場人物・キャラクター
高野 あかり (こうの あかり)
須王堂書店に勤務する女性。年齢は26歳で、血液型はO型。茶髪のセミロングヘアにしている。根っからの本好きで、その情熱が高じて少し妄想癖をこじらせている。愛知県岡崎市出身で、地元の須王堂書店の岡崎支店から東京の本店に異動してきた。のんびり屋で、天然でマイペースな性格の持ち主。これまで地方の書店でのんびりと働いていたため、都会の忙しさや多様な業務に戸惑いながら日々を過ごしている。仕事での失敗が多く苦労しているものの、副店長の寺山杜三の励ましに支えられ、癒されている。
寺山 杜三 (てらやま もりぞう)
須王堂書店東京本店で副店長を務める男性。年齢は35歳で、血液型はB型。青森出身。黒縁眼鏡をかけたインテリ系の紳士で、穏やかな物腰をしている。実年齢よりも若く見えるが、どこか浮世離れした雰囲気から、アルバイトたちには「仙人」と評されている。重度のビブリオマニアであり、1か月に300冊以上の本を読む。読書に没頭しすぎると周囲が見えなくなり、声をかけてもまったく反応しないことがある。自宅は本であふれかえり、生活能力はほとんどないものの、幼い頃から本を読み続けてきたおかげで自然と豊富な知識を身につけ、勉強では苦労したことがない。東京大学を卒業しており、本に関する知識は他に類を見ないほどの造詣の深さを誇る。
加納 緑 (かのう みどり)
須王堂書店に勤務する男性。年齢は26歳で、血液型はA型。眉目秀麗な長身瘦軀の青年で、冷静沈着かつ要領のいい性格をしている。慶応大学を卒業後に須王堂書店目黒支店に就職し、高野あかりと同時期に本店に異動する。仕事のできる優秀な人間を好み、そうでない人間を嫌う。接客はスムーズで、元々の美貌も相まって同僚や顧客からの人気は高い。しかし、仕事で失敗を繰り返すあかりに対しては厳しく接し、その様子はまるで二重人格のようだと評されている。両親は幼い頃に離婚し、どちらにも引き取られなかったため、父方の祖父母に育てられた。家には祖父の大きな蔵書室があり、読書の際には眼鏡をかける。愛読書は、孤児の少年が主人公の『デイヴィッド・コパフィールド』。