概要・あらすじ
ある日、金目のものはないかと実家の物置を物色していた男子高校生・藤沢巧は、ティムと名乗る妖精が宿った壊れた原動機付自転車「TZM」を発見する。原付に興味がなかった巧はティムを無視し、車両を売却しようとクラスメイトの速水速香に相談するが、逆に原付の魅力を力説されてしまう。半信半疑ながらティムの助言に従って原付を修理した巧は、徐々にその不思議な魅力に惹かれていく。
登場人物・キャラクター
藤沢 巧 (ふじさわ たくみ)
特筆すべき趣味や取り柄がない、16歳の平凡な男子高校生。何事にも熱中できない自分に嫌悪感を抱いていたが、ティムや速水速香に言われるがまま修理した原動機付自転車「TZM」に跨った時、自分でも驚くほどの高揚感を覚え、それ以降原付に興味を持つ。免許を取得してバイク通学を行うようになってからも、すり抜けがうまくできなかったり、エンストを起こしたりなどトラブルを巻き起こすが、ティムの助力もあり、運転は徐々に上達していく。
ティム
頭部から突き出たサイドミラーのような触角と、レオタード風の衣装が特徴的な手のひらサイズの妖精。藤沢巧が実家の倉庫で見つけた原動機付自転車「TZM」に宿っていた。原付に興味のなかった巧を熱心に説得し、その魅力に気づいてもらえるよう常に努力している。一時的に原付の運動性能を底上げする能力があり、この力の発動時には運転素人の巧でも非常にテクニカルな運転が行える。 また他の車両の調子が直感的に分かるらしく、速水速香の愛車の不調を見抜くと、巧の手を借りて助言を行った。
速水 速香 (はやみ さやか)
黒い長髪と眼鏡が特徴の女子高校生で、藤沢巧のクラスメイト。実家がバイク屋を営んでいるため、バイクの知識が非常に豊富。ティムが宿ったバイクを手放そうとしていた巧に対して、原動機付自転車の魅力を力説し、巧が原付に興味を持つきっかけを作った。それまで校則で禁止されていたバイク通学の解禁を公約に掲げ、1年生ながら生徒会長に当選するなど並外れた行動力の持ち主で、公約も見事に実現させたため、一部では「伝説の生徒会長」と呼ばれている。 健啖家であり、放課後は愛車に乗って目当ての飲食店に向かうことが多い。
速水 疾香 (はやみ はやか)
黒い短髪と吊り上がった目元が特徴の女子高校生で、速水速香の妹。ある日、公道で出会った藤沢巧に危険な追い抜きをかけ、その運転を「へっぽこ」と罵った。もともとはバイクで走ることを純粋に楽しむ少女だったが、姉妹でなにかにつけ比較されてきたせいで速香にコンプレックスを抱いており、その反動が乱暴な運転へと繋がってしまっている。 バイクの存在価値は他人より速く走ることのみという主張を頑なに崩さなかったため、巧と公道レースを行うことになる。
片倉 (かたくら)
茶髪とそばかすが特徴の男子高校生で、藤沢巧のクラスメイト。巧の2つ後ろの席だが、あまり会話したことはない。スクーターで通学しているが、巧がギア付きの「TZM」に乗っていることを知って羨ましがり、自身もスクーターを改造しようと考え始める。