スーパーカブ

スーパーカブ

トネ・コーケンの小説『スーパーカブ』のコミカライズ作品。天涯孤独の身の上の女子高校生である小熊が、世界で最も売れたバイクであるスーパーカブと出会ったことで、これまでの退屈な日常が変化する。スーパーカブを通じて友情を育んでいく、小熊の姿を描いた青春物語。コミックスには原作者のトネ・コーケンによる書き下ろし小説が収録されている。「コミックNewtype」で2017年12月29日から配信の作品。2021年4月、TVアニメ・ネット配信アニメ化。

正式名称
スーパーカブ
ふりがな
すーぱーかぶ
原作者
トネ・コーケン
作者
ジャンル
バイク
 
ヒューマンドラマ
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

ないないの女の子

両親も友人もおらず、天涯孤独の身の上の女子高校生である小熊は、趣味もないことから、ただ無機質に日々を過ごしていた。そんな中、自転車での登校が不便だと感じた小熊は、原付での登校を検討する。バイクショップで「三人殺している」という曰く付きのスーパーカブを格安でゆずってもらい、免許を取得する。スーパーカブで走ることに少しずつ喜びを感じるようになった小熊は、狭かった自分の世界が少しずつ広がっていくのを感じていた。そんな中、クラスの人気者の礼子は小熊がスーパーカブを購入したことを知り、彼女に接近するようになる。礼子は小熊とは正反対のタイプで「なんでも持っている女の子」であったが、実は大のスーパーカブマニアで、最初はとまどっていた小熊もスーパーカブを通じて礼子と仲を深めていく。そして小熊は、これまで何もなかった日々を思い返しつつ、変わっていく日常に前向きな気持ちを抱くのだった。

クーリエ

小熊は、スーパーカブを購入して初めての夏休みに突入する。スーパーカブを手に入れたために色々と物入りとなった小熊は、学校の紹介で書類を運搬するクーリエのアルバイトをすることとなる。クーリエのアルバイトは突然の雨など思わぬトラブルが発生するが、小熊はその度に創意工夫で乗り切り、スーパーカブと共に日々を満喫していた。一方の礼子は富士山のブルドーザー道で、走路確認と物資の積み下ろしのアルバイトをしながら、スーパーカブで富士山の登頂に挑戦していた。周囲から無謀と言われながらも、礼子は何度も失敗を繰り返してはひたすら挑戦を続ける。礼子の富士山登頂は結局失敗したものの、チャレンジしたことに礼子は大きな達成感に包まれるのだった。しかし、礼子のスーパーカブは登頂失敗の際に大きく壊れてしまい、自分でもバカなことをしたと自覚した礼子は、小熊にそのことを話すものの小熊の返事に大笑いする。こうして二人の夏休みは、笑いに包まれて過ぎ去っていく。

私のカブ

小熊たちは修学旅行の時期を迎えていた。スウイーツや檜風呂と、鎌倉旅行を楽しみにしていた小熊だったが、当日、熱を出して寝込んでしまう。苦渋の思いで欠席を伝え、ひと眠りする小熊だったが、起きたらすっかり熱は引いており、元気になっていた。3日間何もすることがなくなった小熊は、スーパーカブを眺めるうちに今から鎌倉に向かい、修学旅行に参加することに思い至る。スーパーカブでの初めての長距離遠征に緊張しつつも、トラブルすら楽しもうと前向きに考え、スーパーカブで鎌倉に向かう。道中トラブルに見舞われながらも、各地の景色を堪能しつつ、小熊は走り続ける。そして夕方、無事に小熊はみんなが泊まっている旅館にたどり着き、無謀な行動を教師たちに怒られながらも参加の許可をもらう。礼子とも合流し、道中の話で盛り上がりつつ、二人は修学旅行を満喫する。

椎の場所

小熊たちを取りまく季節は秋を迎え、近づく冬の気配を感じていた。文化祭が近づく中、小熊たちは相変わらずスーパーカブの話をしていたが、そんな中、文化祭の機材が準備できずに恵庭椎が困っている場面に遭遇する。自分には関係ないとスルーしようとする小熊だったが、クラスメートの「荷物を運ぶのに原付じゃ無理」という一言で、小熊の闘争心に火がつく。そしてスーパーカブにリヤカーを付け、礼子と二人で機材を運び込み、椎の窮地を無事救う。椎は小熊たちに助けられたことで、スーパーカブに興味を持ち、二人にお礼のコーヒーを振る舞ったことでなかよくなる。椎の実家はお店をやっており、小熊たちは彼女の家に誘われる。肌寒い季節から温かいコーヒーが恋しくなった二人は、この提案に飛びつく。個性的ながらおいしいコーヒーとドイツのパンを売っている椎のお店を気に入り、小熊たちはたびたび店を訪れるようになる。冬が深まっていくにつれてスーパーカブの運転は過酷になっていくが、椎の父や礼子の知り合いの力を借りることで、快適に過ごしていた。

行ってみようかな

雪が降り積もり、冷たい風が吹きすさぶ冬。スーパーカブ乗りたちにとって厳しい季節となり、小熊礼子たちは防寒装備を整え、準備万端の体制で冬を楽しんでいた。しかし装備を整えるのに散財し、二人は金欠状態となって再びアルバイトを始める。一方、恵庭椎も実家の店を改装するべく、バイトに買い付けと精力的に動いていた。しかし小熊は、そんな椎のオーバーワーク気味な状態を心配していた。ある日、彼女から事故に遭ったという連絡を受ける。小熊は、大したケガをしていなかったが冬の川に落ちて身動きが取れなくなっていた椎を発見し、彼女を介抱する。無事に椎を保護するものの、椎は近道をしようとして転んで自転車を壊してしまう。愛用の自転車を失ったことで椎は落ち込むが、小熊はそんな椎を励ますのだった。そして冬は過ぎ去り、温かな日差しが心地いい春。小熊たちは椎を誘って、春を探しに遠方へと旅行に向かう。三人での旅を満喫した椎は、一大決心をして中古の「リトルカブ」を購入し、新たに始まる日々に思いを馳せるのだった。

モデルになった町

本作『スーパーカブ』は山梨県北杜市を舞台にしている。作中には日野春駅周辺の景色が描写されており、随所に北杜市の街並みが描かれている。また本作の題名にもなっている「スーパーカブ」は、国内外で累計1億台も売れた「世界で最も売れたバイク」としてギネス認定されており、燃費のよさと壊れにくさからどこまでも走れるバイクとして、長年にわたって多くの人から愛用されている。そのため、本作でもスーパーカブで遠出する描写が多く登場し、富士山や国道134号(湘南弾丸道路)、関門トンネル(国道2号)、佐多岬と、日本各地の名所が描かれている。蟹丹は作画に当たって実際に現地を取材しているが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で取材に非常に苦労したと語っている。

関連作品

TVアニメ

2021年4月、本作『スーパーカブ』のTVアニメ版『スーパーカブ』が、AT-X、BS-11、インターネット配信などで放送された。制作はスタジオKAIが担当している。また、アニメのスーパーカブの描写には協力・監修として本田技研工業株式会社が参加しており、本田技研工業株式会社の公式Twitterでは、2021年のエイプリルフールにアニメの宣伝をする投稿(https://twitter.com/HondaJP/status/1377274549759307783)をして話題となった。キャストは、小熊を夜道雪、礼子を七瀬彩夏、恵庭椎を日岡なつみが演じている。アニメは小熊がスーパーカブを通じて、友情を育み、成長していく物語で、本田技研工業株式会社の協力もあり、スーパーカブの描写に力を入れている。これは大きな反響があり、SNS上のスーパーカブに関する話題はアニメ放送後に大きく増加することとなった。また、コミックス第4巻には、メインキャラクターのアニメ設定画が収録されている。

小説

本作『スーパーカブ』は、トネ・コーケンの小説『スーパーカブ』を原作としている。2016年3月より小説投稿サイト「カクヨム」に掲載され、角川スニーカー文庫より書籍版が刊行されている。書籍版のイラストはが担当している。web版と書籍版では一部物語の展開が違っているが、天涯孤独の小熊がスーパーカブとの出会いをきっかけに成長していくという、物語の大筋は同じとなっている。なお本作のコミックス版にも、トネ・コーケンが書き下ろした短編小説が収録されている。

登場人物・キャラクター

小熊 (こぐま)

山梨県北杜市の高校に通う2年生の女子。黒い髪をおかっぱ頭にしている。特に取り立てて目立つところのない、自他共に認める地味な外見をしている。父親とは幼い頃に死別し、母親は高校入学時に失踪。天涯孤独な身の上で、奨学金で学校に行くだけの日々を送っていた。見た目がおとなしそうに見えることもあり、周囲からは不幸な身の上と合わせて暗い性格と思われており、友人もいない。「私には何もない」と無為に日々を過ごしていたが、自転車通学が大変だったため、スーパーカブを購入した。通学で走るようになり、少しずつスーパーカブの楽しさにのめり込んでいく。また、燃料やスーパーカブの整備のためにバイトを始めたため、少しずつ行動範囲が広がり、人とかかわることが増えるようになる。その身の上から自分のことは自分でやる主義で、スーパーカブの難しい整備もできるだけ自分でこなしたいと考えている。一方で、無口であまり表情に出さないが、窮地に陥った際に自分で動こうとしない人間が大嫌い。礼子とはスーパーカブを通じて友人となり、昼ごはんをよくいっしょに食べている。

礼子 (れいこ)

山梨県北杜市の高校に通う2年生の女子。黒い髪を長く伸ばしている。スタイル抜群で、凛とした雰囲気を漂わせている。父親は市議会議員で、母親は会社の経営者と裕福な家庭に育った。現在は市内の別荘で一人暮らしをしている。積極的で勝ち気な性格なこともあり、小熊からは自分と正反対のタイプで「なんでも持っている女の子」と思われている。実はスーパーカブをこよなく愛するマニア。小熊がスーパーカブに乗っていることを知り、強引に距離を縮めて彼女となかよくなる。ホンダMD90「郵政カブ」に乗っていたが、富士山の登頂に挑戦した際に壊してしまう。その後、CT110「ハンターカブ」を購入し、愛用している。バイタリティにあふれているが、しばしば考えなしに行動を起こすために、小熊から辛らつな態度で扱われることが多い。

恵庭 椎 (えにわ しい)

山梨県北杜市の高校に通う2年生の女子。若干色素の薄い黒髪をセミロングにしている。身長は130センチ台とかなり小柄な体型をしている。非常に個性的な家庭で育ち、椎の父はドイツびいき、椎の母はアメリカびいきであるため、実家はドイツ風ベーカリー兼アメリカン風カフェ「BEURRE(ブール)」を経営している。しかし道楽商売で、もうけは両親共にあまり気にしていない。そんな両親のもとで育ったこともあってか、恵庭椎もイタリアびいきで、いつか実家の店をイタリアン風のバール・カフェにするのを夢見ている。椎の淹れるコーヒーは評判がよく、小熊も気に入っている。文化祭で、トラブルで機材の搬入ができなくなったところを、小熊たちがスーパーカブで運んでくれたのをきっかけになかよくなる。アレックス・モールトンのコンパクト自転車を愛車としていたが、冬に不注意で事故に遭って破損してしまう。その後、小熊たちとスーパーカブで行動する際に、その魅力に取りつかれ、中古の「リトルカブ」を購入する。手先が器用で、散髪から料理までなんでもこなす。特に料理は小熊が思わず絶賛するほどで、かなりの腕前。

椎の父 (しいのちち)

恵庭椎の父親で、大柄な体型の中年男性。黒いヒゲを伸ばしている。陽気で人当たりのよい性格をしている。元は東京で会社勤めしていたが、一念発起して「BEURRE(ブール)」を始めた。会社勤め時代に散々仕事をしてきたことから、半分道楽のような感覚で店を経営している。店はドイツ好きが高じてドイツ風ベーカリーとなっているが、妻の影響で店の半分はアメリカン風カフェで、椎の父本人もアメリカンコーヒーを淹れて客をもてなしている。また、店の名前はフランス語で「バター」を意味するなど、さまざまなことがちぐはぐ。娘の椎がイタリアン風のバール・カフェに店を改装しようとしているのを応援しているが、同時に末恐ろしいとも思っている。親子仲は非常によく、娘のことをなんだかんだ心配している。

椎の母 (しいのはは)

恵庭椎の母親で、金髪で大柄な体型の中年女性。エプロンドレスを身につけている。アメリカ好きで、往年のアメリカミュージカルっぽい衣装やしぐさが大好き。日常的にそのしぐさをするため、椎は友人たちに母親の姿を見られることを嫌がっている。椎の母の趣味で、「BEURRE(ブール)」の半分はアメリカン風カフェの内装となっている。

担任教師 (たんにんきょうし)

山梨県北杜市の高校で教師を務める男性。小熊のクラス担任をしている。まじめな性格で、眼鏡を掛けている。長い教師人生の中でも、入学当初の小熊の陰のある顔は特に印象に残っており、何かと気に掛けていた。スーパーカブに乗るようになって表情が明るくなったのを喜んでいるが、同時にケガをしないか心配して、彼女がスーパーカブに乗る姿を見て胃を痛めている。修学旅行ではあとからスーパーカブに乗って現れた小熊に苦言を呈しながらも、参加を認めた。

林 みのり (はやし みのり)

甲府の高校で教師を務める女性。文芸部の顧問をしている。黒い髪をショートカットに整え、小麦色の肌をしている。小熊がクーリエのアルバイトをした際、書類の受け渡し先だったため、彼女と交流を育む。スーパーカブに興味があり、祖父のスーパーカブをゆずってもらおうか検討している。職人気質で、使いやすい新品ではなく、あえて使いづらい中古のスーパーカブを手に入れて、色々と困らせてほしいと考えている。困難を苦にしない気質の礼子とは、初めて出会った時からすぐに意気投合する。

杉江 愛 (すぎえ あい)

KHC地域医療センターの社長を務める女性。ロングヘアの知的美人で、テキパキと仕事をこなしている。林みのりとは学生時代の友人で、彼女の紹介でやって来た小熊と礼子を医療検査物の運搬バイトとして雇う。小熊たちが運搬に失敗した際のデメリットを淡々と説いたため、彼女たちから怯えられる。仕事場ではクールビューティに振る舞っているが、自分の名前にコンプレックスを感じており、名前を呼ばれると恥ずかしがる。

クレジット

原作

トネ・コーケン

キャラクター原案

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