概要・あらすじ
女子高に通う旭ひなたは、頭が良く成績優秀だが、中身がちょっとお子様で天然な女の子。ある日、ひなたが暮らす家の隣に麻生史朗という男性が引っ越してくる。彼は、ひなたの高校のクラス担任として赴任して来た教師であった。出会った時から望むことをなんでもしてくれる麻生に、ひなたはどんどん惹かれていく。そんななかで、ひなたの素性や麻生が引っ越して来た目的など数々の謎が浮上し、少しずつその謎が解き明かされる。
そしてひなたはついに、大きな事件に巻き込まれてしまう。
登場人物・キャラクター
旭 ひなた (あさひ ひなた)
私立桜都女子高等学校1-Dの女子高生。明るく朗らかな性格だが、篠原燈子や岸谷笑には「純正」と言われている。成績優秀でテストでも高得点を取っているが、人を疑うことを知らず純粋。ある日、隣に引っ越して来た麻生史朗と出会う。猫を抱っこさせてくれたり手を握ってくれたりと、彼女の好きなことをしてくれるという理由で、麻生に惹かれるようになる。 父親は私立桜都女子高校の理事長であり、数々の会社を経営している資産家。母親は5年前に亡くなっており、現在は大きな一軒家で一人暮らしをしている。いつもぬいぐるみの若、殿を大切にしており、玄関先に置いて見送りや出迎えをさせている他、時にはおんぶして出歩くこともある。
麻生 史朗 (あそう しろう)
私立桜都女子高等学校1-Dの産休代行教師。旭ひなたが暮らす家の隣に引っ越して来た男性。担当は化学で32歳。ぶっきらぼうで感情を表に出さないが、ひなたに猫を抱っこさせたり、一緒に歩く時はさりげなくひなたを車道から遠ざけたりと優しい一面を見せ、ひなたに好意を寄せられている。ひなたに関することには詳しく、母親が5年前に亡くなっていることなども知っている。 麻生史朗の「目」が普通の先生と違うという理由で、篠原燈子に疑いの目を向けられる。
篠原 燈子 (しのはら とうこ)
私立桜都女子高等学校1-Dの女子高生。旭ひなたの幼なじみにしてクラスメイト。落ち着いた物腰で、文武両道の学校一の美人と評されている。他校の男子から告白されても、すべて断っているため彼氏はいない。ひなたの過去を知る数少ない人物であり、私立桜都女子高校に転校する際には一緒に付いて来たほど、ひなたのことを気にかけ心配している。 麻生史朗が普通の先生と違うことをいち早く察知し、ひなたと距離を縮めていく麻生に疑念を抱くようになる。
岸谷 笑 (きしたに えみ)
私立桜都女子高等学校1-Dの女子高生。旭ひなたのクラスメイト。快活な性格で、学校が女子高であることを恨み、男子を欲している。麻生史朗が赴任して来た時にも色めき立っていたが、実際の男性の好みは、ずっと若いか、ずっと年配だと語っている。ひなたと麻生が隣人同士であることを知り、学校での混乱を避けるため、そのことを内緒にしておくようにひなたに諭す。 ひなたの過去について篠原燈子から聞いており、燈子が麻生に疑念を持った時には、自分の持つ情報網で探ることを申し出る。
奈宮 智秋 (なみや ともあき)
麻生史朗の知り合いで、作家として活動している21歳の男性。手掛ける作品はポルノ小説と絵本。旭ひなたのお気に入りの絵本の作者で、新作の「すき」も彼が描いたもの。実は「すき」はひなたと麻生をモデルに描いた作品である。
祈津 昌也 (きづ まさや)
奈宮智秋の側についている男性。麻生史朗とは腐れ縁の関係にある。智秋が電話するだけで、すぐさま駆けつけて来るほどフットワークが軽い。智秋が旭ひなたと親しくなる流れで、ひなたとも顔見知りになる。
場所
私立桜都女子高等学校 (しりつおうとじょしこうとうがっこう)
旭ひなたや篠原燈子、岸谷笑が通う私立の女子高校。彼女たちのクラスの産休代行教師として、麻生史朗がこの学校に赴任することとなる。ひなたの父親が理事長を務めているが、ひなたは周囲から特別視されていない。
その他キーワード
すき
奈宮智秋が手掛ける絵本作品。智秋の作品のファンである旭ひなたは、前作まで欠かさず購入していた。純真なこぐまと、その隣に引っ越して来たくまを中心とした物語であり、それぞれひなたと麻生史朗をモデルにして描かれている。そのため、本作『すき。だからすき』の中盤からは、物語とリンクしてこの絵本の展開も進行していく形をとる。
若、殿 (わか、との)
一対のくまのぬいぐるみ。旭ひなたがいつも傍らに置いており、黒い方が若、白い方が殿である。ひなたは、出かける時に若と殿を玄関先に置いて見送りをさせ、帰宅した時には出迎えさせている。ひなたの母親が亡くなる直前に、ひなたへ送った誕生日プレゼント。