蜜味ブラッド ~蜜夜初恋心中~

空園ひなたは、恋を知らない15歳のピュアな少女。ある日彼女の家の隣に、小説家の時永潤夜が引っ越してくる。ひなたは、潤夜が書く「吸血鬼シリーズ」の大ファンだったので大喜び。以来、潤夜に会いたくて、毎日隣家に遊びに行くようになった。潤夜のほうも、ひなたのことが可愛くて仕方がないといった様子。ある日、潤夜に抱き寄せられ、おでこや首筋を愛撫されたひなたは、彼が口づけを避けていることに気がつく。それを指摘された潤夜は、ひなたの顔を引き寄せるが、そこで邪魔が入った。潤夜の担当女性編集者だった。彼女はひなたをつまみ出し、潤夜に原稿を催促する。翌日、授業で作ったケーキを届けようと、隣家を尋ねたひなたは、潤夜が昨日の女性担当編集と抱き合っている姿を目撃する。取り乱すひなたの誤解を解くため、潤夜は強引に彼女を抱き寄せ、キスをする。それは、「契約のキス」だった。潤夜の正体は永遠の命を持つ吸血鬼で、女性編集者とは恋愛関係はなく、血をもらっていただけだった。吸血鬼は、好きな人とキスをすると生涯その人の血でしか生きられなくなる。つまり、ひなたが死ぬと潤夜も死ぬことになる。彼は生涯の恋人にひなたを選んだのだ。しかし、本物の吸血鬼を目の前にし、ひなたは腰を抜かしてしまう。自分を恐れるひなたの姿に耐えきれず、潤夜は彼女に別れを告げ、部屋に引きこもる。そして1週間が経った。自分に潤夜の一生を背負えるのだろうか、迷いながらも彼の家を尋ねたひなたは、衰弱しきった潤夜を発見する。もう彼女に迷いはなかった。ひなたは潤夜に生き血を捧げる。こうして二人の運命は一つとなり、生涯をともに暮らすことになった。