あらすじ
復讐編
黒田美香は帰宅途中、ちょっとしたトラブルで広瀬ひなたとスマートフォンが入れ替わってしまう。そのお詫びにと、ひなたからケーキショップに誘われた美香は、予想外にひなたと意気投合し、略奪愛を経て結婚間近であることで話が盛り上がる。しかし実際は、美香は婚約者である桜井亨が結婚に乗り気ではなく、その関係が破綻しかけていることに焦りを覚えていた。一方で、亨は接触事故の被害者となったひなたと知り合い、生活の手助けを申し出る中、ひなたに対して特別な好意を抱くようになる。亨がひなたと親密な関係になる反面、美香は胎児のエコー写真が入った手紙や無言電話などの嫌がらせを受ける日が続くようになる。その嫌がらせのすべては、ひなたが姉・広瀬かなたの復讐のため、幼なじみの浅井光汰と組んで、亨と美香を陥れるべく仕組んだものだった。
報復編
浅井光汰の協力もあって、桜井亨は左遷され、黒田美香は婚約を破棄されて自暴自棄になっていた。その姿を確認した広瀬ひなたは、あらためてこの復讐を決行するきっかけとなった一通の手紙を読み返していた。自殺した広瀬かなたから届いた手紙には、かなたの恋人である亨からずっと裏切られていたこと、亨を美香に寝取られたこと、亨の子供を妊娠したが流産したこと、そして流産したのは美香に階段から突き落とされたのが原因であることなどが書き綴られていた。亨の心身をさらに追い詰めるため、復讐の続行を決めるひなただったが、嫌がらせの犯人をかなただと考えていた美香は、かなたが故人だと知ると、妹のひなたが代わりに復讐を行っているのではないかと察する。そして美香は、今度はひなたを絶望させて追い込もうと、ある報復方法を思いつく。
真実編
そんな中、広瀬ひなたは桜井亨に自分が広瀬かなたの妹であることを打ち明ける。かなたを裏切って黒田美香を選んだ亨を罵倒するひなただったが、その時、亨から「プロポーズを断り続けていたのはかなたの方である」との驚きの事実が語られる。その言葉をにわかには信じられないひなたはその場で亨を追及するが、その時、カッターナイフを握りしめた美香がひなたに襲いかかる。とっさにひなたをかばったのは亨だった。動揺したまま帰宅したひなたと浅井光汰は、郵便受けに再び、かなたからの手紙が届いていることに気づく。そこに書かれていたのは、これまでひなたが目にしていたかなたの姿からは考えられない衝撃的な内容だった。
メディアミックス
テレビドラマ
2021年3月から、本作『RISKY ~復讐は罪の味~』のテレビドラマ版『RISKY』が毎日放送ほかで放送された。全7話。ストーリーはほとんど本作と同じだが、最終話の展開はドラマオリジナルのものとなっている。監督は原廣利と佐藤竜憲、脚本は坪田文が務めている。キャストは、広瀬ひなたを萩原みのり、桜井亨を古川雄輝、黒田美香を山下リオが演じている。
登場人物・キャラクター
広瀬 ひなた (ひろせ ひなた)
広瀬かなたの妹。ウエーブがかった茶髪を背中まで伸ばしている。中学生の頃に両親が他界しており、かなただけが唯一の肉親だった。かなたの自殺は黒田美香が桜井亨を略奪し、美香が故意にかなたを階段から突き落として流産させたことが原因であり、かなたは美香と亨に殺されたようなものだと恨んでいる。二人に復讐するため、浅井光汰と協力してあらゆる方法で美香と亨を追い詰めようと画策しており、特に亨には何度も接触し、肉体関係も持っている。ヒステリーを起こしている美香や、疲れている亨に優しく接する反面、心をもてあそんで心身ともにボロボロにしようと考えている。しかし、計画の半ばで美香に素性がバレ、思わぬ反撃を食らうことになる。美香や亨と接触した際には、かなたの妹だと悟られないよう「浅井ひなた」と名乗って眼鏡をかけている。
黒田 美香 (くろだ みか)
桜井亨の婚約者の女性。赤みがかった茶髪のショートボブで、唇が厚い。広瀬かなたが亨と付き合っている時に亨を寝取った。しかし亨が、かなたが妊娠していることを理由にかなたと別れることを拒絶したため、かなたを階段から突き落として流産させた。亨とは婚約したものの、仕事を理由に結婚に対して前向きでない様子にヒステリックな態度を見せていた。広瀬ひなたと出会ってから無言電話や、気味の悪い手紙の嫌がらせを受けるようになるが、当初は犯人をかなただと考えていた。しかし、身元調査によってかなたが亡くなったことを知ってからは、妹のひなたが画策していることを察し、反撃に出る。父親が美香の母親と黒田美香を捨てて不倫相手のもとに逃げ、さらに美香の母親が水商売を始めたことをきっかけに、自分の幸福を貪欲に求めるようになった。会社では面倒くさい仕事を他人に押し付け、男には媚びているため、嫌な女と陰口を叩かれている。
桜井 亨 (さくらい とおる)
黒田美香の婚約者の男性。かつては広瀬かなたと付き合っていた。将来を嘱望されている商社マンで、部長からの信頼が厚いため、出世コースを歩んでいた。美香と婚約したものの、美香が結婚に圧力をかけるたびに仕事に逃避していた。また、美香のヒステリーに辟易しており、偶然を装って接触してきた広瀬ひなたに好意を抱き、肉体関係を持つようになった。美香との痴話ゲンカが原因で左遷を言い渡された際には、ライバル会社の社員を装って接触してきた浅井光汰から、ヘッドハンティングを条件にスパイ行為をそそのかされている。
浅井 光汰 (あさい こうた)
広瀬ひなたの幼なじみの男性。金髪のツーブロックヘアをしている。広瀬かなたの死に関する情報をひなたと共有しており、黒田美香と桜井亨に復讐する手伝いをしている。亨が美香との痴話ゲンカが原因で左遷を言い渡された際には、ライバル会社の社員「古谷誠」を名乗ってヘッドハンティングを条件に、現在勤めている会社の顧客リストを横流しするようにそそのかした。
広瀬 かなた (ひろせ かなた)
広瀬ひなたの姉で、桜井亨の恋人だった女性。故人。黒髪をミディアムヘアにしている。新社会人になった頃に両親が他界しており、当時中学生だったひなたをたった一人で育て上げた。ひなたが社会人になった頃に妊娠し、亨からのプロポーズを受ける決心を固める。だが、その頃にはすでに亨が黒田美香に寝取られていたことを知り、人生に絶望してしまう。階段から転落して流産したことで自殺を考えるようになる。
松野 (まつの)
黒田美香の同僚の女性。黒髪をショートボブヘアにしている。美香が近々寿退職することを理由に、面倒な企画やプレゼンなどの仕事をすべて押しつけてくるため、同僚たちからは同情されている。
美香の母親 (みかのははおや)
黒田美香の母親。金髪のロングヘアで、唇が厚い。もともとは家庭的な女性で、美香が小学生の頃は化粧もせずに家事に専念していた。その後は反動のように化粧品や洋服を大量購入するようになる。その浪費ぶりに危機感を抱いた美香に頼み込まれた末に、スナックを開店した。しかし、その後も資金難になると美香に金銭をたかっている。
部長 (ぶちょう)
桜井亨の上司である老齢の男性。ふくよかな体型で、白髪を七三分けにしている。社員を育てることに定評があり、亨を目にかけていた。本社ビルのエントランスで、黒田美香が亨に食ってかかっているのを目にした際には、痴話ゲンカを社内に持ち込まないようにとやんわりと注意をうながした。プロジェクトチーム選抜を兼ねたホームパーティーも主催しており、部下たちとは家族ぐるみで親しく接している。