あらすじ
第1巻
中学生の少年・桜井智樹は、時折翼の生えた女性の夢を見る度に泣いてしまう変な癖があった。それを幼なじみの見月そはらに相談すると、新大陸発見部に所属する先輩・守形英四郎に相談するようアドバイスを受ける。そこで智樹は栄四郎に夢の事を話すと、栄四郎は新大陸が原因なのだと滅茶苦茶な理論を口にする。そして智樹は栄四郎と共に、新大陸を観測しに行こうと強引に連れ出されてしまう。そんな中、いっしょに行くはずだったそはらと栄四郎が急に行けなくなり、智樹は一人で新大陸を観測しに行く事になる。すると、智樹のもとに突然、羽の生えた女性が空から落ちて来た。そして智樹は、その羽の生えた女性イカロスを放って置けず、家まで連れて帰る事になる。そんな中、イカロスは自らを愛玩用のエンジェロイドだと名乗り、マスターとなった智樹からの命令を欲する。さらにイカロスの能力でなんでも叶うと知った智樹は、欲望のままに振る舞う。その最中、イカロスは智樹が冗談で口にした世界征服したいという願いを叶えようとするが、そのせいで世界中から智樹以外の人間が消え去ってしまう。
第2巻
桜井智樹は竹原から出された難しい数学の宿題を前に苦戦していた。そこで智樹は見月そはらと共に守形英四郎に教えてもらえばいいと思いつく。そこで「守形」という苗字の家に行ってみたものの、そこでは栄四郎という名の子供はいないと言われてしまう。そんな中、散歩中だった五月田根美香子と出会い、栄四郎に会いたいなら河原に行くといいと教えてもらう。言われたとおり智樹とそはらが河原に行くと、栄四郎はそこでテントを広げて生活をしていた。栄四郎は智樹の宿題を難なくこなす中、イカロスに続きをやってほしいと頼んだ。しかし、イカロスは数学の問題をまったく解けず、栄四郎はそれを不思議がる。その後、夕飯の材料として魚を釣っている最中、イカロスは南米のアマゾンから大型の魚を獲って来た。みんながそれを見て笑う中、栄四郎だけはイカロスの愛玩用にしては高過ぎる能力に疑問を抱き、イカロスに対して何者なのかと尋ねた。しかし、イカロスはあくまでも自分を愛玩用のエンジェロイドだと言い張る。
第3巻
イカロスをシナプスに連れ帰るために、ニンフがやって来た。ニンフはイカロスを痛めつけ、強引に連れ帰ろうとした挙句、彼女が本当は何者なのかを教えるために、イカロスに掛けられていた記憶域のプロテクトを解く。それによりイカロスは自分が愛玩用ではなく、兵器である事を思い出してしまう。さらにニンフのハッキングをきっかけに本来の能力も取り戻すが、戦闘力はニンフの能力を大幅に上回り、ニンフには手に負えなくなってしまう。そして、イカロスはニンフを撃退する事に成功するも、兵器だと自覚した事で桜井智樹のもとに居ていいのかと疑問を覚えてしまう。その後、イカロスはニンフに負わされたケガを木にぶつかっただけだと、智樹にウソを吐く。しかし、智樹はそんなはずはないとイカロスのウソを見抜いていた。そのことで、イカロスは智樹に嫌われてしまうと考えたが、智樹はイカロスが隠し事ができるほど感情豊かになった事を褒めた。それによりイカロスは、秘密を持ちながらも智樹のもとにいてもいいのだと考える。
第4巻
ニンフは、ハーピーと協力してイカロスを倒す事になった。しかし、桜井智樹達に感情移入し始めていたニンフは、気が進まない。そんなニンフの心中を見抜いたハーピーは、シナプスにいるマスターがニンフの事を心配しているとウソを吐いて協力させようとする。しかし、ニンフはそれを見抜き、ハーピーに対して超々超音波振動子を浴びせる。それによりハーピーを破壊する事に成功したと思っていたニンフだったが、ハーピーは破壊されておらず、裏切ったニンフに対して怒りをぶつける。そんな中、智樹達がハーピーによって蹂躙されていたニンフを助けにやって来る。イカロスはニンフを助けるために、智樹の前で自らが兵器だと明かし、智樹もまた、そんなイカロスの存在を肯定するのだった。これにより迷いを断ち切ったイカロスは、圧倒的な実力を見せつけてハーピーを撃退。さらに、智樹達は協力してニンフをつないでいた鎖を断ち切る。こうしてニンフは、シナプスにいるマスターとの契約を解き、自由の身になる。
第5巻
テレビドラマに影響されたニンフは、桜井智樹にデートに連れて行ってほしいと頼んだ。そこで智樹はニンフとイカロスを連れて街に出掛ける。そして、イカロスは智樹とニンフがなかよくしている姿を見て嫉妬を覚えるが、それを自覚できずにいた。そんな中、シナプスからアストレアがやって来て、智樹の事を探し回る。そんなアストレアを見つけた守形英四郎は智樹に警告をするために、彼の家へとやって来た。しかし智樹は煩悩を捨て去るため、寺に修行へと来ていた。一方、シナプスからの刺客と聞いて慌てるニンフとイカロスだったが、刺客がアストレアだと知ると同時に放っておいても問題ないと安堵する。ニンフいわくアストレアは戦闘能力が高い反面、アホだから大した脅威にはならないと栄四郎に説明した。その言葉通り智樹の前に現れたアストレアは智樹のペースに乗せられてしまい、智樹の脅威にはなりえなかった。
第6巻
機密情報を守形英四郎に聞かれてしまったアストレアはどうにかごまかそうとするも、頭が悪いせいで栄四郎を誤魔化し切れない。そこで栄四郎を殺そうとするも、逆に捕らえられてしまった。そんな中、アストレアが桜井智樹を殺したがっていると知った五月田根美香子は、智樹抹殺に協力すると言い出した。そして、美香子は全校生徒を巻き込んだ女子対男子の雪合戦を開催する。智樹がそんな会長の横暴さに辟易する中、会長は勝ったチームには負けたチームを好きにできる権利が与えられると説明する。すると、智樹は男子チームをまとめ上げ、女子チームを倒そうとやる気を新たにする。アストレアはこの雪合戦に乗じて智樹を抹殺しようとするも、智樹はアストレアなど眼中になかった。そして、智樹は男子数十名を連れて正面突破を仕掛け、脅威となる敵・見月そはらを潰しに掛かった。それにより智樹はそはらを戦闘不能に追い込んだうえ、多くの捕虜を捕らえる事に成功する。そして、智樹が捕虜達にエッチな事をし始める中、モテる男子達が裏切って捕虜を逃がしてしまう。さらに復活したそはらの猛攻を受け、智樹は無様な敗北を喫してしまう。
第7巻
シナプスでは第2世代のエンジェロイドであるカオスが完成され、ニンフとイカロスを破壊しにやって来る。そして、カオスは桜井智樹に変装してニンフを外へと連れ出し、ニンフのマスターになりたいと言って喜ばせるが、その直後に自爆しろと酷な命令を下す。それによってニンフは智樹が偽物だと気づき攻撃するが、カオスには攻撃が通用しなかった。そんな中、イカロスがニンフを助けにやって来る。そして、カオスに対して攻撃を仕掛けようとするが、カオスはイカロスによる攻撃を受けないように智樹に変身してしまう。イカロスはニンフを遠くへと投げる事で戦線から離脱させるも、カオスが智樹の姿のまま下した命令を受け、自らを破壊し始めた。一方、遠くへと飛ばされたニンフは、偶然通り掛かったアストレアにイカロスを助けてほしいと頼む。しかし、様子を見ていたシナプスのマスターは、アストレアに対してニンフを破壊しろと命令を下した。マスターからの命令には逆らえないアストレアはニンフを破壊しようとするも、智樹が現れてニンフをかばおうとする。
第8巻
アストレアは自らつながれた鎖を断ち切り、自分の意思でカオスに対して勝負を挑んだ。遠距離戦を苦手とするアストレアの弱点を見抜いたカオスは、遠くからアストレアをなぶり殺しにしようとするが、自己修復したイカロスによって阻止される。さらにイカロスは深度8000メートル以上の深海にカオスを沈める事で、彼女を無力化する事に成功した。そして、空美町に再び平和が訪れる中、ヒマを持て余した五月田根美香子が、桜井智樹を嵌めるために「ヨーヨー釣り対決」のイベントを開催する。そのヨーヨー釣り対決では二人一組になってプールの中にいる水着の女子達を釣り上げるという特別ルールとなっており、当初イベントへの参加を拒んでいた智樹も水着の女子を釣り上げられると知った直後からやる気を出して参加を表明する。そして、最初こそ調子よく水着の女子達を釣り上げていた智樹だったが、美香子の妨害に遭ってしまい、思うようにスコアが伸びない。そんな中、智樹は大物狙いに絞り、プールの中にいる見月そはらを捕まえようとする。
第9巻
風音日和が新大陸発見部への入部を希望する。守形英四郎は日和をシナプスで見かけていた経緯から、日和の入部を拒もうとする。しかし、部員が増える事で部費が増額すると知った栄四郎は、手のひらを返して日和の入部を歓迎した。そんな中、日和が増える事で新大陸発見部での活発な活動を強いられる桜井智樹は、日和が入部を拒みたくなるように、新大陸発見部には清純な心が不可欠だとして、日和の清純さをテストすると言い出す。そして、智樹は日和の前で白い下着で遊んで見せ、日和に同じ事ができるかと無理難題を吹っ掛ける。すると、日和は恥ずかしがりながらも智樹の真似をしてみせる。その後も智樹の出した無理難題を次々とクリアしてみせた日和に対して、智樹はなんでそこまで新大陸発見に入部したいのかと尋ねる。その問いに日和は、ロマンチックだからだと答える。そんな二人の前に栄四郎達が姿を現し、日和に嫌がらせをする智樹に対して、お仕置きをするのだった。
第10巻
突然、空美町の気圧が急激に下がり、桜井智樹達は気圧の低さに苦しみ始めた。それをシナプスからの攻撃だと悟ったイカロス達は、原因だと考えられる場所へと向かう。そこにはシナプスでエンジェロイドへと改造された、風音日和の姿があった。さらに日和はシナプスのマスターにあやつられており、イカロス達に攻撃を仕掛ける。イカロス達は智樹達を救うべく、仕方なしに日和を破壊する事を決意するが、日和を破壊しようとするニンフを、起き上がって来た智樹達が止める。そして、あやつられている日和に対して、ニンフがハッキングを仕掛けてはどうかと提案する。しかし、その事を想定していたシナプスのマスターは、あらかじめ電子専用の装備をありったけ積んでおり、ニンフは逆に日和によるハッキングを受けてしまう。そんな中、ニンフは智樹の応援によって覚醒。そして、さらなる力を解放させる事で日和のハッキングに成功し、日和はシナプスのマスターから解放される事となる。
第11巻
桜井智樹が笑えと言っても、イカロスはうまく笑う事ができない。智樹は自分との契約を解けばイカロスもうまく笑えるようになるかもと考え、イカロスの刷り込みを解いてしまう。しかし自由になったはずのイカロスは、智樹に対して嫌がらせとも思えるような行為をし始めた。さらにイカロスと契約すると言い出した五月田根美香子はイカロスに対して、智樹をどこか深い海にでも捨てて来いと命令を下す。するとイカロスは智樹を抱えて飛び立ち、海のど真ん中で智樹を放り出し、智樹が助けを求めると、イカロスは智樹を助ける。しかし、代わりにイカロスは自由なんて要らないと泣き出してしまう。それにより智樹はイカロスの気持ちを理解して、再び刷り込みを行った。そんな中、イカロスと智樹の真下から水中戦闘用のエンジェロイド・セイレーンが襲って来る。しかし襲おうとする前に、さらに海底にいたカオスによって攻撃され、その力を吸収されてしまう。さらにカオスはPandoraにより自己進化した事で海底から上がれるようになっており、その力を発揮して智樹のところへ向かう。
第12巻
愛を理解したカオスは、シナプスのマスターのもとに帰ろうとする。しかし、シナプスのマスターは手がつけられなくなったカオスに対して、廃棄処分の決定を下した。カオスはシナプスからの攻撃を受けて片翼を破壊され、帰還できなくなってしまう。そこでカオスは帰る場所を求めて桜井智樹のもとに向かうが、智樹から拒絶されたと勘違いし、海底に戻ろうと飛び去る。カオスが泣いているのを見たアストレアが心配して彼女を追い掛けるも、カオスはアストレアを攻撃して振り切り、再び海底へと潜ってしまう。一方、カオスが泣いているのが気になったアストレアは、愛について考え始めていた。そしてアストレアは、智樹に対して愛とは何かと尋ねる。しかし、嫌われ者の智樹もまた、愛について詳しく説明できなかった。そこで智樹とアストレアは小犬になりきる事で、他人から愛をもらおうとする。すると、五月田根美香子がやって来て、小犬に扮した智樹だけを連れて帰ってしまう。
第13巻
ダイヴゲームを使ってシナプスを調べていた守形英四郎は、誤ってオレガノの内の一体を連れ帰ってしまう。そこで栄四郎は桜井智樹に世話を頼むが断られてしまう。すると、五月田根美香子が智樹の代わりにオレガノの世話をすると言い出し、彼女を家に連れて帰る。しかし、時が経つに連れて智樹は美香子のもとにいるオレガノの事が心配になり、その様子を見に行く事に決める。オレガノは美香子のもとで元気に過ごしているばかりか、言語能力まで取りつけられていた。そしてオレガノは、やって来た智樹とニンフをもてなすも、なぜかニンフの扱いだけがおかしい。それはさらにエスカレートしていき、オレガノによるニンフへの扱いは嫌がらせの域に達していた。それらを我慢していたニンフだったが、オレガノから貧乳だと言われた途端、激怒してオレガノに対して報復しようとする。しかし、オレガノはニンフによる追撃をかわしたうえで罠に掛け、彼女を手榴弾で爆破してしまった。その後、ニンフは泥だらけで家に帰ると共に、オレガノへの恨みを積もらせていく。
第14巻
突然、空美町にイカロスそっくりのエンジェロイド・イカロス=メランが現れ、桜井智樹とイカロスに対して攻撃を仕掛ける。そんな中、イカロスと智樹が攻撃された事に激怒したアストレアは、イカロス=メランに攻撃を仕掛ける。しかし、イカロス=メランのバリアに歯が立たず、アストレアの持つ剣は折れてしまう。そして、イカロス=メランはニンフ達に止めの一撃を放とうとするが、イカロスがニンフ達をかばい、修復不能になるまで破壊されてしまう。イカロスが破壊された事で絶望するニンフ達の前に、さらなる敵のニンフ=メランとアストレア=メランが複数現れ、ニンフとアストレアはさらなる窮地に追い込まれる。そんな中、ニンフは智樹への思いを糧に覚醒を遂げ、素粒子ジャミングシステムを駆使して敵の集団にハッキングを仕掛ける。修復不可能だったはずのイカロスもまた、智樹への思いを糧に自己進化、バージョンⅡへと変貌を遂げる。そして圧倒的な戦闘力で、何十体もいた敵エンジェロイド達をすべて破壊する。
第15巻
突然、鳳凰院・キング・義経が桜井智樹のもとを訪れる。そして、義経と五月田根美香子のどちらがより金持ちかで勝負する事になった。まず義経が自らの家の年収を明かすが、美香子の家の年収は義経の家の年収を大幅に上回っていた。その後も義経は勝負を美香子に仕掛けるも、敗北してしまう。すると、鳳凰院月乃が自分達には栄養士の管理のもとで鍛えられた美貌があると誇り始める。しかし、その途端スケベな智樹が暴走を始め、月乃達を襲ってしまう。それを見た義経は智樹に負けじと空見中学の女子生徒にセクハラを働き始める。結局、義経と智樹は共に女子生徒達による粛清を受け、さらに義経は月乃に嫌われてしまう。義経は月乃に嫌われたショックで、智樹の家に入り浸り始める。そこで智樹達は義経と月乃の仲直りの手助けをする。
第16巻
シナプスにいるマスターは成功する見込みがないと知りながら、ハーピー達にイカロスの破壊を命じた。そこでハーピーは玉砕覚悟で、イカロスに戦いを挑もうとする。しかし、イカロスはハーピーを破壊してしまう事を嫌がり、戦いを拒もうとする。すると、イカロスの代わりにニンフがハーピーとの勝負を受けようと宣言。そんな一食触発の空気の中、桜井智樹が現れてニンフとイカロスに喧嘩をやめるようにと命令するが、ハーピー達の気がおさまらない。そこで智樹はハーピー達に服を買ってやると言い、服を買ったらイカロスと戦ってもいいと言い出す。そこでハーピー達はおとなしく智樹達といっしょに服を買いに行く事になった。
第17巻
ハーピーの妹は姉の事を頼むと言いつつ、イカロスに戦いを挑もうとする。ハーピーの妹は姉といっしょにシナプスのマスターに反抗するわけにはいかず、せめて自分だけでも犠牲になるつもりだった。そんな中、姉が妹を助けにやって来る。姉もまた、妹と同様に自分を犠牲にして相手の居場所を作るつもりだったのだ。お互いに相手の気持ちを知ったハーピーの二人はいっしょに玉砕する事を決める。そして、ハーピー達はイカロスを巻き込んでの自爆を敢行。それによりシナプスのマスターは、ハーピー達がどれだけ自分の事を心配していたのかを知るも、その時には既にハーピー達が自爆したあとだった。その後、シナプスのマスターはハーピー達を失った悲しみに暮れる。一方、桜井智樹はハーピーが破壊された事に強烈な怒りを覚え、シナプスに攻め入る事を決意する。
第18巻
カオスは頭がよくなりたいと願い、Pandoraを使って風音日和を吸収しようとする。日和はカオスから逃げ回り、さらに攻撃を仕掛けようとするがカオスには歯が立たなかった。そんな中、日和はカオスの苦しみを理解して彼女を放って置けず、自らカオスに吸収される道を選んだ。それによってカオスは日和の聡明さを手に入れると共に、自らのやって来た行いの愚かさを理解してしまった。一方、日和がカオスにより殺された事を知ったニンフは、怒り狂ってカオスを殺そうとする。そして、カオスはニンフによる攻撃を前に、罪の意識から反撃できない。そんな中、カオスの気持ちを理解した桜井智樹が彼女をかばおうとするも、誤ってカオスにより胸を刺されてしまう。智樹までをも殺してしまった事でカオスは守形英四郎を連れて、シナプスにある石板の前に行く。そして栄四郎に石板を操作させる。それにより石板が発動、新たに世界が作り替えられていく。
第19巻
自らの死を悟った守形英四郎は、桜井智樹に電話を掛ける。そして、栄四郎は自分の代わりに石板を止めてほしいと、智樹に頼んだ。彼の最後の願いを聞いた智樹は、イカロス達と共にシナプスに乗り込む事を決意する。そこでニンフとアストレアが先に向かい、防御システムであるZEUSの破壊を試みる。その途中、アストレアは邪魔をしに来たカオスを止めようとする。そして、カオスは無理をし過ぎた事で自壊、アストレアはカオスの自爆に巻き込まれる形で破壊されてしまう。そのあいだにニンフはZEUSをかいくぐり、シナプスへの潜入に成功する。しかし、ミーノースにその動きを気取られてしまう。そんな中、ミーノースはニンフに対してもう一度自分のエンジェロイドにならないかと提案。ニンフはその提案を聞き入れるそぶりを見せつつ、自爆を敢行。ZEUSを巻き込んで破壊されてしまう。そこで智樹はイカロスと共にシナプスに向かう。しかし、イカロスには許可なくシナプスに近づくと、自爆するシステムが積まれていた。そして、イカロスは自らを犠牲にして、智樹をシナプスまで送り届ける。
第20巻
イカロス達を失った悲しみに暮れながら桜井智樹は、ミーノースと対峙する。ミーノースは智樹を殺そうとするが、智樹の手にはイカロスから受け取った核がにぎられていた。智樹はそれを使ってミーノースの攻撃を無力化しつつ、今までの恨みをミーノースにぶつける。その後、智樹はミーノースに止めを刺さずにその場を立ち去ろうとするが、ミーノースは情けをかけられまいとして自殺してしまう。それを見届けたあとに智樹は、ダイダロスと出会う。そして、ダイダロスは自分が見月そはらだったのだと明かした。ダイダロスは智樹を連れて、石板の前に向かう。石板は守形英四郎によってプログラムを書き換えられており、もう一度だけ願いを書き込める状態になっていた。そこで智樹は「みんなを元通りにしたい」という願いを書き込むのだった。それにより世界は元あった状態へと戻り、智樹は騒がしい日常へと戻っていく。
登場人物・キャラクター
桜井 智樹 (さくらい ともき)
県立空美中学校に通う小柄な少年で一人暮らしをしている。モットーは平和が一番。性格は大変スケベでその行動力もあってイカロスにもらったカードを度々悪用してはエッチな目的に利用している。そうでなくとも周囲の女性をあたりかまわずセクハラしていることが多いので、同級生の女子からの評判が悪い。 しかし根はやさしく、その為、彼に好意を寄せる少女も少なくない。幼少の頃から翼の生えた少女が現れる夢を見ることがあり、目覚めると必ず涙を流していたが、イカロスと出逢って以降はその夢を見ても涙を流さなくなった。
イカロス
主人公である桜井智樹の前に空から降ってきた羽の生えた女の子の姿をした未確認生物。智樹をマスターとして刷り込み(インプリンティング)して以降智樹と生活を共にする。当初は愛玩用エンジェロイドを自称していた。しかし機能やスペックから言って愛玩用と考えるのは不自然であり、実際にはシナプスで兵器として造られた戦略用エンジェロイドで驚異的な戦闘能力を誇る。 感情表現が苦手で性格は静かで従順。また、智樹の命令という名の変態行為の手助けを忠実にこなそうとするが、天然ボケが入っており自体が大きくなってトラブルに発展することも少なくない。
見月 そはら (みつき そはら)
主人公である桜井智樹と同じ県立空美中学校に通う幼馴染の中学生であり智樹に想いを寄せている。発育がとてもよく92cmのバストを誇る為、智樹のセクハラの被害に何度も遭っている。切れ味のあるチョップを持ち、眠っている智樹を起こしたりセクハラに対する制裁をする時にはチョップを放つのが毎回のパターンであり所謂暴力ヒロインである。 料理がとても下手で何度か智樹達に料理を振る舞った際には彼らを死の淵に追いやっている。幼少の頃は体が弱かった。
守形 英四郎 (すがた えいしろう)
『そらのおとしもの』の登場人物で県立空美中学校では主人公である桜井智樹から見て先輩にあたる。新大陸発見部の部長で東京大学の院試レベルの数学をスラスラ解く頭脳と高い戦闘能力を持っている。実家とは絶縁状態にあり河原でテントを張って生活しており、同じ河原暮らしのアストレアと絡むことも少なくない。新大陸の存在と自作のハングライダーで空を飛ぶことに強い執着を持っており周囲から変人扱いされている。 フィギュアのパンツを除く趣味がある。五月田根美香子とは幼馴染。
ニンフ
翼の生えたツインテールの少女の姿をしており、貧乳。シナプスにいるマスターに命令されイカロスを連れ戻すために地上にやってきた。ハッキングなどの電子戦に長けているが戦闘能力はあまり高くない。当初は残忍な方法でイカロスをいたぶっていたが、智樹達と過ごすうちに智樹の優しさに感化され、シナプスにいるマスターを裏切ることを決意する。 音波で攻撃する武装を持った兵器である為か音痴。
アストレア
主人公である桜井智樹抹殺を命じられてシナプスからやってきた。翼の生えた金髪の少女の姿をしている。戦闘と感情制御に長けているが、電算能力が低い所為かドジな性格をしていて智樹抹殺の任務を尽く失敗しているばかりか、智樹にバカ認定までされている所謂アホの子である。 シナプスにいるマスターに廃棄処分されるのを恐れてシナプスに帰れなくなり、河原で極貧生活をしている。
五月田根 美香子
『そらのおとしもの』に登場する人物で主人公の桜井智樹が通う県立空美中学校の生徒会長であり代々続く任侠道(セレブ)のお嬢様。守形栄四郎の幼馴染。好きなことは主人公である桜井智樹の断末魔を聞くことであり、暇を見つけては智樹など周囲をトラブルに巻き込んでは楽しむ腹黒い性格の持ち主である。 総理大臣に影響力を持っていたり物語終盤では周囲に起きている出来事のすべてを理解しているような描写があるなど、その実態には謎の多い人物。
ハーピー
『そらのおとしもの』に登場する人型兵器で、髪の色以外は同じ姿の双子の姉妹である。戦闘力はイカロスに遠く及ばず、シナプスのマスターに命じられた任務に度々失敗している。普段はシナプスの警護をしているがシナプスに侵入してきた栄四郎を追いかけるも毎回逃げ切られている。
オレガノ
『そらのおとしもの』に登場するエンジェロイド。普段はシナプスの居住区の清掃などをしており大量に存在する。守形栄四郎がシナプスに侵入した際、そのうち一体が栄四郎と一緒に地上についてきてしまい、五月田根美香子の家に居候することになる。当初は言語能力が無く話すことができなかったが、五月田根家で言語能力を取り付けて発話が可能になった。
竹原 (たけはら)
『そらのおとしもの』に登場する人物。桜井智樹の通う県立空美中学校の数学教師で生徒に東大院試レベルの数学の問題を課しては解けない生徒を見て見下すなど教師として問題がある。五月田根美香子が暇つぶしに何か大会を開くたびに司会として呼ばれている。
鳳凰院・キング・義経 (ほうおういん・きんぐ・よしつね)
『そらのおとしもの』に登場する人物でお坊ちゃま。私立空美学園の生徒で、空美町は田舎町で中学校が二つしかなく、学園祭が合同で開かれるため、文化祭の度に県立空美中学校にやってきては智樹達と勝負をしている。
桜井 智代 (さくらい ともよ)
主人公の桜井智樹の母であり、智樹が量子変換器で女体化した智子に外見が似ている。息子と同様色を好む性格であり、巨乳とイケメンを好む。智樹が十歳の時に智樹を置いて夫と共に諸国漫遊の度に出かけてしまった。
ダイダロス
シナプスに住んでいる研究者の女性。前髪で目元が隠れており、背中からは羽が生えている。シナプス史上最高の科学者と呼ばれており、エンジェロイドをはじめとしたシナプスの装置やアイテムなどの開発に携わっている。多くのシナプス人と同様にコールドスリープさせ、地上では見月そはらとして暮らしていた。しかし、地上人としては身体が弱かった事から、幼い頃に死亡。その後、桜井智樹にそはらとしての存在を忘れ去られる事を嫌がり、代わりの「そはら」を作って地上に住まわせていた。また、停滞したシナプスの現状をなんとかしてもらいたいと願い、わざとイカロスを地上に落として智樹のもとに送り届けた。智樹の生活はシナプスで日々観察しており、彼に危険が迫った際は夢などを通して警告を行っている。さらにその後、智樹がシナプスにやって来た際は、自分が「見月そはら」だと明かしている。また、智樹が石板を使って世界を元通りに構築し直したあとは、地上で智樹達といっしょに遊んでいる。
鳳凰院 月乃 (ほうおういん つきの)
鳳凰院・キング・義経の妹。地元のお嬢様学校に通っている中学生。ロングヘアで、垢抜けた外見をしている。高飛車な性格で、義経と共に桜井智樹達に対して何かと喧嘩を売って来る事が多い。その一方で、かなりのブラコンであり、義経がほかの女の子に対してスカート捲(まく)りを行った際は嫉妬していた。さらにどうせなら自分のスカートを捲ればいいと、義経に対して自らスカートをたくし上げて見せていた。
アストレア=メラン
ミーノースにより製作されたエンジェロイド。同タイプのエンジェロイドが大量に生産されている。アストレアを基にして作成されており、見た目は彼女にそっくり。また、アストレアに比べると、黒を基調とした姿をしている。アストレアを基本として製作されているため、彼女と同じような能力を所持している。それを使ってニンフ達を追いつめようとするが、Pandoraによって進化したバージョンⅡのイカロスによって破壊された。
ニンフ=メラン
ミーノースにより製作されたエンジェロイド。同タイプのエンジェロイドが大量に生産されている。ニンフを基にして作成されており、見た目は彼女にそっくり。また、ニンフに比べると、黒を基調とした姿をしている。ニンフの持つハッキング能力などの基本的な能力を備えており、ニンフを追いつめた。しかし、Pandoraによって自己進化したニンフによるハッキングを受けてしまう。
イカロス=メラン
ミーノースにより製作されたエンジェロイド。同タイプのエンジェロイドが大量に生産されている。イカロスを基にして作成されており、見た目は彼女にそっくり。また、イカロスに比べると、黒を基調とした姿をしている。搭載されている可変ウィングの核はイカロスのそれと比べると、出力は圧倒的に劣っている。しかし、外殻はイカロスのそれと比べて、大幅に能力が向上している。それによってイカロス以上の能力を所持しており、イカロス達を追いつめた。しかし、Pandoraによって進化したバージョンⅡのイカロスには遠く及ばず、数十体で挑みながらも返り討ちに遭っている。その後、シナプスの警護を担当するようになっている。
ミーノース
シナプスの王として君臨している男性。また、もともとニンフやアストレア達と契約していたマスター。金色の長髪で、目元が前髪で隠れている。また背中からは、大きな羽が生えている。大型の兵器開発に秀でており、シナプスにおける防御網「ZEUS」の開発に携わっている。残酷かつ残虐な性格である一方、シナプスでの暮らしに飽いている。そのため「楽しみたい」という目的のために、エンジェロイド達に酷な命令を下す事もしばしば。そして、地上に落とされたイカロスを取り返そうとするうちに、桜井智樹との対立を深めていく。さらに智樹達を倒すために、さまざまな策謀を巡らせていた。智樹達を倒すにあたってはエンジェロイドに命じる事がほとんどだが、現在稼働しているエンジェロイドでは智樹達に敵わないと悟るや否や、天才的な兵器開発の腕前を用いて自らエンジェロイドを開発している。その後、シナプスへとやって来た智樹と対峙。智樹を殺そうとするが、イカロスの核を持った智樹に殴りつけられる。その後、智樹に情けを掛けられたくないという思いから自殺。しかし智樹の使った石板の力で、生き返る事になった。
セイレーン
ミーノースにより製作された第2世代のエンジェロイド。上半身はロングヘアの女性で、魚の尾を持っている。エンジェロイドの弱点であったはずの水中を自在に泳ぐ事ができる。これを利用してイカロスを水中に引きずり込んで破壊しようと目論んでいたが、海底に潜んでいたカオスによる攻撃を受け、破壊されてしまう。さらにその能力はカオスの持つPandoraにより吸収されてしまう。
風音 日和 (かぜね ひより)
桜井智樹と同じ学校に通っている女子中学生。黒髪のロングヘアで、清楚な外見をしている。おとなしく温和な性格で、面倒見がいい。また、2年前に他界した両親の遺した畑の世話をしているが、それを知り合いに見られるのを恥ずかしがっている。智樹に片思いしており、彼の在籍している新大陸発見部への入部を希望した。実はシナプスに住んでいる者の見ている夢によって形成されている人物で、守形英四郎にはそれを知られている。その後、栄四郎に存在を訝しまれながらも、新大陸発見部のみんなと親交を深めていく。そして、智樹に対して告白をした直後、交通事故に巻き込まれて死んでしまう。それにより人間としての人生を終えるが、シナプス人として目覚める。さらにミーノースによりエンジェロイドとして改造を施され、敵として智樹達の前に現れた。その際、ニンフによるハッキングを受けて正気を取り戻してからは、エンジェロイドでありながらも地上人として生活をしている。以降は智樹に対して恋心を寄せながらも、智樹にはほかに好きな子がいると悟ったうえで一歩身を引いている。
集団・組織
新大陸発見部 (しんたいりくはっけんぶ)
『そらのおとしもの』に登場する組織。主人公である桜井智樹の通う県立空美中学校の部活動の一つで、部員は守形栄四郎ただ一人であったがいつのまにか智樹やそはらたちも巻き込まれていた。具体的な活動内容は不明。
場所
空美町 (そらみちょう)
主人公である桜井智樹の暮らす人口7,000人程度の山に囲まれた小さな町で、取り立てて名物があるわけでもなく田畑にがそこかしこにある。智樹はこの町の、のどかで平和な所を気に入っている。
シナプス
空中に浮かぶ都市で、人類の科学技術では観測ができない。守形栄四郎曰く新大陸。翼の生えた人間の姿をした住人達が暮らしており、地上に住む人間たちを地蟲(ダウナー )と呼んで蔑んでいる。高度な技術力を誇るが、住人たちのほとんどはコールドスリープをしており、起きている者も連日愛玩用エンジェロイドを侍らせて酒食に浸っている。 物語の十一年前に主人公である桜井智樹の夢と繋がってしまった。
その他キーワード
カオス
『そらのおとしもの』に登場する人型兵器で修道服を着た幼女の外見をしている。イカロス以上の戦闘能力を有するが人格が幼いため残虐な行為も平気で行う。他のエンジェロイドを吸収することができる。
量子変換器 (りょうしへんかんき)
『そらのおとしもの』に登場する装置。ヒロインであるイカロスの持っていたシナプス製の装置で、人間を他の物体や人物に変身(メタモルフォーゼ)させることができるが、使用者の精神状態が乱れると変身が解けてしまう。主人公である桜井智樹にセクハラ目的で何度か悪用されている。
エンジェロイド
『そらのおとしもの』に登場するシナプスによって製造された翼の生えた人型の生体メカ。人間と同じように食事し生活できるが、第一世代エンジェロイドは睡眠し夢を見ることが出来ない。主従契約を行うプログラム、刷り込み(インプリンティング)によってマスターを設定するとエンジェロイドの首輪からマスターの手に鎖が伸びて繋がれる。 この鎖は好きな時に伸ばしたり消したりできる。また、エンジェロイドのうち自己進化プログラムであるPandora(パンドラ)を搭載したものはシナプスの制御から離れる可能性がある。また、多くのエンジェロイドは泳げない。
ダイヴゲーム
『そらのおとしもの』に登場する、過去にシナプスで流行した地上人の夢に潜入(ダイヴ)するゲーム。主人公である桜井智樹の夢はシナプスと繋がっている為、智樹の夢にダイヴすると現実世界のシナプスに行ってしまう。
石板 (るーる)
ダイダロスが開発した、願いを叶えるための装置。シナプスの一角に設置されており、石碑のような形をしている。また、石碑にはシナプスの言語で、さまざまな願いが書き込まれている。ダイダロスがこれを開発した事により、シナプスの人々は抱えていた欲のすべてを満たした。しかし欲を満たし過ぎたせいで、生きる事に飽いてしまうようになっている。その後、カオスによりあやつられた守形英四郎がこれを起動。新しい世界を作りたいという願いを書き込んだせいで、元あった世界が破滅に向かってしまう。本来であればこの願いで書き込める箇所がなくなってしまい、新たな石板を作るには長い年月が必要とされていた。しかし、栄四郎によりプログラムが書き換えられ、あと1回願いを書き込めるようになった。そして、桜井智樹がこれにみんなを元通りにしたいという願いを書き込み、世界の崩壊が抑えられる事となる。
ZEUS (ぜうす)
ミーノースによって製作された防空システム。シナプスの防御の要で、備えた対空砲で近づくものを撃墜する。Pandoraによって進化したバージョンⅡのイカロスですら突破する事ができないほど強固なシステムだが、桜井智樹がシナプスにやって来た際には、ニンフにより内部から破壊されていため、発動しなかった。
Pandora (ぱんどら)
第1世代のエンジェロイドとカオスに搭載されている自己進化プログラム。これを備えているエンジェロイドは、経験や戦闘によって外殻などを自己進化する事ができる。
刷り込み (いんぷりんてぃんぐ)
エンジェロイドを使役する際に行われる儀式。刷り込みが行われた際、エンジェロイドには首輪が取り付けられる。さらに首輪から伸びた鎖は、マスターの手ににぎられる。鎖につながれたエンジェロイドはマスターの命令には逆らう事ができない。ちなみにつながれた鎖は普段は目に見えない形となっており、移動にも制限はない。
超々超音波振動子 (ぱらだいす=そんぐ)
ニンフの所持する攻撃用武装。音波を利用した攻撃により、相手を破壊する事ができる。ただし、ニンフ自体が戦闘能力が低いため、武装としての攻撃能力はさほど高くない。