あらすじ
第1巻
高校3年生の小栗都は、毎日をさえない気分で過ごしている。片思いしている時原大翔は自分の姉である小栗蛍と交際しており、都はもはや、大翔に告白する事もできなくなっていたからである。そんなある朝、都のもとへ不思議な鍵が送られて来る。送り主によると、この鍵を使って屋上の扉を開くと、現状を変える力が手に入るのだという。いたずらだと思い、気にも留めずにいた都だったが、その直後、大翔と蛍に城田司との会話を聞かれ、自分の気持ちがばれてしまう。そのショックで、衝動的に鍵を使うのだった。そして都が目を覚ますと、そこはなんと過去の世界であった。都は約2年前の、高校1年生の秋までタイプリープしていたのである。これが鍵の力によるものだと理解した都は送り主に感謝し、大翔に告白する決意をする。都はこの頃すでに大翔に思いを寄せていたが、10月の文化祭で大翔と蛍が出会ってしまった事により言い出せなくなり、それをずっと後悔していたからである。そしてなんとか告白に成功した都だったが、大翔の返事は、しばらく考えさせてほしいというものであった。それでも未来を変えられた事を喜ぶ都だったが、このまま自分が本来と違う行動を取り続けた場合、大翔と蛍の幸せな未来を奪ってしまうのではないかと悩むようになる。そんな折、都が文化祭準備中にうとうとしていると、そこになぜか司がやって来る。そして司は、なんと都の髪にキスをして去っていったのであった。
第2巻
小栗都と、その友人であり協力者の華本桃子は、城田司の、不自然に協力的な行動を不思議に思っていた。もしかすると司は、都同様未来からタイムリープして来た存在であり、都に思いを寄せながらも、その恋を応援してくれているのかもしれない。そう考えた都は司に申し訳なく思いつつも、未来を変えるため、文化祭当日時原大翔と小栗蛍が出会わないように奔走する。結果、二人は出会わず未来は変わり、さらに大翔から告白の返事をされた都は、晴れて交際する事になる。しかし、いざ付き合い始めると、何も知らずに大翔との恋を応援してくれる蛍に罪悪感を覚えたり、大翔とはなかなか進展しなかったりと、新たな悩みが生じてくる。そしてクリスマスの夜、桃子はアルバイト先のカラオケ店に大翔と蛍が偶然同じ時間帯に来店したのに気づき、二人を出会わせないよう、都に報告する。都は急いで現地に向かうが失敗し、とうとう大翔と蛍は出会い、本来の歴史通り、大翔は蛍に一目惚れするのだった。そのまま冬休みが過ぎ、3学期が始まった朝、都は大翔に呼び出される。そこでふられると悟った都は、あえて自分からふるという形で、大翔を苦しませない事にする。しかし直後、二人が別れたのを知った蛍は激怒。都の制止も聞かず、大翔のところへ乗り込んで行ってしまう。
第3巻
冬。小栗蛍は、小栗都が時原大翔に一方的にふられたと考え、激怒していた。蛍になぜ都をふったのかと問われた大翔は、仕方なく、蛍に一目惚れしてしまったので、都と交際し続ける事はできなくなったと正直に告げる。しかし、それはますます蛍を怒らせ、蛍と大翔の関係はもはや修復不能になってしまう。都は自分がタイムリープした事によって、本来であれば恋人同士になるはずであった二人の関係を壊したと、深く後悔する。しかし蛍には、都の好きな男性と交際するなんて考えられないし、たとえ知らずに交際を始めたとしても、あとから真実を知れば後悔するに違いないので、そんな事はしたくないと言われ、精神的に楽になる。そして都が自分なりに一歩踏み出そうとしていた折、都は華本桃子と城田司から衝撃の事実を知らされる。なんと桃子と司は、都同様タイムリープしており、そもそも都にタイムリープするための「片翼の鍵」を送ったのは、この二人だったのである。そんな桃子と司の目的とは、高校3年生の春に、大翔と蛍との三角関係が原因で自殺する運命にある都を救う事であった。特に司は、すでに都のために、幾度となくタイムリープを繰り返しているのだという。司の自分への思いを知った都は、せめて何かお礼をしようと、バレンタインデーにお菓子を渡す決意をする。しかしその直後、司の「片翼の鍵」が突如消えてしまい、同時に大翔が不審な動きをし始める。司はこのままではもう過去に戻れず、都の自殺を止められないかもしれないと苦しむ。都はそんな司と、そして自分自身のため、司が鍵を紛失した可能性のある、自分自身の自殺予定地へ行く決意をする。
第4巻
城田司から告白された小栗都は、高校3年生の春に自分が自殺するという未来を受けとめ、それを阻止する決意をしていた。そこで華本桃子も交えて司の「片翼の鍵」を探し続ける都達だったが、鍵は見つからず、三人は時原大翔が未来の世界で司から鍵を奪ってタイムリープしたため、その瞬間、未来の世界から見て過去であるこの世界が書き換わり、鍵の所有者が司から大翔に移行したのではという仮説に至る。そのままバレンタインデーが訪れ、都は司にお菓子を渡そうとするが、それを大翔宛と勘違いした司は、大翔に渡してしまう。放課後、都は大翔に事情を説明し、お菓子を返してもらおうとするが、そこでなんと大翔が豹変。司の「片翼の鍵」を見せ、今後この世界で起きる事を語り始める。大翔と蛍の関係が壊れた事により二人は交際せず、一方都は、自殺する事もなく司と交際を始め、幸せに暮らしていた。しかし大翔は、その後8年のあいだ蛍の事が忘れられず孤独に過ごし、そんな大翔を見かねた司は、次第に大翔から遠ざかっていったのだという。これによって大翔は、都が個人的な都合で未来を変え、自分から蛍と司という大切な人を二人も奪ったと感じていた。そして8年後の世界で「片翼の鍵」を手に入れた大翔は、まずは高校1年生の冬にタイムリープし、そこで都に真実を告げて脅す。次に、都と二人で高校1年生の春までタイムリープする事で、大翔にとって都合のいい未来を作ろうと考えたのである。そこに事態を察した司が駆けつけるが、都は大翔の言い分はもっともであると考え、タイムリープを承諾する。
第5巻
小栗都は時原大翔の主張を受け入れ、いっしょにタイムリープすると決意した。しかし二人がいざタイムリープしようとすると、なぜか「片翼の鍵」は発動せず、都と城田司は困惑する。しかし大翔は、こうなる事を予期していた。大翔は「片翼の鍵」は、鍵に片思いの力を込めて使用するため、たとえば鍵の使用者が思い人とすでに両思いになっている場合、タイムリープは不可能になるのではと考えていたからである。大翔の予想は当たり、つまり都と司はすでに両思いになっているため、もう「片翼の鍵」を使用できない。なので、今後どんなに大翔を思い、過去を変えようとしてもできないので、大翔はこれから苦しい8年間を過ごす事になったのである。こうして目の前で都に鍵を使わせた事で、都と司は自分を裏切ったわけではなかったと安堵した大翔は、そのまま一人タイムリープし消えていく。残された都達のいる今の世界は崩壊し、今度は大翔一人が高校1年生の秋から、過去をやり直す形となるのだった。これによって大翔は、今度こそ小栗蛍と幸せに暮らせると確信する。しかし、高校3年生の春、大翔の知る限りでは司と交際するはずであった都が、実は大翔が好きだったと言い出す。さらに、それが蛍にも知られてしまった事で、大翔は、都を苦しめるのは嫌だと判断した蛍から別れを告げられるのだった。
第6巻
時原大翔は、タイムリープにより小栗蛍と幸せに暮らせる世界を作ろうとしたが失敗し、さらに突然「片翼の鍵」が消えた事により再度タイムリープする事もできず、絶望していた。憔悴する大翔の姿を見た小栗都は責任を感じ、自殺しようとする。しかし、そこに城田司と華本桃子がやって来る。二人は約30年後の未来の世界で、蛍の命と引き換えにタイムリープ装置「両翼の鍵」と「片翼の鍵」を完成させてやって来た存在であり、都の自殺を、何としても止めたいと思っている。そのため、これから都にある選択をしてほしいのだという。それは、このまま普通に生きていくか、これからたった一人でタイムリープをして、都以外の関係者にはタイムリープに関するいっさい記憶がないまっさらな状態から、未来を作り直すかの二択であった。困惑する都だったが、司、桃子、蛍の三人がこれまでどれだけ自分を思い、未来を変えようとしていたかを痛感し、タイムリープを決意。そして協力者ゼロの状態で高校1年生の入学式の日まで戻った都は、まず、何も知らない桃子と再び友人になる。しかし、本来とは違うタイミングで桃子と出会った事により、さっそく未来は、都の知るものとは大きく変わり始める。
第7巻
周囲の人々全員の幸福のために、小栗都は高校1年生の入学式の日までタイムリープしたが、肝心の城田司とは、未だに話す事もできずにいた。タイムリープを経験していない司と華本桃子は、当然ながら今後起こる事を知らず、これによって都に対する接し方もかつてのものとは大きく違っていたのである。そして1泊2日のオリエンテーリングが始まるが、ここでも都の知る未来とは別の展開が起き始める。なぜなら都の知る未来では、すでにタイムリープしていた司が、隠れて都をサポートしてくれていたが、今回はそれがないためであった。その結果、都は山道で足を踏み外してケガをしてしまうが、そこになぜか司がやって来る。これにより都は、司がタイムリープなしでも本質的に心優しく、親切な人物であると実感し、衝動的に司に告白する。その場では交際などには至らず、ひとまず都と司は友人となるが、その直後今度は桃子と司が、本来とは別のタイミングで出会い親しくなる。都はこの突如生まれた二人の新たな関係性を見て、自分が未来を変えた事で、今後二人が両思いになるのではと感じるようになる。さらに、都、司、桃子、時原大翔の四人で出かけたある日、都はちょっとした誤解から司を怒らせてしまい、思わず過去に戻ってやり直そうと「両翼の鍵」を使ってしまう。しかし、その先はなぜか3年後の未来で、大学生となった司が待っていた。
第8巻
「両翼の鍵」を使って3年後の城田司と出会った小栗都は、司に励まされ、今の世界の司と向き合う事を改めて誓う。そして早速、司とのあいだに生じた誤解を解いた都は、その直後に時原大翔と小栗蛍を出会わせる事にも成功。大翔と蛍を恋人同士にするには、今後どうすればよいかを考え始める。しかしそんな折、なんと蛍の方から、スキー旅行のチケットが四人分手に入ったので、司と二人で行くのはどうかとプレゼントをされる。そこで都は、都、司、蛍、大翔の四人で行けばいいと思いつく。そして無事三人の承諾を得られた事で、当日四人は楽しい時間を過ごすのだった。しかしその夜、都と司は大翔が蛍に告白する現場に遭遇する。だが、蛍の返事は、ほかに好きな人がいるので、大翔の気持ちには応えられないというものであった。予想外の展開に都は混乱するが、すぐにその原因を理解する。都の知る未来では、本来大翔は高校1年生の冬休みに蛍に告白し、ひとまず友人として親しくなっていく予定であった。しかし、都が故意に二人の出会いを変え、結果的に予定よりも半年以上早く大翔が告白した事で、未来が変わってしまったのである。都は軽率な行動を悔やむが、何も知らない司は、これは都の責任ではないと励ます。そして、大翔の恋を何としてでも成就させるべく、都と司はある作戦を思いつく。それは蛍の高校へ潜入し、蛍の思い人が誰なのかを探るというものだった。
第9巻
小栗蛍の思い人とは、なんと所属する吹奏楽部の顧問教師であった。蛍の高校に潜入した事で、顧問教師の優しい人柄に触れた小栗都と城田司は、やはりこれは蛍と時原大翔、そして顧問教師の三人の問題であり、自分達が首を突っ込むのはいけないという結論に至る。そこで都と司は方向転換し、蛍にふられて以来学校を休み続けている大翔の居場所を探る事にする。早速単身で時原家へ向かう都だったが、そこには大翔ではなく、大翔の母親の恋人がいるのみであった。そこで都は大翔の母親の恋人に襲われそうになるが、司が駆けつけ、事なきを得る。司曰く、大翔の家は母子家庭なうえ、母親が、先ほどのような問題のある男性を頻繁に連れ込んでおり、耐えかねた大翔は家出を繰り返しているのだという。大翔を案じた都は「両翼の鍵」を使い、また未来の司にアドバイスを乞う。「両翼の鍵」に仕込まれた仕掛けにより、未来の司は、自分自身に関するすべて記憶を得ているので、力になってくれるのではと考えたのである。こうして未来の司から大翔の居場所を聞いた都は、翌日司と共に、大翔が隠れてアルバイトをしている遊園地へ向かう。そして二人が大翔を捕まえるのと同時に蛍が現場にやって来るようにし、再度二人が話をできるようセッティングをする。これによって大翔は、蛍には長く片思いしている相手がいるが、気持ちを伝えられないまま、相手がこの町を去るらしいという事を知る。そこで大翔は、失恋はつらいが、それ以上に蛍を応援したいと考え、蛍に告白するよう説得。これによって蛍は一歩踏み出し、顧問教師に告白する。結果的にはふられてしまったものの、蛍は大翔のお陰で吹っ切れるのだった。
第10巻
夏休み。時原大翔と小栗蛍の問題も解決し、小栗都はホッと一息つけたものの、肝心の城田司との関係は進展せず、悩んでいた。そんなある日、都は司、蛍、大翔の四人で海へ行く事になる。そこで都は司から、これまで待たせてしまったが、来週の花火大会の日にこちらから交際を申し込むので、いっしょに出かけようと誘われる。そして花火大会当日。ついに二人は恋人同士となる。しかし都は、ある一点を懸念していた。未来の司曰く、自分は「両翼の鍵」の仕掛けにより、都と両思いになったあと、自分から都にキスをした事で、タイムリープに関するすべての記憶を獲得した。なので、交際後初めてのキスをする事で、今のタイムリープの事などまったく知らない司は、事実上消滅してしまうのだという。司にこの事情を伝えないままキスをするのはおかしいと感じた都は、「両翼の鍵」を使って司を未来へ向かわせ、未来の自分に事情を説明させたうえで、記憶を得るかどうかを、司自身に選択させたいと考える。そして7年後の世界の都からすべてを聞き、現在に戻った司は、たとえ記憶を得る事で自分の内面が変わってしまい、またその記憶達が辛い出来事ばかりでも、これまでに起きたすべてを知りたいと都に告げ、キスをする。こうして二人は結ばれ、7年後、司が「両翼の鍵」で見た未来通りに結婚式を挙げるのだった。
登場人物・キャラクター
小栗 都 (おぐり みやこ) 主人公
北高校に通う3年生の女子。1年次は1年2組、3年次は3年3組に所属している。小栗蛍の妹でもある。前髪を目の上で切り、肩につくほどまで伸ばした、栗色の内巻きボブヘア。身長は155センチ。体型は、ややぽっ... 関連ページ:小栗 都
城田 司 (しろた つかさ)
北高校3年生の男子。小栗都のクラスメイトで、時原大翔の友人。1年次は1年2組、3年次は3年3組に所属している。部活動は男子サッカー部。前髪を目の上で切った、黒のショートカットヘアにしている。釣り目で八... 関連ページ:城田 司
時原 大翔 (ときはら ひろと)
北高校3年生の男子。小栗都の思い人で、小栗蛍の恋人、そして城田司の友人。1年次は1年2組、3年次は3年3組に所属している。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、暗い緑色のストレートショートカットヘア。頭脳... 関連ページ:時原 大翔
華本 桃子 (はなもと ももこ)
北高校に通う3年生の女子。小栗都の友人。前髪を目が隠れるほど伸ばした、肩につくほどの黒のセミロングヘアに眼鏡をかけている。「桃子」という名前は、自分にはかわいすぎると感じており、都には苗字から取ったあ... 関連ページ:華本 桃子
小栗 蛍 (おぐり ほたる)
小栗都の姉で、大学2年生の女子。高校時代は都達とは別の進学校、西高校に通っており、その後現在の大学に進学した。前髪を目の上で切って真ん中で分け、胸の下まで伸ばしたストレートロングヘアにしている。身長は... 関連ページ:小栗 蛍
掛井 (かけい)
小栗都のクラスメイトの女子。1年次は1年2組に所属していたが、3年次の所属クラスは不明。前髪をカチューシャで上げて額を全開にし、胸の上まで伸ばしたゆるく巻いたセミロングウェーブヘアにしている。ギャル系の派手な服装を好み、唇が分厚い。しかし、入学式の日だけは目立つのを避け、一見地味な服装をしていた。都とは入学式の日、都から声を掛けた事で知り合った。 しかし、その直後掛井が地味な服装をやめ、意地悪な本性を現した事で、掛井と都は友人というよりも、主と奴隷のような関係になってしまう。さらにその後、都と時原大翔がゲームを通じて親しくなったのがきっかけで、掛井は都のような目立たない女性が、大翔と親しくしているのが気に入らないと思うようになる。 それ以降、友人達と共に都に嫌がらせをするようになる。しかし、ある日見かねた華本桃子が都を助けるために撃退し、それ以降は嫌がらせをやめた。
その他キーワード
片翼の鍵 (かたよくのかぎ)
小栗都のもとに、ある日突然届けられた鍵。色は金色で、ヘッド部分に小さな石と、片翼だけの天使の羽の飾りがついており、首の部分には石と同じ色のリボンが結ばれたデザインをしている。全部で三つあり、それぞれヘッド部分に付いている石の色が違う。そのため小栗蛍が所有し、のちに都に渡ったものは「赤い鍵」。司が所有し、のちに時原大翔に奪われたものは「青い鍵」。 華本桃子が所有するものは「黄色い鍵」とも呼ばれる。使用者が任意の鍵穴に差し込んで開錠する事で、使用者が望んだタイミングの過去の世界に、回数無制限でタイムリープする事ができる。しかし、タイムリープできるのは使用者一人だけで、さらに、使用者が片思いをしていないとタイムリープはできない。 たとえば、両思いの恋人がいる人間が「片翼の鍵」を使っても、何も起こらない。「片翼の鍵」は「両翼の鍵」をベースに作られており「両翼の鍵」を最初に使用した人間が「両翼の鍵」に命を吸い取られる事で「片翼の鍵」は誕生する。その際「片翼の鍵」が生まれる数は「両翼の鍵」を使用して死亡した人間を、心から大切に思い、その死を悲しんだ人間の数に対応している。 そのため蛍が「両翼の鍵」を使用して死亡した際に、「片翼の鍵」は少なくとも三つ生まれた事が確認されている。
両翼の鍵 (りょうよくのかぎ)
城田司が、46歳の時に完成させた、時を超える力を持った鍵。二つあり、一つは色は黒で、ヘッド部分にハート型の飾りが付き、その左右に天使の羽が付いて、首の部分にはリボン型の飾りが付いたデザイン。もう一つは色が金色で、そのほかは黒の「両翼の鍵」と同じデザインをしている。黒い「両翼の鍵」は、過去へタイムリープする力と、初回使用と同時に「片翼の鍵」を生む力を持つ。 しかし、黒い「両翼の鍵」は初回使用時に、使用者の命を吸い取らなければ力を発揮できない。そのため、小栗蛍が最初の使用者となり、命を落とした事で黒い「両翼の鍵」は使用できるようになった。対する金色の「両翼の鍵」は、未来へタイムリープする力と、都と司が両思いになったあと、キスをするというのを発動条件に、タイムリープに関する司のすべての記憶を司に渡す、という二つの力を持つ。 この二つ目の力によって、本来タイムリープを経験していないはずの時間で暮らす、いわゆる三人目の司は、高校3年生の春の小栗都の死をきっかけに、30年かけて「両翼の鍵」と「片翼の鍵」を開発した自分、つまり一人目の司がいるという事実と、これによってある日突然「片翼の鍵」を手に入れ、都の死を阻止するためにタイムリープを繰り返した自分、つまり二人目の司という、違う時間で生きていた、二人の別の自分の記憶を得た。
書誌情報
片翼のラビリンス 10巻 小学館〈フラワーコミックス〉
第1巻
(2014-07-25発行、 978-4091361875)
第2巻
(2014-07-25発行、 978-4091361882)
第3巻
(2014-11-26発行、 978-4091365491)
第4巻
(2015-02-26発行、 978-4091366474)
第5巻
(2015-06-26発行、 978-4091372406)
第6巻
(2015-09-25発行、 978-4091375582)
第7巻
(2015-12-25発行、 978-4091378569)
第8巻
(2016-04-26発行、 978-4091382757)
第9巻
(2016-06-24発行、 978-4091386267)
第10巻
(2016-09-26発行、 978-4091385178)