それでもしますか、お葬式?

それでもしますか、お葬式?

長編猫漫画『江の島ワイキキ食堂』を代表作に持つ岡井ハルコが『それでも朝にはおなかがへっている 鎌倉稲荷荘のごはん』の前に連載していた作品。舞台は葬儀社「羅生苑」。新米営業社員の向井朝子が、強欲な僧侶や金儲け主義の会社の実情を知り「葬儀は本当に必要か」と自問しながらも、遺族にとってより良い葬儀を目指すお仕事コメディ。人が亡くなった時のお金事情や遺族の感情がリアルに丁寧に描かれている。集英社「グランドジャンプ」2020年20号より連載開始。2022年3月にアプリ「ヤンジャン!」に移行して、2022年6月に連載を終了した。

正式名称
それでもしますか、お葬式?
ふりがな
それでもしますか おそうしき
原作者
三奈 仁胡
作者
ジャンル
その他職業・ビジネス
 
ヒューマンドラマ
レーベル
ヤングジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊4巻
関連商品
Amazon 楽天

なかなか知り得ない葬儀社の裏側を描く

これまではただ依頼を待っていれば良かった葬儀社は、葬儀にお金をかけない人が増えている中、攻めの営業をかけなければ生き残れない。人形供養に来た人たちに無料で食事をふるまい、サクラを混ぜて会員になるよう勧誘したり、白衣を着て病院スタッフだと勘違いさせ、遺体を自宅まで搬送したあとに葬儀スタッフだと打ち明けたり。あまり知ることのできない葬儀業界の裏側や現状が描かれている。そんな会社のやり口に不満を持ちながらも、新米社員の朝子は今の自分にできることを探していく。

遺族の思いや葛藤が丁寧に描かれる社会派ヒューマンドラマ

葬儀を依頼する人々には、それぞれの事情がある。お金がなくて火葬もできない人、死んだ後に初めて妻がはまっていた宗教を知る夫、娘の事故死の原因に納得がいかず、葬儀を拒否する母親。遺族の悲しみや葛藤、亡くなった人の思いなどを掘り下げて、丁寧に描いており、やるせない話もあれば、心温まるエピソードもある。生と死とはなにか、葬儀とは誰のものかを考えさせられる社会派のヒューマンドラマである。

感情の読めないクールで論理的な上司×正義感あふれる無鉄砲な主人公

朝子は新米なのに、嫌な仕事の時は感情を露わにし、先輩や上司に対しても毒を吐く。また事件性が疑われる案件にも首を突っ込んでしまう。一方、先輩の水野圭一は、いつも論理的でクール。感情を表に出さず、利用者のためというより、会社の儲けのために笑顔で高い商品を勧める。正反対の二人のやり取りがユーモラスで、死という重いテーマを取り扱いながらも、読みやすく笑いもあるお仕事コメディとなっている。

登場人物・キャラクター

向井 朝子 (むかい あさこ)

羅生苑の新米営業社員の女性。おかっぱでメガネをかけ、細身である。田舎でなかなか就職口がなく、仕方なく葬祭業を選ぶ。父が8歳の時に家を出ていき、母子家庭で育つ。依頼者に格安プランを提案し、会社の利益が少ないと上司からよく叱られている。素直な性格で、故人や遺族にすぐ感情移入してしまい、遺族の前で涙を見せてしまう。無鉄砲なところもある。

水野 圭一 (みずの けいいち)

羅生苑で働く一級葬祭ディレクターの男性。エンバーマーの資格も持つ。主任として新米の朝子を指導する。髪型を七三に分けている。姿勢が正しく論理的で、営業成績が良く、クールで打算的でもある。自分の表情を完璧にコントロールできる葬儀屋のプロ。葬儀屋には自分の感情や良心はジャマだと思っている。また料理は心ではなく腕だと断言する。歪んだ性格で冷淡だが、優しいところもある。

クレジット

原作

三奈 仁胡

書誌情報

それでもしますか、お葬式? 4巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉

第1巻

(2021-01-19発行、978-4088917719)

第4巻

(2022-07-19発行、978-4088923529)

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